2022/05/09

現金一括購入で不動産投資を行うメリット・デメリット

不動産投資を行う際に、現金一括で物件を購入するメリット・デメリットを解説します。投資家の多くは不動産投資ローン(アパートローン)を利用して購入しますが、現金一括購入にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。現金一括買いを行う際の注意点も解説しますので、参考にしてください。

不動産投資とは

不動産投資とは、不動産物件を購入して第三者に貸し出し、家賃や売却益を利益として受け取る投資方法のことです。主にワンルームマンション、アパート、一軒家など実物の不動産を購入して大家となり貸し出す形の「現物不動産投資」のことを指します。主に中古の物件の場合、物件価格が安く現金購入を検討することもあるでしょう。また、ローンを組むことに対する不安がある人もいるかと思います。本記事では、不動産投資を行う際に不動産投資をローン(アパートローン)を組まずに現金一括で購入するメリット・デメリットを解説します。

参考記事:

不動産投資の種類をわかりやすく解説

不動産投資のメリット・デメリット

不動産投資で失敗する10のパターンと成功率を上げるための5つのポイント

現金一括購入で不動産投資を行うメリット

1. ローン返済がない

現金一括購入の最大のメリットは、ローン返済の必要がないということです。ローンがないということはローンを組むのにかかる諸々の諸費用を支払う必要がなく、ローンに伴う金利も支払う必要がないため、総支払額が少なくて済みます。その分月々のキャッシュフローに余裕が生まれるのは大きなメリットです。また、ローン返済がないことで支払いに対するプレッシャーもないため精神的な余裕が生まれるのも現金一括購入のメリットと言えるでしょう。

2. 手早く購入手続きができる

不動産投資ローンを組む場合、仮審査の申込から本審査の完了までに短くても数週間~1ヶ月程度の時間がかかってしまいます。一方現金一括購入であればこの待ち時間がなく、売買契約を結べば数日で引き渡しが可能な場合もあります。審査や手続きに時間を取られずスピーディーに商談を進めることができるというのは、ローンに比べて大きなメリットです。

3. 安く購入できる場合がある

上記「手早く購入手続きができる」にもつながりますが、不動産は売主がすぐに現金を求めているケースも多く、場合によっては決済を早める代わりに安く物件を購入できることがあります。「現金一括購入するので、物件価格を少し安くしてほしい」といった価格交渉も場合によっては可能なため、ローンを組む場合と比べてローンに関する費用だけでなく、物件価格自体も安く購入できる可能性があるというのも現金一括購入のメリットの一つです。

4. ローンを組みにくい属性の人でも不動産投資を行える

不動産投資ローンは年収や職業・年齢などに厳しい審査基準があり、例えば自営業の人、高齢の人などはローンの審査に通りにくい傾向があります。しかし現金一括購入であればローンの審査基準は関係ないため、ローンを組みにくい属性の人でも問題なく不動産投資を行うことができます。また、築古の物件など資産価値が低くローン審査が通りにくい物件でも現金一括であれば購入可能なので、お宝物件と呼ばれるような掘り出し物件を購入することができます。ローンの審査基準に振り回されずに自分の欲しい物件が買えるというのもメリットと言えるでしょう。

現金一括購入で不動産投資を行うデメリット

1. レバレッジ効果を得られない

現金一括購入の一番のデメリットは、ローンを組むことによるレバレッジ効果を得られないということです。レバレッジ効果とはてこの原理のことで、ローン(融資)を利用することで少ない自己資金で高いリターンを得るという不動産投資ならではの投資方法のことです。例えば3,000万円の物件を現金一括で購入した場合に得られるリターンは「支払った金額3,000万円に対する家賃収入のみ」となりますが、頭金200万円、ローン2,800万円で購入した場合は「200万円の投資で3,000万円の資産に対する家賃収入」を得ることができます。投資の効率を意識した場合、ローンを利用した不動産投資の方が収益性が高くなりやすいのです。

