2022/04/20

【不動産投資】一棟買いのメリット・デメリットを区分投資との違いとともに解説

アパートやマンションを一棟丸ごと購入して運用する一棟買い投資のメリット・デメリットを解説します。かかる費用が大きくリスクが高そうというイメージのある一棟投資ですが、一部屋単位で購入する区分マンション投資と比べるとどのような特徴があるのでしょうか。初心者にもわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

一棟買い投資とは

一棟買い投資とは、不動産投資の中でもアパートやマンションを一棟丸ごと購入して第三者に貸し出し、家賃や売却益を利益として受け取る投資方法のことです。区分で購入する投資方法と比べると利回りは高くなる傾向がありますが、必要資金が高額になるためリスクも高めになります。

参考記事:『不動産投資の種類をわかりやすく解説

一棟買い投資の種類

一棟買い投資には、大きく分けて一棟買いアパートと一棟買いマンションの2種類があります。「アパート」と「マンション」とは法的に明確な違いはありませんが、主に以下のような違いがあります。

一棟アパート:

主に軽量鉄骨か木造で造られた、3階建てまでの集合住宅。エレベーターはない。

一棟マンション:

主にRC(鉄筋コンクリート)で造られた、3階建て以上の集合住宅(低層地では2階建てのマンションもあります)。エレベーターが設置されていることが多い。

一棟買い投資のメリット

1. 利回りが高い

一棟買い投資は、区分投資と比較すると利回りが高い傾向があります。

中古物件のみのデータにはなりますが、「不動産投資と収益物件の情報サイト健美家」が発表している「収益物件 市場動向 四半期レポート<2021年4月~6月期>」によると、新規登録された収益物件の平均利回り(表面利回り)と平均価格は以下のようになっています。

■区分マンション:利回り7.39%、価格1,571万円

■一棟アパート:利回り8.53%、価格7,010万円

■一棟マンション:利回り8.06%、価格1億6,309万円

データを見てもわかるように、区分マンションよりも一棟買いの方が平均利回りが高くなっています。しかし、一棟買い投資は管理費用が区分マンション投資より高額になる傾向があるため、表面利回りではなく実質利回りで比べるともう少し差が縮まるでしょう。

参考:収益物件市場動向四半期レポート<2021年4月~6月期>

2. 空室リスクが小さい

区分マンション投資の場合、「0か100か」でもしその部屋が空室になってしまえば収入はゼロになってしまいます。しかし一棟買い投資の場合、1部屋空室が出たとしても全室空室になることはあまり考えられないため、空室リスクが低く家賃収入がゼロになりにくいというメリットがあります。一棟物件を持っているだけで、ある程度の分散効果があるというのは大きな魅力と言えます。

3. 自由に管理できる

区分マンションを購入した場合、自分が購入した部屋にしか権限がないため共用部や設備の管理はできませんが、一棟買い投資の場合は自由に管理ができるというのもメリットです。大規模修繕や改装などのタイミングも所有者の意志で進めることができるので、建物全体の魅力付けも自分次第で可能です。部屋を決める際に建物の外観や共有部分の汚れ等を気にする人も多くいるため、丁寧に適切な管理を行うことで資産価値を下げずに運用することができます。

4. 収入総額が大きい

一棟買い投資は1つの物件から得られる家賃収入の金額が多くなるため、区分マンション投資と比べて収入総額が大きく、投資資金を回収するスピードも早いというメリットがあります。例えば家賃11万円の区分マンションを1室保有していた場合の満室時の年間の収入は132万円ですが、7万円の部屋が10部屋ある一棟アパートを保有していた場合、満室時の年間の収入は840万円となり、家賃が低めの物件でも総収入額は区分マンション投資の何倍にもなります。初期投資の金額も大きい一棟買い投資ですが、総収入額が大きいので稼働率が高ければ収益性も高くなるのは大きなメリットです。

5. 出口戦略の選択肢が多い

一棟買い投資の場合、区分マンション投資と比べて出口戦略の選択肢が多いこともメリットの一つです。区分マンションを保有している場合は出口戦略として「長期保有し続ける」か「売却する」が主な選択肢ですが、一棟買いの場合は土地もオーナー単体の名義になるため、将来的には建物を解体して他の活用方法に転換するという選択肢も取ることができます。中古の一棟アパートであれば建物の価値が低くなるのは早いですが、解体費用が安く土地の資産性は変わらないので更地化して活用するというのは有力な選択肢です。

一棟投資のデメリット

1. 取得費用が高い

一棟買い投資のデメリットとしては、区分マンション投資と比べて物件価格が高く、取得費用が大きくなる点が挙げられます。中古の一棟アパートであれば3,000万円程度から物件がありますが、新築・中古あわせた一棟アパートの平均物件価格は1億1,235万円、一棟マンションの平均物件価格は2億3,895万円となっています(2017年平均)。区分マンション投資であれば新築でも1,000万円程度から選択肢があることを考えると、一棟買い投資は必要な資金が多額になります。また、価格が高いためフルローンを組むことは基本的に難しく、自己資金もある程度必要になってくることが多いです。一棟買い投資は資金が比較的多くある人向けの投資方法であると言えるでしょう。

2. メンテナンス費用が高い

一棟買い投資では建物全体の管理をする必要があり、大規模修繕や改装などメンテナンス費用が多くかかるのも区分マンション投資と比べたデメリットです。メンテナンス費用がかかることに加え、意志決定の機会が多いためオーナーの手間も多くなります。日々の共用部の掃除や設備の点検など、サラリーマンの人が副業としてやる場合の手間はかなり大きいと言えるでしょう。業務委託することももちろん可能ですが業者の選定ややり取りなど、細かな手間は必ずかかってきます。

3. 流動性が低い

一棟アパートやマンションは費用が高いので、区分マンションと比べると売買できる人が限られてしまい、流動性が比較的低いというのもデメリットの一つです。金額の面で買主が限られるのに加え、アパートの場合主に木造で造られており耐用年数が短いため、築年数が古くなるほど次のオーナーがローンを組みにくくなってしまうというデメリットもあります。(不動産投資ローンの審査を行う際に、物件の耐用年数も不動産の担保価値として評価するため。)もし一棟物件を売却したいと思ってもすぐには見つからない可能性が高いため、物件を選ぶ際にはなるべく資産価値が保たれ買主が見つかりやすいような物件を慎重に探す必要があります。

4. 失敗した時のリスクが大きい

一棟買い投資は複数の部屋を所有するため空室リスクは区分マンション投資よりも小さいですが、すべての部屋が同じ物件内にあるため災害時などのリスクが大きく、投資資金が大きいため区分マンション投資のように複数物件に投資してリスク分散が困難な点もデメリットです。失敗リスクを減らすには何より立地選定が重要で、長く安定して収入を見込める場所を選ばなくてはいけません。

一棟買い投資と区分マンション投資の違い

項目 一棟買い投資 区分マンション投資
費用 高い 低い
利回り 高い 低い
流動性 比較的低い 比較的高い
修繕リスク 高い 低い
空室リスク 低い(収入がゼロにはなりにくい) 高い(0か100かで収入がゼロの可能性もある)

一棟買いならではのメリット・デメリットを理解しよう

一棟買い投資のメリット・デメリットを区分投資と比較しながら解説しました。スケールメリットがあり、管理の自由度も高い一棟買い投資。デメリットも把握しながら、自分に合った不動産投資の方法を選びましょう。

参考記事:『一棟アパート投資は新築と中古のどちらが良いのか?気をつけるポイントを比較

HOME記事一覧Page Top