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2022/05/02

不動産投資ローン、繰り上げ返済のメリット・デメリット

不動産投資ローン(アパートローン)を利用して不動産投資をする場合に、繰り上げ返済を行うメリットとデメリットについて解説します。現在は超低金利時代と言われていますが、利息の支払いを少しでも少なくするために繰り上げ返済は有効です。繰り上げ返済の種類から、メリットとデメリット、利用する場合の注意点まで詳しく解説します。

不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、不動産投資のために金融機関から受けることができるローンの名称です。自身が住むための住宅を購入するために組む住宅ローンとは審査基準が異なり、購入する投資物件の収益性なども審査されます。

不動産投資ローンには主に個人投資家が利用するアパートローンと、個人投資家から事業主までより投資規模の大きい人が利用するプロパーローンがありますが、この記事ではアパートローンについて、繰り上げ返済を行うメリット・デメリットについて解説します。

参考記事:『 【初心者向け】不動産投資ローンとは。種類や組み方、手順や審査基準まで

繰り上げ返済とは

繰り上げ返済とは、不動産投資ローンの月々の返済額にプラスして前倒しで返済を行っていくことです。繰り上げ返済の中には以下の2つの種類があります。

返済期間短縮型

ローンの一部を繰り上げ返済し、その後の月々のローン返済額を変えず、完済までの期間を短くできるのが「返済期間短縮型」と言われる繰り上げ返済の方式です。返済する期間を短縮できるため、短縮した期間に発生する予定の利息を払う必要がなくなり、総支払額が少なくなります。利息の削減効果が大きい繰り上げ返済方式です。

返済額軽減型

ローンの一部を繰り上げ返済し、その後の返済期間はそのまま変えずに月々の返済額を減らせるのが「返済額軽減型」と言われる繰り上げ返済の方式です。「返済期間短縮型」と比べると利息の大きな削減効果はありませんが、月々の支払いが小さくなるためキャッシュフローの改善効果があります。


月々の返済額 返済期間 メリット
返済期間短縮型 変わらない 短縮 利息削減効果が大きい
返済額軽減型 減額 変わらない 月々のキャッシュフロー改善

総支払額をより減らせるのは返済期間短縮型ですが、返済額軽減型であれば毎月の支払を抑え急な出費に備えることができるので、リスクに強い返済方式になります。どちらの返済方式にもメリットがあるので、それぞれ自身の状況に合わせて最適な方法を選ぶ必要があります。

繰り上げ返済のメリット

1. 支払総額を少なくできる

繰り上げ返済の最大のメリットは、利息の支払いを減らすことによってローンの支払い総額を少なくできるという点です。繰り上げ返済の金額は基本的に元本分の金額の返済に充てられるため、その分利息を減らすことができます。長期のローン返済を予定している場合は、100万円ほどの繰り上げ返済を行うことで数十万円単位で利息を減額できることもあります。

※繰り上げ返済のシミュレーションを行いたい際は、以下サイトなどで調べてみることをおすすめします。

参考:繰り上げローン返済シミュレーション(keisan)

2. 返済期間が短くなる

「返済期間短縮型」の繰り上げ返済を行った場合、トータルのローン返済期間を短くすることができるのもメリットです。返済期間が短くなるということは、ローンを完済して物件が自分の資産になるまでの期間が短くなるということです。自分の資産となった物件は、次に物件を購入するときに担保として利用することができます。資産拡大のスピードをより早められるのが繰り上げ返済のメリットの一つです。

3. 金利変動リスクを低減できる

金融緩和政策によって、不動産投資ローンの金利は過去と比較して非常に低い水準で推移しています。しかし、経済状況の変化によっては今後大きく金利が上昇することも充分考えられます。変動金利型でローンを返済している場合、この金利上昇リスクは避けて通れません。しかし繰り上げ返済を行うことで超低金利のうちに元金を減らすことができれば、今後金利が上昇したとしてもその影響をできるだけ小さくとどめることができます。この金利上昇リスクを小さくできるというのも繰り上げ返済の大きなメリットです。

