2022/06/20
がん保険と医療保険の違いとは
がん保険と医療保険の違いについて解説します。がんを保障するがん保険と、がんを含めた様々な病気や怪我を保障する医療保険ですが、給付金の内容や支払限度日数、免責期間など実は他にも様々な違いがあります。それぞれの保険の特徴から加入率の推移、がん特約との違いまでわかりやすく解説しますので、参考にしてください。
がん保険の特徴
がん保険とは、その名の通りがんに対する保障に特化した保険です。最近では入院や手術の際の給付金だけでなく、抗がん剤治療を受けた場合に給付金を受け取れるなど最新のがん治療に合わせた商品が増えてきています。また、特約を付加することでがんの再発時も保障が受けられるようになるなど、より手厚い保障にすることもできます。
参考記事:『がん保険の種類徹底解説』
どうしてがんだけ単独の保険があるのか
世の中には様々な病気があるのに、がんだけ単独で保険があるのはなぜでしょうか。それは他の病気に比べて、がんは各段に経済的リスクが大きいと言われているからです。がんは先進医療などの保険の効かない治療が必要になったり、再発を繰り返したりすることで高額な治療費がかかる可能性が高い疾患です。また、治療の副作用で長期間仕事をすることができなくなるケースも多くあります。がんは常に死因ランキングで1位を占めるポピュラーな病気でありながら、経済的負担が非常に大きいというのが単独での保険が進化している理由です。
がんにかかる人の割合
がん情報サービスの統計によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.0%、女性50.2%と男女ともに半数を超えています。また、日本人ががんで死亡する確率は男性26.7%でおよそ4人に1人、女性17.8%でおよそ6人に1人となっています。(2018年、2019年のデータ)
がんは、2人に1人が一生のうちに診断される可能性があるという非常に身近な病気であることがわかります。
参考:がん情報サービス
がん保険の加入率
実際にがん保険に加入している人の割合は、以下のようになっています。年々加入者の割合は増えてきており、最新の令和元年の数字で見ると42.6%と半数近い人が加入していることがわかります。
年度 | がん保険加入率 |
平成13年 | 21.2% |
平成16年 | 25.3% |
平成19年 | 31.2% |
平成22年 | 33.1% |
平成25年 | 37.3% |
平成28年 |
37.8% |
令和元年 | 42.6% |
医療保険の特徴
医療保険とは、がんだけでなくあらゆる病気や怪我に対して保障される保険です。病気や怪我の種類に制限はないですが、給付金を受け取れる日数に制限があったりと基本的には浅く広くの保障範囲となっています。医療保険にも女性疾病特約など様々な特約があり、それらを付加することでより手厚い保障とすることができます。
参考記事:『医療保険の種類徹底解説』
医療保険の加入率
実際に医療保険に加入している人の割合は、以下のようになっています。がん保険と異なり年々加入率が増えているということはありませんが、最新の令和元年の数字で見ると73.1%と安定して高い割合の人が加入していることがわかります。
年度 | 医療保険加入率 |
平成13年 | 73.0% |
平成16年 |
69.3% |
平成19年 | 71.3% |
平成22年 | 72.3% |
平成25年 | 74.0% |
平成28年 | 72.1% |
令和元年 | 73.1% |
がん保険と医療保険の違い
1. 保障される内容
医療保険はがんを含む病気や怪我に幅広く対応していますが、がん保険はがんに対してのみの保障となっています。がん保険の保障範囲は狭いですが、そのぶんがんに対する保障は手厚いため、がん治療に対して様々な選択肢を検討することができます。また、医療保険は幅広い病気や怪我に対応していますが、以下のような内容の場合は給付金を受け取ることはできませんので注意してください。
【医療保険で保障されない内容】
・不妊治療
・抜歯
・美容整形手術
・健康診断目的での入院(人間ドック含む) など
2. 給付金の種類
がん保険と医療保険では、給付金の種類にも違いがあります。医療保険の給付金は基本的には入院給付金と手術給付金の2種類で、入院や手術をした際に給付金が支払われる仕組みになっています。対してがん保険では、一般的に入院給付金と手術給付金の他に診断給付金(がんと診断されたらもらえる一時金)、治療給付金(入院しなくても放射線治療・抗がん剤治療を受けた時にもらえる給付金)などの種類の給付金がもらえる仕組みになっています。がんという病気に特化した保険だからこそ、がんになってしまった際の給付金は手厚くなっているということです。もちろん医療保険も特約を付加することでより手厚い保障にすることはできますが、基本的な仕組みとしてはがん保険の方がもらえる給付金の種類が多くなっています。
※給付金の内容は商品によって異なります。
3. 支払限度日数と通算限度日数
がん保険と医療保険の大きな違いとして、保障される内容とともに支払限度日数と通算限度日数の違いがあります。一般的な医療保険の場合、60日や90日、120など入院日数の支払限度日数が設けられていることが多く、1回の入院あたりその日数までしか保障されません。また通算限度日数が設けられている場合も多く、1,000日などの通算限度日数を超えてしまうとその後は給付金を受け取ることができません。医療保険は幅広い疾病に対応していますが、長期の保障に対しては弱いと言えます。
一方、がん保険においては支払限度日数や通産限度日数は設定されていない商品が多く、その場合は支払事由に該当すれば日数無制限で給付金を受け取ることができます。
4. 免責期間
がん保険特有の特徴として、免責期間というものがあります。がん保険は一般的に契約してから90日など一定期間が過ぎなければ保障が開始されない仕組みになっています。この免責期間の間にもしがんと診断されてしまっても、給付金を受け取ることはできません。万が一体調に不安があり、がんかもしれないとわかった状態で加入してしまったら保険として公平ではないので、がん保険のみそのような仕組みになっています。
免責期間がないがん保険も中にはありますが、その場合給付金が少なかったり種類が少なかったりする場合があります。がん保険を検討する場合は免責期間の内容をよく確認するようにしましょう。また、免責期間の間は保障はありませんが、保険料は支払う必要があります。支払いは契約初月から忘れないようにしましょう。
※がん保険と医療保険のがん特約の違い
医療保険の特約の中には「がん特約」というものがあり、医療保険でありながらがんに対する保障を手厚くすることもできます。がん特約を付加することで、がん保険のようにがんと診断されただけで受け取れる診断給付金がもらえたり、がんで入院する際の入院給付金が上乗せされたりします。また、がん特約にはがん保険の特徴である免責期間も適用されるので、特約部分の保障には基本的に90日間の免責期間があります。
がん保険と同じような役割を付加することができるがん特約ですが、特約としてのおまけ部分となるためがん保険と比べると診断給付金などの金額は低い傾向があります。入っている医療保険にがん特約を付加することでがんへの備えをある程度手厚くすることはできますが、より安心できる保障を求めるのであれば医療保険への加入+単独でのがん保険への加入をおすすめします。
図で見るがん保険と医療保険の違い
項目 | がん保険 | 医療保険 |
保障対象 | がん | がんを含む病気や怪我 |
主な給付金 |
診断給付金 入院給付金 手術給付金 治療給付金 など |
入院給付金 手術給付金 など |
支払限度日数 | 無制限 | 30日、60日、120日など |
通算限度日数 | 無制限 | 1,000日など |
免責期間 | 90日 | なし |
それぞれの保険の違いを理解しよう
がん保険と医療保険の違いについて解説しました。似ているようで多くの違いがある2つの保険の違いを理解して、自身に本当に必要な保険を検討するようにしましょう。