2021/01/17

リクルートへの転職を考えるなら知っておきたいこと【年収・各社の特徴・求める人材まで】

転職先として人気が高いリクルートグループ。今回は、現役リクルート社員の方に、リクルートへの転職を考えるのであれば知っておくべきことについて寄稿いただきました。リクルートが転職先として魅力的な理由や、年収・昇進イメージ、各カンパニーの特徴や違い、リクルートに求められる人材についてまで詳しく解説していただきました。

転職先として人気のリクルートグループ

リクルートグループは転職先として人気が高く、実際に転職が実現した後も満足度の高い企業です。一方でその独特の社風や、営業ノルマが厳しいといった声もある中で、本格的な検討に二の足を踏んでいる方も多いでしょう。今回は、リクルートグループの各カンパニーの事業の特徴を含めて、リクルートグループという会社について解説します。

※本記事は現役リクルート社員の方による寄稿記事です。


参考:株式会社リクルートの資産データ一覧|OpenMoney

参考記事:『リクルート社員の年収・資産データからリアルなお金事情を分析

リクルートの始まりとこれまで

リクルートはもともと人材広告の会社として江副浩正氏が立ち上げた企業です。今でも新卒・中途メディアとして有名なリクナビ(現リクルートキャリア運営)は、この流れを組んだサービスになります。ただ、はじめは人材広告から始まったリクルートですが、その後様々な分野に手を広げていきます。住宅領域、美容領域、飲食領域、旅行領域、結婚領域など、カスタマーがライフステージを進めていく中で関わることになる各領域でメディアを展開しています。

現在のリクルートグループは各事業ドメインごとにカンパニーを分社化していますが、カンパニー間異動制度なども存在しており、どのカンパニーに所属したとしても別カンパニーへと籍を移すことは可能です。(なお、2021年4月から、再びリクルート一社に集約される予定です。)

創業者江副浩正氏のDNAが色濃く残る社風

リクルートはその社風が特徴的なことで知られています。キックオフのような社内イベントが充実していることもそうですが、一人一人の社員に成長を強く求めるマネジメント、個人の仕事スキルを周りに展開することを誉めたたえる風土など・・・。また、基本的には対法人向けのビジネスであるため、クライアントの利益にいかに貢献するかという「クライアントのパートナーになるべし」という思想も強い企業です。

こういったリクルート独自の社風の背景には、創業者である江副浩正氏の信念が受け継がれているからといえます。江副氏は東京大学在学中に、学内の新聞への企業求人広告事業で成功し、そのまま就職することなくリクルートを立ち上げました。リクルート事件で退任するまでの間代表取締役を務めましたが、そんな彼自身が「個を生かす」ということに固執し、それを制度・文化として形作ったと言われています。

リクルートの社風は今では社外の人間にも広く知れ渡っているので、自然と新卒・転職者ともに「リクルートっぽい」人が集まる傾向にあります。一方で、全くの別業界から転職し「仕事なんてただの飯の種でしょ」というタイプの人間が1年後にはクライアントファーストを公言するリクルート的営業マンになっている姿も珍しくはありません。

ただ、どちらにしろリクルートはかなり独特の空気感を持った企業であり、合わない人はとことん合わない可能性があること、また現在は分社化しているためカンパニーによっても社風が変わってくることは、リクルートならば転職を考えているならば知っておく必要があるでしょう。

リクルートのビジネスモデル

リクルートのビジネスモデルは、事業は違えど各カンパニーで近しくなっています。一般的には「リボン図」と呼ばれる、クライアントカスタマーを結ぶ、その真ん中にリクルートが存在する、という構造です。

儲けの構造だけでいうならば、リクルートが顧客に与えている価値は「集客価値」です。例えば、リクナビであれば求職者からの応募・問い合わせを、SUUMOであれば家を探すカスタマーからのお問い合わせをクライアントに返すことの対価としてお金をもらっています。

マーケット状況の変化に合わせ、昔は紙媒体を中心に展開していたところを、軸足をネットに移してきてはいるものの、上述の儲けの構造に変わりはありません。営業であれば、リクルートのメディアの反響(=お問い合わせ)価値をもとに掲載をクライアントにお願いし、ネット企画であれば例えばUI/UXの改善を行ったりSEO対策を講じたりすることで反響数を増加させる、といった施策をとるわけです。

