2022/04/26

不動産投資ローンのよくある6つの失敗パターンと、失敗を防ぐための4つのポイント

不動産投資を行う際に利用する不動産投資ローンについて、よくある失敗パターンと失敗を防ぐためのポイントを解説します。不動産投資ローンはレバレッジ効果を効かせることができる魅力的な制度ですが、当然リスクや注意点も存在します。金利タイプや管理費用、空室リスクなど気をつけるべき点をおさえて計画的に返済していきましょう。

不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、不動産投資のために金融機関から受けることができるローンの名称です。自身が住むための住宅を購入するために組む住宅ローンとは審査基準が異なり、購入する投資物件の収益性なども審査されます。

不動産投資ローンには主に個人投資家が利用するアパートローンと、個人投資家から事業主までより投資規模の大きい人が利用するプロパーローンがありますが、この記事ではアパートローンについて、利用する上でよくある失敗パターンと失敗を防ぐためのポイントを解説します。

参考記事:『【初心者向け】不動産投資ローンとは。種類や組み方、手順や審査基準まで

不動産投資ローンのよくある失敗パターン

1. 審査に通らず、時間を無駄にしてしまった

不動産投資ローンは、借主の属性はもちろん、購入する物件の収益性まで細かく審査されます。人によっては複数の金融機関に不動産投資ローンを申し込んでも全滅だった、というケースもよくあります。書類を準備したり金融機関へ面談へ行ったりと不動産投資ローンは審査に手間と時間がかかりますので、もし自分の属性が審査に通りにくいなと思った場合は申込をする前に属性を上げる努力をすることをおすすめします。審査の基準を明確に示している金融機関はあまりないですが、主に審査に落ちてしまう要因は以下のようなポイントになります。


不動産投資ローンの審査に通らない理由

・信用情報に問題がある(支払遅延が複数あるなど)

・勤務先、勤続年数、職種、年収(倒産リスクが高い・勤務年数が短い、年収が低いなど)

・年齢制限

・自己資金が少ない

・物件に問題がある(収益性、耐用年数など)

2. レバレッジをかけすぎてしまった

不動産投資ローンでは、だいたい年収の7倍~10倍程度の金額の融資が可能になります。自己資金以上の金額で物件を購入することによって、レバレッジ効果をかけながら不動産投資の収益を最大化することができます。しかし、借入金額が大きいほど金利の影響も大きくなり利回りが悪化することになるため、レバレッジをかければかけるほどリスクも上がることになる点には注意が必要です。返済能力を甘く見積もって融資限度額までローンを組んでしまうと、ふとしたきっかけで返済不能になり物件を差し押さえられてしまう可能性もありますので、気をつけましょう。

3. 空室が続き返済が滞ってしまった

当たり前のことですが、不動産投資ローンは審査に通って終わりではなく、その後長い返済期間が始まります。その間購入した物件がずっと順調に運用できていれば良いですが、空室が続いてなかなか家賃収入が入らないというときも出てくるでしょう。その場合に余剰資金を残していないとローンの返済が難しくなってしまいますので、物件購入時に自己資金をすべて使ってしまうのは避けて余裕を持った運用を行うことが大切です。空室リスクに対しては対策としてサブリース契約が有効ですが、サブリースにも様々な種類がありますので契約内容はよく確認するようにしましょう。

4. 管理費用が嵩み返済が滞ってしまった

不動産投資においては空室リスクだけでなく、修繕リスクも存在します。特に中古の一棟物件を購入した場合は急に大規模な補修工事が必要になるなど、まとまった資金が必要になる可能性が他の物件よりも高くなります。予期せぬタイミングで費用がかかることになり、不動産投資ローンの返済が滞ってしまうというケースもあるため、ローンの返済に全力を注ぐのではなく余力資金も残しておくようにしましょう。

5. オーバーローンで物件を売却しても返済が完了しなかった

オーバーローンとは、物件価格以上の金額を借り入れることで物件の諸経費や管理費用もローンで返済するというというローンの形のことです。オーバーローンを利用することで自己資金に手を付けることなく不動産投資を行うことができるため、レバレッジ効果を最大に発揮することができ、資金を手元に残しておけるというメリットがあります。しかし、オーバーローンは返済額が多額になるため、リスクも大きくなります。物件の収益性を見誤ってしまうとローンの返済が難しくなり、物件を売却しなくてはならなくなるケースもあるため気をつけましょう。しかもオーバーローンの場合、売却してもなおローンが残ってしまうという最悪の状況になりかねません。収益性の高い物件があった場合にオーバーローンは魅力的ではありますが、リスクも高いということをしっかり認識しておきましょう。

