2021/08/05

不動産投資のメリット・デメリット

不動産投資のメリット・デメリットについて、初心者にもわかりやすく解説します。レバレッジ効果や節税効果などのメリットから、空室リスクや天災リスクなどのデメリットまで、不動産投資ならではのポイントを主に株式投資などの他の投資方法と比較しながら解説します。

不動産投資とは

不動産投資とは、不動産物件を購入して第三者に貸し出し、家賃や売却益を利益として受け取る投資方法のことです。主にワンルームマンション、アパートなど実物の不動産を購入して大家となり貸し出す形の「現物不動産投資」のことを指しますが、投資家から集めた資金でファンドが不動産を購入し、その収益を分配金という形で投資家へ還元する「証券化不動産投資」などの種類も存在します。本記事では「現物不動産投資」についてのメリットとデメリットを解説します。

参考記事:『不動産投資の種類をわかりやすく解説

不動産投資のメリット

不動産投資の主なメリットは以下の通りです。

1. 不動産投資ローンによるレバレッジ効果がある

他の投資方法と比べた不動産投資の大きなメリットは、ローンによるレバレッジ(てこの原理)効果があるという点です。不動産投資で不動産を購入する際、「不動産投資ローン」という住宅ローンとは異なるローンを組むことができます。(※不動産投資ローンと住宅ローンのおおまかな違いは以下図を参考にしてください。)ローンを組むことでいわば他人のお金でレバレッジを利かせて大きな利益を得ることが可能になり、自分の持っているお金の範囲で投資を行わなければならない株式投資等と比べると、大きなメリットとなります。


不動産投資ローンと住宅ローンの違い


不動産投資ローン 住宅ローン
借入の目的 物件を第三者の賃貸用の住居として提供し、家賃収入を得るため 物件の購入者が自身の居住用として住むため
金利 年利1.5%~4.5%程 年利0.5%~2.0%程
融資金額(目安) 個人の年収の10倍~20倍 個人の年収の5倍~8倍
審査内容

個人の属性+物件の収益性

(物件のエリアや築年数、家賃設定等)

主に個人の属性

(年収、勤続年数、貯蓄金額、他社での借入金額等)

名義 個人名義でも法人名義でも借入可能 個人名義でのみ借入可能
借入時年齢の上限 定年後からでも借入可能な場合もある

定年時年齢(65歳~70歳)が多い

※完済時の年齢の上限を定めているところもある

返済原資 家賃収入 給与収入


※レバレッジ効果があるとなぜ良いのか?

■自己資金のみで物件を購入した場合よりも、収益が大きくなる可能性がある

例:

自己資金1,000万円で利回り10%の不動産を購入した場合

※諸経費や税金は考慮しない


自己資金のみで不動産を購入すると…

1,000万円の不動産を購入→

年間利益=1,000万円×10%=100万円


不動産投資ローンを利用して不動産を購入すると…

銀行から2,000万円を借入、3,000万円の不動産を購入(金利4%)→

年間金利=2,000万円×4%=80万円

年間利益=3,000万円×10%-80万円=220万円

レバレッジを効かせることで、年間の利益が2倍以上になっています。このように不動産投資では、ローンを組むことで少ない自己資金でより大きな利益を得ることが可能な投資方法です。


■自己資金を手元に残した状態で不動産投資を行える

例:

自己資金1,000万円で利回り10%の不動産を購入した場合

※諸経費や税金は考慮しない


自己資金を使って不動産を購入すると…

銀行から2,000万円を借入、3,000万円の不動産を購入(金利4%)→

年間金利=2,000万円×4%=80万円

年間利益=3,000万円×10%-80万円=220万円


自己資金を投入せず、全額不動産投資ローンを利用して不動産を購入すると…

銀行から3,000万円を借入、3,000万円の不動産を購入(金利4%)

年間金利=3,000万円×4%=120万円

年間利益=3,000万円×10%-120万円=180万円

利益の差は先ほどのケースと変わり自己資金を使った方が大きくなりますが、自己資金を投入しなかった場合、手元に自己資金1,000万円が残っていることになります。その1,000万円で他の方法で資産運用を行ったり、不測の事態に備え現金を残したりすることができるというメリットがあります。

