2021/01/22

ベンチャーからリクルートキャリアへの転職【リクルートキャリア現役社員インタビュー(前編)】

銀行員からベンチャー企業を経て、リクルートキャリアへ転職した方へのインタビュー記事。前編ではリクルートキャリアへ転職するまでの、ベンチャー企業での経験からその後のキャリアに対する考え方、転職活動にあたってのエージェントやサービスの使い方、リクルートキャリアでの実際の選考・面接の内容までを詳しくお話していただきました。

銀行員からベンチャー企業の3人目に

−−−はじめに、これまでの経歴をおうかがいします。大学卒業後は銀行に入られたんですよね?

現在社会人7年目です。大学卒業後、新卒で群馬銀行という金融機関に入り、2年7ヶ月在籍していました。やっていた業務は主に融資の審査。融資といっても銀行の若手ってめちゃめちゃ下っ端なので、お客さんとかと話をして、データを揃えて本部に送る、みたいな仕事をしていました。そんな融資の業務を1年くらいやって、残りの1年数ヶ月は渉外担当という外回りでした。地元の中小企業の社長や財務の責任者と会って、「お金借りませんか?」みたいな仕事です。当時は2014年とかだったんですが、3.11の復興需要とかで東北地方に砂利を運ぶみたいなのがニーズとしてあって、それで儲かっていた砂利屋の人がクライアントだったりしていました。


−−−その後、小さいベンチャー企業の3人目として転職されたんですね?

2014年11月から、創業4年目(2011年10月創業)の役員2名しかいないベンチャーに入りました。大学時代の先輩2人が作った会社でした。その会社の3人目ということで、採用する方もされるほうもすごいリスクが高いじゃないですか?なので、実際には正式にジョインする半年くらい前から、土日とか平日の朝晩に仕事を手伝うとか、プチインターン的な形で会社に関わって、その後正式に入りました。3年間2人だけでやっていた会社なので、入ってからはそれはもちろん結構いろいろありました。入った当時はちゃんとした営業担当とかもいなくて、その仕事をメインでやっていました。営業は実質自分一人で動いてやっていました。あとは、こういうフェーズの会社って、「この役割」みたいなのがきれいに区切られているわけじゃないので、営業と並行してコンテンツを見たりとか、インターン生のディレクションとかをやっていました。3年半いたのかな。


−−−どうして群馬銀行からベンチャーへ転職したんですか?

2つあります。1つはその会社をやっているのがもともと知っている人で、すごくできる先輩から誘われたということ。もう1つはぶっちゃけると群馬銀行のキャリアなんて捨てても惜しくないなと思っていたということ。悪い会社ではないですが。


−−−そもそももともと銀行に行きたくて群馬銀行へ入ったんですか?

実はそういうわけでもなく、家庭の事情とかもあり、配属リスクのなさそうなところにしたっていうのがあります。もともと強い志望があって入ったわけでもなかったので、簡単に銀行員のキャリアを捨てられたのかもしれません。


−−−転職にあたって、ご両親や銀行の方は反対などされませんでしたか?

親はなんとなく心配はしていましたが、大学を出たらすべて自己責任だというのが根っこにある家庭だったので、反対されたり何か言われたりということは何もありませんでした。銀行の人たちは、「えー!残念」みたいなのはありましたが、強い引き止めや嫌がらせなどはまったくなく、最後まで良い職場でした。

入ったベンチャー企業が1年半でバイアウト

−−−入ったベンチャー企業が入社後1年半ほどで買収されたんですよね?

