2020/12/24

20代で不動産投資をするメリットを徹底解説【物件や業者選びのポイント・注意点まで】

20代で老後の資産形成を考える上で、まず始めに不動産投資を選択肢として考えるべき理由について解説します。20代で不動産投資を始めることのメリットや、ワンルームか一棟買いか、新築か中古か、都心か地方かといった物件選びのポイント、注意点、業者選びのポイントまで解説します。

20代の資産形成ではまず始めに不動産投資を検討するべき

20代・30代向けの資産形成の専門家であるゆーいちろー(@9ichi6)さんに、20代で資産形成を考える上で、まず始めに不動産投資を選択肢として考えるべき理由について解説してもらいます。

不動産投資は怖い?

「不動産投資は怖い」「不動産投資はリスクしかない」「不動産投資は素人がやっても失敗する」とイメージだけで決めつけるのは非常にもったいないです。不動産投資にもメリット・デメリットがあり、当然リスクも存在しますが、20代で資産形成を考える上で不動産投資のメリットは大きく、積極的に検討する価値があると考えています。可能性としては、株式や保険よりも、不動産投資の方が最終的なリターンが大きくなることも十分ありえます。

20代にとっての不動産投資の優位性

65〜95歳まで月30万円で生活するなら約4800万円を自分で作る必要がある

現在20代の人は、社会保障の縮小、寿命の延びの問題と向き合う必要があります。

老後必要資金を計算すると、例えば夫婦2人で月30万円の生活を65〜95歳まで続けるためには10,800万円必要であり、仮に年金と退職金でそのうちの6,000万円を賄えたとしても、4,800万円を自助努力でつくる計算になります。

老後に必要な4,800万円を現金(キャッシュ)で用意しようとすると、25〜65歳まで毎月10万円を貯め続ける必要があり、教育費のような他に必要となる資金も考えるとなかなか厳しい数字です。

株、投資信託をつみたてNISAやiDeCoを利用して積み立てたり、運用型の保険のつみたてをして、将来的な期待値が1.5倍になるような運用を行っても、まだ毎月約7万円が必要になります(大きなロットでイニシャルで株式、ETF、投資信託等を買えれば期待値は上がりますが、20代で大きなロットで購入できる人はほとんどいないのでここでは省略します)。

その点、不動産投資は将来の必要額を用意するための手出しが、他の投資手段の半分以下で済む可能性が高いです。

これはそもそも、他の投資が自分のお金で行うのが基本に対して、不動産投資は銀行からお金を借りて、その借金の大部分を他人(不動産の借主)が支払うというレバレッジが効いた仕組みになっているからです。

例えば老後に必要な4,800万円に対して、他の投資だと上記の金額が継続的に必要となる可能性が高いですが、不動産投資でシュミレーションすると、都内ワンルームを2戸保有するだけで十分届く金額になります。

25歳で家賃10万円のワンルームを2戸保有し、60歳でローンを完済し、35年間家賃を受け取る場合(RCのマンションは老後家賃を取れなくなるレベルで老朽化することはほぼあり得ないですし、都内の駅前の物件ならなおさらです)、将来的に家賃が7万円くらいまで落ちたとしても、60〜95歳の35年間で2,940万円(2戸で5,880万円)を受け取れる計算になります。

家賃が更に下がったり、修繕費用がかかったとしても、4,800万円を下回ることはほとんどないでしょう。

60歳までの手出し資金も2戸で1,000〜2,000万円程度で収まる可能性が高く(月々の手出し、固定資産税と将来的な家賃の値下がりを考えて、月にならすと2戸で毎月3〜5万円程度、初期の手出しはもっと少ないです)、手元の現金が少ない20代にとって、不動産投資は魅力的な選択肢のひとつであると言えるでしょう。

20代で不動産投資を始めるメリット

20代が取り組むのはワンルーム投資になることがほとんどなので、その前提でお話していきます。

手出しが少ない

20代が不動産投資に向いている理由としては、まず、手出しが少ないことが大きいです。20代は就職直後で収入が少ない人も多く、その中で自己投資も趣味も充実させて、人生経験を積んでいくことになります。それに加えて資産形成にも取り組むとしたら、手元資金が貯まらない可能性が高いです。不動産投資は、イニシャルコストも少なくはじめられることが多く、月々の手出しも、家賃収入とローン返済がほぼ相殺されることで、1万円以下で収まる場合が多いです。

