2022/03/18

つみたてNISAのファンドの選び方とおすすめ銘柄を解説

つみたてNISAのファンドの選び方とおすすめの銘柄を紹介します。つみたてNISAを始めたいと思っているけど、ファンド選びが難しいと感じている人は多いのではないでしょうか。この記事では自分のリスク許容度に応じたおすすめのファンドやファンドの組み合わせ・本数まで解説しますので参考にしてください。

つみたてNISAとは

つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした、少額からの長期積立・分散投資を支援するための非課税制度のことです。通常、投資によって得た運用益や分配金などの利益はそれぞれ約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すると最長20年間は課税されないので、運用して出た利益をそのまま得ることができます。

つみたてNISAは、日本に住んでいる20歳以上の方であれば誰でも制度を利用することができます。毎年40万円を上限として金融庁が選定した投資信託を購入して積み立てることができるため、投資初心者だけでなく、長期での資産運用を考えるすべての人におすすめの制度です。

参考記事:

つみたてNISAの始め方は?口座開設の方法や証券会社の選び方まで解説

つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点

つみたてNISAの対象商品

つみたてNISAの対象商品は、金融庁によって約6,000ある投資信託(ファンド)の中から、手数料が安く長期の積み立てに適した銘柄に絞られています(2022年1月時点で193本)。内訳はインデックス型(日経平均株価やTOPIXといった市場の動きと連動したパフォーマンスを目指す投資信託)が167本、アクティブ型(市場の動きを上回るパフォーマンスを目指す投資信託。インデックス型と比べると信託報酬が高くなる。)が19本、ETF(上場投資信託)が7本で、それぞれの投資信託ごとに国内外の株式、債券、REIT(不動産投資信託)などを組み合わせて販売されています。

参考:つみたてNISAの対象商品(金融庁)

参考記事:

インデックス投資とは?メリット・デメリットからおすすめの投資信託・ETFまで解説

まずは目的・目標とリスク許容度の確認をする

つみたてNISAに限らず、資産運用をするときにはまず投資・資産運用の目的や目標を認識し、自身のリスク許容度を確認するところから始まります。

つみたてNISAはいつでも換金・引き出しが可能なため、老後資金としての運用以外にも子どもの学費や住宅費用などさまざまな目的の資金として運用することができます。ただし、子どもの学費や住宅費用などのように、将来使う時期や金額がある程度決まっているものをリスク資産(元本が保証されていない資産)で準備するのには注意が必要です。もし準備した資金が必要になったタイミングで市場の大きな暴落があった場合、せっかく準備した資金が元本割れになっている可能性もあるということは認識しておくべきです。このように時期や金額がある程度確定した資金のためにつみたてNISAなどの制度を利用する場合は、現金(貯金)での準備も合わせて検討するべきでしょう。特に、3〜5年程度の比較的短い時間軸で必要となる資金については注意が必要です。

なお、つみたてNISAとよく比較される制度としてiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)がありますが、こちらは原則60歳になるまで資金を引き出すことができません。そのためiDeCoは基本的には老後資金の準備を目的として作られた制度になります。

そしてリスク許容度とは、簡単に言うと「運用結果がマイナスになってしまった場合に、どれくらいまでならマイナスになっても受け入れることができるか」という度合いのことを指します。自分のライフステージの状況や性格によって異なり、主に以下の要素を考慮するべきだと言われています。

年齢 年齢が若く、長期で運用できる人の方がリスク許容度は大きい傾向にある。
家族構成 家族の人数が少ない人は、多い人に比べてリスク許容度は大きい傾向にある。
年収・資産 年収が高い人や資産が多い人ほど、リスク許容度は大きい傾向にある。
性格 他の要素でリスク許容度が大きくても、資産が目減りすることに抵抗感がある・日々の損益に一喜一憂してしまう性格の人は、リスク許容度は小さい傾向にある。

上記を自分に当てはめることである程度のリスク許容度の大小をはかることができます。リスク許容度を確認する際には、自分で思っている以上に実際のリスク許容度は高くないものだ認識しておくことが重要です。また、リスク許容度は上記の通りライフステージによっても変わってくるので、運用開始時だけでなく定期的に見直し振り返ることも大切です。

つみたてNISAのファンドの選び方

つみたてNISAに限らず、ファンドを選ぶ際のポイントは以下の3点です。

1. 投資対象

2. コスト

3. 純資産総額

つみたてNISAの場合は、特に「投資対象」を考えることが中心となります。

1. 投資対象

ファンドによって、投資している対象は異なります。例えば、全世界の株式に投資するファンド、アメリカの株式のみに投資するファンド、日本の株式に投資するファンド、海外の債券に投資するファンドなどです。また、株式や債券、不動産(REIT)などさまざまなアセットクラス(資産クラス)を組み合わせた「バランス型ファンド」なども存在します。

自身のリスク許容度や投資方針、投資先に対する考え方などに基づいて、投資対象を選びましょう。

参考記事:『アセットアロケーション(資産配分)とは?

