2022/05/11

住宅ローンの種類をわかりやすく解説

マイホーム購入時に多くの人が利用する住宅ローンの種類について解説します。住宅ローンは身近な存在ですが、借入先や金利タイプなど種類がたくさんあってよくわからないという人も多いのではないでしょうか。この記事では返済方法の違いから民間、公的といった借入先の違いまで初心者にもわかりやすく解説します。

住宅ローンとは

住宅ローンとは、その名の通りマイホームを購入するために組むローンのことを指します。原則として、借り入れる本人やその家族が居住するための住宅を購入するための費用のための利用と定められており、自分で住まず人に貸すための物件やセカンドハウスの購入に住宅ローンを利用することはできません。

住宅ローンの利用には審査がありますが、審査が通れば新築物件だけでなく、中古物件にも利用することができます。また、住宅を建てるためであれば土地を購入するためにも利用することが可能です。

借入先で分ける

住宅ローンには主に3つの借入先のタイプがあります。多くは民間のローンになりますが、状況に合わせて他の借入機関も検討する必要があります。

1. 民間融資

民間ローンとは、メガバンク・地方銀行・生命保険会社といった様々な金融機関が扱っている住宅ローンのことです。また、近年ではネット銀行の利用者も増えてきています。各金融機関がそれぞれ独自の住宅ローンを用意しているため、金利やサービスなどがそれぞれ異なります。不動産業者によっては、特定の金融機関と提携してローンを提供している場合もあり、通常より安い金利で借りられる場合もあります。民間ローンを検討する場合は、まず不動産業者に相談してみるとよいでしょう。

2. 公的融資

民間融資に対し、国が運営する独立行政法人や自治体などの公的機関が行う融資のことを公的融資と言います。公的融資には財形貯蓄などを行っている会社員や公務員を対象とした「財形融資」や、都道府県や市区町村などの自治体が行う「自治体融資」などの種類があります。

・財形融資とは、企業の福利厚生として利用できる住宅ローンのことで、勤務先にて財形貯蓄を1年以上行うなど、一定の条件を満たした人のみが利用することができます。保証料や融資手数料がかからず諸費用が安くなるというメリットがありますが、企業によって制度を活用できるかどうか異なりますのでまずは勤めている企業に確認してみましょう。

・自治体融資とは地方自治体が行っている住宅ローンのことで、自治体ごとに収入要件や居住期間・年齢など、利用できる条件が異なります。審査基準が比較的緩く、民間融資と比べると利用しやすいメリットがある反面、借りられる最大金額が低い・融資年数が短いなど融通は利きにくい特徴があります。

現在では民間融資を利用する人が大半ですが、何らかの理由で民間融資を利用できない人や、勤め先の企業で財形融資を利用できる人などは検討してみるとよいでしょう。

3. フラット35

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して扱っている住宅ローンのことで、民間融資と公的融資の中間的存在になります。返済期間中最長35年間金利が固定され変わらないという特徴があり、民間融資と同じく銀行、信用金庫、信用組合などを通して申し込みます。フラット35を利用するには購入する物件が融資条件に適合するかの検査が必要になりますが、勤続年数や年収などに条件がないため幅広い人が利用することができます。

詳しくは以下記事を参考にしてください。

参考:『フラット35とは?民間住宅ローンとの違いから利用する上での注意点まで』 

金利タイプで分ける

住宅ローンには主に3つの金利タイプがあり、それぞれにメリット・デメリットがあるため自身の状況に合わせて適切な金利タイプを選ぶ必要があります。フラット35の場合は全期間固定金利のみ選択できますが、通常民間融資では固定金利型・変動金利型・固定金利期間選択型の中から選択することができます。

1. 固定金利型

固定金利型は、返済開始から完済時まで金利が固定で変わらない金利タイプのことを言います。市場の金利が変動しても借入金利が変わらず、返済額が一定なため返済計画が立てやすいメリットがあります。しかし、現状の金利状態では変動金利型や固定金利期間選択型と比べると固定金利の方が金利が高く設定されてしまうというデメリットもあります。

2. 変動金利型

変動金利型は、返済期間中に定期的に金利が見直される金利タイプのことを言います。他の2つの金利タイプと比べると金利が最も低く設定されていることが多く、このまま低金利の経済状態が続けばずっと低金利で借り続けられるというメリットがあります。しかし、もし今後金利が上昇した場合には、返済額も増加し負担が大きくなるというリスクもあります。

変動金利の金利は半年に一度見直され、実際の返済額への反映は5年ごとに行われています。また、もし急激に金利が変動した場合でも「125%ルール」と言って金利変更前よりも125%以上は上がらないようになっています。

3. 固定金利期間選択型

固定金利選択型は、返済開始から一定期間(3年・5年・10年など)固定金利を選択することができ、期間終了後は自動的に変動金利型に移行するという金利タイプのことです。金融機関によっては固定期間終了後、再度固定金利を選択できる商品もあります。金利水準は固定金利型と変動金利型の中間に位置付けられ、メリットやデメリットも固定・変動両方の性質を持ちます。

固定金利選択型独自の注意点としては、固定金利期間が終了し変動金利へ移行するタイミングでの金利見直しには前述の125%ルールは適用されないため、そのタイミングで金利が大幅に上昇している場合、変動金利への移行に伴い大きく金利が上昇する可能性があります。

