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2022/07/06

個人年金保険のメリット・デメリットとは

個人年金保険のメリット・デメリットについて解説します。老後の自分年金を準備するための保険である個人年金保険には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。そもそも個人年金保険はどういう仕組みなのかというところから、個人年金保険の種類や契約に関する注意点までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

個人年金保険とは

個人年金保険とは、一定期間保険料を払い込むことで将来決まった時期に年金形式で保険金を受け取ることができるという保険の種類の一つです。公的年金とは異なり、個人が任意で加入する保険商品となります。公的年金の不足を補うために自分で用意する年金という意味で、確定拠出型年金(iDeCo)などとともに「私的年金」と言われることもあります。

厚生労働省のデータによると、厚生年金保険の平均受給金額は月146,162円となっており、自営業者などが加入する国民年金の場合は月65,000円ほどとなっています。この年金額は令和元年度の平均ですが、今後この金額が減ったり受給開始年齢がさらに繰り上がったりといったことは充分考えられるため、公的年金のみでは老後の生活に必要なお金が足りなくなるリスクがあります。そのリスクに備えるために私的年金は重要であり、近年個人年金保険の注目度も上がってきています。

参考:令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省)

参考記事:『 私的年金の種類とは。企業型・個人型の違いからそれぞれの特徴まで解説

個人年金保険の種類

個人年金保険には様々な種類があります。大きく分けると「定額型」と「変額型」という種類があり、さらに将来の受け取り方に応じて「確定年金」「有期年金」「終身年金」という3種類に分けることができます。

定額型個人年金保険

定額型とは、契約時に定めた予定利率により積立運用を行う個人年金保険のことを言います。一般的に将来の年金原資が確定もしくは最低保証されているため、途中解約をしたり保険会社が破綻したりしない限り、元本割れの可能性は少ないと言えます。

変額型個人年金保険

変額型とは、価格変動幅の大きい金融商品などで年金原資を運用して、運用効果を高めることを目的とする個人年金保険のことを言います。契約者自身が複数種類の投資信託などから選択し、保険会社が管理・運用する形になるため、運用実績に応じて将来受け取る年金金額が大きくなる可能性もありますが、その逆の可能性もあります。

確定年金

確定年金とは、5年や10年など決まった期間だけ年金が受け取れるという形の個人年金保険です。万が一、年金支給期間の途中で受取人が亡くなったとしても、残りの年金は必ず支給されます(遺族が受け取ることができます)。決まった額の年金を受け取れることが確定しているので確定年金と呼ばれており、個人年金保険の多くはこの確定年金型となっています。

有期年金

有期年金とは、5年や10年など決まった期間だけ年金が受け取れるという部分は確定年金と同じですが、年金支給期間の途中で受取人が亡くなった場合は、契約終了となりその後の年金は支給されません。必ず一定期間年金が受け取れる確定年金と違ってもらえる金額が少なくなる可能性がありますが、その分確定年金よりも保険料が割安になっており、家族に遺すお金は個人年金保険と別に用意するという場合は有期年金が適しています。

終身年金

終身年金とは、受取人が生きている限り、生涯年金を受け取り続けることができる個人年金保険のことです。受取人が亡くなった場合はそこで年金の支払いは終了し、相続人が引き続き受け取るなどはできません。公的年金のように生きている間ずっと支給されるという安心感がありますが、その分年金の原資を確保する必要があり保険料は割高になっています。

個人年金保険のメリット

1. 老後資金を確実に準備できる

個人年金保険のメリットの一つは、貯蓄が苦手な人であっても半強制的に将来の生活資金を計画的に貯められるということです。個人年金保険は解約時の返戻金が少ないなど解約に対するハードルがやや高いので、一度契約したら気軽にやめるということはできません。貯蓄が苦手な人にとっては、その強制感がメリットとなるでしょう。

2. 個人年金保険料控除を受けることができる

個人年金保険は、商品によっては個人年金保険料控除を受け税金の負担を軽減させられるというメリットもあります。個人年金保険の保険料は、一定条件を満たせば最高で年間4万円(2011年12月31日以前の旧制度で契約した場合は最高で年間5万円)の個人年金保険料控除が受けられます。控除された分だけ課税所得金額が少なくなるため、支払う所得税や住民税を抑えることができます。控除を受けるには年末調整での申告が必要となりますので、一年に一度保険会社から送られてくる控除証明書という書類はなくさないように保管しておきましょう。