その後の転職の自由度が増す(早い段階で大企業勤務のメリットを活かせる)

また、ローンが通る条件としては、25歳以上(社会人3年目以上)、大企業社員や公務員、医師のようなローン返済能力が高いと銀行から判断される職業、借金や延滞なし、年収500万円以上が主なものです(銀行や相場で変動はあります)。例えば、大企業からベンチャー企業への転職を考えている人は、福利厚生制度や退職金制度の手厚さが減る可能性も高いので、大企業所属のうちにワンルーム投資をはじめて、購入後に転職を検討するのは合理的な選択だと思います。現状のローン審査には、審査時にその人の今後の転職可能性を分析したり、転職後に金利が上がる仕組みもないですから。

老後の資産形成の手段として早ければ早いほど良い

不動産投資は基本的に35年ローンで行います。最近は45年ローンのように、長めのローンを勧める業者も増えてきましたが、残債の減りも遅く、家賃収入を満額貰えるまでの年数も長くなる為、基本的には35年ローンのほうがいいと思います。ほんの少しのCF(キャッシュフロー)を求めて、投資目的を見失うのは本末転倒です。

基本の35年ローンの場合、同じ寿命だとした時に、ローン金利が最優遇で受けられる最年少の25歳からはじめるのと、35歳ではじめるのでは、将来家賃収入を貰える期間が10年違ってきます。平均家賃10万円として、自分の人生で受け取れる金額を考えると、合計1,200万円の違いになります。これだけでも、取り組むとしたら、20代のうちになるべく早くやった方がいいということがわかると思います。

また、25歳で不動産投資をはじめたとすると、その後結婚、出産があり、購入20年後に教育資金が必要になったときに、売却益が取れる可能性も十分あります。老後や、教育資金のように、将来大きく必要になる資金準備を考えても、やるとしたら、不動産投資を遅くはじめるメリットはほぼありません。


他にも、死亡・高度障害・がん保障が団体信用生命保険として無料で付くことで、万が一があっても安心であったり、給与所得と不動産所得が合算できて税額が下がる可能性があったりと、20代で不動産投資に取り組むメリットは数多くあります。

20代で不動産投資を始める時の物件選びのポイント

不動産投資の物件は、「一棟」か「ワンルーム」、「都心」か「地方」、「新築」か「中古」かで大きく分類できます。その中で、一番リターン(利回り)が良いものは?と聞かれると、一般的には「一棟」「地方」「中古」の組み合わせなのですが、私は20代の資産形成においては、真逆の「ワンルーム」「都心」「新築」が良いと考えています。

「一棟」「地方」「中古」の物件は、たしかに上手く運用できたときのリターンは大きいのですが、はっきりいってプロが戦っている領域です。本当に良い物件は、プロが押さえてしまっています。また、不動産投資は情報が出回らない中での情報戦にもなります。情報もキャッシュもない若者が選択できるものではないと考えています。

「一棟」ではなく「ワンルーム」

一棟買いに関しては、ローンの審査が通らないケースがほとんどなので、そもそも検討することもない・選択肢にならないかもしれません。また、突発的な大きい修繕費と、結婚等の大きなキャッシュアウトが被る可能性があったり、家賃滞納で立ち退き請求をするために弁護士に依頼するようなケースが発生したりと、ほとんどの20代が手を出していいものではありません。

「地方」ではなく「都心」

東京は世界一、人口密度とGDPが高い都市です。過去の家賃推移、人口推移をみればすぐに理解できます。コロナウィルスの影響で東京から引っ越す人が増えるのではないか、という声もたまに聞きますが、大企業や大学を中心に、日本の東京一極集中はまだまだ異常なレベルです。東京の物件を海外のファンドが買い進めているというニュースを聞いたことがある方もいると思いますが、東京の価値を一番理解していないのは日本人なのかもしれません。また、都心の駅近物件は、最近のワンルーム規制により、今後希少価値が高くなることも予想されます。引っ越しを検討している人は、駅徒歩10分以内で探すケースが多いので、そういった物件を選ぶことをおすすめします。