一方で、上述の儲け方では短期的な成長はできても、長期的・持続的な成長を続けることはできません。今やリクルートは上場企業ですので、毎年継続して成長することが求められます。カンパニーの中にはすでにマーケットが縮小していたり、マーケットシェアが高まり過ぎた結果成長見通しが悪くなってきているところもあります。

ですので、非連続的な成長の道筋を作るためにリクルートグループではカンパニー横断で新規事業グランプリを展開しているのです。ただし、新規事業開発に注力しているかどうかはカンパニーごとに差異がありますので、事業開発をしたくてリクルートグループへの転職を考えている方は注意が必要です。新規事業は短期の利益貢献ができない存在なので、カンパニーの経営判断によっては憂き目にあうこともあります。ちなみにそういう時期は、新規事業をやりたくて新卒入社・中途入社した方がどんどん辞めていきます。

リクルートグループが転職先として人気の理由

リクルートグループは転職市場では常に一定以上の人気を有しています。(新卒市場においても、総合商社や外資系投資銀行、外資系コンサルほどではないにしろ、高学歴学生を中心に一定以上の人気を有しています。)その大きな理由として、下記の3つのポイントが挙げられます。

・転職しやすい

・成長の機会が得られる

・給与条件が良い

リクルートグループは転職しやすい

もちろん職種によっても違いはありますが、リクルートグループは転職のしやすい企業に属するでしょう。特に20代〜30代の社会人に当てはまります。その理由は明確で「リクルートグループが常に人を求めているから」です。

リクルートグループは人事制度が一般的な日本企業とは思想が異なっており、どちらかというと外資よりの思想です。新卒を採用した後定年まで育て上げようという思想は強くなく、むしろ30代中盤以降は各種退職金制度が「社員が辞めやすいように」設計されています。例えば、勤続○○年以上務めている方ならば、一定期間の間に退職すると退職金が増額する、などです。

上記のような人事制度は、リクルートグループが中長期的に成長を継続するために、人材の流動性を高めたい、という思惑があってのことです。ただもちろん、社員が出ていくばかりでは人員の新陳代謝は起こりえませんので、中途採用にも常に積極的ということになります。学歴重視の意向も少ないため、同グループへの転職は比較的挑戦しやすい・成功に結びつきやすいと言えます。

蛇足ですが、人事制度と戦略との相関については下記の本が非常に参考になります。著者の曽和氏はリクルート出身の方ですので、リクルートの人事・採用メソッドについても記載されています。

人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則

リクルートグループでは成長機会が得られる

リクルートグループが人気の理由としては、「個人の成長を促す」ということを重視するその社風が社外にも広がっていることが挙げられます。特に、わざわざ転職を考えている人は比較的成長意欲が強い方も多いため、リクルートグループはうってつけの環境と言えます。実際にリクルート出身の起業家が多数いることも「成長できる環境」というイメージを醸成しています。

リクルート在籍者・出身者ともに、もちろん成功している方・うまくいっている方とそうでない方とで話す内容は違うと言えども、「リクルートが個人の成長にコミットする」ということを否定する方は誰もいないでしょう。それはひとえに、リクルートグループでは管理職のメンバーマネジメントを徹底して鍛え上げているからです。マネージャーとメンバーが週一単位で面談を行うことを慣習化しており、半年単位で個人の仕事の成果と評価がリンクし、次の半期の仕事を設定してもらえるので、早いサイクルで成長機会を得ることができます。

ただし、上記の「成長機会を得られる環境」は営業とスタッフ職(事業推進やネット企画など)ではかなり毛色が違うので、その点は要注意です。リクルートはDNAとしては営業と営業マネジメントの徹底で成長してきた会社ですので、営業を育て上げるシステムは比較的整っています。一方で、企画職やネット企画系の職種では管理職がプレイングマネージャー的であることも多く、自ら仕事に意義や成長機会を設定しない限り、「ただ仕事を回すだけ」の人になるリスクがあります。まとめると、営業が「受身でも育ててくれる環境」で、スタッフ職は「積極的に成長機会を得ないといけない環境」と言えます。

リクルートグループは給与条件が良い

リクルートグループの正社員の給与条件は、他の一般企業と比べると、特に20代では高めの水準にあると言えます。新卒で採用された場合、2年目にはほぼ全員が年収600万円前後はもらえます。転職者の場合は入社前の経歴によりグレードが設定されますが、基本的には上記以上の給与は確実にもらえるかと思います。大体の給与の幅ですが、メンバーであれば600〜800万、マネージャーであれば1,000万円程度の給与となります。

