2022/05/16

中古物件にも住宅ローンは使える?条件や利用時の注意点まで

住宅ローンは中古物件にも使うことができるのか、という点について解説します。お手頃な価格で自分好みに手を加えやすい中古住宅は、マイホームとして選択する人が増えてきています。中古住宅で住宅ローンを組む場合の融資額や手付金などの条件から、利用時の注意点まであわせて解説しますので、参考にしてください。

中古住宅市場は拡大傾向

マイホームの購入を検討する際に、新築ではなく中古住宅を選択肢として考える人が増えてきています。主に価格の面での買いやすさや、自分の好みにリフォーム・リノベーションを行いやすいことから、むしろ中古住宅の方が理想のマイホームを叶えやすいと考える人が増えているようです。

全国的に中古マンション・中古戸建てともに取引件数が年々増加しており、国土交通省が2020年に行った調査では、「あなたが所有したいと思う住宅はどのようなものですか。新築住宅ですか、既存(中古)住宅ですか。」という質問に対し「新築住宅」と答えた人は48.6%、「新築・中古どちらでもよい」と答えた人は38.7%、「既存住宅」と答えた人は7.9%で、年々「新築・中古どちらでもよい」「既存住宅」と答える人の割合が増えてきています。「マイホームは新築にこだわる」という日本独自の従来の傾向が低下傾向にあると言えるでしょう。

あなたが所有したいと思う住宅はどのようなものですか。新築住宅ですか、既存(中古)住宅ですか。 新築住宅 新築・中古どちらでもよい 既存住宅
令和2年度 48.6% 38.7% 7.9%
平成30年度 56.4% 37.9% 1.8%
平成28年度 56.7% 37.8% 2.3%
平成26年度 61.2% 32.9% 1.4%

参考:土地問題に関する国民の意識調査(国土交通省)

中古住宅でも住宅ローンは使えるのか

結論から言うと、中古住宅でも住宅ローンを利用することは可能です。新築か中古かによって住宅ローンの商品内容や、金利、金利タイプなどに違いはありません。しかし、金融機関によっては中古住宅を購入する場合は条件があったり、審査が厳しくなったりする可能性があります。

中古住宅で住宅ローンを利用する際の注意点について以下で解説しますので、中古住宅を検討している人は参考にしてください。

中古住宅で住宅ローン利用時の注意点

1. 申込制限がある場合もある

金融機関によっては、「築30年以内まで」など築年数によって申込できるかどうかが決まっている場合があります。このような金融機関では審査までもたどり着けず申し込むことができませんので、築古の住宅を検討している場合は住宅ローンを組む金融機関を慎重に選ぶ必要があります。

2. 希望額まで借りられない場合がある

住宅ローンの審査の際は、購入する物件も審査対象となります。中古物件の場合は、新築物件に比べて担保評価額(融資に対する担保として設定する不動産の評価金額)が低くなる傾向があります。担保評価額以上の金額を融資してもらうことはできないため、希望する融資金額まで借りられない可能性があることに注意しましょう。

例えば1,000万円の中古物件を1,000万円のローン(フルローン)で購入しようとしたとしても、金融機関の担保評価額が500万円だった場合は500万円までしか借り入れることができません。その場合は、頭金を増やすなどして対応する必要があります。

3. 返済期間の上限が短くなる場合がある

新築住宅の場合、住宅ローンは基本的に最長期間(35年)までの返済期間が選択できることがほとんどですが、中古住宅の場合は金融機関によっては最長の返済期間が短くなる場合がある点にも注意が必要です。例えば中古住宅の返済期間が最長20年となっている金融機関で住宅ローンを組めば、返済期間35年の場合と比べて毎月の返済額が大きく増えることになります。返済計画にも大きく影響しますので、金融機関ごとの融資期間の上限には注意しましょう。

4. リフォーム・リノベーション費用もあわせて借りられる場合もある

中古住宅を購入時にリフォーム・リノベーションも同時に考えている人は、その費用も住宅ローンで合わせて借りられる可能性があります。リフォーム・リノベーションは規模にもよりますが、100万円~1,000万円以上とかなりの金額になります。リフォームやリノベーションにかかる費用は別途リフォームローンというローンを各金融機関が展開していますが、住宅ローンの金利よりも高いことが多く、できれば住宅ローンとあわせて借りた方が支払額を抑えることができます。購入時にリフォーム・リノベーションの計画も進んでいるようなら、費用を住宅ローンとまとめて借りることができるか、金融機関に相談してみるとよいでしょう。

5. 昭和56年以前の物件は審査に通らない可能性もある

多くの住宅ローンの契約書には「不動産は、建築基準法およびその他法令の定めに合致していることが必要です。」と記載があり、建築基準法に則っている事を必要条件としています。現在の建築基準法は昭和56年に改正が行われているため、昭和56年以前に建てられた物件の場合、現在の建築基準法の基準に合わず審査に通らない可能性もあることにも注意が必要です。

ただし、昭和56年以前に建てられた物件の場合でも、現在の耐震基準を満たしていれば住宅ローンを組める場合もあります。どちらにせよ旧耐震基準の物件を購入する場合は、審査が厳しくなるということを認識しておきましょう。

6. 手付金が必要な金融機関もある

中古物件を購入する場合、金融機関によっては手付金といって契約時に物件の5%~10%程度の現金を支払う必要があることもあります。手付金は頭金と似ていますが、手付金は頭金の一部として契約時に契約の証拠として売主に渡すもので、手付金以外にもあらかじめ現金を入れる場合は、頭金として一般的に引き渡しの10日前程度までに支払う形になります。

手付金が必要かどうかは金融機関によって異なりますが、どちらにせよ中古住宅の場合は自己資金が多めに必要となる傾向はありますので、物件価格に応じてしっかり準備を行いましょう。

7. 住宅ローン控除利用時は注意

中古住宅の場合も、住宅ローン控除を利用することができます。しかし新築物件と異なり、中古物件の場合はマンションなどの耐火建築物は25年、それ以外(木造など)の建築物では20年を超える築年数の場合、基本的に住宅ローン控除を利用することができません。しかし、25年または20年の築年数を超えていたとしても、「既存住宅売買瑕疵保険」もしくは「耐震基準適合証明書の取得」を行うことで、減税の適用を受けることができる場合もあります。中古住宅を購入する場合は、住宅ローン控除が利用できるかどうかもあらかじめ確認しておくようにしましょう。

参考:『【2022年最新】住宅ローン控除とは?制度の仕組みから延長期間についてまで解説

中古住宅でも住宅ローンを活用しよう

中古住宅でも住宅ローンは組めるのかという点について解説しました。中古住宅でも基本的に住宅ローンを組むことはできますが、融資期間が短くなったり、融資金額が少なくなったりする可能性があります。中古住宅を検討する場合は、自己資金に余裕を持って返済計画を立てるようにしましょう。

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