【参考】住宅ローン利用者の金利タイプ

住宅金融支援機構が2021年に行った調査によると、2020年10月から2021年3月までに住宅ローンの借り入れを行った1,500人のうち、金利タイプは以下のような割合となっていました。

金利タイプ 割合
変動金利型 68.1%
固定金利型 11.2%
固定金利期間選択型 20.7%

変動金利型の割合が2017年の56.5%から10%以上増えているのに対し、固定金利型は13.3%から約2%減、固定金利期間選択型が30.1%から約10%減という結果となりました。引き続き低金利が続く現状では、変動金利を選択する人が今後も増えていきそうです。

参考:住宅ローン利用者の実態調査(住宅金融支援機構)

その他住宅ローンの種類

その他にも、住宅ローンには返済方法や住宅ローンの組み方などに違いがあります。主な種類は以下の通りです。

元利均等返済

元利均等返済とは元金と利息を合わせて均等に返済する住宅ローンの返済方法のことで、毎月の返済額が常に同じ金額になります。返済金額は一定で変わらない一方、返済開始したばかりのころは借入の残高が大きいため、利息として支払う金額の割合が大きく元金の返済分の割合が小さくなります。

毎月の返済額が変わらないことで返済計画が立てやすいというメリットがありますが、元利均等返済だと元金部分の減りが遅いため、総返済金額は元金均等返済よりも大きくなってしまうというデメリットがあります。

元金均等返済

元金均等返済とは、ローンの元金にあたる金額を返済期間で均等に割り、さらに残高に応じた利息を上乗せした金額を支払うという住宅ローンの返済方法です。元金の返済額は毎月一定ですが、利息分の返済金額は借入残高によって毎月異なるため、月々支払うローンの返済金額が変動します。つまり最初に支払う金額の負担が大きく、だんだんと金額が小さくなり負担が減っていくという返済方法です。支払い金額が変動し返済計画が立てづらいというデメリットがある一方、元金部分の減りが早いため、元利均等返済と比べると総支払金額が少なくなるというメリットがあります。

※元金均等返済は金融機関によっては扱っていない場合もあります。

単独ローン

1人が単独で住宅ローン契約者になり、住宅購入に必要なお金を借りるのが単独ローンです。結婚している場合も夫婦のどちらかが単独ローンを組むことで、自宅の名義も100%単独で所有することとなります。単独ローンの場合は契約が1つだけなので、手数料が必要最小限で済むこと・相続や離婚時にトラブルになりにくいなどのメリットがありますが、後述するペアローンと比べると借り入れできる金額が少ないなどのデメリットもあります。

ペアローン

ペアローンとは、住宅購入に必要な額のローンを夫婦それぞれで個別にローンを組む方法のことを言います。夫婦個別で融資を受けるため総額として単独ローンよりも多い金額の融資が可能になる、住宅ローン控除などの制度を2人それぞれ利用できるなどのメリットがありますが、契約が2つとなるため手数料が単純に倍になる、借り入れ金額が大きくなりリスクが高くなるなどのデメリットもあります。

また、どちらかの収入が減少したため相手分のローン返済を手助けしてしまうと贈与税の課税対象となってしまうなど、気をつけなければいけない注意点もあります。ペアローンを組む場合はお互いの返済能力をよく考慮するようにしましょう。

参考記事:『住宅ローンをペアローンにするメリット・デメリットを解説

親子リレーローン

親子リレーローンとは、主に親子で1つの住宅ローンを契約し、二世代に渡りリレー方式で返済を行う制度のことです。金融機関によって決まった一定期間が過ぎると、親から子へ住宅ローンの返済義務が引き継がれます。子ども世代の年齢を基に借入可能期間が決まるため、親が高齢で長期間のローンが組めなさそうな人でも、親子リレーローンにすることで借入期間を延ばせる可能性があります。ペアローンとは異なり親子で1つの契約となるため、諸費用は単独ローンと同じく1契約分しかかかりません。金融機関によって親子リレーローンを組める条件は異なりますので、検討する場合はまず金融機関に相談してみましょう。

リフォーム専用ローン

一般的な住宅ローンとは少し異なりますが、住宅用のローンとしてリフォーム専用ローンというものもあります。中古住宅を購入する場合、購入と同時にリフォームを行う場合もあるかと思います。そのような場合、住宅ローンではリフォーム分の費用を借りられない金融機関もあるため、自己資金でリフォーム費用が賄えない場合はリフォーム専用ローンを検討する必要があります。住宅ローンとの主な違いは以下の通りです。

項目 住宅ローン リフォーム専用ローン
金利 リフォーム専用ローンと比べると低い傾向がある 住宅ローンと比べると高い傾向がある
金利タイプ 選択できることが多い 変動金利のみであることが多い
返済期間

最長で35年

最長で15年程度
借入上限金額 年収による 最大で1,500万円程度

自分に合った住宅ローンを選択しよう

住宅ローンの種類について解説しました。金利タイプからローンの組み方まで、様々な種類があることが理解できたかと思います。それぞれの状況に応じて最適な住宅ローンは異なりますので、場合によっては複数の金融機関に相談に行くことも大切です。また、契約の際は細部まで情報を確認し、後から知らなかった部分が出てくることがないようにしましょう。

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