2020/12/03

これから投資を始める人への17のアドバイス

これから投資を始める人へ向けて、17のアドバイスをお伝えします。投資初心者だけでなく、すでに投資を始めている方も是非ご覧ください。主に、20代・30代の若年層の方を想定していますが、40代以降の方でも十分に参考になるはずです。

これから投資を始める人への17のアドバイス

OpenMoney編集長のSHOです。OpenMoneyは「お金の情報をオープンにすることで、よりよいお金の選択ができるようにサポートする」ことを目指して立ち上げられました。ここでは、OpenMoneyに登録されているデータをさまざまな角度から分析するコンテンツの他、各専門家やユーザー(個人投資家)へのインタビュー、資産運用・資産形成・保険・不動産投資などをはじめとするお金に関するさまざまなコンテンツを公開していく予定です。編集長である私に寄せられるさまざまな質問などについてもこちらでできる限り回答していければと思っています。


今回は、私が日頃、「これから投資を始めようと思っているんだけどどうしたらいいか?」という質問・相談を受ける時にお伝えしているアドバイスをご紹介します。相談に来られる方の大半は20代〜30代の方ですが、多くの部分で年代を問わずに有効なアドバイスだと思います。これから投資を始めようと考えている投資初心者の方だけでなく、すでに投資を始めている方でも参考になることはあるかと思います。


なお、ここでいう「投資」とは、長期での資産運用・資産形成を前提としています。短期間で大きく儲けようとする行動などを便宜上「投機」「ギャンブル」と表現していますのでご了承ください。

1. 投資の目的・目標を設定をする

適切な投資ができるかどうかは、投資の目的と目標をいかに明確に設定できているかどうかに大きく左右されます。投資の目的や目標は、人によって大きく変わってきます。それによって、投資の計画や運用方針なども大きく変わってきます。この大前提となる人それぞれの目的を理解していないがために、他人との多くの不毛な論争も世の中には発生しています(そもそも、投資を人と比べる、というのが愚かな行為なのですが)。

「老後の生活のため」であったり、「20年後にセミリタイアしたい」であったり、投資の目的は人それぞれですが、基本的には長期的な視点で考えましょう。できれば20年、30年、40年といったスパンで考えるのが望ましいです。

2. 長期で考える

投資の目的・目標を設定する時に大事なもののひとつが「期間」です。この「期間」はできるだけ長期で考えてください。投資は短期で儲けるものではありません。「できれば2,3年で資産を倍にしたい。あわよくば1年で倍にできると嬉しい。そして絶対に損はしたくない」といった相談もよく受けるのですが、それは「投資」ではありません。投資とは長期的な視点にもとづいて実行していくものです。投資をしていく中で、時には数年で資産が倍になったり、その逆に、1年(あるいはたった数ヶ月や数週間)で半分になったりすることもあるかもしれません。「そういうことも起こりうる」と認識した上で、「短期で儲ける」とか「大きく儲ける」といったことではない適切な投資目的・投資目標を設定してください。

3. 期待リターンを高く考えすぎない

期待するリターンは高く考えすぎないようにしましょう。過去のリターンの範囲内に収めるようにしてください。ひょっとすると、過去のリターンでも高すぎる可能性もあることを認識しておいてください。過去数十年から100年200年といった長期間のデータでは、世界の株式指標の基準として使われることが多いS&P500指数で、年間のリターンは約7%程度です。(直近の10年間では10〜11%程度となっています。)株式での資産形成を考える場合は、この数字に収まる範囲で考えておくのが良いでしょう。

ちなみに、期待リターンを7%で考えると、資産は10年後には約2倍、20年後には約3.8倍、30年後には約7.6倍になります。リターンを4%で考えた場合は、10年後に約1.5倍、20年後に約2.2倍、30年後には約3.2倍になります。これが「長期」と「複利」のパワーです。複利は、長期であればあるほど効果を発揮していきます。

4. 長期でも損をする可能性がある

「短期間で大きく儲けたい」とセットでよく言われるのが「でも絶対に損はしたくない」です。基本的には、リターンを求めるほどリスクは増大します。投資において「絶対に損をしない」ということはありえません。(逆に、「絶対に損をしません」「高い利回りを保証します」「元本保証です」と謳う投資商品はほぼ間違いなく詐欺である可能性が高いので注意してください。)特に、短期間では、損が続いたり、大きな損失が出る場合も多いです。

さらに、長期間においても、上記3の期待リターンシュミレーションでは20年後、30年後と大きく資産が増加していますが、必ずしも増加するとは限りません。30年後もプラスになっていない(損をしている)可能性もありうるということも認識した上で、投資を始めましょう。ちなみに、30年以上の長期間でのリターンとなると、過去のデータ上はマイナスとなることはほぼありえないですが、「過去はありえなかったから未来もありえない」ということはありえません。

