2022/05/26
住宅ローンの適正な返済比率とは。年齢・年収別の借入限度額の目安まで
住宅ローンを組む際の適正な返済比率について解説します。住宅ローンという借入可能額が大きいローンにおいて、自分の適正な返済比率がわからないという人もいるのではないでしょうか。返済比率の計算方法から、返済比率の実際の平均値、借り入れできる限度額と適正値についてまで初心者にもわかりやすく解説しますので、参考にしてください。
住宅ローンの返済比率とは
住宅ローンの返済比率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合のことで、返済負担率と呼ぶ場合もあります。ここでいう年収とは一般的に「手取り年収」ではなく「額面年収」のことを指し、この返済比率は住宅ローンの審査で金融機関がチェックする項目の一つでもあります。返済比率が各金融機関の基準を超えると返済が滞るリスクが高まるとされ、ローンの審査に通らない、もしくは借入可能額が減るといった対応になる場合があります。
返済比率の計算式
返済比率は以下の計算式で求めることができます。
返済比率=年間返済額÷額面年収×100
※例えば毎月12万円の住宅ローンの返済をしている人の場合、額面年収の違いによる返済比率の違いは以下の通りとなります。
1. 額面年収300万円の場合…144÷300=48%
2. 額面年収500万円の場合…144÷500=28.8%
3. 額面年収800万円の場合…144÷800=18%
4. 額面年収1,000万円の場合…144÷1,000=14.4%
5. 額面年収1,500万円の場合…144÷1,500=9.6%
返済比率は他の借入も影響する
返済比率を求める場合には、住宅ローン以外の借り入れ(カーローン、教育ローン、カードローンなど)がある場合にはすべての返済額を計算に含めます。住宅ローンの審査の際には他の借り入れ状況も確認し、すべて含めた返済比率と滞りなく返済が進んでいるかがチェックされます。
フラット35の審査では返済比率に条件がある
住宅ローンの審査申込時に返済比率の条件を開示している金融機関は少ないですが、長期固定金利のフラット35では年収や勤続年数の審査項目がない代わりに、返済比率の審査項目がありその条件を開示しています。
【フラット35の返済比率の基準】
年収 | 返済比率 |
400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 35%以下 |
上記基準より返済比率が多い場合、フラット35で融資を受けることができません。フラット35は自営業やフリーランスの人でも融資が受けやすいと評判ですが、返済比率には明確な基準があるので融資を検討している場合は注意しましょう。
適正な返済比率の目安
適正な返済比率は年収や家計の状況など様々な要素によっても変化しますが、一般的に20%前後が適正値とされています。この基準を超えてくると、特に年収の低い人の場合は生活に支障をきたしやすく、長期間の住宅ローンの返済が苦しくなる可能性が高くなります。年収が高い人の場合は20%以上の返済比率でも余裕があることが多いですが、そのほかの支出や借り入れ状況によっては家計が苦しくなる恐れもありますので注意が必要です。
住宅ローンは組んだ当時は「余裕で返せる」と感じていた返済金額でも、10年20年と長く返済を続けていく上で子供の学費や転職などの要因で収支が変化し、予想以上に返済が苦しくなるというケースもよくあります。また、持ち家は物件価格だけでなく、維持費も100万円単位でかかってきます。自分の今の現状だけでなく、長い期間返済することを見据えて返済比率を決定しなくてはいけません。なるべく適正値と言われる20%におさまる返済比率にて、健全に完済を目指すことが大切です。
住宅ローンの返済比率の平均値
国土交通省のデータによると、実際に住宅ローン返済をしている人の返済比率と年間返済額の平均は以下の通りとなっています。
返済比率 | 年間返済額 |
13.7% | 123.2万円 |
適正な返済比率である20%よりもだいぶ低く、堅実なローン返済を行っている人が多いことが伺えます。
また、住宅金融支援機構がフラット35の利用者を対象に行ったデータによると、フラット35利用者の住宅種類別の返済比率の平均は以下のようになっています。
住宅の種類 | 返済比率 |
注文住宅 | 20.8% |
建売住宅 | 23.1% |
新築マンション | 21.7% |
中古戸建て | 19.7% |
中古マンション | 19.6% |
国土交通省のデータと比べると若干高いですが、だいたい20%前後という適正値に近い結果になっています。
許容値と適正値のギャップについて
住宅ローンは貸し倒れリスクの少ない融資なので、基本的に金融機関はなるべく多くの人に、より多くの金額を借りてほしいと思っています。返済比率の理想は20%ですが、金融機関の返済比率の許容値はだいたい30~40%と言われており、そこにはギャップがあります。つまり、住宅ローンの相談に行くと本人の返済能力以上に融資をすすめられる可能性があるということです。
金融機関に適正値以上の返済比率での融資を求められても、許容値と適正値のギャップを理解し、自分の返済能力以上の金額は借りるべきではありません。「借りることができる金額」と「余裕を持って返すことができる金額」は異なるということを意識しておきましょう。
無理なく返済できる返済比率を見極めよう
住宅ローンの返済比率について解説しました。超低金利と言われている現代、低い金利でできるだけ借りておこうと考える人もいるかもしれませんが、やはり余裕を持って返済できる金額でないとリスクが上がってしまいます。また、返済期間をなるべく長くするなどで返済比率を下げることはできますが、利息の支払いが多くなり総支払額が増えることになりますので安易に返済期間を延ばすべきではありません。自身の家計の収支を確認し、無理なく返済できる返済比率・返済期間にて住宅ローンを組むようにしましょう。