2021/01/11

20代・30代が資産形成を始める前に考えておくべきこと

20代・30代がこれから資産形成を始める前に考えておくべきことをまとめました。資産形成の目的から、老後の必要資金の計算、目的を達成するために使える武器やそれぞれの考え方、プランニングまで解説します。いきなり具体的な行動を起こす前に、全体像を把握しておくことは資産形成において非常に重要です。

資産形成相談前の準備と心構え

ゆーいちろー(@9ichi6)です。

SNSや対面でよく、「本やSNSで調べてもピンと来ないし、プロに相談しても変なものを買わされそうで怖いです。私はどうすれば良いでしょうか?」という質問をいただきます。

現在の株高の影響か、資産形成に前向きな人は増えましたが、なかなか一歩を踏み出せていない人も多いと思います。

"最低限の知識と現状把握、方向性をイメージした上で、プロに相談する"ことができれば、判断もしやすく、良い資産形成のスタートに繋がりやすいので、この記事では資産形成の準備について詳しく書いていきます。

目的と数値目標の把握

資産形成は目的と数値目標の把握抜きには絶対にできません。短期での資産増加はそれぞれの責任でやっていただければと思うので、今回は長期目線を前提に説明します。

基本は老後資金

人生の三大支出は、①住宅資金、②教育資金、③老後資金と言われております。②の教育資金は大切ですが、バリバリ働いてる時期に訪れるものなので、優先順位は低いです。①の住宅資金も働いてる期間は基本的には問題にならないでしょう。

老後の住宅資金を含めた③の老後資金が、資産形成の主な目的だと理解しましょう。

準備済みの老後資金

老後用に国が用意してくれるものが年金、会社が用意してくれるものが退職金になります。2つとも下がり続けているので、そちらを踏まえた上で検討するのがベターです。

また現在の20代、30代は、年金支給が70歳以降になる可能性は十分あるということ、そして、平均寿命も伸びているので95歳くらいまで生きることを想定して資金計算しておくのがおすすめです。

国民年金のみだと5-6万円/月になるので、より資産形成をしっかり進めた方が良いですが、今回は大部分の方が当てはまる厚生年金を想定して計算します。

例えば、国民年金と厚生年金を合わせて、70歳から95歳までの期間15万円/月もらえると想定した場合(現在は男性20万円、女性15万円程度なので、今後の想定を踏まえて15万円とします)、15万円×12か月×25年=4,500万円になります。

退職金を1,500万円で想定すると(現在は大卒で大企業の平均退職金が2,000万円程度で、15年間で500万円以上下がっているため、想定は1,500万円とします)、合計6,000万円が既に準備されていると考えることができます。

この数字から転職、所属企業の規模、年金の種類に応じてそれぞれで上下させてください。

老後必要資金の計算

老後の期間を65〜95歳と仮定して、毎月の必要資金を30万円とすると(この数字も持ち家かどうか、より良い生活をしたいか等で上下させてください)、30万円×12か月×30年=1億800万円になります。

この計算だと10,800-6,000=4,800万円が自助努力で必要な数字になります。共働き夫婦だと理想とする生活水準に合わせて、必要資金と準備済みのお金が増えるイメージです。

あくまで平均の話ですが、4,000〜6,000万円程度準備できていれば、問題のない老後を送れると思います(国が出している数字より大きめですが、大企業勤務の平均想定ですので、生活水準等を考えるとこのくらいは必要な方も多いのが実情です)。

具体的な老後資金の目標設定が資産形成のスタートです。

武器の把握

老後資金の目標設定ができたら、次は自分が保有している武器の把握をしましょう。代表例を羅列していきます。

1. 企業の福利厚生内容

医療保険、生命保険等が付与されていて、民間のものに入る必要がなかったり、追加で加入するとしても少額で済む可能性があります。

2. 所属企業のDC(確定拠出年金)制度

マッチング拠出で企業側が老後資金を積み立ててくれている可能性があり、税控除の効果もあります。

3. 不動産ローンの枠

持ち家を購入して老後までにローンを完済したり、投資用不動産を購入してレバレッジをかけた投資がどのくらいできるかの確認をしましょう。相場にもよりますが年収の8倍が基本線です。