そうです。そのベンチャー企業が、2016年8月頃に会社を売りました。社員が3,000名ほどいる人材会社の子会社になりました。会社を売るとどうなるかっていうと、親会社はその親会社という大きい組織の中で、バイアウトした子会社をどういう風にしたいかっていうのが当然あり、それに則って業務を行っていきます。そうなると買収した会社にそれまでみたいに好き勝手やらせるんじゃなくて、親会社からも人を入れて、PMI(編集部注:Post Merger Integrationの略で、M&A後のその企業の統合プロセス全体のこと)っていうんですが、「統合してうまくやっていこう」、みたいになるわけですよ。

なるんですけれども、会社を売るとまずどうなるかっていうと、創業者たちのやる気がなくなるというか、ひとつやり遂げたよね、みたいな感じになるんです。細かい話をすると、会社って会社それ自体があってもビジネスって成り立たなくて、中にいる人がやるじゃないですか。だから会社を買う側からすると、買収した会社の人がすぐいなくなっちゃうっていうのは厳しいじゃないですか。だから、買ってから何年間は辞めちゃいけないよっていうロックアップという約束みたいなのがあるんです。で、その約束の期間が終わると、だいたいみんな辞めていくんです。約束の期間が終わるのと同時にバイバイ、みたいな。

そんな中で、なんで自分が辞めることを決めたのかっていうと、自分の中でも買収されて一山超えたっていうのもあるし、誘ってくれた創業者が離れると、自分も次のことを見つけるか、みたいになって。それで、もう一回外を見てみますか、という感じで転職活動をはじめました。

ベンチャー企業からの転職活動

−−−転職活動はいつ頃から始めたんですか?

ふんわりと人と会うのは2017年の9月頃からやっていましたが、ちゃんと転職活動を始めたのは2017年の11月とか12月頃からです。(編集部注:2018年4月から現職)GreenっていうIT・Web業界に特化した転職サービスがあるんですよ。「ふんわりと人に会う」というのは、まずはそのGreenに登録して、そこからちょくちょくオファーが来るので、その人たちと会いました。自分のキャリアでどんなスカウトが来るのか、会ってどんな話ができるのかを軽く確かめにいくような感じです。「ちゃんと転職活動を始める」というのは、複数のエージェントに登録して、職務経歴書も作成して選考に臨むようになったということです。エージェントは取引先の中途事業責任者経由、ネットジンザイバンク、あともう一つどこかという感じで、いわゆる大手ではないところを使ってました。大手を避けた理由は特にないです。今思えば、使っておいてもよかったなと思います。


−−−転職活動の際のリクルートの位置付けはどんな感じだったんですか?

第一志望で行きたい会社、と決めていたわけではないんですが、リクルートって社風も独特だし、前職が一応人材系といえば人材系の会社ではあったので、なんとなくWebのサービスか領域だったら人材系をひとつくらいみてもいいかなと思っていて。で、リクルートもひとつの選択肢として転職活動していた感じです。


−−−前職のベンチャー企業での経験を活かせるような転職先を探していたってことですか?

まあそうですね。完全に関係のないところへ行くっていうのはけっこう勇気がいると思います。社会人7年目で、今からエンジニアなりますっていうのはしんどいですよね。どこかしらこれまでのキャリアと地続きになるところを探していました。業界や業種もそうなんですが、"働き方"として「小さくて機動的なチーム」というのがベンチャー出身者が仕事する上では合いやすいように思います。


−−−リクルート以外では、どんな企業を見ていたんですか?

ネット系企業やベンチャーと言われるところを見ていました。企業規模的には社員数50〜1,000名以上までと幅広く受けていました。


−−−転職エージェントやサービスはどのように利用していましたか?

先ほどお話したように、いくつかのエージェントに登録してそれぞれの人と会い、途中からは一番やりやすいと感じた人に「あなた経由で転職するつもりなのでいい案件ください」的なことを伝えて、サポートを得やすい状況を作りました。

エージェント自身の資質や抱えてる案件の良し悪しはあると思いますが、このように相手にコミットする姿勢を見せて、相手からもコミットしてもらうのは大事かなと思います。でも自分の場合、職務経歴書の添削や面接練習などは結局受けなかったので、うまく使えていたのかと言われると分かりません。

転職サービスでいうと、お話ししたGreenの他にはビズリーチも登録はしていました。ビズリーチからもオファーは来ていたのですが、体感として、「企業から直接:エージェント」の比率が1:9くらいの割合で。エージェントをそこから選ぶのはしんどいなと思って、使うのはやめてしまいました。


−−−踏み込んだことをお聞きしますが、これまで2度の転職を経て年収はどんな感じで推移していっているんでしょうか?