ただし、営業職であっても3年間の縛りがあるなど契約社員のような形態での採用もあり、そちらの場合は給与条件が大きく違いますので注意しましょう。

また、福利厚生の面でいうと「住居手当」がありません。寮もありませんので、メーカーや銀行のように福利厚生が広く充実している企業から転職を考えている方はその点も鑑みた上で検討した方がよいでしょう。

リクルートグループの昇進・年収イメージ

リクルートグループの昇進ステップ

リクルートグループの正社員は、半期ごとに査定が行われ、ミッショングレード(MG)が設定されます。新卒入社れあればMG1から、中途入社であれば前職の経歴を踏まえてMGが設定されます。

MGが上がるごとに任される仕事の難易度が上がるとともに、給与も上がります。MGが1上がるごとに年収が100万上がる、という話が一般的ではありますが、実際はもう少し上がり幅は低く、30〜60万円程度上がる程度という感覚です。(もちろんカンパニーやグレードによっても違いはあります。)また、ボーナスは個人の評価により大きく変動するので、MGが上の人よりも成績次第では給与が上のケースも多々あります。

あるカンパニーの例では、メンバーとして順調にMGを上げていくとまずは「リーダー」という役割を与えられ、MG8、9くらいからGM(=一般企業でいう課長)に昇進します。ただし、メンバーとしての能力は高くてもGM向きではない、という判断を受けると、ずっとメンバーのこともあります。ただ営業成績がよければいい、というだけではGMになれない、もちろん年功序列ではないということを考えると、キャリアアップに関してはかなり実力主義の会社と言って良いでしょう。

傾向として、営業よりも経営企画・ネット企画系の職種の方がMGは上がりやすい傾向にあります。自分が知っている限りだと、事業推進部で入社5年目でのGM、ネットビジネス部で入社4年半でのGM就任、といった昇進ケースがあります。もちろん上記はかなり早いケースですが、営業部でも入社10年目程度でのGM就任はよくあることなので、一般的な企業に比べるとかなり管理職の年齢層は若いと言えます。30代中盤の部長も、決して少なくありません。

年収イメージ

年収は上述した通りボーナスの影響も大きく受けるので、だいたいメンバーで600〜800万程度、リーダーで800〜900万程度、GMに昇進すると1,000万円を超えてきます。そこから上の役職でいうと、部長で1,500万円、DD(ディビジョンディレクター)で2,000万円超、といった水準です。

業績のボーナス影響

ボーナスは個人の査定結果がメインで決まるものの、それ以外の要素の影響も受けます。株式会社リクルート傘下の各カンパニーではSBU業績(=株式会社リクルートの業績)・カンパニー業績・領域業績の3つの要素が賞与額に影響します。業績は基本的には利益の達成率ですので、例えばカンパニー業績が芳しくない場合には、少し賞与の面で悪影響を被るかもしれません。

影響値でいうと大きくでも数万円程度の幅なので、絶対に重視しないといけないポイント!と言うほどではないですが、やはり業績好調のカンパニーに入社すると現実的にはメリットが大きいので、各カンパニーの業績やマーケット見通しは頭に入れておくとよいでしょう。

半期の査定基準

リクルートでは、半期の初めにミッションを設定し、その半期が終わった後に振り返りを行った上で査定を行います。営業の場合は経営目標達成状況などの定量的な指標が大きな割合を占めますが、スタッフ系の職種では定性的な指標がミッションに多くなります。

可もなく不可もなく、役割を果たしたというくらいであればA評価(前後にA+,A−といった評価もあります)、圧倒的な成績を残すとS評価、成績が悪いとB評価、などといった査定がありますが、上述の通りこの査定の違いでかなりボーナス額は変わります。

リクルートグループ各社の特徴

リクルートグループはカンパニー制になる2012年までは一つの会社でしたので、分社化した今も各カンパニーの社風は似通っています。ただし、領域によって当然事業環境も戦略も変わりますし、取り組む仕事や社風も微妙に変わってきます。中核5社と言われる主要カンパニーを中心に、各会社の特徴を見てみましょう。

リクルートキャリア(RCA)

リクルートキャリアは新卒求人広告メディアの「リクナビ」、中途採用メディアである「リクナビNEXT」を運営する人材事業ドメインのカンパニーです。また、転職エージェントサービスである「リクルートエージェント」もリクルートキャリアのサービスとなります。

