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2022/06/01

iDeCoの年末調整申告手順!注意点から控除額まで解説

iDeCoの年末調整申告手順について解説します。iDeCoは老後資金を準備するための制度ですが、掛金が全額所得控除の対象となるため節税効果もあります。所得控除を受けるには年末調整時の申告が必要となるため、きちんと理解して申告を行いましょう。この記事では申告時の注意点から控除額まで解説しますので、参考にしてください。

iDeCoとは

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)とは、公的年金の不足を補う私的年金として2001年にスタートした制度です。毎月自分で決めた金額の掛金を積み立てて運用することで、60歳以降に年金として受け取ることができます。

iDeCoの利用者は年々増えてきており、平成28年度には43.1万人だった加入者が令和3年には201.5万人にまで増加しています。掛金の積立時・運用時・受取時に節税効果も期待できるため、老後資金の不足が叫ばれている昨今、老後の備えの選択肢として注目されている制度です。

参考:iDeCoの現状(iDeCo公式HP)

参考記事:

iDeCoの始め方は?口座開設の方法やおすすめ金融機関まで解説

iDeCoのメリットとデメリット・注意点

年末調整とは

年末調整とは、企業に勤める会社員が一年の所得税の過不足を精算する手続きのことです。会社員の所得税は企業が代わりに給与から天引きして納税していますが、毎月支払っている所得税の金額はあくまで概算金額であり、正しい金額ではありません。そのため、一年の所得額が確定した時点で正しい所得税の金額を再計算し、過不足分を従業員に還付または追加徴収する「年末調整」という手続きが必要になるのです。年末調整の際には扶養控除や保険料控除など必要な書類を提出し、様々な控除を差し引いた上での正しい所得税金額を計算します。

企業に勤めている人は基本的に年末調整の対象となりますが、以下のように一部対象とならない人もいるため注意してください(対象とならない人は、自身で確定申告を行う必要があります)。

参考:年末調整(国税庁)

企業に勤めている人の中で、年末調整の対象となる人

・年末の時点で勤務している人(正社員・パートなどすべての雇用形態の人を含む)

・年度の途中で海外へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人

・以下の理由により、年度の途中で退職した人

 1. 死亡した人

 2. 心身の障害のため退職した人で、 その退職の時期からみて本年中に再就職ができないと見込まれる人

企業に勤めている人の中で、年末調整の対象とならない人

・12月31日時点で会社を退職していて在籍していない人

・その年の給与が2,000万円を超える人

・二つ以上の勤務先から給与を受け取っている人

iDeCoの年末調整手順

会社員・公務員の場合

会社員・公務員の場合、以下1~2の流れでiDeCoの年末調整を行います。

1. 小規模企業共済等掛金払込証明書を受け取る

2. 給与所得者の保険料控除申告書に必要事項を記入し、小規模企業共済等掛金払込証明書とともに勤務先に提出する

まずは、iDeCoを統括している国民年金基金連合会から送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」という書類を確認します。この書類はハガキのようなサイズで、小さくなくしやすいので注意してください。書類が送付される時期については、iDeCoの初回掛金を払い込んだ時期によって以下のように異なります。

・1〜9月に初回掛金を払い込んだ場合:同年10月下旬を目安に送付

・10月に初回掛金を払い込んだ場合:同年11月下旬を目安に送付

・11月に初回掛金を払い込んだ場合:同年12月下旬を目安に送付

・12月に初回掛金を払い込んだ場合:翌年1月下旬を目安に送付

企業が年末調整の書類提出を受け付けている期間はそれぞれ企業によって異なりますが、だいたい11月~12月上旬の間を指定している企業が多いです。つまり、11月か12月にiDeCoの初回掛金を払い込んだ場合は企業の年末調整書類提出日に間に合わない可能性が高いため、その場合は自身で確定申告を行う必要があります。

給与所得者の保険料控除申告書は生命保険などに加入している人が控除を行うために提出する書類です。iDeCoに加入している人は「小規模企業共済等掛金控除」という項目の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」と「合計」の欄に、「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載されている合計金額を転記してください。

年末調整を行って税金の還付金がある場合、所得税については12月または翌年1月の給与支払い時に給与とともに振り込まれ、住民税については翌年6月〜翌々年5月分の金額に還元分が反映されます。

参考:給与所得者の保険料控除申告書(令和3年分)