「中古」よりも「新築」がおすすめ

中古の物件の場合、家賃滞納・退去(空室)・大規模修繕といった不動産投資のリスクを新築の物件以上に負うことがあります。例えば、新築の物件の場合、最新の設備のため、当面の間は修繕など何もしなくても大丈夫ですし、入居者がすぐに退去するということはほとんどありません。それに対して、中古の物件の場合、修繕や退去がいつ来るかわかりません。場合によっては、物件を購入してすぐにでもそういう事態に遭遇することもあります。古い物件はファイナンスも付きづらいので、売りの選択肢が狭まるデメリットもあります。

中古物件購入を検討するのであれば、キャッシュかつCtoC(ユーザー間取引)で取り組むのが良いと思いますが(ただし、CtoCだとローンがほぼつきません)、買いたい場所の物件を選べて、長期的に上手くいけば新築を上回るリターンになることも十分あるので、目利きに自信があり、信頼できる業者に巡り会えたらチャレンジするのも選択肢としてありだと思います。

不動産投資の注意点

不動産投資のリスクとしては、以下8つを認識しておく必要があります。

空室リスク

不動産投資の一番のリスクは空室のリスクです。最近では、新型コロナウイルスの影響により、転勤等が減り、物件によっては空室が長引くようなケースも出てきています。空室はサブリース(家賃保証)を付けておけば対処可能のため、基本的にはサブリースをおすすめしますが、その場合でも、空室リスクについては必ず聞いておくべきです。空室が多い場合は、サブリースの仕組み自体が破綻する可能性もあります。過去の空室率は業者に聞くようにしてください。業者が設立何年経っているか、財務状況は健全かもサブリース継続可否を判断するために重要なポイントです。悪い業者によっては、かなり不利になる条項を盛り込んでいる可能性もあるため、契約内容や業者のスタンスはよく確認するようにしてください。サブリース料は家賃の10%が相場ですが、空室率がかなり低い業者は5%に設定してくれていることもあり、トータルのリターンが大きく違ってくるので、購入時の見るべきポイントのひとつです。

家賃が下がるリスク

空室が長引く場合は、家賃を下げて入居者を入れるケースが多いです。また、時間と共に、ある程度家賃は下がっていくことも多いということも認識しておくべきです。ただ、少し家賃を下げれば空室が埋まるケースも多く、ゼロサムにはほぼならないので、残債の減りと価値の残りの比較で考えると、基本的には大きなリスクがあるものではないと思います。

震災リスク

現在の新築物件が倒壊するようなレベルの地震が発生した場合、おそらく東京は壊滅状態になって、不動産投資どころかあらゆるものが崩壊している状況になっていると思います。そんな事態が起こるのか、という話ですが、そういう事態まで想定する方であれば、ひょっとすると日本で不動産を保有すること自体が向いていないかもしれません。なお、地震保険をつけると、保険でローンが半分賄えるので、心配であれば加入しても良いかもしれません。

修繕費用が発生する

不動産投資には一定期間で修繕費用が発生します。例えば、10年に1回くらいエアコンを買い換える、などといったことです。新築のワンルームであれば、かなり大きな修繕費用が発生しても最大で30万円くらいではないでしょうか。エアコンで言えば、10年おきに5万円〜10万円程度を想定しておけば大丈夫です。中古よりも新築がおすすめな理由でも触れましたが、すぐに修繕費用が発生するということがほぼ起こらないのも、20代には新築の物件が向いている理由のひとつです。

事故物件になるリスク

保有している物件が事故物件になるリスクもあります。確率としてはかなり低いですが、リスクとしてありえることは認識しておいた方がいいでしょう。事故に備えた保険もありますが、意外と高かったりします。事故物件になるリスクは正直コントロールが難しいと思っていますが、築年数の浅い、家賃が8〜12万円のレンジのワンルームでは事故物件になるリスクは低いです。それ以下の古くて安い物件では可能性は上がるでしょう。入居者が募集してきたときに、どのような属性の人かを業者に聞いて、しっかり判断することをおすすめします。

