2022/06/10

つみたてNISAのボーナス月設定とは。40万円の非課税枠を使い切る方法も解説

つみたてNISAのボーナス月設定について解説します。年間40万円の非課税上限枠を使い切るために重要となるのが「ボーナス月設定」です。現在のつみたてNISAの利用状況から、ボーナス月設定を使って非課税枠を使い切るための手順、ボーナス月設定を行うメリット・デメリットまでわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

つみたてNISAとは

つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした、少額からの長期積立・分散投資を支援するための非課税制度のことです。日本に住んでいる20歳以上の人であれば誰でも利用することができ、毎年40万円を上限として金融庁が選定した投資信託を購入して積み立てることができます。通常、投資によって得た運用益や分配金などの利益はそれぞれ約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すると最長20年間は課税されないので、運用して出た利益をそのまま得ることができます。

つみたてNISAの口座数は2021年6月時点で417万口座を超えており、年々利用者が増えてきています。投資初心者だけでなく、長期での資産運用を考えるすべての人におすすめの制度です。

参考記事:

つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点

つみたてNISAの始め方は?口座開設の方法や証券会社の選び方まで解説

つみたてNISAのボーナス月設定とは

つみたてNISAのボーナス月設定とは、通常の積み立て設定に追加してボーナス月(増額月)を指定できるという機能です。(ボーナス月設定は月ごとの積み立てを指定している場合は利用できますが、毎日積み立てを指定している場合は利用できません。)つみたてNISAの非課税限度額は年間40万円ですが、非課税で投資できる最大額のことであるため毎年必ず40万円使い切る必要はありません。実際、40万円を12ヶ月で割ると33,333…となるため、33,333円×12ヶ月で399,996円となり、最大額を積み立てても40万円ぴったりにはなりません。また、年度の途中からつみたてNISAを始めたという人も、通常の設定だと初年度は40万円より大幅に少ない積み立てになってしまいます。

なるべく非課税枠を綺麗に使い切りたいという場合、毎月の積み立て設定に追加してボーナス月設定をすることで40万円ぴったり非課税枠を使い切ることができます。ボーナス月設定は金融機関によって異なりますが、毎月の拠出額に加えて年2回まで追加で設定できることが多く、その2回のタイミングは自身で選ぶことができます。

増額設定との違い

ボーナス月設定と似た機能として、増額設定というものもあります。ボーナス月設定と増額設定の違いはその設定がいつまで有効かという点で、ボーナス月設定は一度設定したら解除しない限り毎年その設定が有効なのに対し、増額設定は設定した年のみ有効になります。そのため例えば年度の途中からつみたてNISAを始めて、月の積み立て上限33,333円に設定してもその年は非課税限度額を使い切れない、という場合に増額設定が有効です。ただし、増額設定を行う場合も月額で設定できる上限額(33,333円)は変わりませんので、年の後半(8月以降~)からつみたてNISAを始めた場合は非課税限度額ギリギリまで使うことができません。8月以降からつみたてNISAを始めたけれど初年度も非課税限度額ギリギリまで設定したいという場合は、ボーナス月設定で設定し、翌年度はボーナス月設定を外すことで対応可能です。

※松井証券など、増額設定が行えない証券会社もありますので注意してください。


7月からつみたてNISAを始めた場合(増額設定) 11月からつみたてNISAを始めた場合(ボーナス月設定)
1月 - -
2月 - -
3月 - -
4月 - -
5月 - -
6月 - -
7月

毎月積み立て33,333円

+増額設定33,333円

-
8月

毎月積み立て33,333円

+増額設定33,333円

-
9月

毎月積み立て33,333円

+増額設定33,333円

-
10月

毎月積み立て33,333円

+増額設定33,333円

-
11月

毎月積み立て33,333円

+増額設定33,333円

毎月積み立て33,000円
12月

毎月積み立て33,333円

+増額設定33,333円

毎月積み立て33,000円

+ボーナス月設定334,000円

合計 399,996円 400,000円
※ボーナス月設定の場合、月額で設定できる上限の33,333円に設定しているとボーナス月設定が利用できません。

ボーナス月設定を利用して非課税限度枠を使い切る方法

ここからは、毎月の積み立て額を上限の33,333円に設定した場合に余ってしまう4円を使い切るための方法を解説します。通常の毎月積み立てにプラスしてボーナス月設定を行うことで、40万円ぴったり非課税限度枠を使い切ることができます。そもそも月ごとの積み立てで使い切れる金額を上限に設定してほしいところではありますが、使い切れない4円が気になっていたという人は参考にしてください。

