2022/05/26

民間生命保険の種類徹底解説

民間生命保険の種類について解説します。国や地方自治体が主導する公的保険ではなく、自分の意志で加入を決める民間生命保険にはどのような種類があるのでしょうか。この記事では民間生命保険の種類を保険業法上の区分に分けて解説します。自分がどのようなリスクに備えるべきかわからない、という人はぜひ参考にしてください。

民間の生命保険とは

民間の生命保険とは、民間の保険会社が販売する保険のことです。公的保険の不足分をカバーする目的で、公的保険とは異なり個人の自由意志で加入を決めることができます。保険業法(保険会社が守らなければならない基本的な法律)では、民間保険を3つの分野に分けて分類しています。

・第一分野:いわゆる生命保険(死亡保険)と呼ばれるもの。人の命に関する保障を目的とする。

・第二分野:いわゆる損害保険と呼ばれるもの。自然災害や事故などによる損害を補償する。

・第三分野:第一分野、第二分野どちらにも属さないもの。

第一分野は生命保険会社しか取り扱うことができず、第二分野は損害保険会社しか取り扱うことができません。第三分野に関しては生命保険会社も損害保険会社も両方取り扱うことができるため、より多くの会社から商品が販売されています。民間保険には多くの種類がありますが、この記事では民間生命保険を保険業法上の3つの分野に分けて、その特徴を解説します。

第一分野

生命保険(死亡保険)

生命保険(死亡保険)とは、人の生死に関して保険金が受け取れるタイプの保険のことを言います。契約者が死亡もしくは高度障害状態になってしまった時に、死亡保険金を受け取ることができます。生命保険(死亡保険)は主に定期保険、終身保険、養老保険の3種類に分けることができ、それぞれ保障機能や貯蓄機能に違いがあります。

参考記事:

生命保険の種類徹底解説

生命保険の選び方【保障内容、保障額、保険期間はどう決める?】

収入保障保険

収入保障保険とは、保険期間中に被保険者が死亡もしくは高度障害状態になった場合に、その時点から保険期間の満期まで毎月給料のように保険金を受け取ることができる死亡保険の種類の一つです。保険期間は10年・15年など定期で、毎月給与のように出る保険金で主に契約者死亡後の家族の生活費を保障するというのが他の死亡保険と異なるポイントです。

参考記事:

収入保障保険のメリット・デメリットとは。必要性から注意点まで

就業不能保険と収入保障保険の違いとは

個人年金保険

個人年金保険とは、一定期間保険料を払い込むことで将来決まった時期に年金形式で保険金を受け取ることができるという保険です。自分の老後資金を準備するための保険ですが、もし年金を受け取る前に契約者が死亡した場合は、あらかじめ設定した受取人が死亡保険金を受け取ることができます。老後資金を準備しつつ、死亡リスクにも対応できる保険です。

参考記事:『個人年金保険のメリット・デメリットとは

学資保険

学資保険とは、教育資金を準備するための貯蓄機能を持った保険のことです。毎月保険料を支払うことで将来の教育資金を積み立てるとともに、子どももしくは親に万が一のことがあった際には保険金が支払われます。多くの学資保険は子どもの大学進学のタイミングで満期保険金がもらえる仕組みになっており、一番教育費がかかると言われている大学の進学費用などに使うことができます。

参考記事:『学資保険のメリット・デメリットとは。必要性から注意点まで

第二分野

火災保険

火災保険は損害保険の一つで、建物や建物内に収容された物品の火災などよる損害を補填する保険です。火災保険で補償されるのは火災による損害のみでなく、落雷・爆発、風災・雹(ひょう)災、雪災、水災、建物の外部からの物体の衝突、水濡れ、労働争議、盗難、不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)と多岐にわたります。火災保険の加入は任意ですが、住宅ローンを申し込む際には火災保険への加入が必須であることが多く、賃貸住宅でも賃貸借契約の条件で火災保険への加入が必須となっていることもあります。

自動車保険(バイク保険)

自動車保険(バイク保険)とは、自動車(バイク)の利用に伴って発生しうる損害を補償する損害保険の一つです。自動車保険には大きく2種類に分けられ、強制保険として自動車を使用する際に契約が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と、自賠責保険に加えて任意で加入する任意保険(自動車保険)があります。任意で加入する自動車保険は強制ではありませんが、約7割の人が加入しています(2018年時点)。