レバレッジ効果についての注意点

■誰もが充分な融資を受けられるわけではない

ローンを組むことで期待できるレバレッジ効果は魅力的ですが、誰もが最大のレバレッジ効果を狙えるわけではありません。融資を受けられる限度額は、勤務先の規模、年収、勤続年数、他社の借入れ状況などによって個人で大きく異なります。また、そもそもローン審査に通らないこともよくあります。自己資金があまりない状態でレバレッジ効果を期待して不動産投資を始めるのではなく、自分がどの程度の融資を受けられるのかをまずは専門家に診断してもらい、現実的なレバレッジ効果を把握してから検討するようにしましょう。

■金利が上昇したり利回りが下がることで、逆レバレッジ状態になることもある

不動産投資ローンで変動金利を選択している場合、金利が上昇した際に当然ですが返済額が上がり、レバレッジがマイナスの方にかかることになってしまいます。(その状態を逆レバレッジ状態と言います。)また、購入した物件の空室が続くなどして利回りが当初想定していたよりも下がった場合にも、収入が減り逆レバレッジ状態になる可能性があります。レバレッジ効果は良い方向にだけ向くとは限らないことを把握しておきましょう。(ただし、不動産投資において「逆レバレッジ状態」が必ずしも悪いということはありません。)

2. インフレのリスクヘッジができる

不動産投資のメリットとして、インフレ時のリスクヘッジになる点も挙げられます。この点は株式など他の投資方法でも言えますが、不動産投資は特に顕著であると言えます。

インフレ(インフレーション)とは簡単に言うと物の値段が上がることで、お金の価値が下がることと同義です。経済がインフレ状態になると、現金や預貯金などの金融資産は価値が目減りしていく可能性がありますが、不動産の場合、物価の上昇とともに不動産価格も上がっていくことになるため家賃も上昇します。そのため不動産はインフレに強いと言われており、現物の不動産に投資する不動産投資はインフレ時のリスクヘッジとなり得るのです。例えば昭和43年に竣工した霞ヶ関ビルの現在の家賃は、竣工当時の10倍以上となっています。資産を不動産として持っておくことで、インフレ対策になるということです。

3. 安定した賃料収入が見込める

不動産投資は、入居者がいれば毎月安定した賃料収入(副収入)が見込めるのもメリットです。基本的にはローンを組んで不動産を購入するため、賃料収入は始めはローン返済に回りますが、返済が終われば純粋な副収入として毎月入ってくることになります。特に会社員の場合は、定年までにローン完済済の不動産を保有することで老後の私的年金としての役割を持つことも可能です。今後手厚くなっていくことは考えにくい公的年金制度の現状を見ると、不動産投資のように私的年金の選択肢を持っておくことは重要です。

4. 生命保険・死亡保険として機能する

不動産投資ローンを組む際、基本的に団体信用生命保険(団信)への加入が必要です。この保険があることで、不動産投資は生命保険・死亡保険としての機能を持つこともメリットとして挙げられます。(※一般の保険と団体信用生命保険のおおまかな違いは以下図を参考にしてください。)団体信用生命保険に入っていることで不動産投資を行った本人が死亡・高度障害などになった場合にローンの残債が免除されますが、不動産は家族の手元にそのまま残るため、売却したり保有したまま家賃収入を得ることで生命保険代わりにすることができるという仕組みです。

最近では団体信用生命保険の内容も進化してきており、死亡・高度障害になった場合だけでなく三大疾病になった際も保障を受けられる場合もあるなど、保険の適用範囲が広がってきています。


一般の生命保険と団体信用生命保険の違い


一般の生命保険 団体信用生命保険
保険の内容 一定金額が保険金として支払われる ローンの残債額が完済される
保障となる対象 死亡(高度障害やがんなども対応するものあり) 死亡(高度障害やがんなども対応するものあり)
保険金の支払い 手持ちの現金から支払う ローンの金利に含まれている
保険料金 加入時の年齢が高いほど保険料が高くなる 年齢にかかわらず金利・保険料率が一定
保険期間 契約期間によって異なる