2. コスト

ファンドにはコスト(手数料など)がかかります。一般的な投資信託では、「買付手数料(購入時手数料)」や「信託報酬(毎年ファンドから自動的に引かれる手数料)」が主なコストになります。(具体的に数字として表示されていない「隠れコスト」も含めた「実質コスト」が一番コストをの実態を表します。)

つみたてNISAの場合は、対象商品の「買付手数料」はすべて無料であり、基本的には「信託報酬」も低い優良な商品ばかりがラインナップされているので特にどのファンドでも問題はありませんが、コストは低ければ低いほど良いと認識しておくと良いでしょう。

参考記事:『投資信託やETFのコストが長期投資に与える影響

3. 純資産総額

純資産総額とは、ファンドの運用サイズのことです。基本的に、ファンドの純資産総額は大きければ大きいほど良いです。純資産総額があまりに少なく、資金の流入もない(=人気がない)ファンドだと、ファンドが繰り上げ償還される可能性もあります。また、純資産総額が一定金額を超えると、信託報酬(コスト)が下がるというファンドもありますので、コストと合わせて見るようにしましょう。基本的には、何か選択に迷う2つのファンドがあった場合は純資産総額を比べて大きい方を選択すると良いでしょう。

つみたてNISAのおすすめ銘柄

上記のつみたてNISAのファンドの選び方をもとに、おすすめの銘柄をご紹介します。

1. 全世界の株式にまとめて投資する

以下の銘柄は、全世界の株式にまとめて投資するタイプのファンドです。1つの銘柄だけで全世界の株式に投資することができ、もっともシンプルかつ効率的な資産運用が可能であると言えます。

【全世界に投資するつみたてNISAの対象商品】

ファンド名 信託報酬 純資産総額(百万円)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 0.1144% 203,362
楽天・全世界株式インデックス・ファンド 0.212% 101,939
SBI・全世界株式・インデックスファンド 0.1102% 26,179

※2021年6月18日時点

2. 自分で投資対象を選んで投資する

特定の地域・資産に投資したい場合や、特定の地域・資産の比率を多くしたい場合、あるいは既に特定の地域・資産に投資をしていて、それ以外の地域・資産に投資をしたいといった場合には、以下の銘柄を組み合わせるのがおすすめです。

例えば、「今後も米国株式が世界経済の中心となると思うので、米国株式の比重を大きくしたい」「これからは新興国の時代だから新興国株式の比重を大きくしたい」「日本株はすでに投資をしているので、つみたてNISAでは日本以外の地域に投資をしたい」などといった場合、以下の銘柄を組み合わせてポートフォリオを組むと良いでしょう。

【特定の地域に投資するつみたてNISAの対象商品】

投資対象 ファンド名 信託報酬 純資産総額(百万円)
全世界株式(日本除く) eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) 0.1144% 66,827
先進国株式(日本除く) eMAXIS Slim 先進国株式インデックス 0.1023% 216,443
先進国株式(日本除く) <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド 0.1023% 294,903
全米株式 楽天・全米株式インデックス・ファンド 0.162% 290,831
S&P500(米国株式) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 0.0968% 474,129
S&P500(米国株式) SBI・V・S&P500インデックス・ファンド 0.0938% 229,631
新興国株式 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 0.187% 67,245
新興国株式 SBI・新興国株式インデックス・ファンド 0.176% 10,558
国内株式(TOPIX) eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) 0.154% 33,828
国内株式(TOPIX) <購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド 0.154% 40,416

※2021年6月18日時点

3. バランス型ファンドで複数の資産に分散投資する

投資においては、一つの資産だけに集中して投資するのではなく、複数の資産に分散して投資をすることでリスクを低減させる効果があります。これを分散投資と言います。

バランス型ファンドを利用することで、上記で紹介したような株式だけでなく、「国内債券」や「先進国債券」「新興国債券」「国内REIT(不動産投資信託)」「先進国REIT(不動産投資信託)」などといった株式以外の資産にも投資することが可能になります(バランス型ファンドごとに、投資対象としている資産クラスや、それぞれの資産クラスの投資割合は異なります)。

また、バランス型ファンドは、それぞれの資産クラスの資産配分(組入比率)を自動的に調整してくれる(リバランスと言います)のも魅力の一つです。バランス型ファンドには否定的な意見もありますが、つみたてNISAの対象商品は、上記で紹介した株式型のものの他は、バランス型ファンドとなります。債券やREIT(不動産投資信託)など株式以外の資産に特化したファンドはありません。債券なども入れて、株式のみのポートフォリオは避けたいという方には、バランス型ファンドも選択肢のひとつとなるでしょう。

【バランス型ファンドのつみたてNISA対象商品】

ファンド名 信託報酬 純資産総額(百万円)
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) 0.154% 99,717

※2021年6月18日時点

複数の銘柄に分散させる意味はあるのか?

上記で分散投資について少し触れましたが、複数の商品を選ぶ場合には注意が必要です。例えば、全世界の株式に投資する投資信託を複数保有することには、あまり意味がありません。そもそも全世界の株式に投資する投資信託が十分に分散されているので、商品を増やすことにあまり意味はないのです。また、新興国株式に投資する投資信託を複数保有するのも同様です。複数の商品で分散しているようで、新興国株式の比重が大きくなっているだけになってしまいます。

複数の商品を選ぶ場合には、必ず、投資対象がどこなのかを見て考えるようにしましょう。

ポイントを押さえてつみたてNISAを始めよう

つみたてNISAのファンドの選び方とおすすめ銘柄について解説しました。つみたてNISAには多くの対象商品があり、適切なものを選ぶのが難しく感じるかもしれませんが、本記事で解説したポイントを押さえておけば、自分にとって最適な銘柄を見つけられると思います。是非参考にしてみてください。

参考記事:『つみたてNISAの始め方は?口座開設の方法や証券会社の選び方まで解説

※本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。

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