2022/03/07

終身保険(終身生命保険)のメリット・デメリット

終身保険(終身生命保険)のメリット・デメリットについて解説します。一生涯保障が続き、生命保険の王道とも呼ばれる終身保険ですが、どのような特徴があるのでしょうか。解約返戻金型終身保険・外貨建て終身保険など終身保険の種類から、メリット・デメリット、注意点までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

終身保険(終身生命保険)とは

終身保険とは、契約者が死亡もしくは高度障害状態になった際に保険金が支払われるという死亡保険の種類の一つです。終身保険は定期保険とは異なり、死亡保障が一生涯続きます。また、保険料の一部は積み立てられているため、途中解約した場合には解約返戻金を受け取ることができます。保険料は基本的に加入時から変わりません(一部、保険料が改訂される終身保険もあります)。

払込期間は一時払い、短期払い、終身払いなどから選ぶことができ、一生涯保険料を払い続けなければいけないというわけではありません。保険料の払い込みが済んでいるかどうかにかかわらず、解約しない限り死亡保障は一生涯続きます。

終身保険の種類

終身保険には、一般的なタイプ以外にも以下のような種類があります。

低解約返戻金型終身保険

低解約返戻金型終身保険とは、保険料払込期間中の解約返戻金が低く抑えられた保険のことを言います。保険料払込期間中に解約してしまうと解約返戻金は通常の終身保険よりも少ないですが、その分割安の保険料で一生涯の保障を受けることができるという特徴があります。長期で解約の予定がないのであれば割安に保障を準備することができるので、近年では学資保険の代わりにこの低解約返戻金型終身保険に加入する人が増えています。

積立利率変動型終身保険

積立利率変動型終身保険とは、積立利率が契約後も市場金利に応じて定期的に見直され、将来受け取る保険金や解約返戻金がその都度変動するタイプの終身保険です。ほとんどの積立利率変動型終身保険には最低保証利率が決まっているため一定額以上割り込むことはありませんが、景気が悪い状況が続いた場合、解約返戻金はや保険金は少なくなる傾向にあります。

外貨建て終身保険

外貨建て終身保険とは、保険料や死亡保険金が外貨によって積み立てられる終身保険のことで、米ドルや豪ドル・ユーロなど円より金利の高い通貨で積み立てることにより貯蓄性が高くなります。円建ての商品より多い死亡保険金や解約返戻金を受け取れる可能性がありますが、受け取り時点の為替の影響を受けるため注意が必要です。

変額保険(終身型)

変額保険(終身型)とは、運用実績に応じて将来受け取れる保険金や解約返戻金が変動するタイプの終身保険です。保険金は基本の保険金額に変動保険金額が上乗せされる形で払われ、この変動保険金額部分が運用実績によって増減します。

運用結果が好調であれば保険金や解約返戻金の金額が増えますが、運用結果が悪ければ金額は減ってしまいます。保険金については最低保証が設定されている商品が多いため最低限の金額は遺すことができますが、解約返戻金については最低保証が設定されていないことが多いため、元本割れのリスクがあります。

終身保険のメリット

1. 保険料が変わらない

終身保険は、基本的に加入時点から保険料が変わりません。そのため、より保険料が安い若いうちに終身保険に加入しておけば、保障の割に安い保険料で一生涯保障してもらうことができます。また、ずっと保険料が変わらないため家計管理がしやすいというメリットもあります。

2. 支払った保険料が掛け捨てにならない

終身保険は一生涯保障のためいつ死亡や高度障害状態になったとしても死亡保険金を遺族が受け取ることができ、もし途中で解約したとしても解約返戻金を受け取ることができます。掛け捨てタイプの保険のように、保険金の支払いがなければ支払った保険料が無駄になるということがないのは大きなメリットです。さらに、契約後一定期間経過して解約した場合の解約返戻金は返戻率によっては支払った保険料以上の金額になることもあります。

3. 生命保険料控除の対象となる

これは終身保険だけでなく他の保険も対象になりますが、終身保険に加入していることで生命保険料控除の対象となるというメリットもあります。これは終身保険の保険料を払っている期間は毎年対象となり、支払った保険料に応じて所得税・住民税が減額されます。生命保険料控除は年末調整か確定申告で対応することができますが、加入している保険会社から毎年送られてくる「控除証明書」が必要となりますので送付された場合はなくさないようにしましょう。

参考記事:『生命保険料控除とは?対象となる保険から申請方法、注意点まで

4. 契約者貸付制度が利用できる

契約者貸付制度とは、保険契約を担保としてお金を借りられる制度のことです。その時点で貯まった解約返戻金の範囲で、保険会社からお金を借りることができます。もちろん借入なので金利はかかりますが、だいたい2%~4%とカードローンなどと比べると低金利になっています。緊急でお金が必要となった際などに、保険を解約することなく資金を用意することのできるありがたい制度です。

※終身保険だけでなく、解約返戻金がある保険であれば契約者貸付制度を利用することができます。

終身保険のデメリット

1. 保険料が割高

終身保険のデメリットとしては、定期保険など掛け捨てタイプの保険と比べて保険料が割高な点が挙げられます。手厚い保障を望んで高額な保険料で契約してしまうと、長期間続けることが負担になってしまいます。すべての保障を終身保険で準備しようと思うのではなく、掛け捨てタイプの保険とも併用しながら無理なく払い続けられる保険料を設定することが大切です。

2. 早期解約してしまうと元本割れの可能性が高い

終身保険では、長期間契約後に解約した場合払い込んだ保険料以上の解約返戻金が戻ってくることもあります。しかし逆に数ヶ月~数年など早期に解約してしまうと、解約返戻金は少なく元本割れしてしまう可能性が高くなります。「1. 保険料が割高」ともつながりますが、終身保険は必要な保障に対して無理なく払い続けられる保険料を設定し、長期間契約を続ける前提で加入するようにしましょう。

3. 見直しがしにくい

「2. 早期解約してしまうと元本割れの可能性が高い」で述べたように、終身保険は解約しにくいため保険を見直したい時に躊躇なく見直しがしにくいというデメリットもあります。終身保険は確かに早期解約すると元本割れの可能性が高くなりますが、解約返戻金を惜しがって不要な保険に入り続けることは無意味なので、定期的に見直しは必ず行いましょう。新しい保険商品は常に開発されているため、今入っている保険がずっとベストな選択であるかはわかりません。保障が合わない・保険料とのバランスが悪いと判断した場合は解約手続きを行うようにしましょう。

参考記事:『保険の見直しタイミングとは

4. 預貯金と比べて流動性が低い

終身保険は貯蓄性があるので、「貯蓄が苦手だから終身保険で貯金代わりにしている」という人も多いかと思います。しかし保険で貯蓄を行う場合、預貯金と比べて流動性が低いため簡単に出し入れはできないというデメリットがあります。その流動性の低さが貯蓄が苦手な人にとってはメリットでもあるのですが、保険だけで貯蓄を行おうとするのはやめましょう。そしてもし急に資金が必要になってしまった場合などには、前述した契約者貸付制度を検討してみるのも選択肢の一つです。

一生涯の保障が得られる終身保険

終身保険(終身生命保険)について解説しました。一度加入すれば変わらない保険料で一生涯保障が続く終身保険は、長期間続けてこそメリットが大きくなる保険です。加入前の検討は時間をかけて行い、払い続けられる保険料の範囲で加入するようにしましょう。

参考記事:

定期保険(定期生命保険)のメリット・デメリット

養老保険(養老生命保険)のメリット・デメリット

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