2022/03/28

投資信託の種類とは?種類別のリスクまで解説

投資信託の種類について、初心者にもわかりやすく解説します。投資信託には株式型・債券型・REIT型などたくさんの種類がありますが、大きくわけてどんな種類があるのか知りたいという人に向けて、投資信託の基本的な説明から種類ごとのリスクや違いについても解説しますので、参考にしてください。

投資信託とは

投資信託(ファンド)とは、運用のプロであるファンドマネージャーがが投資家から集めたお金を株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果として生まれた利益を投資家に還元する金融商品のことです。どんな対象(株式・債券・商品・特定のテーマなど)に投資するのか、どんな地域(先進国・新興国・特定の国など)に投資するのかなどによって様々な商品があります。株式投資と同じく元本保証ではありませんが、プロの専門家が運用するため投資家は手間をかけずに運用を行うことができます。通常国内や海外の株式に投資をする場合はある程度まとまった金額で購入する必要がありますが、投資信託の場合、多数の投資家から集めた資金で様々な株式や債券を運用するため、投資家は1万円ほどの少額からでも購入することができます。このように投資信託は、投資初心者にとって購入しやすく、手間もかからないため忙しい人にも始めやすい金融商品です。

投資信託の種類

ここからは投資信託の種類について解説します。一口に投資信託と言っても分け方によって様々な種類がありますが、以下に代表的な種類の特徴を解説します。

なお、各項目で示しているリスクはあくまで一般的な目安であって、必ずしも当てはまるものではありませんので十分に注意してください。

1. 投資対象資産で分ける

■株式型投資信託(国内、海外)

最も代表的な投資信託は、企業が資金を調達するために発行する「株式」に対して投資する商品です。株式で運用する投資信託は、企業の成長によって比較的大きな値上がり益を狙えます。そのためリスクを多少とってでも資産を増やしたい人の場合の有力な選択肢と言えます。一方で、値下がりの際の元本割れリスクもやや大きいので注意が必要です。

株式の価格は景気動向や企業の業績、投資家心理など様々な要因によって上下するため、個別の株式投資を行う場合は日々の動向のチェックが欠かせませんが、株式型の投資信託であれば売買する銘柄やタイミングはファンドマネージャーに一任するため、手間がかかりません。現在全ての投資信託の純資産総額のうち70%以上が株式型となっており、一番規模の大きい投資信託です。

なお、株式投資においては配当金や株主優待がありますが、株式型投資信託の場合、株主優待は受けられません(配当を分配金としてもらうことはできます)。

リスク:★★★★☆

■債券型投資信託(国内、海外)

国や企業などが発行した債券で運用する投資信託のことを債券型投資信託と言います。債券は国や企業がお金を借りる際に発行する借用証明書のようなもので、発行元が破綻しない限り、満期まで保有すれば着実に元金と利息が得られるため元本割れのリスクは低いです。

個別に債券に投資した場合、投資した国や企業が破綻した場合、基本的には元本は返ってこないという大きなリスクがあります。一方、投資信託という形で投資した場合、複数の国や企業に投資することになるので、仮に一社が破綻した場合でも、そこまで大きな影響を及ぼしません。

また海外の債券の場合、国内の債券よりも利率が高く収益性が期待できますが、為替の変動リスクも伴います。南アフリカやブラジル、トルコなど特に高金利の海外債券もありますが、注意が必要です。

リスク(国内):★☆☆☆☆

リスク(海外):★★★☆☆

■不動産型投資信託【REIT】(国内、海外)

REIT(リート、Real Estate Investment Trust)とは、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなど不動産のみの購入や運営を行い、賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資家に配当を行う投資信託のことです。つまり、投資者がREITへ投資することで間接的に不動産のオーナーとなり、運用の成果を享受できるという仕組みです。

REITの仕組みは1960年代にアメリカで生まれたもので、日本では2001年9月に初めて市場が開設されました。国内のREITは、JAPANの頭文字をつけて「J-REIT」と呼ばれています。

通常、不動産投資を行う場合は個人で不動産を購入するため多額な資金を必要としますが、REITへの投資であれば少額から、多様な物件に投資が可能です。また株式など他の投資信託と比べて利益がほとんど投資家に分配されるため、投資家は比較的高い分配金を得ることができるというメリットがあります。しかし、REITの収益である分配金は金利変動によって影響を受けて下がってしまう可能性がある、自然災害や環境問題等の様々な予期せぬ事情により不動産が影響を受け、分配金が減少する可能性がある、などREITならではのリスクもあります。

リスク:★★★☆☆

参考記事:REITの種類とは?

