2022/05/17

住宅ローンの選び方。金利、団信など比較ポイントを徹底解説

住宅ローンの選び方について解説します。借り入れる金融機関や金利や団信、返済方式、諸費用まで様々な選択肢がある住宅ローンは、選び方が難しいと感じている人も多いと思います。この記事では住宅ローンを選ぶ上で決めるべきポイントを初心者にもわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

住宅ローンの選び方

マイホームを購入するために住宅ローンを組む場合、どのように住宅ローンを選んだらよいのかという点について4つのポイントに分けて解説します。「不動産会社から提案されたから」「有名な金融機関だから」などの漠然とした理由で住宅ローンを選んでしまうと、後々返済計画が自身のライフプランと合わずに借り換えを検討しなくてはいけなくなるケースもあります。以下項目を参考に、自分に合う住宅ローンの種類を把握してから商品をよく検討するようにしましょう。

借入先

まず決めたいのは、どこから借りるのかという「借入先」です。住宅ローンの借入先は主に以下の3種類あり、利用者数としては民間融資が圧倒的に多いです。

1. 民間融資

民間融資とは、メガバンク・地方銀行・信用金庫といった様々な金融機関が扱っている住宅ローンのことです。近年ではネット銀行の利用者も増えてきています。各金融機関がそれぞれ独自の住宅ローンを用意しているため、金利やサービスなどがそれぞれ異なります。

現状は超低金利時代が続いており民間融資の平均金利(変動金利)は0.5%程度ですが、傾向としては対面店舗を持たないネット銀行が最も金利が低く、メガバンクや地方銀行が最も金利が高い傾向があります。しかしネット銀行の場合はすべて書面でのやり取りとなるため他金融機関よりも審査に厳格な基準があり、審査期間も長くかかる傾向があります。それぞれに特徴がありメリット・デメリットも異なりますので、以下図を参考に自分に合った金融機関を探してみましょう。


メリット デメリット
メガバンク

・審査のスピードが早い

・団信の特約が充実している

・金利は高めの傾向

・属性のハードルが高い(年収、勤務先など)

地方銀行

・メガバンクより属性のハードルが低い

・地域密着型で、融通もききやすい

・支店が多い

・金利は高めの傾向

・融通がきく反面、手数料も高めの傾向

信用金庫 ・営業地域内の人であれば、個人事業主など属性に不安のある人でも審査に通りやすい ・金利は若干高めの傾向
労働金庫 ・組合員であれば金利や保証料が安くなることも ・金利は高めの傾向
ネット銀行

・金利が安めの傾向

・近くに店舗がなくてもすぐに申し込める

・審査は厳しめの傾向

・対面での相談はできない

【参考】実際の借入先についてのアンケート

リクルートライフスタイルが2019年に行った調査によると、実際に民間融資で住宅ローンの借入を行った人のうち、借入先の金融機関は以下のような割合になっています。

金融機関 割合
メガバンク 34.6%
地方銀行 34.4%
信用金庫 7.6%
労働金庫 5.5%
ネットバンク 5.0%

参考:住宅ローンの利用状況(リクルートライフスタイル)

2. 公的融資

民間融資に対し、国が運営する独立行政法人や自治体などの公的機関が行う融資のことを公的融資と言います。公的融資には財形貯蓄などを行っている会社員や公務員を対象とした「財形融資」や、都道府県や市区町村などの自治体が行う「自治体融資」などの種類があります。

・財形融資とは、企業の福利厚生として利用できる住宅ローンのことで、勤務先にて財形貯蓄を1年以上行うなど、一定の条件を満たした人のみが利用することができます。保証料や融資手数料がかからず諸費用が安くなるというメリットがありますが、企業によって制度を活用できるかどうか異なりますのでまずは勤めている企業に確認してみましょう。

・自治体融資とは地方自治体が行っている住宅ローンのことで、自治体ごとに収入要件や居住期間・年齢など、利用できる条件が異なります。審査基準が比較的緩く、民間融資と比べると利用しやすいメリットがある反面、借りられる最大金額が低い・融資年数が短いなど融通は利きにくい特徴があります。