銀行を辞めた年から、450万円(銀行3年目)→180万円(ベンチャー企業1年目)→360万円→540万円→720万円(リクルート1年目)です。

銀行の年収については、おそらく4〜5年目で1度目の年収アップタイミングを迎えていたと思われるので、そのままいたら450万円→550万円→現在650万円くらいだったと思います。

ベンチャー時代の年収は結構めちゃくちゃで、年収180万円だった時は普通に生活費で逆ザヤでした(笑)。銀行員時代に貯金していたのでそこは何とかなりましたが。一方で、事業がうまくいっていてそこに貢献できた時の還元についてはきちんと行ってくれる環境だったため、最終年度は通常の給与に加えてボーナスで300万円以上が出ました。なので、最終年度は実質的には年収900万円近くでしたね。

また、一番大きかったこととして、ジョインする際に1桁%前半分の生株も入れさせてもらったので、バイアウトの際にはそれなりに稼いでる人の年収分くらいはお金が入りました。

環境に恵まれたり運に助けられたところは大きいのですが、得がたい経験と多少の資産の2つを得られた素晴らしい機会だったと思っています。

ベンチャー企業時代がこんな感じでしたので、転職活動の際には年収はほとんど気にしていませんでした。480万円もあれば楽勝で生きていけるなと思っていました。

リクルートキャリアの選考フローと面接の内容

−−−リクルートキャリアの選考フローについて教えてください。

書類とSPI→1次面接(配属先のマネージャー)→最終面接(配属先の統括部長・役員クラス)というフローです。

自分は特定のポジションを希望してそこだけに絞って受けたので、入社した場合に自分の上長になる人との面接になりましたが、そうでない受け方をする場合にはまた変わるかもしれません。

なお、リクルートは、新卒ではグループ一括採用を始めていますが、中途ではカンパニー(キャリア、ライフスタイル、住まいなど)別に採用を行っているため、別々に応募します。


−−−面接では実際にどのようなことを聞かれましたか?

特に奇をてらった質問はなく、「今の仕事でどんなことをしているか」、「困難だったこと」、「取り組みの中での工夫や価値発揮について」、「仕事選びの軸」、などだったと記憶しています。ちなみに、リクルートでよく聞かれると言われている「お前はどうしたいの?」とは聞かれませんでした(笑)。面接官によって変わるのかもしれません。


−−−面接以外に何か特別な選考フロー的なのがあれば詳しく教えてください。

特にありませんでした。


−−−最終的にはどんな風にオファーがきて、どんな風に受けるんですか?

受け方にもよると思いますが、自分の場合には応募段階で部署・サービス確定でした。

1次面接後即日通過連絡をいただき、最終面接は1週間も空かずだったと思います。最終面接も1〜2日後には合格連絡をもらって、他にも受けていたところがあったので1週間ちょっと待ってもらってエージェント経由で承諾連絡、という感じです。

リクルートは年収が「グレード」という基準で決まるのですが、自分がいくつのグレードで受けているのかは応募段階からわかっていました。

リクルートキャリアに転職してくる人

−−−どういう人がリクルートキャリアに転職してくるのでしょうか?

金融機関の人からベンチャーの人、食品商社の人とかもいたり、いろんな人がいます。リクルートキャリアの場合、大半の人が人材紹介の営業とかキャリアアドバイザーとかになるので、ぶっちゃけ前職はあまり関係ないと思います。だから相当バラエティに富んでいます。あとは同業である人材系の会社からリクルートキャリアに来るっていう人もいます。リクルートキャリアのほうが給料がいいから。どういう人が多いっていうのはあまりないと思います。

年齢は20代前半から30代前半までくらい、学歴は人それぞれですが高学歴の人が集まりやすいポジションはあるようです。

また、中途採用された人が即マネージャーに登用されることはほぼないと聞いています。

リクルートキャリアからの転職先

−−−リクルートキャリアから他社に転職していく人はどんな人がいるんでしょうか?