マーケット環境的に新卒領域は就活生が減少すること、競合のマイナビが売上を伸ばしていることを鑑みても、今後の事業の中心は中途採用事業となるでしょう。特にエージェント事業はメディア事業(リクナビNEXT)に比べて人員の頭数が必要な事業ですので、リクルートキャリアへの転職を検討する際には、リクナビエージェントに関わる可能性は十分に高いと考えられます。

またリクルートキャリアは、非常にクライアント数の多いテールマーケットを相手取った事業であるため、営業色の強い体育会系っぽい社風です。その分クライアントへの提案機会は多く、営業としてはかなり挑戦・成長機会の多い仕事ができます。採用・人材の悩みはどの会社にも共通ですので、他カンパニーの営業からクライアントの人材課題解決の相談を受けるケースもあります。ただし、例えば新卒領域でいうマイナビなど、求人広告市場はマーケットに競合が多いのも特徴です。その意味では、営業現場においては他社サービスとの差をどう可視化するか、もしくは覆すかといったことに苦心するケースが発生することも多いでしょう。

リクルートジョブズ(RJB)

リクルートジョブズはリクルートキャリア同様に人材領域ですが、タウンワークやfromAなどのアルバイト求人や、リクナビ派遣などの派遣社員の求人サービスがメインとなります。こちらはリクルートキャリア以上にテールクライアントの多いマーケットですので、営業としての仕事以上に営業企画の仕事をする機会の方が多くなります。つまり、現場を回ってくれる営業担当の営業戦術を検討する仕事です。

上述の通り、営業色という意味ではリクルートキャリアに比べると薄いため、体育会系の向きは弱いと言えます。難点をあげるとすると、媒体がいくつかあるとは言え基本的にはアルバイト求人メディアが主であり、あまり事業としての多様性が大きくないという特徴があります。この後紹介する3社はカンパニー内に複数の領域、もしくは事業ドメインを有しているため、例えば社内での異動であっても全く別の知見を得ることができるというメリットがあります。その意味では、リクルートジョブズへの転職を検討する場合には、職種を変えることも含めて入社後のキャリアパスをしっかりと考えておくのがベターです。

リクルートマーケティングパートナーズ(RMP)

リクルートマーケティングパートナーズの事業ドメインは「学習・進路」「自動車」「出会い・結婚・出産」です。順にスタディサプリ、カーセンサー、ゼクシィが主要なサービスとなっています。ですので、一つのカンパニーの中に経路の違う事業が複数存在している形になります。

マーケット環境だけで言えば、かなり先行きは怪しいと言えます。特に、稼ぎ頭とも言えるゼクシィに関してはシェア高止まり・マーケット縮小というダブルパンチです。こういった状況においては競合戦略というよりは「どうやってマーケットを拡大させていくのか?」という議論が強くなり、営業戦術よりも一段階上の視座が必要となります。その意味では、中長期的な戦略設計や事業開発をに取り組みたい方にとってはやりがいを期待できるカンパニーです。

企画系の方が目立つせいか、どことなくおしゃれな方・ITサービス系での独立を志す方が多い印象です。

リクルートライフスタイル(RLS)

リクルートライフスタイルの主要サービスはホットペッパーとホットペッパービューティーで、飲食と美容が中心となります。

リクルートライフスタイルとリクルート住まいカンパニーは現在社長が兼任となっており、ともに「顧客接点×データ分析」を掲げています。上述の2サービスはともに超テールマーケットですので、クライアント数も膨大な数になります。その分リクルートして得られるデータや、新規事業が展開する際のポテンシャルもまた膨大なものがあります。

有名なところですと「Airレジ」もリクルートライフスタイルの展開したサービスです。POSレジシステムとして多くのクライアントに導入されているこのサービスは利用料金もかかりませんので、明確に「データを収集する」ことを狙いとしたサービスです。いわば飲食店のインフラを押さえにいっている、そんなサービスを展開しています。

リクルートの中でも、これほどクライアントのインフラにまで入るこんでいるサービスはありません。今後さらにこれらのサービスが拡充する中で、既存事業の売り伸ばし・新規事業の検討が進むと思われます。その意味では今リクルートライフスタイルは非常に面白い事業フェーズにあると言えますので、「顧客接点×データ分析」という響きに惹かれた方は、一度検討の余地ありです。

リクルート住まいカンパニー(RSC)

リクルート住まいカンパニーは住宅・不動産領域を扱うカンパニーです。主要なサービスはアプリなどでも展開されている「SUUMO」ですが、その他にもマンション情報誌である「都心に住む」などの雑誌を刊行しています。