ローンを完済するまで

(完済すると自動的に終了する)

生命保険料控除 対象 対象外

5. 節税効果がある

不動産投資は所得税・住民税・贈与税・相続税の節税効果もあるというメリットもあります。

所得税・住民税の節税効果

所得税には、他の所得とは合算せず個別の納税が義務づけられている分離課税と、各種所得の合計額に課税される総合課税の2種類があります。分離課税の対象となる所得は配当所得や退職所得などで、総合課税の対象となる所得は給与所得や事業所得などです。不動産所得も総合課税の一つなのですが、総合課税は黒字の所得から赤字の所得を差し引く「損益通算」という仕組みが使えるというメリットがあります。

もし会社員が副業として不動産投資をする場合、不動産投資が赤字(ローン返済中)だったときに所得を損益通算により合算するため、不動産投資での赤字の分だけすでに納税済みの所得税を還付してもらうことができます。これにより、結果として所得税の節税が可能となる仕組みです。また、住民税も所得税の情報を基に市区町村側で計算されるため、所得税が下がると住民税も下がります。特に不動産投資を始めたばかりの頃は初期費用などが多くかかり減価償却費が多額になるため、不動産の家賃収入より経費が上回る可能性が高くなります。

日本の所得税は所得金額が大きくなるほど税率も大きくなる「累進課税制度」を採用しているため、高所得の人ほど節税効果が見込めます。

贈与税・相続税の節税効果

不動産投資を行うことで、贈与税・相続税も節税効果があります。贈与税は生きている人から贈与を受けた場合にかかる税金で、相続税は亡くなった人の遺産を引き継いだ場合にかかる税金です。贈与や相続を考えたときに、現預金のままだと課税対象となる評価額はそのままですが、不動産の場合はその建物の評価額が入るため、購入時の価格よりも評価額が安くなります。また、その不動産を賃貸に出している場合はさらに評価額が下がります。そのためかかる税金も安くなり、節税になるという仕組みです。

相続税・贈与税は2015年の相続税法改正により基礎控除額が引き下げられ、実質的に増税となったため、節税対策としての不動産投資がさらに注目されてきています。

節税に関する注意点

■物件次第で節税の効果は変わる

不動産投資は方法次第で節税効果がありますが、物件次第で節税の効果は変わります。一番節税効果が高いのは法定耐用年数が22年と短く減価償却を大きくとることのできる築古の木造物件で、節税効果が低いのは新築の区分マンションです。また、今までは節税効果が高いと言われていたタワーマンションですが平成29年度の税制改正によりタワーマンションへの課税方法が見直され、現在は以前のような節税効果は得られなくなっています。

初年度は諸経費がかかるためどんな物件でもそれなりに節税効果がありますが、2年目以降は物件次第で変わってくるという点は留意しておきましょう。

■節税を第一目的として物件を選ぶべきではない

不動産投資を行う上で、節税を目的として物件を選ぶことは賢明ではありません。節税にこだわると、不動産運用(家賃収入)で利益を得るという本来の目的を見失ってしまうことになりかねませんので、無理に経費を増やしたりすることはやめましょう。そして、節税効果の高さで物件を選ぶのではなく、あくまで収入を増やせる視点から物件を選ぶようにしましょう。

また、節税効果が大きくなるのは目安として課税所得が900万円以上(目安年収1,300万円以上)の人です。それ以下の所得の人については、そもそもの税区分により節税効果は限定的になりますので、不動産投資を行う際には節税をあまり意識する必要はありません。