※オーバーローンはすべての人が利用できるわけではありません。

6. 過度の繰り上げ返済で資金不足になってしまった

不動産投資ローンを組んだ後、支払う利息を少しでも少なくしたい、少しでも早く完済したいという思いから繰り上げ返済を行う人もいるでしょう。しかし繰り上げ返済には手数料がかかる(一回の繰り上げ返済につき数千円~数万円の金融機関が多い)、自己資金不足で不測の事態に対応できなくなるなどのデメリットもあります。繰り上げ返済自体は悪ではありませんが、何度も細かく行ってしまうと手数料が嵩みますし、急な修繕などに対応できなくなってしまう可能性があります。手持ち資金とのバランスを常に確認しながら、資金に余裕ができただけ繰り上げ返済を行うようにしましょう。

参考記事:『不動産投資ローン、繰り上げ返済のメリット・デメリット

不動産投資ローンの失敗を防ぐためのポイント

1. ローン審査の前に属性を上げる努力を行う

不動産投資ローンは、一ヶ月ほどの時間をかけて借主の属性や購入物件の収益性などを細かく審査します。審査に落ちていくつも金融機関を回ったり必要書類を準備するのは手間と時間がかかるため、審査に通るために事前にできる努力は行っておきましょう。

・自己資金を増やす

・他のローンがある場合は金利や返済計画の見直し

・クレジットカードの解約や限度額の引き下げ

特に自己資金については、物件価格の20%程度用意できると審査に通る可能性が上がる金融機関が多いようです。できる努力は行い、万全の状態で審査を受けるようにしましょう。

2. 物件の価格が適正かを吟味する

不動産投資ローンがあるからといって、適正より高い価格の物件を購入してしまうとローン返済がうまくいかない可能性が高くなります。ローンが通りそうだからという理由で高額な物件を購入するのではなく、まずはその物件が適正価格で収益性が見込めるかどうか、できれば複数の会社から見積もりをもらい価値を吟味することが大切です。また、ローンを組む際は無理して限度額まで借りないことも重要です。いまは低金利が続いているとは言え、ローンは利息を払わなくてはいけない借金です。自己資金や物件の収益性を慎重に判断しながら、自分にとって完済可能だと思える金額までの借入に留めておきましょう。

3. 家賃収入や管理費用のシミュレーションは厳しく行う

不動産投資ローンの返済は主に物件の家賃収入から行います。そのため返済のシミュレーションは家賃収入やかかってくる管理費用の想定が非常に重要となり、ここで甘い予測をしていると返済が滞る原因になりかねません。例えば空室期間が続いた場合や、10年~15年のスパンで大規模修繕を行った場合、耐用年数より早く設備が故障した場合など、シミュレーションは厳しく行いその予測を把握しておくようにしましょう。

4. 出口戦略をあらかじめ考えておく

不動産投資ローンを組む上で、出口戦略をあらかじめ考えておくことも重要です。万が一ローンの返済が厳しくなったとしても、物件を売却することで残債を一括返済できる状態であれば、投資した元本を回収できる可能性は高いと言えます。しかし物件は年々資産価値が減少していきますし、家賃も下がる傾向にあります。物件価格が低い状態で売却すると、結果的に手元資金をローン返済に充当することになり、不動産投資ローンの返済は失敗となってしまいます。この失敗を防ぐためには、あらかじめある程度の出口戦略を考え(売却するなら目安は何年後かなど)、物件売却の値段を含めてトータルで利益が出ると判断した物件のみを購入するようにしましょう。

不動産投資ローンは慎重に利用しよう

不動産投資ローンについてよくある失敗パターンと、失敗を防ぐためのポイントについて解説しました。自己資金以上の物件を購入できることができる不動産投資ローンですが、確実に完済までたどり着けるように慎重にシミュレーションを行う必要があります。失敗パターンを学んで、健全な運用を行いましょう。

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