2022/03/07

民間介護保険のメリット・デメリットとは

民間介護保険のメリット・デメリットについて解説します。介護の金銭的リスクをカバーする民間介護保険は、公的介護保険にプラスして加入する民間の保険商品です。民間介護保険のメリット・デメリットから公的介護保険との違い、介護保険の必要性、介護保険の加入率までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

民間介護保険とは

民間介護保険とは、介護が必要となった場合に金銭的負担を減らすための民間の保険の一種です。公的な介護保障にプラスする形で任意で加入することで、保険会社が定める要介護状態になった際に「介護一時金」や「介護年金」といった形で保険金を受け取ることができます。保険会社によっては「長生き保険」などの名前で販売されていることもあり、年々その種類は豊富になってきています。今後ますます高齢化社会が進む日本にとって、注目されている保険の一つです。

※主契約としての介護保険だけでなく、介護特約としてすでに加入している医療保険等に付加することもできます。

公的介護保険との違い

公的介護保険とは、40歳以上の全国民が加入を義務付けられている保険です。40~64歳までの人は「第2号被保険者」となり、加入している健康保険と一緒に介護保険料が給与から天引きされます。65歳以上になると「第1号被保険者」となり、公的年金から介護保険料が天引きされます。公的介護保険に加入していることで、対象となる介護状態になった人は介護サービスが基本的に自己負担1割で利用することができます(介護サービスが利用できるのは65歳からですが、40~64歳の人も一部の病気に罹患している場合は利用することが可能です)。

参考:介護保険制度について(厚生労働省)

民間介護保険の必要性

介護にかかる費用

介護が必要になると、平均的にかかる費用として住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が約69万円、月々の費用が約7.8万円と言われています。また、介護が必要であった期間の平均は54.5ヶ月(4年7ヶ月)というデータもあります。これはあくまで平均ですが、介護が必要になると長期間に渡り継続的に費用が必要になるということです。

将来的に日々の生活費にプラスして介護費用が必要となった際に、余裕を持って支払えるかどうかはあらかじめ検討しておくべきでしょう。また、もし在宅で家族に介護してもらうなどの場合は介護費用も抑えられる可能性がありますが、家族に介護の負担をかけたくない(介護施設を積極的に利用したい)という場合はより介護費用がかさむことになります。自分が介護に対してどのような意識を持っているかも日頃から考えておくことも大切です。

介護保険の加入率

生命保険文化センターが行った調査によると、介護保険・介護特約に加入している世帯は全体の14.1%でした。年代別の加入状況は以下の通りです。

年齢 民間介護保険加入率
29歳以下 12.2%
30~34歳 17.4%
35~39歳 15.0%
40~44歳 16.1%
45~49歳 15.1%
50~54歳 20.6%
55~59歳 20.9%
60~64歳 14.2%
65~69歳 10.3%
70~74歳 10.3%

50代の加入率が20%前後と最も高く、全体での平均は14.1%となっています。医療保険やがん保険と比べると加入率は低いですが、介護費用を備えるために介護保険を利用している人も多くいることがわかります。貯蓄が充分にある、他の保険で既に備えているなどの場合は公的介護保険の加入で充分かもしれませんが、介護にかかる費用や期間のデータを見た上で将来の介護費用について不安に感じる人は民間の介護保険も検討してみるとよいでしょう。

参考:平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター)

民間介護保険のメリット

1. 将来の介護に対して経済的に安心できる

民間介護保険のメリットは、将来の介護への金銭的不安が軽減できる点が大きいです。公的介護保険は全員加入ですが、要介護度に応じて利用限度額が認められるため、要介護判定がされない場合は全額が自己負担となります。民間の介護保険は、要介護判定されていなくても保険会社の判断によっては給付金が出ることもあります。もし公的介護保険を利用できるとしても自己負担は発生するので、その部分をカバーできるのが民間介護保険のメリットです。

2. 40歳以下でも加入することができる

公的介護保険は40歳以上でないと加入することができないので、例えば40歳未満でも交通事故などで要介護状態となった場合は公的介護保険の対象とはなりません。介護状態となるリスクはどの年代でもあるので、公的介護保険の対象ではない40歳以下も加入することができるというのは民間介護保険のメリットです。

3. 生命保険料控除の対象になる

民間の介護保険は、支払った保険料が生命保険料控除の対象となり所得税・住民税が減額されるというメリットもあります。介護保険は生命保険料控除の中の「介護医療保険料控除」に該当し、保険料を支払っている期間は毎年対象となるため、年末調整での対応を忘れないようにしましょう。

参考記事:『生命保険料控除とは?対象となる保険から申請方法、注意点まで

4. 健康に不安がある人でも加入しやすい

介護保険は病気になった際の治療費を保障するための保険ではないため、他の医療保険などと比べて告知内容が少なく、健康に不安がある人でも加入しやすい傾向があります。すべての人が必ず加入できるわけではないですが、保険に加入しやすいというのはメリットの一つと言えます。

民間介護保険のデメリット

1. 給付要件が各保険商品によって細かく異なる

民間の介護保険の中には、「公的介護保険連動型」といって公的年金保険の要介護度認定に応じて給付金が決定するものと、「独自型」といって保険会社で独自の認定基準を設けているものとがあります。公的介護保険と比べると保障範囲が広いものが多いですが、それぞれの商品によって給付金が出る条件が大きく異なりますので加入を検討する場合はそれぞれの商品の保障範囲をよく確認するようにしましょう。

2. 掛け捨ての商品だと、保険料が無駄になる場合もある

民間介護保険にも、生命保険や医療保険と同じく「貯蓄型」と「掛け捨て型」の商品があります。貯蓄型の商品の場合は給付金を受け取っていない場合でもお祝い金や解約返戻金が受け取れますが、掛け捨て型の商品の場合は給付金を受け取れるような介護状態にならないと保険金を一切受け取れないという可能性もあります。保険料が掛け捨てになってしまうのは嫌だと感じる人は、貯蓄型の商品を選ぶようにしましょう。ただし、保険料は貯蓄型の商品の方が高くなる傾向があります。

民間介護保険のメリット・デメリットを理解しよう

民間介護保険のメリット・デメリットについて解説しました。介護についてはまだあまり関係ないと思っている人もいるかもしれませんが、介護は自分にも家族にもいつ必要な状態となるかわかりません。万が一介護が必要になってしまったときに経済的に困ることがないように、民間介護保険も含めて介護費用について早めに検討しておくことが大切です。

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