5. 耐えられる損失を想定する

投資を始める前に、自分がどれくらいまでの損失であれば耐えられるのかを考えてみてください。おそらく、これまでに投資をしたことがない人であればあるほど、耐えられる金額は少ないと思います。さらに、人は自分が思っている以上に損失から受けるダメージが大きいものです。(そして利益には興奮します。)そのことを踏まえた上で、最初は投資するのが良いでしょう。例えば、この金額だったら半分以下になってもいいやと思える金額でまずは始めてみるといった調整の仕方でも大丈夫です。実際に投資をしていく中で、この「リスク許容度」も変わっていくと思いますので、時々考え直してみてください。

6. 全世界の株式をまとめて買う

投資において大事な考え方に「資産配分(アセットアロケーション)」というものがあります。資産配分(アセットアロケーション)とは、運用する資産を「国内株式」や「外国株式」「国内債券」「現金」などにどのような割合で配分するかということです。(これがさらに具体的な商品となって組み合わせたものを「ポートフォリオ」といいます。)投資においては、この資産配分というのが非常に重要になってきます。


20代・30代でこれから投資を始める方には、基本的にはこの資産配分の大部分を「株式」に、さらにいうと「全世界の株式にまとめて投資するような形で投資信託やETFを保有する」ことをおすすめしています。

※ただし、これは投資目的・目標、その人自身のリスク許容度などによっても大きく変わってくるので、十分に注意が必要です。

7. コストを最小限に抑える

実際の投資商品を選ぶにあたって、非常に重要になってくるのが「コスト」です。市場(マーケット)がどうなるかということは自分ではコントロールできないことですが、コストの低い商品を選ぶということは、投資において投資家ができる数少ないコントロール可能なことです。

投資の世界においてはゼロカンマ数パーセントの差は大きいです。特に長期であればあるほど、非常に大きな差となります。

8. インデックス投資をする

5では「全世界の株式にまとめて投資するような形で投資信託やETFを保有する」、6では「コストを最小限に抑える」と書きましたが、これらを可能にするのが、インデックス投資です。インデックス投資によって、「コストを最小限に抑えて全世界の株式にまとめて投資する」ことが非常に少額からでも始めることができます。「インデックス投資」であれば、投資信託でもETFでもどちらでも問題ありません。1つの投資信託・ETFだけで全世界の株式にまとめて投資することも可能ですし、いくつかの商品を組み合わせて、全世界の株式に投資している状態を作ることも可能です。(例えば、先進国の株式にまとめて投資する商品と新興国の株式にまとめて投資する商品をそれぞれ保有する、などです。)実際に投資信託やETFを選ぶ際は、コストを意識し(インデックス投資であればたいてい低いコストですが、商品によって差があります)、さらに「純資産総額」というのがある程度大きいものを選択することをおすすめします。

9. 個別株を買わない

「投資を始めようと思うのですが、どこの会社の株を買ったらいいですか?」「この株を買ってみようと思うのですが、どう思いますか?」という相談も多いです。投資に興味を持つきっかけとして、個別株(トヨタやソニー、海外であればAmazonの株を買う、ということです)を少し買ってみるのは素晴らしい体験だと思いますが、長期の資産形成において個別株を買うことはおすすめしません。個別株を買うのは趣味です。そして、個別株を日々売り買いするのは投機・ギャンブルです。資産運用は「インデックス投資」にしましょう。(なお、「この株を買ってみようと思うのですが、どう思いますか?」という質問に対しては、私の答えは常に「よくわかりません」となります。)

10. 今すぐ始めるのが正解

「投資を始めようと思うのですが、もう少し下がったら買い始めようと思います」という相談もよく受けますが、始めるなら「今すぐ始める」が正解です。投資を始めるのに、タイミングは関係ありませんし、そもそも投資においてタイミングを計ってはいけません。いつでも、どんなときも、「今すぐ始める」のが正解です。特に、若ければ若いほど良いです。これから投資を始めようと思った20代・30代の方であれば、今すぐ始めましょう。

いつ暴落が来るのかはわかりません。おそらく、どこかではそういう局面もあるでしょう。もしかしたらこの先10年以上大きな暴落はこないかもしれませんし、年内に大暴落するかもしれません。いつ来るかわからない暴落局面を見計って投資をする・しないを決めるのではなく、そうなった時でも耐えられる金額を投資資金にすることで調整しましょう。

11. 現金比率を把握する

最初のうちはそこまで気にする必要もありませんが、資産がそれなりに増えてきたなと感じてきたら、運用資産全体の中での現金の比率にも気にかけてください。年齢にもよりますが、しばらくは0%〜10%ほどで良いかと思います。ここでいう現金とは、「運用資産」という枠組みの中での現金比率であって、普段の生活で使っているような現金や近い将来必要になってくる現金、確実に使うことがわかっている現金などは除いてください。

※こちらも人によって大きく変わってくる部分ですので、注意が必要です。

※現在の超低金利下での話であるため、金利水準によっては、ここでいう「現金比率」は「債券比率」となる可能性もあります。

12. 規律ある行動をどんなときも必ず続ける

投資目的・目標からできた投資計画に沿って、規律ある投資を続けてください。例えば、「退職後の生活のために、30年間毎月3万円を投資し続ける」と決めた場合は、マーケットで何が起きていても(今までの資産が半分になってしまったなど)、投資をし続けてください。投資計画自体を見直すことは時には必要ですが、マーケットの要因(資産が増えている・減っている)で投資行動を変えてはいけません。