端数4円を出さないための設定方法


ボーナス月設定を行わない場合 6月と12月にボーナス月設定を行う場合 6月と12月にボーナス月設定を行う場合(ボーナスの比重多め)
1月 33,333円 30,000円 10,000円
2月 33,333円 30,000円 10,000円
3月 33,333円 30,000円 10,000円
4月 33,333円 30,000円 10,000円
5月 33,333円 30,000円 10,000円
6月 33,333円

30,000円

+ボーナス月設定20,000円

10,000円

+ボーナス月設定140,000円

7月 33,333円 30,000円 10,000円
8月 33,333円 30,000円 10,000円
9月 33,333円 30,000円 10,000円
10月 33,333円 30,000円 10,000円
11月 33,333円 30,000円 10,000円
12月 33,333円

30,000円

+ボーナス月設定20,000円

10,000円

+ボーナス月設定140,000円

合計

399,996円 400,000円 400,000円

例えば上記のように6月と12月にボーナス月設定を行うことで、非課税限度額の40万円をぴったり使い切ることができます。設定できる金額は自由ですが、後述するデメリットにもあるようにあまりボーナス月に金額が偏るとドルコスト平均法のメリットが少なくなってしまいますので、基本は毎月の積み立てでなるべく多く均等に積み立てることをおすすめします。

つみたてNISAのボーナス月設定のメリット

1. 非課税投資元本を少しでも増やせる

つみたてNISAは年間上限40万円の範囲であれば運用によって出た利益が非課税となります。40万円を毎年無駄なく使い切ることで、非課税で投資できる元本を少しでも増やすことができるのはボーナス月設定のメリットです。しかし上限金額まで使い切りたいがために、自身が余裕を持って積み立てできる金額を超えてしまっては意味がありませんので、長期間積み立て続けられる金額を見極めて設定を行うようにしましょう。

2. 設定は一度でOK

ボーナス月設定は基本的に一度設定してしまえば、翌年以降もその設定が反映されます。毎年の作業が必要ないため、一度設定してしまえば楽です。ただ、逆に自動で解除されませんのでボーナス月設定をやめたい場合は作業が必要になりますので注意してください。

3. ボーナスの無駄遣いを防げる

ボーナスは年に2回出る企業が多いですが、ボーナスが出る月はいつもより出費が多くなってしまうという人もいるかと思います。そのような人はボーナス月設定を行っておくことで、ボーナスが出る月にも自動的に積み立て投資に回すことができ、無駄遣いを防ぐことができます。貯蓄が苦手だと自覚している人はボーナス月設定も検討してみましょう。

つみたてNISAのボーナス月設定のデメリット

1. 分配金が出た場合、課税口座で再投資されることがある

つみたてNISAで分配金が出るタイプの投資信託を選択している場合、年間40万円の上限ギリギリで運用していると分配金が出たことで非課税限度額を超えてしまい、課税口座で再投資されることがあるため注意が必要です。分配金が出る商品を選んでいる場合は、分配金は再投資ではなく受け取りにしておきましょう。

2. ドルコスト平均法の効果が薄れてしまう可能性がある

ドルコスト平均法とは、価格が変動する株や投資信託などの商品を、あらかじめ決めたタイミングで同じ金額ずつ買い続けるという方法です。一括ではなく分散して購入することで、価格が高い時には少なく価格が低い時には多く買うことができ、投資のリスクを減らすことができます。つみたてNISAはまさにこのドルコスト平均法にて長期投資を行うための制度なのですが、ボーナス月設定を行うことでドルコスト平均法の効果が薄れる可能性があります。購入時期によって購入金額に差が大きくあるとその可能性が大きくなってしまうため、ボーナス月設定を利用する際はあまりボーナス月に偏重しないように設定することをおすすめします。

参考記事:『一括投資と分割投資(積立投資・ドルコスト平均法)はどちらが適切なのか?

つみたてNISAのボーナス月設定について理解しよう

つみたてNISAのボーナス月設定について解説しました。ボーナス月設定や増額設定はややこしい部分もありますが、活用することで非課税限度額をすっきり使い切ることができます。つみたてNISAの非課税限度額40万円を毎年使い切りたいと考えている人は参考にしてください。

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