■コモディティ投資信託

コモディティとは「商品」のことで、コモディティ投資とは商品先物市場で取引されている原油やガソリンなどのエネルギー、金やプラチナなどの貴金属、トウモロコシや大豆などの穀物といったような現物のあるコモディティに投資することを言います。

コモディティ投資信託は、様々なコモディティを扱うファンドを購入することによって、コモディティに間接的に投資を行う方法のことです。株式や債券とは異なる値動きをする特徴があるため分散投資に有効なほか、コモディティはインフレに強いので、インフレによって物価が上昇するとそれに伴って値上がりするという傾向があります。また実体を有する資産に投資することへの安心感から、投資家によっては好んで選ばれることもあります。しかしコモディティ投資信託においては商品によって価格の変動要因が異なり値動きが読みにくいこと、基本的に外貨建てで決済されるために為替リスク(相場変動により外貨建て資産の価値が変動するリスク)があることなどの注意点もあります。

リスク:★★★☆☆

2. 投資対象地域で分ける

■日本(国内)

日本株への投資を行う投資信託です。身近な投資対象であるだけに、海外の投資信託と比べて比較的値動きが把握しやすいことが特徴です。TOPIX(東証株価指数)に連動する投資成果を目指す投資信託や、日経平均株価に連動する投資成果を目指す投資信託など、様々な種類の商品があります。

国内の身近な投資対象に投資することは安心感がありますが、現在、世界の株式時価総額の比率で見て日本株は1割もなく、高齢化が進み人口も減少している日本は今後も低成長が続くことが予測されており、日本株の投資信託のみに資産を振ることは賢明な選択肢とは言えない可能性もあるのことは注意しましょう。

リスク:★★★☆☆

■先進国

世界の先進国株式に投資する投資信託で、ファンドによってその組み入れ国の割合が異なっています。代表的なファンド「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」を見てみると、投資先の上位は次のようになっています。(2021年12月時点)

国・地域 比率
1. アメリカ 69.1%
2. イギリス 4.2%
3. フランス 3.4%
4. カナダ 3.4%
5. スイス 3.0%
6. ドイツ 2.9%
7. オーストラリア 2.2%
8. オランダ 1.4%
9. スウェーデン 1.1%
10. 香港 0.9%

先進国といっても、最近米国比率が徐々に高くなってきており、今では米国だけで約70%近くを占めています。また銘柄の上位もトップ10全てが米国企業で構成されており、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット(Googleの持株会社)、さらに最近話題のテスラなどのよく知られた企業が上位に組み込まれています。

リスク:★★★★☆

■新興国

世界の新興国株式に投資する投資信託で、ファンドによってその組み入れ国の割合が異なっています。代表的なファンド「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」を見てみると、投資先の上位は次のようになっています。(2021年12月時点)

国・地域 比率
1. ケイマン諸島 24.1%
2. 台湾 13.1%
3. 韓国 12.7%
4. 中国 10.7%
5. インド 9.7%
6. ブラジル 5.1%
7. 南アフリカ 3.3%
8. サウジアラビア 2.8%
9. ロシア 2.7%
10. メキシコ 1.7%

「ケイマン諸島」の比率が一番大きいですが、これはテンセントやアリババなどといった中国企業が占めており、実態としては中国の比率が30%〜40%程度を占めることが多いです。

新興国に投資する株式は市場の暴落時にリスクが高いと思われており、特にリーマンショック以降、先進国と比べると不人気な状態が続いていました。しかし、2020年は新型コロナウイルスのパンデミックが世界的に広がったにもかかわらず新興国株式は早急に回復し、新興国株式の長期的な潜在力に注目が集まってきています。

リスク:★★★★★

3. 運用手法で分ける

■インデックス型

最後に、運用方法で分けた投資信託を紹介します。インデックス型の投資信託とは、日経平均株価などインデックスと呼ばれる指数(市場の平均的な値動き)と同じ運用成果を出すように設計されている投資信託のことです。大きなリスクなく着実に平均的な値動きを享受できるというメリットがある半面、市場の動きを離れた大きなリターンは期待できません。市場の平均的な値動きと同じ動きをするので、ファンドマネージャーの手間がかからず信託報酬などのコストが割安なのが特徴です。

■アクティブ型

インデックス投資とは逆に、日経平均株価などの市場の平均よりも良いパフォーマンスを出すことを目的に運用しているのがアクティブ型投資信託です。うまくいけば平均よりかなり良い運用結果を得られる可能性があると同時に、平均より大きく下回る結果となる可能性もある、高リスクの投資信託です。また、アクティブ型投資信託はファンドマネージャーが独自の調査や分析に基づいて銘柄を選定、運用していくため手間がかかり、信託報酬がインデックス型と比べると高くなります。だいたい1%ほどインデックス型よりも信託報酬が高い商品が多く、長期間運用する場合は1%の差でも大きく積み重なってきますので注意が必要です。


参考記事:

インデックス投資とは?メリット・デメリットからおすすめの投資信託・ETFまで解説

投資信託やETFのコストが長期投資に与える影響

投資信託は無数に種類がある

投資信託の種類について説明しました。実際には本記事で分けた区分だけでなく様々な分け方があり、上記の複合型で構成されるバランス型の投資信託なども存在します。複数の資産クラスに投資することでよりリスクを分散できるため、分散投資の効果でリスクを抑えた運用ができることが特徴です。投資信託の特徴を掴み、自身の運用スタイルに合った商品を選びましょう。

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