リクルートキャリアに入ったものの、社風がエグくて合わないという人もいます。リクルートキャリアは人との距離が近い。「私すごいあなたのことに興味があるんです!」みたいな感じで踏み込んでくる感じ。「自己開示すべき!」みたいな雰囲気がすごいです。お前は何者であるかっていうのがお互いに分かり合っているのがチームとして一番成果が出せるっていう考え方だと思います。だから人によっては合わなくて辞めるという人もたくさんいます。この前、お客さんが元リクルートの方だったんですが、合わなくて辞めちゃったんですよね、と言っていました。あとは、数字のプレッシャーが強いから普通に心を病む人もいます。


−−−新卒の採用でも自己分析をすごい求められる会社と聞いています。そこにも通じるものがあるんですかね?

一貫性のあるストーリーを求める人が多いなって気はしています。「私はこういう経験をしたから今こういう人なんです」みたいなきれいなストーリー。でも中途の面接の時、人ってそんなシンプルじゃなくないですかって自分は言いました。"THE リクルートマン"みたいな面接官じゃなかったからたまたま評価してもらえましたが、そこは個人的に違和感はあります。


−−−リクルート出身の人は、独立・起業志向の人が多いイメージがあります。

リクルート全体で、独立する人やベンチャーに行く人は多いですし、リクルートキャリアですと競合に行く人も多いですね。競合に良いポジションで入る人とか。ビズリーチやパーソルにいいポジションで入るパターンはけっこう聞きます。あとは、人事になる人とかもいます。採用するにあたって、人材会社がどういうインセンティブで動いてるとか全部分かってますからね。コンサルにも行く人もいます。ただ、頭良い系の人じゃないとコンサル行くことは少なそうです。自分の知り合いでコンサルに行ったのは、東大卒の人でした。


−−−ちなみに、リクルートの方が転職するにあたって、自社の転職サービス使うことってあるんですか?

自分の会社のところは使わないんじゃないですかね?リファラル(友達づて)がいいんじゃないのかなって思います。実際、いろんなイベントに顔を出しているような外交的な人はリファラルで転職していきますね。リファラルは、いいネットワークがあれば入社後ギャップを軽減できるいいチャネルだと思います。あとは、知り合いはdoda(デューダ)やビズリーチなどを使っているって言ってました。競合のサービスは普通に使っていますね。

今後のキャリアプランについて

−−−ご自身の今後のキャリアプランについて教えてください。

そんなにかちっと決めてはいないんですが、1回ちゃんとプロモーションしたいと思っています。出世ですね。最初にいた銀行だと、若手って下っ端だし、3年目じゃ役なんてつかないですし。その後のベンチャー企業も、組織の規模的に特にマネージメントとかをしていないですから。組織でプロモーションするっていうのをやってみたいと今のところは思っています。もちろん気が変わるかもしれないですが。

もしかしたら今いる事業部も畳まれるかもしれないんですよね。新規事業ってそんなものだから。(編集部注:現在所属している部署については詳しくは後編にて)リクルートの新規事業って売上1億円とか作っても意味がないんです。最低でも20億円とか。その可能性がないんだったらなくなっちゃうかもしれないんですよね。そうなったらまたどうなるかは正直分かりません。


−−−ありがとうございました。後編では、リクルートキャリアの実態について、年収や昇進イメージまで含めて、教えていただきます。


後編はこちら>>>リクルートキャリアの年収・グレードから社風まで【リクルートキャリア現役社員インタビュー(後編)】


参考:

株式会社リクルートの資産データ一覧|OpenMoney

株式会社リクルートキャリアの資産データ一覧|OpenMoney


参考記事:

リクルート社員の年収・資産データからリアルなお金事情を分析

リクルートへの転職を考えるなら知っておきたいこと【年収・各社の特徴・求める人材まで】

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