20代・30代の方であれば、毎月の給料から出せる金額を、ひたすら機械的に投資するという「作業」をただ続けることが重要です。それ以外にやることは、ほとんどありません。途中で止めずに、とにかく続けること。途中で止めることのない、無理のない金額で始めることが重要です。

また、「規律」に関連して言えば、20代・30代のうちから、少額でもしっかりとお金を残すことも大切なことです。「20代のうちからお金を貯める必要なんてない」と明言する方もいますが、もしも資産形成について真剣に考え始めているのであれば、できる限り早くスタートを切ることが正解です(こうした発言を否定するつもりはありません)。

13. 日々の資産の変動に一喜一憂しない

投資を始めると、時には短期間で資産が大きく増えたり、逆に短期間で資産が信じられないくらい減ることもあります。そうした時、誰しもが一喜一憂するでしょう。そうでなくても、投資を始めた頃は、ほんの少しの価格の上下に敏感に反応してしまう方が多いと思います(あるいは長年投資をしている人でも変わらないかもしれません)。なかなか難しい話ですが、こうした日々の価格の上下にはなるべく早く慣れて、気にしないようにしましょう。ただし、自分がこれだけ損すると、こんなにも精神的にダメージを受けるのか、と早いうちに認識しておくのはいいことかもしれません。(5の「どれくらいまでの損失なら耐えられるかを想定する」も参照してください。)

14. 人と比べない

投資を始めると、投資について話す友人ができたり、インターネット上でさまざまな情報に触れる機会が増えます。その際、投資成績などを比べないように注意してください。友人やインターネット上での短期間で大きな利益を出した話(例えば、「月利」何パーセントなどと言っているような人は要注意です。)や、おすすめの個別株などについては十分注意してください。人に薦められて購入したものが損失を出した時のダメージは、自分の判断で投資をして損失した時のダメージよりも大きいものです。短期間で大きな利益を出した人がいると、ついつい気になってしまったり、影響を受けたりしがちです。こと投資に関しては、Twitterなどからの知識で十分というのはおそらく間違っています。もちろん、インターネット上にも大変有意義な情報もたくさんありますが、興味があれば名著と呼ばれているような本を何冊か読む方が効果的です。

一方で、(インターネット上かどうかを問わず)投資についてコミュニケーションが取れる友人ができることは素晴らしいことだと思います。是非、そういった友人を見つけてください。

15. 投資よりも大切なことに時間を使う

投資の勉強はし続けるべきだけど、もっと大切なことがきっとあるはずです。投資の勉強はし続けるのが良いでしょう。ただし、どんなときも、これまでのアドバイスを踏まえた上で勉強してください。間違っても、「短期間で大きく儲ける方法」であったり、「今後マーケットは上がるのか下がるのか」「月利数十パーセントを出すためには」などといったことに時間を割かないでください。また、投資の勉強をするにしても、普段の時間をあまり取られないようにしてください。もっと有意義なことがたくさんあるはずです。

ちなみに、私が相談を受ける多くの20代・30代の方には、「なによりも自分の仕事に集中すること、時間を使うことが大事で、その方が資産形成上も大きいインパクトを与える可能性が高い」とお伝えすることが多いです。

16. まずは実際に始めてみる

投資も習うより慣れろ、少額でもいいのでとにかくまずは実際に始めてみることが大切です。実際に自分の頭で考えて、身銭を切ることによって得られるものが一番の勉強になります。ここまでいろいろと説教臭く書いてきましたが、まずは好きな個別銘柄を買って、「デイトレ」をしてみても構いません(もしかしたら短期間で大儲けするかもしれません)。

17. アドバイスを見返す

ここまでのアドバイス通りに、投資目的・目標を定めた上で、何にどれだけ投資をするのかを決め、規律を持って淡々と変わらない行動ができるようになれば、投資家としてはすでに上級者です。これまでに多くの方が、順調に投資を始めていますが、時間が経つとついつい忘れてしまうことも多いものです。インデックス投資で始めたつもりが、気づけば個別銘柄ばかりで日々の株価か気になって仕事に手がつけられなくなったり、ついついほんの数パーセントの下げですべて売ってしまったり。このアドバイスに少しでも納得感があれば、是非何度も読み返していただくことをおすすめします。

相談もお気軽にどうぞ

以上、これから投資を始める人へ向けて、17のアドバイスをお伝えしました。私自身もまだまだ未熟で無知であり、日々勉強中でもあるため、間違いやツッコミどころもあるかもしれません。その場合は、ご指摘いただけましたら幸いです。


また、現在、お金全般に関する質問や相談も受け付けています。OpenMoney上にて、質問・相談用のフォームも準備中ですが、しばらくは以下リンク先のサービス(匿名での質問・相談が可能です)からご連絡いただけましたら、できる限りお答えさせていただきます。質問・相談は個人が特定されない範囲で、Twitter上やOpenMoney上でお答えさせていただく予定です。


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