2022/03/15

つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点

つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点について、初心者にもわかりやすく解説します。メリットが多いと言われているつみたてNISA制度ですが、デメリット・注意点も複数あります。これからつみたてNISAを始める初心者の方はもちろん、すでにつみたてNISAを始めている方も参考にしてください。

つみたてNISAとは

つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした、少額からの長期積立・分散投資を支援するための非課税制度のことです。通常、投資によって得た運用益や分配金などの利益はそれぞれ約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すると最長20年間は課税されないので、運用して出た利益をそのまま得ることができます。

つみたてNISAは日本に住んでいる20歳以上の方であれば誰でも制度を利用することができ、毎年40万円を上限として金融庁が選定した投資信託を購入して積み立てることができます。投資初心者だけでなく、長期での資産運用を考えるすべての人におすすめの制度です。

参考記事:『つみたてNISAの始め方は?口座開設の方法や証券会社の選び方まで解説

つみたてNISAのメリット

つみたてNISA制度にはメリットが多数あります。主なメリットは以下の通りです。

・運用で出た利益が非課税になる

・主なネット証券であれば、月100円という少額から積み立てが可能

・金融庁が厳選した長期積み立てに適した商品から選択できる

・必要になればいつでも引き出しが可能(非課税運用期間は最長20年)

・毎月買付・毎日買付などの積み立てスタイルなので、買いのタイミングを判断する必要や手間が不要

参考記事:『つみたてNISAのファンドの選び方とおすすめ銘柄を解説

つみたてNISAのデメリット・注意点

非課税で長期間運用ができ、初心者も利用しやすいつみたてNISAですが、デメリットや注意点もあります。ここからはつみたてNISAのデメリット・注意点を順に説明します。

1. 運用結果によっては、元本割れの可能性がある

つみたてNISAの対象商品は、金融庁によって約6,000ある投資信託・ETFの中から手数料が安く長期の積み立てに適した銘柄に絞られています(2022年2月28日時点で208本)。厳選した商品を扱っているとはいえ、元本保証の商品があるわけではありません。運用期間中に元本割れする可能性もあることは意識しておきましょう。そしてつみたてNISAはいつでも引き出しができる制度ですが、大切なのは一時的に資産が下がったとしても慌てず、長期の資産運用を目的とした冷静な視点を忘れないことです。

参考:つみたてNISAの対象商品(金融庁)

2. 選べる商品が限定されている

つみたてNISAの対象商品は金融庁が定めた投資信託もしくはETF(上場投資信託)のみで、個別の株式やREIT(不動産投資信託)は対象になっていません。非課税メリットを得ながら個別の株式やREITへ投資したい方は、つみたてNISAではなく一般NISA口座を開設した方がよいでしょう。

参考記事:『NISA(一般NISA)とつみたてNISAの違いは?特徴・比較から切り替え方法まで解説

3. 金融機関によって取り扱い銘柄が異なる

つみたてNISAの商品は200本以上ありますが、その全てを扱っている金融機関はありません。主なネット証券であればだいたいの銘柄は取り扱っていますが、特定の商品を購入したいという希望のある方は金融機関選びにも気をつけましょう。とはいえ、ネット証券では人気のある主な銘柄は取り扱っていますので、気をつけなければいけないのは対面型の証券会社や銀行などでつみたてNISAを始める場合に限られるかと思います。

主な証券会社のつみたてNISA取り扱い銘柄数は下記の通りです。

証券会社名 つみたてNISA取扱銘柄数
SBI証券 174
楽天証券 172
松井証券 170
auカブコム証券 157
マネックス証券 151
SMBC日興証券 157
大和証券  22
野村證券 7

4. 一般NISAとの併用不可

つみたてNISAが非課税枠年間最大40万円で投資信託と一部のETFのみに投資できるのと比べ、一般NISAは非課税枠が年間最大120万円まであり、投資信託のみではなく幅広い商品から選択することができます。両方の制度を利用できればよりお得に投資ができますが、併用はできません。一般NISAかつみたてNISAどちらかの口座しか開設できませんので注意しましょう。

※口座を切り替える場合は、一年に一度のみ可能です。

5. スポット購入ができない

つみたてNISAは、その名の通り毎月(もしくは毎日か毎週)積み立てをしていく制度になるため、スポットで投資する(一括投資)ができません。そのため「株価が大幅に下がったタイミングで一括で追加購入する」といったことはできませんので注意してください。とはいえ、スポット購入できないがゆえに日々の株価に一喜一憂する必要がなくなるため、メリットとも言えるかもしれません。

6. 非課税枠の上限が少ない

つみたてNISAの非課税枠は、年間で40万円が上限となっています。月にすると最大で33,333円で、それ以上積み立てたいと思っても上限を増やすことはできません。資金が多く運用額を増やしたい方にとってはデメリットとなるかもしれません。一般NISAの場合は年間120万円まで非課税枠があるので、月額10万円まで運用が可能です。運用額を多くしたい場合は一般NISAも検討してみてください。

7. 損益通算ができない

つみたてNISAでは、損益通算ができないことも注意が必要です。損益通算とは、投資を行い一定期間内に出た利益と損失を相殺することです。通常の課税される口座にて投資を行って利益(譲渡益や配当など)が出た場合は約20%の税金がかかりますが、損失が出た場合には利益から差し引いて、その分だけ税金を減らすことができます。例えば、ある証券口座でAという投資信託が100万円の利益、Bという投資信託で100万円の損失が出たとします。ABどちらもNISA口座ではない場合、損益通算ができるためABあわせると損益が0となり、Aの利益分に税金が発生することはありません。一方、もしもBをNISA口座で保有していた場合、この損失を損益通算することはできないため、Aの利益にたいして税金が発生してしまいます。つみたてNISAは他の口座との損益通算ができないことは理解しておきましょう。

8. ロールオーバーができない

一般NISAの場合、非課税期間は最長で5年ですが、5年間の非課税期間が経過すると「ロールオーバー」といって翌年の非課税枠への持ち越しが認められています。このロールオーバーにより最長で計10年間非課税の恩恵を受けることができます。しかしつみたてNISAの場合、ロールオーバー制度は利用することができません。とはいえもともと長期の運用を目的として非課税期間が20年間設けられているので、この点はあまり気にしなくて大丈夫でしょう。

9. iDeCoと違い、所得控除になるわけではない

つみたてNISAは得た利益が非課税になる制度ですが、積み立てたお金が所得控除になる制度ではありません。iDeCoと混同されている方が多いのですが、あくまでつみたてNISAは利益に対する税金がかからないという制度ですので注意しましょう。そのためつみたてNISAの場合は、年末調整時の所得控除の申請などは発生しません。

参考記事:『iDeCoの節税メリットとは

デメリットを知った上で活用しよう

つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点について解説しました。細かな注意点が多いですが、知っていた方がよいポイントですのでしっかり確認した上で制度を活用しましょう。

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