2022/05/12

【2022年最新】住宅ローン控除とは?制度の仕組みから延長期間についてまで解説

住宅ローン控除制度について解説します。年間最大40万円の節税となる住宅ローン控除は、マイホームを持つなら必ず知っておきたい制度の一つです。住宅ローンを利用するための要件、物件取得1年目と2年目以降の申請方法、2022年以降の制度延長についてまで、初心者にもわかりやすく解説しますので参考にしてください。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得・増改築などした場合に、要件を満たせば一定期間の間年末時点でのローン残高の1%が所得税から差し引かれ、還付されるという制度です。

還付金額は年間最大40万円(認定長期優良住宅や認定低炭素住宅は最大50万円)で、還付期間は最長10年間(2019年9月からは最長13年間)となっており、住宅購入の際には必ず知っておきたい制度です。

参考:No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)

住宅ローン控除の適用要件

住宅ローン控除を受けるには、以下のすべての要件を満たす必要があります。

1. 住宅ローンの借入や借入主に対する要件

・住宅ローンの借入期間が10年以上であること

・銀行などの金融機関や住宅金融支援機構などからの借入であること(親族からの借入などでは利用できません)。

・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。

・控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること。

参考:3,000万円の対象となる所得について(国税庁)

2. 購入する物件に対する要件

・自らが居住する住宅であること。

・新築または取得後6か月以内に入居し、申請の対象となる各年の12月31日まで継続して居住していること。

・住宅の延床面積が40㎡以上であり、自己の居住用部分の延床面積が建物の2分の1以上であること。(40㎡~50㎡未満の住宅については、所得金額1,000万円以下の条件あり)

新築物件の場合は物件に対する要件は上記のみですが、中古物件やリフォーム・増改築の場合は上記に追加して以下要件も追加となります。

■中古住宅の場合

・新築後20年以内(マンションの場合は築25年以内)であること。

・耐震基準に適合していること。

※ただし、築年数にかかわらず新耐震基準に適合している住宅や、既存住宅売買瑕疵保険が付保されている住宅であれば利用可能。

・生計を一にしている親族等からの購入、贈与による物件取得でないこと。

■リフォーム・増改築の場合

・一定の耐震工事・バリアフリー工事・省エネ改修工事に該当するリフォーム・増改築であること。

住宅ローン控除の適用を受けるには

住宅ローン控除の適用を受けるには、上記の要件を満たしたうえで1年目は確定申告、2年目以降は年末調整を行い毎年申請を行う必要があります。

(自営業者など源泉徴収制度の対象とならない人は、2年目以降も1年目と同様、確定申告の際に住宅ローン控除の申請に必要な書類を添付し提出する必要があります。)

取得・入居1年目

住宅を取得・入居した1年目は、確定申告を行う必要があります。入居した翌年の確定申告期間内に必要書類を揃えた上で確定申告書を作成し、税務署に提出しましょう。手続きは税務署の窓口のほか、郵送やオンラインでの申請も可能です。

■確定申告に必要な書類

・確定申告書A

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

・住宅ローンの借入残高証明書

・勤務先の源泉徴収票

・土地建物の登記簿謄本

・建築請負契約書または売買契約書のコピー

・マイナンバーカードと本人確認書類

取得・入居2年目以降

住宅を取得・入居して2年目以降は、確定申告を行わなくても年末調整時に対応するのみで住宅ローン控除の適用を受けることができます。ただし、年収2,000万円以上の会社員など年末調整を利用できない人は2年目以降も確定申告にて住宅ローン控除の申請が必要になりますので注意してください。

■年末調整に必要な書類

・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

※確定申告をした年の10月頃に、税務署からすべての年数分まとめて送られてきます。

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

※住宅ローンを借り入れた金融機関から、毎年10月~11月頃に送られてきます。

住宅ローン控除の注意点

1. 所得税から控除しきれなければ住民税からも控除される

住宅ローン控除はまずその年に収めた所得税から控除されますが、もし所得税から控除しきれなかった場合は住民税からも控除されます。住民税から控除できる金額は、課税所得金額の7%または13万6,500円のいずれか小さいほうの金額が上限となります。

参考:所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方(総務省)

2. 繰り上げ返済に注意

住宅ローン控除の利用期間中は、繰り上げ返済の利用にも注意が必要です。利息を減らし総返済額を減らすのに有効な繰り上げ返済ですが、条件によっては繰り上げ返済を行うことで利息の減額以上に控除額が減ってしまったり、返済期間が短縮され控除が受けられなくなってしまう可能性があります。

住宅ローン控除と繰り上げ返済どちらを優先するべきかはそれぞれの金利や借入額などの条件によって異なりますので、繰り上げ返済の可否やタイミングについてはよくシミュレーションを行うようにしましょう。

3. ペアローンの場合は別々に申請が必要

住宅ローン控除は債務者となる人を対象とした制度ですので、ペアローンを組んでいる場合は要件を満たしていればそれぞれが負担額に応じた控除を受けることができます。どちらか一人ではなく、夫婦それぞれが確定申告または年末調整での申請が必要になりますので、該当する場合は忘れずに行うようにしましょう。

※その他の注意点・疑問点に関しては以下サイトを参考にしてください。

参考:住宅ローン減税Q&A(国土交通省)

2021年10月以降はどうなる?

実は、住宅ローン控除の制度は2021年9月末までで一区切りとなっており、現段階ではその後についてまだ決定されていません。2019年10月に消費税増税の影響を鑑み控除期間が13年に延長になった際、以下の要件が決定され制度が施行されています。

・注文住宅は2021年9月30日までに契約締結済みであること。

・分譲住宅・既存住宅・増改築は2021年11月30日までに契約締結済みであること。

・2022年12月31日までに入居すること。

つまり、注文住宅であれば2021年9月30日以降、分譲住宅・既存住宅・増改築であれば2021年11月30日以降に契約した場合、現行の住宅ローン控除の制度を利用することはできません。ただし、現状の議論の様子を見ると制度がまったくなくなるわけではなく、控除率の引き下げが検討されている段階のようです。(住宅ローンの金利が1%を下回ることも多い現状において、1%の控除は大きすぎて必要がないのに住宅ローンを組む動機づけになる恐れがある、という指摘がされています。)

毎年12月に来年度の税制大綱が発表されるため、マイホーム購入を検討している人はその内容が決定してから契約を結ぶ方がよい場合もあるかもしれません。

※2021年10月現在。何か決定があれば追記していきます。

※参考:令和3年度税制改正大綱(抄録)

【追記】2022年以降の住宅ローン控除

2022年以降の住宅ローン控除について発表があり、以下の項目が決定となりました。

・制度は引き続き利用可能

・控除率の縮小

住宅ローン控除制度の利用について、4年間延長され2025年の年末までが入居期限となりました。また、控除率は縮小され従来の1%から0.7%に変更となります。住宅ローン控除が引き続き利用できるのは嬉しい情報ですが、控除率が縮小されるので減税される金額は少なくなります。


住宅ローン控除について理解しよう

住宅ローン控除制度について解説しました。人生で一番大きな買い物となるマイホームにおいて、重要な制度である住宅ローン控除。制度の内容に振り回されることなく冷静な対応が必要ではありますが、2022年以降の制度改正にも注目していきたいと思います。

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