■必ず専門家に確認を

税務に関する具体的な相談や計算、書類作成などは税理士の独占業務となっています。節税に関しての相談は、必ず税理士資格を持った専門家に依頼してください。

不動産投資のデメリット

不動産投資の主なデメリットは以下の通りです。

1. 空室リスクがある

不動産投資のデメリットとしてまず挙げられるのは、空室リスクです。物件の入居者が決まらない場合、想定していた利回りよりも低くなり、家賃収入が発生しなくなってしまいます。空室が長期間続いた場合でも建物の維持管理費や融資の返済は待ってくれないため、なるべく空室リスクを避けなければいけません。

空室リスクを避けるために

■空室が発生しにくい物件を選ぶ

駅からの距離、間取り、設備などによって、空室が発生しやすいかどうかは大きく異なります。区分マンションの場合は駅近であるかどうかが重要だったり、ファミリー向けの一軒家の場合は間取りが重要だったりとターゲットによってそのポイントは異なるため、まずはターゲットを設定しそのターゲットにとって利便性の高い(選ばれる)物件になっているかどうかを見極める必要があります。

■入居者募集に強い業者を選ぶ

空室が発生しにくい物件を選んでいたとしても、正しく入居者募集が周知されていなければ入居者は決まりにくくなってしまいます。正しい家賃設定で、正しいノウハウを持つ業者と連携することも空室リスクを避けるためには重要です。

■サブリース契約を結ぶ

サブリースとは、家主が家賃保証会社と賃貸借契約を結び、家賃保証会社が第三者に物件を転貸するという仕組みのことです。サブリース契約を結ぶことで、万が一空室があってもオーナーは一定の収入を得ることができます。しかしサブリースを契約することで収益性は下がりますし、契約の内容によってはオーナーに不利になってしまうこともあり得ますので、サブリース契約は慎重に行いましょう。

2. 流動性が低い

不動産投資は、流動性が低いこともデメリットの一つです。株式投資等であれば常に売買が行われているため売却に困ることはほとんどありませんが、不動産投資の場合は「売りたい」と思ってもすぐに買い手が見つかるわけではなく、諸手続きにも最低でも一ヶ月程度時間がかかります。その流動性の低さ(換金性の低さ)がデメリットとなりますので、なるべく購入希望者が多い都心部の物件を選ぶという視点も必要になります。ただし都心部の物件の場合は流動性は高くなりますが利回りがその分低くなる傾向にありますので、どのポイントを取るかは自身で慎重に検討しましょう。

3. 管理・手続きに手間がかかる

不動産投資は売買の手続き時や、運用期間の管理時に他の投資方法よりも手間と費用がかかります。売買の契約、融資審査、登記、確定申告など購入に伴い数多くの契約事務や行政手続きが必要になるだけでなく、住民のトラブル対応や年数が経つと修繕の必要も出てくるなど、管理にも手間が発生します。多くの手続きや管理は委託することができますが、その場合は費用がかかるので注意しなくてはいけません。

4. 天災リスクがある

不動産投資ならではのデメリットとして、天災リスクがあることも挙げられます。不動産という実物資産である以上、地震や火事、水害等で不動産自体が滅失するリスクが常に存在します。このリスクは避けられませんが、物件購入前にハザードマップを確認し水害のリスクを把握すること、保険に加入し保障が受けられるようにしておくこと、エリアを分けて複数不動産を保有すること、等である程度リスクを減らすことが可能です。

5. 初期費用・ランニングコストがかかる

不動産投資を行う場合、初期費用・ランニングコストが必ずかかります。物件を購入するための自己資金としては一般的に物件価格の1割程度が必要と言われていますが、自己資金なしで全額不動産投資ローンを組むことも可能な場合もあります。また、購入時だけでなく運用していくなかでも修繕コスト、管理コスト、税コストなど様々な費用がかかることも特徴です。これらのコストはある程度は必ずかかってくるものですが、例えば築古の物件を検討する場合はあらかじめ専門家に建物のリスクを判断してもらうことで、どれくらいの費用がかかるのかを事前に把握することができます。

不動産投資ならではのメリット・デメリットを把握しよう

不動産投資のメリット・デメリットについて解説しました。不動産投資には他の投資方法にはないポイントが多いので、よく理解して検討するようにしましょう。

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