2022/03/07

養老保険(養老生命保険)のメリット・デメリット

養老保険(養老生命保険)のメリット・デメリットについて解説します。終身保険、定期保険と同じく死亡保険の種類の一つである養老保険は、特に貯蓄性が高い保険と言われています。どのような特徴があり、個人年金保険など他の似た保険とはどこが違うのか、養老保険の必要性が高い人までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

養老保険とは

養老保険とは、死亡保険のうちの一つで契約者が保険期間中に亡くなったり高度障害状態になったときには死亡保険金が家族に支払われ、満期まで生存していたときには死亡保険金と同額の満期保険金が支払われるという生命保険です。保険期間はあらかじめ10年、20年などの期間を設定する年満了型と、60歳まで、65歳までなどある年齢までで区切る歳満了型の2種類があります。保険期間中に死亡しても生存していても同額の保険金が支払われるということで、養老保険は「生死混合保険」とも言われています。

他の生命保険との違い

養老保険は生命保険(死亡保険)のうちの一つですが、他の生命保険との違いは以下のような点になります。


養老保険 終身保険 定期保険
保険期間 あらかじめ設定した一定期間 一生涯 あらかじめ設定した一定期間
解約返戻金 あり あり なし
満期保険金 あり なし なし
保険料 3つのうち最も高い 定期保険よりも高い 3つのうち最も安い
保険の更新 なし なし あり

参考記事:

終身保険(終身生命保険)のメリット・デメリット

定期保険(定期生命保険)のメリット・デメリット

個人年金保険や学資保険との違い

養老保険は「貯蓄性の高い保険」と言われているため、個人年金保険や学資保険とも特徴が似ています。それぞれの保険の違いは主に以下の点となります。

・個人年金保険と養老保険の違い

個人年金保険は老後資金を目的に保険料を積み立てる保険で、保険期間中に死亡した場合は今までに払い込んだ保険料分の金額が家族に支払われます。生存していて保険金を受けとる際には基本的に毎月年金形式で受け取る形になります。死亡保険ではないので、持病があるなど健康に不安があっても加入しやすいという特徴もあります。それに対して養老保険は死亡時の保障を目的としているため、もし加入後一日で死亡したとしても満期の直前に死亡したとしてもあらかじめ設定した死亡保険金が満額受け取れます。死亡保険なので、他の生命保険と同じく健康に不安がある人は加入できない場合もあります。

・学資保険と養老保険の違い

学資保険は子どもの教育資金を貯めることを目的とした保険で、子どもの年齢が18歳、22歳などある一定の年齢になるまでしか保険期間を設定することができません。学資保険の場合は保険期間中に契約者(親)が死亡した場合には死亡保険金は出ませんが、以後の保険料が免除されます。保険期間中に被保険者(子)が死亡した場合には死亡保険金が出ますが、満期保険金と比べてその金額はかなり小さいことが多いです。また、学資保険の場合は満期保険金以外にも進学のタイミングなどに合わせて祝い金と呼ばれる保険金を受け取れることが多くなっています。貯蓄性があるという点では養老保険と同じですが、子どもの成長に合わせた保険金設定になっているのが学資保険です。

養老保険の必要性が高い人

・将来の資金を貯めながら万が一の保障にも備えたい人

・貯蓄が苦手な人

・保険期間は一定期間でよいが、保険料は掛け捨てにしたくない人

・保険と資産形成を一つの商品で行いたい人

反対に、以下のような人には養老保険はおすすめできません。

・一生涯の保障が欲しい人

・保険料をとにかく安くしたい人

・死亡保険金が多く必要な人

養老保険は死亡保険金と満期保険金が同額のため貯蓄性は高いですが、設定できる死亡保険金としては定期保険などと比べて低めです。もし養老保険で必要な死亡保険金をすべて賄おうとすると保険料が非常に高額になってしまうため、まずは自分に必要な保険金額を知り、それを準備するのに養老保険が最適かどうか考えてみましょう。