不動産領域と一言に言っても、領域は複数に分かれており、賃貸・新築マンション・戸建・流通(中古不動産)・注文住宅・SUUMOカウンター・リフォームといった各領域ごとに事業部が存在する形となっています。これらのどの領域で働くかによって取り組む業務に違いが出てくるので、転職を本格的に検討する場合にはそれらの違いを知っておく必要があります。例えば賃貸や流通領域ではテールマーケットであるためクライアント数も多く、提案機会も多い傾向にある一方で、新築マンション領域はディベロッパー相手の営業となり、一つ一つの提案の質が求められ、チームで一つのクライアントへの提案を担当するケースが多くなっています。

またマーケット環境ですが、これも同様に領域ごとに違いがあります。新築マンションは供給数の減少・広告の必要ない大型マンションの竣工なども進んでいるため見通しは決して明るくはありません。一方で中古不動産市場は新築マンションの価格高騰を受けてカスタマーが流入、また「物件を売りたい」カスタマーの増加に合わせて新しい事業の検討を進めないといけない状況でもあります。

ただ、どの領域にも言えることですが不動産マーケットはIT化が遅れており、リクルートとして介在・業務支援の幅を広げる余地は非常に大きい市場環境です。その意味では、SUUMOという非常に市場浸透率の高いブランド・メディアを御旗としながら市場の改革に取り組めるのは貴重な機会と言えます。また、上述した通り、リクルート住まいカンパニーも「顧客接点×データ分析」をカンパニー戦略に掲げており、営業も豊富なデータを元とした提案が可能です。リレーション営業・お願い営業から脱したい方にとっては、とても良い環境と言えます。

ただ一方で、新規事業への熱はそれほど大きくはないと言われており、どちらかというと既存領域の売り伸ばしがメインとなっているようなので、新規事業に積極的に取り組みたいという方であれば、検討・考慮が必要でしょう。

リクルートマネジメントソリューションズ(RMS)

リクルートマネジメントソリューションズは、組織コンサルを中心に価値提供をするカンパニーです。また、リクルートグループの他カンパニーの研修も請け負うケースも多いため、他カンパニーに入社することとなったとしてもお世話になることはあるでしょう。

基本的にリクルートの営業は「単なる物売りになるべからず」という文化が根強いため、広告枠等の商材を提案することによる「集客価値」だけでなく、その先にあるクライアントの本質的課題を解決する、組織コンサル的な働きが求められます。また、実際にそれが実践できている営業も各カンパニーに多数存在します。とはいえ一方で、営業数字を担保する為に「売上を上げること」に注力せざるをえなかったり、なかなかクライアントに組織介在的な提案を聞き入れてもらえないケースもあります。

その意味では、リクルートマネジメントソリューションズではクライアントの組織コンサルティングに注力できる環境であるため、「もの売るだけの営業はしたくない!」という気持ちが強い方であれば、転職先として選択肢に上がるカンパニーといえるでしょう。

また、組織コンサルという仕事は、課題の設定・打ち手の設計から始まり施策の実施・振り返りに至るまで、根気強さとスキルが求められます。

こういった仕事を確実に前に進める力は、営業推進や事業推進といった、スタッフ側のスキルとして非常に重宝されます。RMSでスキルを身に着けた後、他カンパニーで企画系の職種を務めるのもおすすめです(実際そういう社員のは方は複数います)。

リクルートテクノロジーズ(RTC)

リクルートテクノロジーズは各社のITインフラを支える機能会社です。各カンパニーに社内業務委託として人材を派遣するケースもあります。

リクルートは独自のITインフラが活用されており、かなり旧時代的とも言われています。今後、そういったインフラを抜本的に変えていくことも検討されているため、システムの過渡期に立ちあえる貴重な機会を得られるかもしれません。

インフラを支える人材もいる一方で、営業現場の生産性向上を支援する部署などもあり、そういった部署では各カンパニーの営業推進グループなどと協働しつつプロジェクトを進める形になるので、コミュニケーション力も求められます。カンパニー内公募でリクルートテクノロジーズに異動する方の中に営業職の方がいるのは、営業現場への理解とそういったコミュニケーション力が求められているからと言えるでしょう。

その他

上記以外にもリクルートコミュニケーションズという機能会社や、各カンパニーの親会社にあたる株式会社リクルートなどがあります。現在のカンパニー構造上は株式会社リクルートは経理・事業統括・人事組織を一括している形となりますので、バックオフィス的な職種で転職を考えている方は名前を聞くことになるでしょう。

