2022/06/03

医療保険の種類徹底解説

医療保険の種類について解説します。自身のニーズに合った医療保険に加入するためには、まず医療保険の種類や特徴を理解することが大切です。この記事では公的医療保険と民間医療保険の違いから、公的医療保険で受けることのできる保障、民間医療保険の大まかな種類と特徴までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

公的医療保険と民間医療保険の違い

医療保険には、大きく分けると公的医療保険と民間医療保険という種類があります。公的医療保険とは社会保険の一つとして国民生活の安定のために国や地方自治体が行っているもので、国民は法律により該当する保険に強制的に加入する必要があります。

それに対して民間医療保険とは、各保険会社が独自に商品開発をして販売する医療保険のことです。公的医療保険で賄えない部分の保障について、民間医療保険に加入することでカバーすることができます。

公的医療保険の種類

公的医療保険には、大きく分けて「職域保険(健康保険)」と「地域保険(国民健康保険)」と「後期高齢者医療制度」の3種類があります。職域保険はサラリーマンや公務員、一部の自営業者を対象とした保険で、地域保険は職域保険に属さない人が対象となる保険、後期高齢者医療制度は主に75歳以上の人が対象となる保険です。

例えば多くの人が加入している職域保険(健康保険)に限定して見てみると、加入していることで以下のような制度を利用することができます。

・医療費負担3割

・高額療養費制度

・傷病手当金

・出産育児一時金

・出産手当金

民間医療保険の種類

では、民間医療保険はどのような種類があるのでしょうか。民間医療保険にはたくさんの種類がありますが、この記事では保険期間・保障内容・引受基準別に分けて民間医療保険の種類を解説します。

保険期間で分ける

終身医療保険

終身医療保険とは、契約時の保障を一生涯継続できる保険です。保険料も基本的にずっと変わらないため、20代など若い年代のうちに加入することで、手ごろな保険料で老後も保障を継続することができます。病気や怪我による入院や手術に一生涯備えておきたい人のための保険です。

終身医療保険には、生涯保険料を払い込み続ける「終身払い」と、60歳まで・65歳までなど期間を限定して保険料を払い込む「有期払い」があります。終身払いは有期払いと比べて月々の保険料が低めに設定されているため、月々の支払いを軽くすることができます。一方有期払いは払込期間中の保険料は終身払いより高くなりますが、払込期間が終われば保険料を支払うことなく保障を継続させることができるので、退職後の老後においても負担なく病気へのリスクに備えることができるというメリットがあります。

定期医療保険

定期医療保険とは、5年・10年などの一定期間の病気や怪我のリスクに備える保険です。保険期間終了後は自動更新するか見直しするかを選べるので、保険を継続することもできます。終身医療保険よりはシンプルな保障を一定期間手厚くしたいという人に向いています。定期的に見直すことができるので人生設計の変化にも柔軟に対応が可能ですが、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、更新する場合は保険料が上がっていく仕組みになっています。

※保険期間が満了する年齢によっては更新できない保険もありますので注意してください。

保障内容で分ける

医療保険は基本的に病気や怪我での入院や手術に対する保障が「主契約」と呼ばれる部分となっており、さらに気になるリスクがある場合は「特約」をつけて保障を追加する形になっています。特約は保険商品によって付加できるものが異なり、ひとつの医療保険(主契約)に対して複数の特約を付加できる商品もあります。

ここではたくさんある特約の中から、代表的な特約の保障内容について解説します。

先進医療特約

先進医療特約とは、厚生労働省が認定している先進医療の治療を受けた際に保障が受けられるという特約です。先進医療とは公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある治療・手術などのことで、その技術料は自己負担となるのが一般的です。先進医療は保険適用とならないため、その金額は一回の治療で数百万円にものぼることがあります。

先進医療の例としてはがんの治療に行われる陽子線治療などがあり、2021年4月1日時点で先進医療の種類は80種類となっています。先進医療特約を付加しておくことで、かかった技術料が所定の金額まで全額保障されます。自己負担金額が大きい先進医療を受ける場合には非常に助かる保障です。