養老保険のメリット

1. 生存していても死亡しても保険金が受け取れる

養老保険は生死混合保険とも呼ばれており、保険期間中に死亡した場合も生存して満期を迎えた場合でも同額の保険金を受け取ることができます。万が一の保障を備えながら、資産形成としても優れているというのが養老保険の大きなメリットと言えるでしょう。

2. 満期保険金を自分の好きなタイミングで受け取れる

養老保険は満期まで生存していた場合死亡保険金と同額の満期保険金を受け取ることができますが、受け取る時期を好きなタイミングに設定することができます。これを「据え置き」と言い、満期が過ぎてから通常10年以内であれば自由に設定できます(保険会社により据え置きの規定は異なります)。満期保険金を据え置きしている間、保険会社はその資金を運用することができるため状況によっては満期保険金が増えることもあります。満期になったけれどいまはまとまった資金が必要ないという場合は、据え置きを検討してみるのもよいでしょう。

3. 生命保険料控除の対象になる

養老保険は終身保険など他の生命保険と同じく保険料控除の対象となります。養老保険の保険料を払っている期間は毎年対象となり、支払った保険料に応じて所得税・住民税が減額されます。生命保険料控除は年末調整か確定申告で対応することができますが、加入している保険会社から毎年送られてくる「控除証明書」が必要となりますので送付された場合はなくさないようにしましょう。

参考:『生命保険料控除とは?対象となる保険から申請方法、注意点まで

養老保険のデメリット

1. 死亡保険の中で最も保険料が割高

養老保険は生命保険の中でも貯蓄性が高いので、保険料が割高になります。定期保険や終身保険と比べて一番割高になる傾向にあるので、養老保険を検討する際は長期間払い続けられる保険料かどうか見極めることが大切です。保険料が負担になってしまった場合は途中解約して解約返戻金をもらうこともできますが、ほとんどの場合解約返戻金はそれまでに支払った保険料総額を大幅に下回ります。これは早期に解約するほど下回ってしまいますので、自身で設定した保険期間中払い続けられる保険料であるかどうかをよく検討しましょう。

2. インフレリスクがある

養老保険の満期を迎えた時点の物価が契約当時よりも高騰している場合、契約時に設定した満期保険金の価値が相対的に下がってしまうというインフレリスクがあります。インフレが進んだとしても契約時に設定した保険金額は途中で変えることができないため、このリスクを避けることはできません。そのようなリスクもあるということは認識しておきましょう。

3. 更新不可の商品が多い

養老保険は保険期間をあらかじめ設定して加入する商品ですが、保険期間が終了しても更新不可の商品が多いというデメリットもあります。定期保険の場合は更新可能な商品が多いため保険期間が終了しても告知なしで更新することができますが、養老保険の場合は更新不可の商品が多いため、再度同じような保険に入りたい場合は告知を行い新規加入することになります。その場合、現在の健康状態によっては加入できない、もしくは保険料が高くなることも考えられますので注意してください。

4. 見直しがしにくい

養老保険は満期まで継続して加入することで満期保険金を受け取れるので、途中解約しにくい(見直しがしにくい)というデメリットもあります。特に早期解約してしまうと解約返戻金はわずかになってしまうので、本当にその保険に加入する必要があるのかはよく検討してから加入するようにしましょう。もし死亡保障という目的よりも資産形成の目的で養老保険を検討している場合は、iDeCoやつみたてNISAなど他の手段から始めたほうが効率的な場合もあります。様々なパターンを検討して、自分に合っていると思う方法を見つけましょう。

参考:『つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点

   『iDeCoのメリットとデメリット・注意点

養老保険のメリット・デメリットを理解しよう

養老保険について解説しました。生存して満期を迎えた場合でも死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れる養老保険は、貯蓄性が高い生命保険として人気です。うまく活用すれば資産形成に役立ちますが、デメリットやリスクもありますので注意しましょう。

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