自営業の場合

自営業の場合は年末調整の対象ではないので、毎年自身で確定申告を行う必要があります。確定申告の場合、以下1~2の流れでiDeCoの掛金控除の申請を行います。

1. 小規模企業共済等掛金払込証明書を受け取る

2. 確定申告書Bに必要事項を記入し、税務署に提出する

会社員と同じく小規模企業共済等掛金払込証明書が送付されてきますので、その書類を基に確定申告書に記入します。確定申告書はAとBがあり、Aが会社員や公務員など勤務先から給与を受けている人が確定申告を行うための書類、Bが自営業の人が確定申告を行うための書類となりますので間違えないようにしましょう。

確定申告書Bの「小規模企業共済等掛金控除」の項目にiDeCoの掛け金として拠出した総額を記入し、「掛け金の種類」の項目に「個人型確定拠出年金」と記入してください。最後に、「支払い掛け金」と「合計」の項目にiDeCoの掛け金として拠出した総額を再度記入して完了です。

確定申告書を作成したら、毎年2月16日~3月15日の申告期限内に税務署に小規模企業共済等掛金控除と確定申告書Bを提出します。所得税の還付金がある場合は毎年4~5月頃に指定口座に振り込まれ、住民税は翌年度の支払い分が軽減されます。

参考:確定申告書B【令和3年分以降用】

iDeCoで軽減できる税負担の目安

iDeCoは掛金の全額が所得税の控除対象となり、税負担を軽減できます。具体的に軽減できる金額が想像つかないという人も多いと思いますので、以下に年収・掛金に応じただいたいの節税効果を記載します。

【年間の所得税・住民税の節税効果(運用利回りを3%と想定)】

年収 掛金月5,000円 掛金月12,000円(公務員の上限金額) 掛金月15,000円 掛金月23,000円(会社員の上限金額) 掛金月68,000円(自営業の上限金額)
300万円 約9,000円 約21,600円 約27,000円 約41,400円 約163,200円
500万円 約12,000円 約28,800円 約36,000円 約55,200円 約244,800円
1,000万円 約18,000円 約43,200円 約54,000円 約82,800円 約350,880円
1,500万円 約25,800円 約61,920円 約77,400円 約118,680円 約350,880円

年収300万円、掛金最小の5,000円の場合でも、年間1万円近くの節税効果があることがわかります。この図は年間の節税金額の目安となるため、60歳までiDeCoを続けていくと合計でさらに大きな節税効果となります。iDeCoは掛金が全額所得控除となる以外に、運用時・受取時にも節税メリットがあります。詳しくは以下記事を参考にしてください。

参考記事:『 iDeCoの節税メリットとは

iDeCoの年末調整に関する注意点

1. 確定申告の期限を過ぎてしまっても申告できる

自営業の人や会社員・公務員で年末調整に間に合わなかった場合には確定申告が必要となります。確定申告は毎年3月15日が申告の期限となっていますが、もしこの期限を過ぎてしまっても還付申告を行うことで還付金を受け取ることができます。還付申告はiDeCoの掛金を支払った翌年の1月1日から5年以内であればいつでも提出が可能で、手順としては確定申告と同じです。確定申告の期限に間に合わなかったからと言って諦めず、過ぎてしまった場合には還付申告を行うようにしましょう。

参考:還付申告(国税庁)

2. 小規模企業共済等掛金払込証明書は必ず原本が必要

小規模企業共済等掛金払込証明書は初回掛金を払い込んだ月によって決まった時期に送付されますが、年末調整の手続きには基本的に小規模企業共済等掛金払込証明書の原本が必要になります。ハガキサイズの送付物なのでなくしてしまう人が多く、なくしてしまった場合は原本の再発行が必要となり時間がかかります。それによって勤務先の年末調整手続き期限に間に合わなくなってしまう可能性もあるため、小規模企業共済等掛金払込証明書は原本を大切に保管しておくようにしましょう。

3. 年末調整の手順は勤務先によって異なる

上記に一般的なiDeCoの年末調整手順を記載しましたが、勤務先によっては手順が異なることもありますので注意してください。例えば勤務先で利用している専用のシステムに入力するだけで年末調整が完了し、手書きで給与所得者の保険料控除申告書に記入する必要が無い企業などもあります。年末調整は手順も締め切り日も勤務先によって異なりますので、人事総務からの情報をよく確認するようにしましょう。

iDeCoの年末調整手順を理解しよう

iDeCoの年末調整手続きについて解説しました。iDeCoの年末調整手続きは手順としては簡単ですが、年末の忙しい時期と重なり提出期限ぎりぎりになってしまったり、期限を過ぎてしまったりということが起こりやすいです。毎年必要な作業になりますので、余裕を持って手続きを終えるようにしましょう。

また、確定申告については新型コロナウイルスの影響等で申告日程が変更になることもあります。確定申告を行う場合には、国税庁の新着情報をチェックしておくと安心です。

参考:新着情報(国税庁)

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