流動性のリスク

株式や投資信託と違って、不動産は買ってすぐ売って現金化する(儲ける)ことは難しいです。特に最初の5年くらいは、売却してしまうとほぼ損をするでしょう。不動産投資で短期的に儲けたいと考えている方には今回の話は向いていません。地方の元リゾートマンションなど、そもそも買い手がまったくつかない、という形での流動性のリスク自体もあることにはありますが、都心のワンルームで言えば、そのリスクは考えなくて良いと思います。多少の値下がりはありえますが、都心のワンルームで、誰も買い手がつかないということはほぼありえないと思います。

与信に注意

基本的に不動産投資は銀行から借入をしますが、その際に、自分の与信を圧迫することは認識しておくべきです。例えば、与信が7,000万円の人が、全額借入で3,000万円の不動産投資を行った場合、多少圧縮して見てくれたとしても、残りの与信は5,000万円〜6,000万円程度になります。その場合、与信マックスの7,000万円で住宅を購入しようと思った時に、購入できないリスクがあります。

以前は、都心での不動産投資の場合、不動産投資での借入部分は0〜1/5程度の換算になっていたのですが、最近は銀行の判断も厳しくなり、1/3〜1/2程度の換算をされるケースが多くなっています。ちなみに東京以外のワンルーム不動産は、投資用でも100%負債で見られるケースが多いので注意が必要です。

退去時のクリーニング費用

ワンルームは平均で4年に一度退去が発生すると言われていますが、その都度15万円程度のクリーニング費用がかかる可能性があります。つまり、ローン返済までの35年で考えても150万円程度の支出になる可能性があり、オーナーにとって隠れた大きな出費です。業者によっては、クリーニング費用を業者持ちにしてくれているところもあり、業者の体力的にそのサービスを長く行ってくれそうであれば理想的なので、サービス内容、業者の歴史、財務状況は購入前に聞いたり、調べたりするようにしましょう。

不動産投資の業者選びのポイント

以上のことから、20代で不動産投資を考え、業者を選ぶ際には、基本的には以下のポイントを押さえておくと良いと考えています。

・新築のディベロッパー(自社で土地を仕入れ、物件を建て、販売して、管理まで全て行っている会社)から購入する。

・リーマンショック前から続いている会社を選ぶ(リーマンショックを乗り越えた会社は存続可能性が高い)。

特に、新築の物件を購入する場合には、「新築風」の業者ではないか注意してください。自社で物件を建てていないケースもあり、その場合は、価格に上乗せされているケースがほとんどです。わからないときは、「自社で建てているんですか?」と聞いてみてください。また、「新築プレミアム」として、相場よりもかなり家賃を高めに設定している場合も注意が必要です。周辺の物件の家賃を調べて、他と比べて家賃が高くなりすぎていないか必ず調べるようにしてください。新築は買ってすぐに下がる、と言われたりするのもこの新築プレミアムが原因です。

20代の不動産投資は地に足をつけて考えるべき

20代の方々とお話していると、「良い不動産を買って儲けたい」「不動産投資をしてアーリーリタイアしたい」「CF(キャッシュフロー)を重視したい」という相談も多く受けますが、あくまで不動産投資は老後の資産形成のための手段のひとつとして認識しておくべきです。大きなメリットもある一方で当然リスクもありますし、短期的に大きく儲けるような類のものではありません。基本的には老後までにローン返済を終わらせて、その後の家賃をもらい続けるために行うものです。資産形成手段の一つとして検討の価値は十分にあると思いますので、長期的な視点を持ち、メリット・デメリットを踏まえた上で考えてみることをおすすめします。

ゆーいちろー

"日本に1秒でも早く人生とお金について真剣に考える文化をつくる"ことを志す金融マン。

大手証券会社→大手保険会社のキャリアを歩み、表彰多数。2021年度MDRT、TOT会員。

自身でも証券、保険、不動産等あらゆる投資を行い、知識と経験を元に800人を超えるクライアントを担当。

専門はU-35の資産形成と法人の財務スキーム。九州男児31歳。

Twitterはこちら

ゆーいちろーに相談する
HOME記事一覧Page Top