2022/03/16

つみたてNISAの始め方は?口座開設の方法や証券会社の選び方まで解説

これからつみたてNISAを始めようと思っている人のために、つみたてNISAの始め方を解説します。SBI証券や楽天証券をはじめとした金融機関の選び方のポイントやおすすめの証券会社、口座開設に必要な書類、積み立ての設定の仕方まで、初心者にもわかりやすく説明しますので参考にしてください。

NISAとは

「NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)」とは、2014年1月にスタートした個人投資家のための税制優遇制度です。イギリスのISA制度(Individual Savings Account = 個人貯蓄口座)をモデルに、日本版にアレンジしたISAとして、NISA(Nippon Individual Savings Account)という名前がつけられました。NISAの種類としては主に3種類あり、安定的な資産形成の支援を目的とした「一般NISA」が2014年に、より長期的で安定的な資産形成の支援を目的に絞った「つみたてNISA」が2018年に、子どもの将来に向けた資産形成のサポートのための「ジュニアNISA」が2016年に導入されています。

2024年からは全体が「新NISA」として、より長期の資産形成に向いた制度に生まれ変わる予定です。この記事では、現行の「つみたてNISA」の部分について説明します。

参考:NISAとは?(金融庁)

参考記事:『新NISAとは?一般NISAやつみたてNISAとの違いや注意点まで徹底解説


つみたてNISAとは

つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした、少額からの長期積立・分散投資を支援するための非課税制度のことです。日本に住んでいる20歳以上の方であれば誰でも制度を利用することができます。毎年40万円を上限として金融庁が選定した投資信託を購入して積み立てることができる、投資初心者に最適な制度です。

通常、投資によって得た運用益や分配金などにはそれぞれ約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すると最長20年間は課税されないので、運用して出た利益をそのまま得ることができます。運用する商品は、金融庁がつみたてNISAのために厳選して選んだ商品から選ぶことができます。基本的につみたてNISAでは長期運用に適した商品のみ扱っているため、高レバレッジ商品や個別の株式などは購入することができません。

参考:つみたてNISAとは?(金融庁)

つみたてNISAのシミュレーション

つみたてNISAは毎年40万円を上限として積み立てることができます。積み立ての設定に関しては毎月つみたてるスタイルが一般的ですが、証券会社によっては毎週や毎日といった積み立て設定を行うことも可能です(毎週積み立て可:SBI証券、大和証券。毎日積み立て可:SBI証券、大和証券、楽天証券、マネックス証券)。毎週や毎日などなるべくつみたての頻度を多く分散させた方がリスク分散効果が上がりリターン増が見込めるように思われますが、実際毎月積み立てと毎日、毎週積み立てを比べてシミュレーションしてみると、投資期間が短くても長くてもいずれもリターンの差は1%以内と誤差の範囲内に収まる結果となることが証明されています。短期ではなく長期での運用を前提としたつみたてNISAでは、積み立て設定は毎月で問題ないと言えるでしょう。

もし毎月積み立てで非課税額いっぱいに運用を行う場合、上限は月に33,333円となります。この条件で、利回りを3%、5%、7%として20年間積み立てた場合をシミュレーションすると以下のようになります。

利回り 3% 5% 7%
運用年数 20年 20年 20年
累計積立額 7,999,920円 7,999,920円 7,999,920円
運用益 2,921,989円 5,581,870円 9,013,445円
運用益のうち、非課税メリット 584,397円 1,116,374円 1,802,689円
総額 10,921,909円 13,581,790円 17,013,365円

※金融庁が発表した「つみたてNISAについて」の資料によると、資産、地域を分散して積立投資を20年間行なった場合、データ上は利回り2%~8%に収まると紹介されています。

※つみたてNISAは元本保証の商品はありません。上記はあくまでシミュレーションで、元本割れになる可能性もあります。

つみたてNISAの始め方

ここからは、これからつみたてNISAを始めようという方に向けて手順を説明します。

1. 口座を開設する金融機関を決める

そもそもつみたてNISAは、金融機関の総合口座の中に別枠でつみたてNISAの口座を作るイメージで口座が作られます。つまり、総合口座を持っていない金融機関でつみたてNISA口座を開設するには、同時に総合口座を(銀行の場合は投資信託口座も)開設する必要があります。まずは口座を開設する金融機関を決めましょう。

つみたてNISAは証券会社だけでなく、三菱東京UFJ銀行やゆうちょ銀行などの銀行でも口座を開設することができます。しかし銀行でつみたてNISAを始める場合、取り扱っている銘柄数が証券会社と比べて圧倒的に少ないことや、扱っている銘柄も信託報酬が高めのものが多いので、銀行口座でのつみたてNISA口座開設はおすすめできません。

そして証券会社の中でも、投資初心者の方はまず気軽に始められるネット証券がおすすめです。つみたてNISAに関しては、店舗型の証券会社は選べる銘柄が~数十種類なのに比べ、ネット証券は約~200種ほどになります。より多い銘柄から、自分に合ったものを選ぶことができるのがネット証券の特徴です。また、ネット証券は最低積み立て金額が低いのも特徴で、大手ネット証券はいずれも月100円からつみたてが可能です。店舗型の証券会社は最低でも月1,000円~積み立て可能なところが多く、より少額からつみたてNISAが始められるのはネット証券になります。