※個人年金保険料控除の対象となる個人年金保険は以下の通りです。

・年金受取人が契約者、または契約者の配偶者であること

・年金受取人が被保険者であること

・保険料払込期間が10年以上あること

・年金の種類が確定年金の場合、年金支払開始日の被保険者の年齢が60歳以上であり、かつ年金支払期間が10年以上あること

※定額個人年金保険の場合は「個人年金保険料控除」の対象ですが、外貨建てなどの変額個人年金保険の場合は「一般生命保険料控除」という区分に分類されますので注意してください。

3. 生命保険の役割も果たすことができる

一般的な個人年金保険は、受け取り期間が来る前に被保険者が死亡してしまった場合、受取人が死亡保険金を受け取ることができます。つまり、自身の老後資金を準備しながらも、万が一のことが起きた場合には生命保険の役割も果たしてくれるということです。受け取れる死亡保険金の金額は商品によって大きく異なりますので、契約前によく確認するようにしましょう。

4. 据え置き期間を置くことで返戻率を上げることができる

個人年金保険は公的年金と同じく、受け取り開始の年齢を遅くする(据え置く)ことで返戻率を上げることができます。その差は公的年金と比べると小さな差であることが多いですが、受け取り開始年齢が遅くなってもいいという場合は据え置きを検討してみるとよいでしょう。

個人年金保険のデメリット

1. インフレリスクがある

将来決まった額を受け取る定額型個人年金保険の場合、インフレに弱いというデメリットがあります。インフレとは市場全体の物価が上がりお金の価値が下がることを言い、年金の受け取り時期までにインフレが進行してしまうと相対的に受け取れる年金が少なくなってしまいます。このリスクを避けるためには変額型個人年金保険を選択するなどがありますが、変額型はその分値動きが激しいなど別のリスクがありますので、安易に選ぶべきではありません。

2. 途中解約しにくい

個人年金保険にはほとんどの商品に解約返戻金がありますが、途中解約した場合にもらえる解約返戻金は払い込んだ保険料より大幅に少なくなるケースが多くなっています。早期に解約するほど返戻率は低くなりますので、後ほど注意点で解説するように個人年金保険の保険料は長期間支払い続けられる金額を設定することが非常に大切となります。

3. 受け取った年金は課税対象となる

個人年金保険で受け取れる給付金(年金)には税金がかかる点にも注意が必要です。個人年金保険の場合、契約者と受取人によって税金の種類が変わります。

・契約者と年金受取人が同じ…所得税

・契約者と受取人が異なる…贈与税

基本的に贈与税の方が所得税よりも税金を多く支払う必要があるため、特に事情がない限りは契約者と受取人は同じにしておくことをおすすめします。

個人年金保険に関する注意点

1. 長期間払い続けられる保険料であることが大前提

個人年金保険は長期間払い続ける保険となるため、その期間を通じて払い続けられる保険料であることが大前提です。ナビナビ保険が2021年に行った調査によると、個人年金保険に加入している人に「月額保険料をいくらで契約していますか?」という質問をしたところ、2万円以上3万円未満と答えた人が最多で20.1%という結果になりました。5万円以上と回答した人も12.7%いるなど、個人年金保険は貯蓄性の高い保険のため、他の保険と比べると月額の保険料は高くなる傾向があると言えそうです。将来の不安を解消するために備えることは大切ですが、そのための保険料が家計を圧迫していては意味がありませんし続けることが難しくなってしまいます。途中解約という一番損になってしまう方法をとることのないように、保険料の設定は慎重に行いましょう。

2. 一時金としての受け取りも可能

個人年金保険は、すべてのタイプの商品で年金形式で受け取るのではなく、一時金でまとめて受け取ることも可能です。もし受け取りのタイミングでまとまった資金が必要となった場合には一時金での受け取りも検討してみましょう。ただし、一時金として一括で受け取る場合は受け取り期間中の運用ができないため、年金として受け取る場合よりも総額が少なくなります。基本は年金としての受け取りを前提として、事情がある場合のみ一時金受け取りとするようにしましょう。

効率的に老後資金を準備できる個人年金保険

個人年金保険のメリット・デメリットについて解説しました。老後資金を準備するための有力な選択肢である個人年金保険。メリット・デメリットを理解して、老後への備えを進めていきましょう。