2021/01/10

2020年資金流入ランキング上位の投資信託の手数料・信託報酬・リターンを調べてみた

2020年資金流入ランキング上位の投資信託の手数料や信託報酬などのコストを調べてみました。また、2020年のリターンももとに、ランキング上位を占めるアクティブファンドの意味についても考察します。

2020年の投資信託資金流入ランキング

2021年1月4日の日本経済新聞で、2020年の国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETF、ラップ・SMA専用を除く)の資金流入額のランキングの発表がありました(2020年12月25日時点の数字)。

本記事では、資金流入額上位にランクインした投資信託の、手数料や信託報酬、2019年以前から運用されているファンドの実際のリターン(やS&P500やNASDAQなどの指数との差)などを調べてみました。

米国を中心とした海外株式で運用するファンドが大半

以下の表は、2020年の投資信託資金流入額のランキングに、信託報酬や販売手数料、信託財産留保額などを加えたものです。販売手数料に関しては、上限値を記載しています。インターネット証券を利用する場合はこの販売手数料がかからなかったり安くなったりするものもあります。また、第4位の投資のソムリエのように、みずほ銀行などの窓口でも2.2%で販売されているものや、5,000万円や1億円を超える場合は手数料が安くなるケースなどもありますが、多くの対面の証券会社や銀行では、表にある販売手数料で販売されています。

圧倒的首位が、2020年7月に運用を開始したアセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界(ESG))」で、7,773億円の資金を集めています。上位10本中8本が米国を中心とした海外株式で運用するファンドで、近年の米国株を中心とした株高を反映している結果となっています。

高い信託報酬と販売手数料

OpenMoneyでは、投資の原則としてコストを最小限に抑えるべきだと繰り返しお伝えしています。コストはコントロールできないことが多い投資において、投資家が自分でコントロールできる数少ないことの一つです。ゼロカンマ数パーセントの差が長期投資においては非常に大きな差となります。

これまでご紹介してきたコストの低い「インデックスファンド」と比べると、ランキング上位の投資信託は非常に高い信託報酬と手数料ばかりであると言えます。


参考:

これから投資を始める人への17のアドバイス

投資信託やETFのコストが長期投資に与える影響


下の表は、以前ご紹介したおすすめのインデックスファンドの一覧です。2020年の資金流入上位ランキングのファンドと信託報酬を比べてみてください。販売手数料に関してはこちらはすべてノーロード(=無料)です。

ランキング上位ファンドの2020年のパフォーマンスは抜群に良好?!

たとえ高い販売手数料や高い信託報酬を支払っても、それ以上に大きなリターンが出れば問題ないという反論は常に出てきます。たしかにその通りではあるのですが、ランキング上位をすべて占めているような「アクティブファンド」は、長期的にはインデックスファンドには勝てないということはすでに証明されつつあります。(ただし、インデックスファンドに勝つアクティブファンドは常に存在します。問題は、それを事前に選ぶことはできないし、その年にインデックスファンドに勝ったアクティブファンドが、その後も勝ち続けるケースはほとんどないということも歴史が証明しつつあります。)

そうはいっても、2020年の人気投資信託(アクティブファンド)のリターンは非常に良好だったのではないかと言えます。

例えば、インデックスファンドでも人気の高かった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の2020年のリターンが+10.3%だったのに対し、第3位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は+25.03%、第5位の「テトラ・エクイティ」は+49.62%、第7位の「netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」は+31.85%といったリターンを出しています。(ちなみに、第10位の「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」は-6.07%のリターンでした。)これだけ見ると、高い信託報酬と販売手数料を払ってでもおつりがくるようなリターンが出ていたと言えます。

ただし、2020年に大きなリターンを出している投資信託の中身をみてみると、構成銘柄の上位には、アップルやマイクロソフト、アマゾン・ドットコム、アルファベット(グーグル)、フェイスブック、ビザといった銘柄が占めているケースがほとんどです。似たような銘柄が構成銘柄の上位を決めるアメリカのNASDAQ100指数の2020年のリターンが約40%だったことと比べると、「たまたま運が良かった」ないしは、「それだったら最初からNASDAQ100に連動する指数に投資していた方がリターンも良かったし、コストもかからなかった」とも考えられます。

アクティブファンドで市場平均に勝ち続けることはできるのか?

今後も市場平均に勝ち続けることができるアクティブファンドに投資することは可能なのでしょうか?非常に運が良ければ、そういったファンドを保有し続けることはできるかもしれません。2020年に人気だったファンドが、2021年やその先どうなるのか、引き続き検証していければと思います。


参考記事:

インデックス投資とは?メリット・デメリットからおすすめの投資信託・ETFまで解説

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