2. 手元資金が減る

現金一括購入を行うことで、当然ですが自己資金が大きく減ることになることもデメリットの一つです。手元資金が減るということは起こり得る様々なリスクに対応する資金が少なくなってしまうということなので、現金一括購入をする場合には手元資金とのバランスをよく考える必要があります。すべての手元資金を投入してしまうことのないよう、資金バランスの調整は慎重に行いましょう。

3. 団信に加入できない

団信とは「団体信用生命保険」のことで、ローン借入者が亡くなったときや高度障害などになった時にローンの残債が免除されるという保険のことです。住宅ローンと同じく不動産投資ローンを組む際も団信に加入することができるため、借主に何かあった場合でも家族にローン返済の必要のない不動産を遺すことができるということです。この団信があることで不動産投資には生命保険の役割もあると言われています。

不動産を現金一括で購入した場合、当然ですが団信に加入することはできません。購入後即座に完済という状態になる代わりに、特に保証はないということになります。家族がいる人の場合は、別途生命保険に入るなど対策が必要になります。

参考記事:『不動産投資ローンの団体信用生命保険とは?種類や注意点まで解説

4. 自己資金を貯める時間が必要になる

現金一括購入はローンに関する時間のロスを避けることができますが、そもそもの購入資金を貯めるために時間が必要になるというデメリットもあります。元々資金が潤沢にある人であれば問題はないですが、ローン審査に通りにくいため現金一括での購入しか選択肢にない人にとっては、自己資金を充分に貯めないと購入までたどり着けないのは時間のロスに感じられるでしょう。また、物件購入時は今後必要になる管理費用もあらかじめ準備していた方が安心ですので、物件価格のみの資金が貯まればOKとは言えません。間違っても物件価格のみの金額を貯めて不動産投資を始めてしまうことのないよう、気をつけましょう。

現金一括購入で不動産投資を行う際の注意点

1. 物件の資産性は慎重に判断する

ローンを受ける場合は金融機関が購入物件の資産性・リスクなどを客観的に評価してくれるためその評価を知ることができますが、現金一括購入で不動産投資を行う場合、ローンの審査が入らないため物件の客観的な評価を得ることができません。素人では気付きにくい欠陥など資産価値を下げる要因に気付かない可能性があるため、現金一括で物件を購入する場合は物件の資産性を慎重に判断する必要があります。自分と不動産業者の評価のみでは不安な場合は、第三者機関に依頼して物件の評価をしてもらうことも有効です。

2 手元の自己資金は必ず残しておく

現金一括購入を行うのは、物件価格が比較的安い中古物件であることが多いです。ローンの不安なく不動産投資を始められるのは魅力的ですが、中古物件の場合は購入してすぐに修繕費用が必要になることも多いため手元の資金は必ず残しておきましょう。建物の維持管理費用、修繕積立金、火災保険などの保険料、税金など、不動産投資にはランニングコストも必ず必要になります。物件を購入してすっからかんとなってしまわないよう、資金の使い方に注意しましょう。

3. 現金一括購入は元々資金が潤沢にある人のための選択肢

元々自己資金が潤沢にある人にとって、スムーズに物件を購入できる現金一括購入は有効な選択肢です。特に、すでに何軒も不動産投資を行っていて資産拡大しているフェーズの人であれば、融資枠を使うことなく資産を増やすことができる魅力的な購入方法です。

逆に自己資金が潤沢ではない人にとっては、現金一括購入はあまりメリットの大きいやり方ではありません。自己資金があまり多くない人は、この超低金利時代であれば不動産投資ローンを組み、レバレッジの効いた不動産投資を行う方がメリットが多いと言えるでしょう。

現金一括購入は慎重に検討しよう

現金一括購入で不動産投資を行うメリット・デメリットについて解説しました。物件によっては安く購入することができたり、時間のロスが少なかったりと魅力的な現金一括購入ですが、利用する場合は注意が必要なこともあります。レバレッジが効かせられない、生命保険の役割をつけることができないなどのデメリットも理解した上で、慎重に検討するようにしましょう。

参考記事:『不動産投資ローンに必要な自己資金とは? 

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