2022/03/16

iDeCoの始め方は?口座開設の方法やおすすめ金融機関まで解説

これからiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)を始めようと思っている人向けに、iDeCoの始め方をを解説します。iDeCoとはなにかという点から、口座開設の必要書類や手順、おすすめの金融機関や証券会社まで初心者にもわかりやすく説明します。iDeCoを始めようと思っている人は参考にしてください。

iDeCoとは?

iDeCoとは、2001年にスタートした、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度です。毎月決められた金額を拠出し、掛金を運用することで老後に向けた資産を形成することができます。運用は60歳になるまで行い、60歳以降に老齢給付金という形で受け取ることができるという制度です。

iDeCoという愛称がつけられたのは2016年からで、それまでは「個人型確定拠出年金」や「日本版401k」と呼ばれていました。iDeCoはつみたてNISAと同じく運用して出た利益が非課税なのに加え、掛金が全額が所得控除の対象になるため、所得税・住民税が安くなるという節税メリットの大きい制度です。

国民年金を納めている60歳未満の人であれば、一部の人を除き制度を利用することができます。制度改正により専業主婦(夫)や公務員の人でも加入できるようになり、2022年5月には加入できる年齢が引き上げられ65歳まで加入できるようになるなど、制度改正により加入できる人が増えてきています。

iDeCoのシミュレーション

iDeCoは職業に応じて月額の掛金の上限が決まっていて、月々12,000円~68,000円まで幅があります。一般的な会社員の場合は上限が23,000円で、年間276,000円の積み立てが可能です。

企業年金のない会社員が以下の条件で60歳まで積み立てたとして、運用利回りが1%、3%、5%だった場合、資産はどのようになるかシミュレーションすると以下のようになります。

1. 30歳、年収500万円、掛金毎月23,000円(満額)の場合

60歳時点のシミュレーション結果

運用利回り 1% 3% 5%
積立元本 8,280,000円 8,280,000円 8,280,000円
運用益 1,371,449円 5,030,399円 10,861,949円
運用益のうち、非課税メリット 274,290円 1,009,933円 2,172,390円
総額 9,651,449円 13,310,399円 19,141,949円

運用益に対する非課税メリットの他に、掛金が全額所得控除の対象となるので1年間に約55,200円、30年間で約1,656,000円の所得税・住民税の節税メリットがあります。

2. 40歳、年収1,000万円、掛金毎月23,000円(満額)の場合

60歳時点のシミュレーション結果

利回り 1% 3% 5%
運用元本 5,520,000円 5,520,000円 5,520,000円
運用益 587,909円 2,030,946円 3,933,774円
運用益のうち、非課税メリット 117,582円 406,189円 786,755円
総額 6,107,909円 7,550,946円 9,453,774円

運用益に対する非課税メリットの他に、掛金が全額所得控除の対象となるので1年間に約82,800円、20年間で約1,656,000円の所得税・住民税の節税メリットがあります。

iDeCoの始め方

ここからは、iDeCoの始め方を解説します。

1. 口座を開設する金融機関を決める

iDeCoは金融機関から加入申込書類を取り寄せて提出する必要があるため、まずはどの金融機関の口座にするかを決めなければいけません。iDeCoは証券口座だけでなく銀行口座でも開設することができ、選べる金融機関の数は膨大なので、悩む人も多いでしょう。自分にとって最適な金融機関を選ぶ際のポイントは以下の3点です。

1. 口座管理手数料の安さ

iDeCoに加入すると、国民年金基金連合会に対する費用として最初に2,829円(税込)と、口座管理手数料(毎月)を支払う必要があります。口座管理手数料は金融機関ごとに異なり、171円~629円と様々です。毎月のコストとなりますので、できるだけ安い金融機関を選びましょう。

※口座手数料が最安の171円で開設できる金融機関は以下の8つです。(2022年2月現在)

SBI証券

楽天証券

松井証券

マネックス証券

イオン銀行

auカブコム証券

auアセットマネジメント

大和証券


2. 商品ラインナップ

上記8つの金融機関は口座手数料は最安で同じですが、商品ラインナップが異なります。定期預金型の商品のみで積み立てたいという方はどの金融機関でもほぼ同じですが、自分が積み立てたい商品が決まっている場合は、どの金融機関で扱っているかを調べてから金融機関を決定する必要があります。

※口座手数料最安金融機関の取り扱い商品数は以下の通りです。(2021年5月現在)

金融機関 投資信託型 定期預金型
SBI証券 36 1
楽天証券 31 1
松井証券 39 1
マネックス証券 26 1
イオン銀行 23 1
auガブコム証券 26 1
auアセットマネジメント 4 1
大和証券 21 1

3. その他のポイント

口座管理手数料、商品ラインナップの他に、金融機関ごとに差別化している場合もあります。打ち出している内容にメリットが大きいと感じる金融機関があれば、そちらを選びましょう。

・楽天証券:iDeCoに関する問い合わせ専用の電話窓口(iDeCoダイヤル)がある。

・イオン銀行:365日、イオン店舗内の窓口で相談が可能。

・auカブコム証券、auアセットマネジメント:一部商品でPontaポイントが貯まる。

自分の大切な資産を運用するということで、対面で相談がしたいという人も一定数いると思います。そのような人は、実店舗での相談が可能な金融機関を選ぶのがよいでしょう。電話での相談窓口はどこの金融機関も設けていますが、繋がりにくい、平日のみしかやっていないなどマイナスな声も多くありますので、問い合わせのしやすさを重視する際には事前に確認する必要があります。電話での相談窓口は楽天証券がiDeCo専用の番号があるため比較的繋がりやすいのと、松井証券のコールセンターは平日のみですが、応答状況がHPで確認できるのと対応が親切丁寧であると特に評判です。