そしてネット証券の中でもSBI証券、楽天証券、マネックス証券のいずれかがおすすめです。3社の違いは主に以下になります。

証券会社 つみたてNISA取り扱い銘柄 最低積み立て金額 ポイント
SBI証券 174 100円 ネット証券口座開設数第1位。取り扱い投資信託本数が最も多い。投資信託の保有残高に応じて0.1~0.2%のTポイントが付与されるので、Tポイントを貯めている人にもおすすめ。
楽天証券 170 100円 楽天カード決済にすることで、取引ごとに楽天ポイントが貯まる。普段楽天で買い物をする人におすすめ。
マネックス証券 151 100円 投資信託を持っているだけで、Amazonギフト券などと交換可能な「マネックスポイント」が貯まる。米国株式の取り扱いが約4,000銘柄と最大数なので、つみたてNISA以外に米国株投資を行いたい人におすすめ。

※2022年2月時点

3つの証券会社とも取り扱いの銘柄にそこまで違いはありませんが、もしつみたてNISA以外にも投資を行う予定で、外国株式に投資したいという方の場合は、外国株式がより豊富なSBI証券(9ヵ国の株式に投資可能)かマネックス証券(米国株式の取り扱いが最多)がおすすめです。また、SBI証券は「NISA・投信土日専用デスク」というカスタマーサポートがあり、週末も問い合わせに対応していますので、何かあった際にも安心感があります。楽天証券は専用のアプリの情報量がとても多く、使い勝手が良いと評判です。また楽天での買い物が多い方などは、ポイントの貯まりやすい楽天証券がよいでしょう。

以上を参考に、それぞれの投資スタイルに応じて合いそうな証券会社を選びましょう。

2. 口座開設手続きを行う

証券口座を決めたら、口座開設手続きを行います。ネット証券口座開設に必要なのは主にマイナンバー(個人番号)確認書類、本人確認書類のみで、あとは証券口座に紐づける銀行口座が必要です。ネット証券口座でも「郵送で手続きする」方法を選択してしまうと印鑑が必要になり時間もかかってしまうので、インターネットで完結する手続き方法を選択しましょう。

3. 証券会社に入金手続きを行う

証券口座が開設されたら、紐づけた銀行口座から証券口座への入金手続きを行います。だいたいの銀行であれば自動引き落としの設定を行うことができます。(SBI証券の場合、楽天銀行、PayPay銀行からの自動引き落としは設定できませんので注意してください。)また、SBI証券であれば住信SBIネット銀行口座、楽天証券であれば楽天銀行口座から自動引き落とし設定を行うことで優遇金利を受けられるサービス(SBI証券:預り金自動スィープサービス(SBIハイブリッド預金)、楽天証券:マネーブリッジ)もありますので、こちらも活用しましょう。

参考:

預り金自動スィープサービス(SBI証券)

マネーブリッジ(楽天証券)

4. 積み立てる金額を決める

前述したようにつみたてNISAの月額の上限は33,333円です。もちろん満額で設定した方が運用結果に期待はできるのですが、毎月無理して満額を積み立てて生活が厳しくなるということになったら本末転倒です。つみたてNISAは月100円からでも設定可能なので、まずは自身の家計の中で無理なく積み立てできる金額を考えてみましょう。また一度金額を設定したあとでも、積み立て金額は設定画面から簡単に変更もできます。楽天証券のデータでは、毎月の積み立て額は満額の33,333円としている人が約半数いる一方で、月10,000円以下や10,000~20,000円と設定している人も多く、全体の平均は約24,000円となっています。20年という長期に渡って無理なく積み立てられる金額を設定しましょう。

5. 積み立てる商品を決める

最後に積み立てる商品を決めます。ネット証券では選べる商品が多くあり迷ってしまうかもしれませんが、自身の目的やリスク許容度に合わせて最適な商品を選びましょう。複数の銘柄を選択する場合は、積み立て金額のうちどのような金額比率にするかも決めます。ちなみに通常毎月積み立ての場合、設定できる上限金額は年間399,996円で非課税枠をぴったり使い切ることができませんが、ほとんどの金融機関ではボーナス月(通常の月より多く支払う月)の設定を行うことで40万円ぴったり使い切ることができます。大きな数字ではありませんが、半端な数字が気持ち悪いという人は設定しておくとよいでしょう。

参考記事:『つみたてNISAのボーナス月設定とは。40万円の非課税枠を使い切る方法も解説』

ここまで完了したら、あとは毎月積み立てられるのを待つのみです。1年に1回商品の変更を行うことが可能ですので、1年に1~2回くらい運用状況を確認し、必要があれば変更するというくらいがよいでしょう。ただし、最初にきちんとした商品を選択できているのであれば、基本的には変更の必要はほとんどないでしょう。

投資初心者にも始めやすいつみたてNISA

つみたてNISAの始め方について解説しました。長期の資産運用を考える際に、iDeCoとつみたてNISAはまず考えるべき選択肢となります。特に、20年という長期での積み立て前提ではありますがいつでも資産を引き出すこともできるつみたてNISAは投資初心者にとって最適な選択肢です。つみたてNISAを始める場合はデメリットにも注意しながら無理のない範囲で始めてみましょう。

参考記事:『つみたてNISAの始め方について解説しました。長期の資産運用を考える際に、iDeCoとつみたてNISAはまず考えるべき選択肢となります。特に、20年という長期での積み立て前提ではありますがいつでも資産を引き出すこともできるつみたてNISAは投資初心者にとって最適な選択肢です。つみたてNISAを始める場合はデメリットにも注意しながら無理のない範囲で始めてみましょう。

参考記事:『つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点

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