また、株式会社リクルートのさらなる親会社には、リクルートホールディングスが存在しており、メディア・ソリューション事業を担う株式会社リクルート以外の海外人材事業の統括や、海外投資事業などの部署が存在します。M&Aやベンチャー投資等の経験を元にリクルートで同様の業務に取り組みたいという場合には、リクルートホールディングスに所属する必要があります。

リクルートグループで求められる人材

リクルートグループに転職したいと考えている方としては、「リクルートグループはどういう人材を求めているのか?」「リクルートグループに転職してうまくいく人はどういう人か?」といったところが気になると思います。

リクルートグループが求めている人材で、かつリクルートグループに転職してうまくいく人は、往々にして共通しています。ポイントとしては、

・地頭の良さ

・コミュニケーション力

・健全な猜疑心

が挙げられます。

地頭の良さ

地頭の良さというと抽象的ですが、ここでは「抽象度の高いものを理解し、具体で説明できる能力」とします。

リクルートグループでは営業であっても、ただ商品を売るだけの人間は必要とされていません。クライアントのぼんやりとした課題を理解し、解決策を具体で明示し、マイルストーンを引いた上で自社商品の介在価値を語れなければいけません。社内においても、周りの人間に自分が「なんとなく」でやっていた営業を具体化してスキル装着していくことが求められます。

上記のような抽象→具体へと転換する能力は一定の素養と、意識がないとできないことです。新卒でも上述の地頭の良さは採用要件に挙げられていますが、中途にも同様の能力を有した人でないといけません。

コミュニケーション力

リクルートグループが求めるコミュニケーション力は、コンサルや外資系投資銀行から転職される方がよく苦戦されるイメージです。リクルートグループは良くも悪くもサークルちっくなノリの軽さがあり、まずそこに馴染めるかが一つ。加えて、ビジネス面においても、定量と定性のバランス感覚が求められます。定量データを元に「どういうメッセージをボード陣に伝えるか」「どういった形で営業部側にオーダーすれば戦略が浸透するか」といった定性的な感覚がここが何よりも重要になってきます。アウトプットを納品することがゴールのコンサルと、事業会社であるリクルートとの大きな違いと言ってよいでしょう。

リクルートグループは社内に営業部、経営企画、ネット企画、編集部・・・と様々なステークホルダーが存在しており、それぞれと合意形成をしながら事業を前に進めています。しかもかなり癖の強い人も多いので、単純にオーダーを投げただけではやってはくれません。そういったステークホルダーとコミュケーションを取り、合意形成を実現できるか?は面接において確実にチェックされます。

健全な猜疑心

「猜疑心」と書くと大げさですが、要は「当たり前とされていることを疑えるか」です。企業の中には「ルーチンワークをやっておけば良い」「言われたことをただこなしてもらえればいい」というところもあると思いますが、リクルートでは社員にそれを求めません。任された仕事に対して猜疑心を持ち、本当にそれで良いのか?もっと良い方法はないのか?と考えられるような人材を求めています。

ですので、面接において、「前職でどういった仕事を一番頑張ったか」という定番の質問もかなり重要となってきます。ただ上司に言われた仕事を頑張りましたという回答ではだめなことはもちろんですが、自分がどう考え、どういう改善策を提示したのか、という部分をしっかりと話せるようにしたいところです。

リクルートグループへの転職にあたりおすすめの転職エージェント

リクルートグループは各カンパニーごとに中途採用を行っています。採用要件と合う方に関しては積極的に内定を出す会社ですので、入りたくても枠がない、ということは滅多にないでしょう。ですので、転職エージェントを活用する際、「リクルートグループの求人を持っているところ!」と強くこだわる必要はありません。たいていの転職エージェントは、リクルートグループの求人案件を持っているはずです。

ただし、リクルートグループでは面接が特に重視されます。独特の社風に合う方かどうかを管理職以上、役員を含めた面接を複数回行うことで、本当にマッチする人材かどうかを見極められます。

第二新卒〜20代でも積極的に採用するのがリクルートグループの特徴ですが、そういった人材ほど、スキルというよりは「社風と合うか」をチェックされますし、面接対策が必要と言えます。ですので、転職エージェントを活用する場合は「面接対策を丁寧に行ってくれる」「リクルートグループへの転職サポート実績があるエージェント」に頼ると良いでしょう。


参考:株式会社リクルートの資産データ一覧|OpenMoney

参考記事:『リクルート社員の年収・資産データからリアルなお金事情を分析

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