以上3点を踏まえた上で、おすすめはSBI証券、楽天証券、松井証券の3つです。

※おすすめの3証券会社の特徴

■SBI証券

金融機関名 口座管理手数料 取扱商品数 ポイント
SBI証券 月171円(最安)

投資信託型:36本

定期預金型:1本

ネット証券口座開設数第1位

SBI証券はiDeCoの開設口座数が一番多く、安心して運用することができます。また、信託報酬が最低水準である年率0.1%台の商品が14本と他金融機関の中で最も多く、信託報酬の面でもコストが抑えやすいです。

参考:SBI証券のiDeCo特設ページ

■楽天証券

金融機関名 口座管理手数料 取扱商品数 ポイント
楽天証券 月171円(最安)

投資信託型:31本

定期預金型:1本

iDeCo専用のサポートダイヤルがある

楽天証券はつみたてNISAと違って積み立てることで楽天ポイントが貯まることはありませんが、保有する資産に応じて楽天ポイントをプレゼントするなどのキャンペーンを頻繁に行っています。またiDeCo専用のサポートダイヤルがあることや、人気の楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)と楽天・バンガード・ファンド(全米株式)という2銘柄が購入可能な点がポイントです。

参考:楽天証券のiDeCo特設ページ

■松井証券

金融機関名 口座管理手数料 取扱商品数 ポイント
松井証券 月171円(最安)

投資信託型:39本

定期預金型:1本

取扱商品数第1位

松井証券は選べる商品が一番多く、中でもeMAXIS Slimという信託報酬の低い人気のインデックスファンドシリーズが豊富にあり初心者でも選びやすいというメリットがあります。また、楽天証券と同じく楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)と楽天・バンガード・ファンド(全米株式)という2銘柄が購入可能です。電話でのサポート体制にも定評がありますので、運用に不安のある方も安心です。

参考:松井証券のiDeCo特設ページ

2. 金融機関から入手した「加入申出書」に記入し、金融機関に提出する

加入申込書には基礎年金番号の記入が必要になりますので、手元に準備しておきましょう。また、この時点で申込む商品は決まっていなくても大丈夫ですが、掛金に関しては決定しておく必要があります。まずは以下iDeCo公式HPを参考に自分の掛金はいくらまで可能かを確認し、その中で月々払える無理のない金額で自分の掛金を決定し、申込を行ってください。

第2号被保険者(会社員・共済組合員)の場合、事業主の証明も必要になります。勤務先の担当部署に依頼して記入してもらう必要があるので、担当が分からない場合は総務課などに確認してみてください。

書類提出後国民年金基金連合会の審査があるため、手続き完了までに平均で1ヶ月〜2ヶ月ほどかかります。不備があるとさらに完了までに時間がかかってしまいますので、書類はよく確認してから提出しましょう。

参考:iDeCo公式HP

3. 各金融機関のHPから商品を選び、掛金の配分指定を行う

加入手続きが完了したら、商品の選定を行います。iDeCoには元本割れのリスクのない定期預金型の商品もありますが、現在の金利水準とiDeCoにかかる手数料などを考慮するとコストをかけて定期預金型に積み立てるメリットはあまりありません。元本割れのリスクは絶対なくしたいというわけではないのであれば、基本的には投資信託型の商品を選ぶことをおすすめします。そして投資信託はそれぞれの商品によって信託報酬が異なりますので、なるべく信託報酬の低い商品を選びましょう。信託報酬の違いは微々たるものに思えるかもしれませんが、iDeCoは60歳まで長期で運用する制度になりますので、年数が経つことで少しの違いが大きな差になります。

※商品選択を選択せずに4ヶ月が経過した場合、金融機関ごとに指定の商品が自動的に購入される仕組みになっています。意図しない商品での運用とならないよう手続き完了後は早めに商品を決定しましょう。

商品と掛金の配分の選択が完了すると、次回引き落とし日より運用が開始されます。初回引き落とし時は国民年金基金連合会に対する費用として2,829円(税込)も一緒に引き落とされます。老後資金を目的とした長期運用のための制度ですので、日々の運用結果のチェックなどは基本的に必要ありません。だいたい1年に1回程度口座を確認し、リバランスの必要があれば配分変更やスイッチング(商品変更)を行うのが適当でしょう。ただし、基本的には長期運用でより良いリターンが得られる可能性が高まる制度ですので、一時的に運用結果が悪いから変更を行うなどは得策ではありません。例えば50歳を過ぎて、その後の株価暴落などの影響を抑えるために、リスクのない定期預金型も入れて調整するなどの変更は人によっては必要になってくるかもしれません。

iDeCoの申込から口座開設完了までは、1ヶ月〜2ヶ月程度かかります。勤め先とのやり取りなどもあり、思った以上に時間がかかったという人が多くいますので、始めたいと思った場合はなるべく早く金融機関から必要書類を取り寄せましょう。

老後資金の準備であればまずはiDeCoを検討するべき

iDeCoの始め方について解説しました。つみたてNISAと比べると少しフローが多く手間に感じてしまうかもしれませんが、非課税メリットが大きくおすすめの制度です。制度を正しく理解し、適切な資産運用に役立てましょう。

参考記事:

つみたてNISAとiDeCoはどちらから始めた方が良いのか?

つみたてNISAの始め方は?口座開設の方法や証券会社の選び方まで解説

iDeCoのメリットとデメリット・注意点

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