自転車保険

自転車保険とは、自転車に乗っている間に発生した損害について補償する損害保険の一つです。自転車保険への加入は今まで義務ではありませんでしたが、2015年に兵庫県で自転車保険への加入が義務化されて以降、全国の都道府県に義務化の流れが加速してきています。自転車に関係する事故で多額の損害賠償が発生するケースが増えてきているため、近年注目されている保険の一つです。

参考記事:『自転車保険とは?補償の内容、義務化の最新情報まで

海外旅行保険

海外旅行保険とは、海外旅行時の様々なリスクを補償する保険です。例えば旅行先での荷物の盗難、怪我や病気、飛行機遅延による滞在費など、旅行時には様々なトラブルが起こる可能性があります。特に海外での治療費は非常に高額になるケースが多いので、海外旅行時には保険に入っておくことをおすすめします。国内旅行時のトラブルを補償する国内旅行保険もあります。

ペット保険

ペット保険は、ペットになにか起こったときのために備える保険です。補償内容は主に通院や入院・手術はもちろん、ペットが誰かに怪我をさせてしまった時やペットの葬儀時などにも補償がおります(補償内容は保険会社によって異なります)。通院は補償内容の一つですが、予防接種や健康診断などの場合は補償対象外となることが多いため注意してください。ペットにかかる医療費については基準や規定が定められていないため、病気によっては非常に高額になってしまうこともあり、ペット保険で備える人が増えています。

第三分野

医療保険

医療保険とは、病気や怪我で入院や手術になった際に給付金がもらえる保険です。公的な医療保険として傷病手当金などの保障がありますが、日本では7割以上の人が民間の医療保険にも加入しています。主に入院給付金と手術給付金が出る主契約に追加して様々な特約を付けることで、特定の病気に対する保障を手厚くしたり、入院しなくても通院だけでも保障されるようにするといったことも可能です。

参考記事:

医療保険の種類徹底解説

高額療養費制度があれば、民間医療保険への加入は不要?

医療保険の掛け捨て型と貯蓄型の違いとは。メリット・デメリットから選び方まで

医療保険の特約の種類徹底解説

がん保険

がん保険とは、その名の通りがんに対する保障に特化した保険です。日本人の2人に1人が生涯に一度はがんと診断される現代では、治療期間が長期になりやすい・治療費が高額になりやすいことが問題となっています。がんの保障に特化したがん保険に加入することで、入院給付金や手術給付金だけでなくがんと診断された時点でまとまった診断一時金を受け取ることができたり、治療費が非常に高額になる先進治療に備えることができます。

参考記事: 

がん保険の種類徹底解説

がん保険と医療保険の違いとは

がん保険の免責期間・責任開始日とは

介護保険

介護保険とは、介護が必要となった場合に金銭的負担を減らすための保険です。公的保障として40歳以降は必ず介護保険に加入することになりますが、公的介護保険は要介護度に応じて利用限度額が設けられており、要介護判定がされない場合は全額が自己負担となります。民間の介護保険の場合は、保険会社が定める要介護状態になった際に「介護一時金」や「介護年金」といった給付金を受け取ることができます。

参考記事:『民間介護保険のメリット・デメリットとは

就労不能保険(所得補償保険)

就労不能保険とは、病気や怪我などで長期間働けない状態となったときに、働けない期間の収入を保障するための保険です。60日や180日など保険商品によって定められている支払い対象外期間を超えて就業不能状態となった際に、保険金を毎月給与のように受け取ることができます。医療保険は病気や怪我になった際の治療費を保障してくれますが、就労不能保険は病気や怪我で働けなくなった期間の生活費を保障してくれる保険です。

参考記事:

就業不能保険のメリット・デメリットとは。必要性から注意点まで

就業不能保険と収入保障保険の違いとは

傷害保険

傷害保険とは、事故などにより怪我を負い入院・通院・死亡となったり、後遺障害が残ったりした場合に保険金が支払われる保険のことです。傷害保険は怪我のみを対象としており、病気の治療時には保険金を受け取ることはできません。そのため、傷害保険の加入時には他の保険のように健康状態の告知は必要ありません。

民間の保険の種類を理解しよう

民間生命保険の種類について解説しました。保険の種類を理解することは、自分が備えたいリスクや必要な保障を知ることの第一歩となります。保険の全体像を把握して、自身の保険選びに活かしましょう。

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