2022/03/20

つみたてNISAとiDeCoはどちらから始めた方が良いのか?

つみたてNISAとiDeCoはどちらから始めた方がいいのかという点について解説します。非課税で運用を行うことができるつみたてNISAとiDeCoですが、どちらから制度を始めたらよいのか迷う人もいるのではないでしょうか。つみたてNISAとiDeCoの制度の特徴や違いから、それぞれの制度に向いている人まで解説します。

つみたてNISAとは

つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした、少額からの長期積立・分散投資を支援するための非課税制度のことです。通常、投資によって得た運用益や分配金などの利益はそれぞれ約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すると最長20年間は課税されないので、運用して出た利益をそのまま得ることができます。

つみたてNISAは、日本に住んでいる20歳以上の方であれば誰でも制度を利用することができます。毎年40万円を上限として金融庁が選定した投資信託を購入して積み立てることができるため、投資初心者だけでなく、長期での資産運用を考えるすべての人におすすめの制度です。

参考記事:

つみたてNISAの始め方は?口座開設の方法や証券会社の選び方まで解説

つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点

iDeCoとは

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、2001年にスタートした、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。iDeCoという愛称がつけられたのは2016年からで、それまでは「個人型確定拠出年金」や「日本版401k」と呼ばれていました。iDeCoはつみたてNISAと同じく運用して出た利益が非課税なのに加え、掛金が全額が所得控除の対象になるため、所得税・住民税が安くなるという節税メリットの大きい制度です。

国民年金を納めている60歳未満の人であれば原則誰でも制度を利用することができます(企業型確定拠出年金のある一部の企業などを除く)。制度改正により専業主婦(夫)や公務員の人でも加入できるようになり、2022年5月には加入できる年齢が引き上げられ65歳まで加入できるようになるなど、制度改正によりどんどん加入できる人が増えてきています。

参考記事:

iDeCoの始め方は?口座開設の方法やおすすめ金融機関まで解説

iDeCoのメリットとデメリット・注意点

各制度の特徴・違い

つみたてNISAとiDeCoは運用益が非課税になる点は同じですが、その他細かな点に違いがあります。それぞれの制度の違いは以下の通りです。


つみたてNISA iDeCo
対象年齢 20歳以上 20歳以上60歳未満(2022年5月より65歳未満まで引き上げ)
商品 金融庁が選定した投資信託と一部のETF 投資信託、定期預金など(ETFは取り扱いなし)
最低金額 100円~ 5,000円~
非課税金額 年間40万円まで 年間14万4,000円〜81万6,000円まで(職業により異なる)
非課税対象 運用益 運用益、掛金
売却・出金 いつでも可能 原則60歳までできない
運用可能期間 最長20年間 60歳まで
開設方法     金融機関で口座開設(本人確認書類とマイナンバー確認書類が必要) 金融機関で口座開設→加入申込書を提出(会社員と公務員は、勤務先の事業主証明が必要)
諸費用 銘柄に応じた信託報酬のみ

・加入時:2,829円、その他毎月の口座管理手数料:170円~(金融機関によって異なる)

・銘柄に応じた信託報酬

つみたてNISAは運用益のみが非課税となるのに対し、iDeCoは運用益の他に掛金が全額所得控除の対象になるため、所得税や住民税の節税効果もあります。投資最低金額はつみたてNISAが大手ネット証券であれば月100円から積み立てられるのに比べ、iDeCoはどの金融機関でも月5,000円からとなっています。また、iDeCoは加入時に国民年金基金連合会の手数料として2,829円が必ずかかるほか、月々の口座管理手数料もかかってくるため、加入のためのコストはiDeCoの方が高いという特徴があります。

つみたてNISAとiDeCoはどちらから始めた方が良いのか?