繰り上げ返済のデメリット

1. 手元の資金が減る

繰り上げ返済のデメリットとして大きいのが、手元資金が減ることで突発的な問題に対処できなくなる恐れがあるということです。繰り上げ返済はメリットが多いですが、繰り上げ返済に自己資金を回し過ぎてしまうと、突発的に発生する管理費用や新たな物件を購入するための初期費用などに充てる費用がなく効率的な運用ができなくなってしまいます。繰り上げ返済を行う場合は、自己資金とのバランスに充分気をつける必要があります。

2. 手数料がかかることがある

金融機関やローンのプランによっては、繰り上げ返済を行うことで手数料が発生することがあります。これは繰り上げ返済を行うことでローン返済計画書などの変更が必要となり、作り直す手間に対する手数料と言われています。「繰り上げ返済の度に一律〇〇円」、「繰り上げ返済金額の〇%」など費用は金融機関によって様々ですが、度々少しずつ繰り上げ返済を行うことは無駄に手数料を支払うことになってしまいますので気をつけましょう。また、固定金利でローン返済を行っている場合はそもそも繰り上げ返済ができない場合があります。

※金融機関によっては固定金利でも定められた違約金や損害金を支払うことで繰り上げ返済可能な場合もありますので、よく確認するようにしましょう。

参考:みずほ銀行アパートローンの場合

繰上返済等
繰上返済を行う場合や返済条件を変更する場合、以下のとおりの手数料が必要となります。

一部繰上返済手数料
連動金利方式・・・33,000円
固定金利選択方式および全期間固定金利方式・・・繰上返済は原則として行えません。当行が繰上返済を認める場合には、別途当行所定の方法により算出した損害金をお支払いいただきます。

https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/loan/apart_yushi/index.html

繰り上げ返済の注意点

1. 低金利では効果が少ない

超低金利時代の現代においては、繰り上げ返済の効果は少ないと言えます。利息額の負担がもともと小さいので、繰り上げ返済のメリットである利息負担を軽くする効果が感じられにくいということです。そのため状況によっては、資金に余裕ができた場合でも繰り上げ返済に充てるのではなく、他の運用に回す(新しい物件の購入費用にする)などの方が効果的な場合もあります。とはいえ繰り上げ返済によって少しでも利息の負担が減ることは事実ですので、自身の状況を踏まえ判断を行いましょう。

2. 修繕費は残しておく

繰り上げ返済はメリットが大きいですが、自己資金をすべて繰り上げ返済に充てることはおすすめできません。前述したように突発的にかかる費用に対して資金が足りないという事態が起こってしまいますので、少なくとも今後の修繕にかかる費用分は必ず資金を残しておきましょう。また、金融機関にとっても自己資金は多くあった方が信用が高いです。他にも物件を購入していきたいと考えているならなおのこと、無理な繰り上げ返済は行わない方がよいでしょう。

3. ローン完済後は抵当権抹消手続きが必要

抵当権とは、万が一ローンの返済ができなくなった場合(債務不履行)に土地や建物を担保する権利のことです。抵当権があることで、債務不履行の場合には金融機関が物件を差し押さえることができます。不動産投資ローンの繰り上げ返済を行い完済に至った場合は、抵当権の抹消手続きを行うことで、完全に物件が自分の物となります。

抵当権抹消手続きは司法書士に依頼するか、自身で行う場合は法務局にて手続きを行うことができます。弁済証書などの書類が必要になりますので、完済時は忘れずに準備するようにしましょう。

繰り上げ返済は計画的に行おう

不動産投資ローンにおける、繰り上げ返済のメリット・デメリットについて解説しました。ローンの返済はもちろん計画的に行う必要がありますが、繰り上げ返済についても注意すべき点があり、計画的に行う必要があります。自身の状況をシミュレーションしながら、メリットが大きくなるように繰り上げ返済を活用しましょう。