がん特約

がん特約とは、その名の通りがんの治療の際に保障が受けられる特約です。がんになった場合、医療保険の主契約の部分でも入院一時金などはもちろん給付されますが、がんは特に治療期間が長期間に及び金銭負担が大きい病気の一つと言われているため、多くの医療保険には「がん特約」が準備されています。保険会社の商品によって、がんと診断された際に一時金が給付される特約や、入院・通院にかかる費用の保障が受けられる特約など様々な種類があります。

がんに対する保障としては医療保険とは別に「がん保険」という単独の保険もあり、保障の手厚さで言うとがん保険の方が上ですが、手ごろな費用でがんへの保障を少しでも手厚くしたい場合は医療保険のがん特約がおすすめです。

女性疾病特約

女性疾病特約とは、女性特有の病気で入院したときに入院給付金などの保障が上乗せされる特約です。女性疾病特約に該当する疾病については各保険会社で基準が異なりますが、代表的なものとして乳がん・子宮がん・子宮筋腫・卵巣のう腫・子宮内膜症・帝王切開などが挙げられます。帝王切開については病気ではありませんが、女性特有の手術・入院要因として女性疾病特約の項目に入っていることが多くなっています。出産時には公的医療保険からも給付金が出ますが、民間医療保険の保障もあると入院費用が高くなったとしても安心感があるため、妊娠の予定がある女性は女性疾病特約も検討するとよいでしょう。

引受基準で分ける

民間医療保険には、引受基準と言って保険に入れるかどうかの基準があります。通常の医療保険は加入時に健康告知を行い今までの病歴などを細かく申告するのですが、その際に持病があったり入院歴があったりすると保険に加入できないケースもあります。ここでは通常の基準で審査される医療保険以外の種類を解説します。

引受基準緩和型医療保険

引受基準緩和型医療保険とは、保険加入時の条件を緩和した医療保険です。健康告知の項目が通常の医療保険よりもシンプルになっており、主に以下のような項目に答えるだけで申込ができるようになっています。

・直近3ヶ月以内に、医師に入院・手術・先進医療をすすめられたことがある。

・過去2年以内に、入院したこと、または手術を受けたことがある。

※3ヶ月、2年などの日数に関しては、各保険会社ごとに条件が異なります。

通常の医療保険と比べると保険料が高く設定されていることが多いですが、商品によっては加入前から持っている持病や既往症が悪化して入院・手術を受けた場合にも保障されます。

無選択型医療保険

無選択型医療保険とは、引受基準緩和型医療保険よりさらに基準が緩和されており、健康状態を保険会社に告知しなくても加入できる保険のことです。現在の健康状態に不安のある人でも入れる保険ですが、引受基準緩和型医療保険よりもさらに保険料が高い傾向がある、契約後の一定期間は病気による入院・手術への保障がされないなど無選択型医療保険ならではの注意点もありますので、契約を検討する場合は注意しましょう。

掛け捨て型、貯蓄型の違い

医療保険には前述した種類以外にも、「掛け捨て型か貯蓄型か」という違いもあります。

参考記事:『医療保険の掛け捨て型と貯蓄型の違いとは。メリット・デメリットから選び方まで

掛け捨て型

掛け捨て型の医療保険とは、契約から一定の年数を経過してもお祝い金などの支払いがなく、ただ保険料を支払っていくだけのタイプの医療保険です。お祝い金や解約返戻金などがない代わりに、月々の保険料は貯蓄型よりも安く設定されています。

貯蓄型

貯蓄型の医療保険とは、契約から所定の年数が経過するとお祝い金や還付金を受け取れるタイプの医療保険です。定期的にお金がもらえる可能性があるということで貯蓄型と呼ばれますが、掛け捨て型よりも保険料は高く設定されています。また、お祝い金や還付金を受け取る前に何かの病気で入院給付金や手術給付金を受け取るとお祝い金が支払われなかったり、還付金の額が減額されたりする場合があるため商品ごとの特徴をよく確認する必要があります。

医療保険の種類を理解しよう

医療保険の種類について解説しました。民間医療保険には様々な種類がありますが、自身の年齢や健康状態から最適な商品を選ばなければいけません。保険は長い期間に渡って支払っていくものになりますので、種類を理解してよく検討するようにしましょう。

参考記事:

がん保険と医療保険の違いとは

医療保険の特約の種類徹底解説

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