どちらの制度もメリットが大きく、早く始めたほうが複利効果でより良いリターンを得られる可能性があるため、資金に余裕のある人は両方の制度をなるべく早く始めた方がよいと言えます。ただ、2つの制度を比べるとiDeCoの方が60歳まで原則引き出せない、掛金は月5,000円以上から、諸費用がかかるという点でややハードルが高いかもしれません。そしてiDeCoは年金基金の審査などに時間がかかる場合があるため、とにかく早く・簡単に始めたいという方は、つみたてNISAの方が早く・簡単に始められるでしょう。もし資金の都合上どちらかしか加入できないという場合は、以下を参考に自分に向いている方から始めてみましょう。

つみたてNISAに向いている人

つみたてNISAに向いている人は以下の通りです。メリットが多いつみたてNISAですが、注意点などもあるので、以下も参考にしてください。

参考記事:『つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点

老後資金以外の目的で運用したい人

iDeCoはその名の通り私的年金を作るための制度ですので、原則60歳まで引き出しができません。そのため、「住宅購入資金のため」や「子どもの学費のため」など別の目的で毎月非課税で運用をしたいという方であれば、引き出しがいつでも可能なつみたてNISAを利用しましょう。

ただし、子どもの学費や住宅費用のように将来使う時期や金額が確定しているものをすべてつみたてNISAのようなリスク資産(元本が保証されていない資産)で準備するのには注意が必要です。もしその資産が必要になったタイミングで大きな市場の暴落があった場合、せっかく準備してきた資金が元本割れになっている、という可能性もなくはないからです。そのように確定した目的の資金のために制度を利用する場合は、ある程度は現金にて貯金を行いつつ一部分をリスク資産で準備することをおすすめします。

初めて投資を行う人

つみたてNISAの商品は、金融庁が厳選した約200本の投資信託、一部のETF(上場投資信託)に限られています。信託報酬も比較的安い銘柄に限定されていますので、投資をしたことがない初心者が始めるにはぴったりの制度です。また、大手ネット証券であれば月々100円から積み立て投資が可能なので、まずは少額から運用してみたいという人にもおすすめです。資産運用をしたいけど、何からしてよいか分からないという人はまずはつみたてNISAから始めてみましょう。信託報酬以外のコストもかかりませんので、始めるハードルはiDeCoよりも低いでしょう。

専業主婦(夫)

専業主婦(夫)の方や年収が100万円以下の方は、そもそも所得税や住民税を納めていないのでiDeCoによる節税メリットがありません。専業主婦(夫)の方もiDeCoを利用することはできますが、つみたてNISAは初期費用もかからず始めることができますのでまずはそちらから利用してみるとよいでしょう。

iDeCoに向いている人

iDeCoに向いている人は以下の通りです。つみたてNISA同様、iDeCoにもデメリットや注意点があるので、確認するようにしましょう。

参考記事:『iDeCoのメリットとデメリット・注意点

老後の資金を準備したい人

iDeCo(個人型確定拠出年金)はその名の通り、自分で年金を準備するための制度です。老後資金に不安があり、これから準備していきたいという方はまず最初に検討するべき制度がiDeCoでしょう。

一定の所得がある人

iDeCoの最大のメリットは、掛金の全額が所得控除になり、所得税と住民税が安くなるという点です。一定の所得がある人(特に高所得者層)は、まずiDeCoから始めた方が節税メリットを感じられるでしょう。また、iDeCoは口座開設料など初期費用や月額費用がかかってくる制度になりますので、毎月なるべく多い金額を積み立てられる人の方がより利益を出しやすくなります。一定の所得があり、月の掛金の満額程度積み立てが可能という人であれば、まずはiDeCoを利用することをおすすめします。

節約・貯蓄が苦手な人

iDeCoは決められた日に金融機関から自動的に積み立てられていき、原則60歳まで引き出すことができません。手元に現金があるとどうしても使ってしまうという人は、iDeCoの仕組みは強制的に老後資金を貯められるありがたい制度です。貯蓄や細かな節約が苦手な人は、強制的な資金拘束力があり節税効果も見込めるiDeCoから利用するとよいでしょう。

まずは始めてみることが大事

つみたてNISAとiDeCoはどちらから始めたほうがいいのかという点について解説しました。どちらもメリットの大きい制度ですが、それぞれの制度の違いを理解して自身に合った制度から活用していきましょう。

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