4. 親が自分にかけてくれている生命保険や、相続財産

平均寿命は年々延びており、相続財産は念頭に置かない方が良いですが、準備されているものは全て把握するのが理想です。

5. iDeCo、一般NISA、つみたてNISA等の仕組み

国が用意している資産形成上使える仕組みのメリット・デメリットを把握しておけば、プロとどれを活用すべきか、どうやって活用すべきかの話がしやすいです。

6. 生命保険の仕組みや種類

保障を得るために必要な金額や、保険料控除、終身保険・確定年金等の保険だからできる資金準備方法を知っておくと良いです。

7. 投資用不動産の仕組みとメリット、デメリット

20代・30代で老後の資産形成を考える際には、投資用不動産も検討する価値が十分にあると考えています。詳しくは以下リンクを参照してください。

参照:

20代で不動産投資をするメリットを徹底解説【物件や業者選びのポイント・注意点まで】

上記が把握できていれば、プロとプランニングを進める上で非常にスムーズです。プランニングはプロ領域なので、専門職以外の方が自分で行うのはなかなか難しいですが、ここまで把握した上でプロと話し合えば、納得のいく資産形成スタートになると思います。

上記を自分で把握したり、調べるのが厳しい人は、信頼できる資産形成担当者を見つけることに注力すべきでしょう。

プランニング

プランニングをする上で、まずはそれぞれの資産形成商品だと、いくらの手出しが必要か計算しておいたらスムーズです。

例えば貯金だと30歳〜65歳で4,800万円をつくるとしたら、月々11万円程度を貯め続ける必要があります。さらに、インフレリスクも想定すべきです。

「その金額を貯めるのはきついな」という場合は貯金ではなく、代わりに1.5倍の期待値が見込める投資を行えば、必要資金は3,200万円になり、7.5万円程度でよくなります。1.5倍のリターンを得るためには、株式相場のリスク等を背負う必要がありますが、「分散投資だとリスクは減らせるからいいかな」というように"自分が許容できるリスク"を考えることが重要です。

不動産投資も、銀行からお金を借りて、人が借金を返してくれる、手出しが少なくて済む可能性の高い投資の代表格ですが、その代わり住宅ローンの枠が圧縮されたり、家賃下落のリスクは頭に入れておくべきでしょう。

株式系の投資信託だと「価格変動はあるけどドルコスト平均法で行えばリスクを最小化できるかな」、不動産投資だと「都心の不動産だと10万円の家賃が、ローン完済の35年後に無くなることはなさそうだから、5,6万円程度でもずっと家賃収入が得られるなら大丈夫かな」といったように、期待リターンとリスクを天秤にかけて、自分に合った投資を行うのが理想です。

リスクを極力抑えたいのであれば、月々、ボーナス共に大部分を貯金に回すのも1つの選択肢ですし、「怖いからやらない」のではなく、「怖いから、その分貯金をたくさんしよう」、「貯金をしたくないから、投資用不動産を複数購入して、ローンのリスクは背負おう」というように、何を捨てて、何をやるべきかをトレードオフで考えるのが20代・30代の資産形成において必要となる思考です。

プランニングを自分で行えると理想ですが、自分で計画を立て、実行するのはなかなか難しいので、上記について考えた上で、プロとプランニングを行うのが現状だと最も効率的だと思います。

資産形成は理想の未来に向けて具体的に動き、準備するのが目的

最近、色んなプロに話を聞いたり、セミナーに行ったりしても、必要資金の把握と土台となる知識や情報がないことで、だんだんと頭でっかちになり、結局何もできていないパターンに陥っている人をよく見かけます。

資産形成は情報収集が目的ではなく、"理想の未来に向けて具体的に動き、準備する"のが目的です。自分の人生にとって重要なことだと認識して、前向きに資産形成を行い、より良い人生を送る人が増えると嬉しいです。

ゆーいちろー

"日本に1秒でも早く人生とお金について真剣に考える文化をつくる"ことを志す金融マン。

大手証券会社→大手保険会社のキャリアを歩み、表彰多数。2021年度MDRT、TOT会員。

自身でも証券、保険、不動産等あらゆる投資を行い、知識と経験を元に800人を超えるクライアントを担当。

専門はU-35の資産形成と法人の財務スキーム。九州男児31歳。

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