現在では民間融資を利用する人が大半ですが、何らかの理由で民間融資を利用できない人や、勤め先の企業で財形融資を利用できる人などは検討してみるとよいでしょう。

3. フラット35

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して扱っている住宅ローンのことで、民間融資と公的融資の中間的存在になります。返済期間中最長35年間金利が固定され変わらないという特徴があり、民間融資と同じく銀行、信用金庫、信用組合などを通して申し込みます。フラット35を利用するには購入する物件が融資条件に適合するかの検査が必要になりますが、勤続年数や年収などに条件がないため幅広い人が利用することができます。

詳しくは以下記事を参考にしてください。

参考:『フラット35とは?民間住宅ローンとの違いから利用する上での注意点まで

諸費用についても要確認

住宅ローンを契約する借入先を選ぶ際には、物件価格だけでなく諸費用についても比較検討する必要があります。諸費用には主に以下のような項目がありますが、金融機関によって少しずつ内容・費用が異なります。特に保証料については、諸費用の中で一番大きな金額になりやすいことや金融機関ごとに差が大きいことから、慎重に比較する必要があります。

項目 内容
保証料 保証会社に保証人になってもらうための手数料。融資実行時に一括で支払うタイプと、金利に上乗せするタイプがある。
印紙税 売買契約書や金銭消費貸借契約書を作成するときに係る税金。
登録免許税 住宅ローンを組む際の抵当権設定登記に係る税金。
登記手数料(司法書士報酬) 登記手続きを司法書士へ依頼した場合の報酬。
融資手数料 金融機関に支払う手数料。
保証会社事務取扱手数料 保証会社と保証委託契約を締結する際にかかる事務手数料。
不動産取得税 土地・建物を取得したときや、新築で建物を建てたときに係る税金。

また、住宅購入時の諸費用だけでなく、繰り上げ返済時の手数料についても確認しておくことが大切です。住宅ローン返済時、余裕ができた場合は繰り上げ返済を行うこともあるかと思いますが、繰り上げ返済時に手数料が必要な金融機関もあります。繰り上げ返済の回数が増えれば費用もかさみますので、事前に確認しておくようにしましょう。

金利タイプ

次に選ぶべきポイントとして、金利タイプがあります。住宅ローンには主に3つの金利タイプがあり、それぞれにメリット・デメリットがあるため自身の状況に合わせて適切な金利タイプを選ぶ必要があります。フラット35の場合は全期間固定金利のみ選択できますが、通常民間融資では固定金利型・変動金利型・固定金利期間選択型の中から選択することができます。

1. 固定金利型

固定金利型は、返済開始から完済時まで金利が固定で変わらない金利タイプのことを言います。市場の金利が変動しても借入金利が変わらず、返済額が一定なため返済計画が立てやすいメリットがあります。しかし、現状の金利状態では変動金利型や固定金利期間選択型と比べると固定金利の方が金利が高く設定されてしまうというデメリットもあります。

2. 変動金利型

変動金利型は、返済期間中に定期的に金利が見直される金利タイプのことを言います。他の2つの金利タイプと比べると金利が最も低く設定されていることが多く、このまま低金利の経済状態が続けばずっと低金利で借り続けられるというメリットがあります。しかし、もし今後金利が上昇した場合には、返済額も増加し負担が大きくなるというリスクもあります。

変動金利の金利は半年に一度見直され、実際の返済額への反映は5年ごとに行われています。また、もし急激に金利が変動した場合でも「125%ルール」と言って金利変更前よりも125%以上は上がらないようになっています。

3. 固定金利期間選択型

固定金利選択型は、返済開始から一定期間(3年・5年・10年など)固定金利を選択することができ、期間終了後は自動的に変動金利型に移行するという金利タイプのことです。金融機関によっては固定期間終了後、再度固定金利を選択できる商品もあります。金利水準は固定金利型と変動金利型の中間に位置付けられ、メリットやデメリットも固定・変動両方の性質を持ちます。

固定金利選択型独自の注意点としては、固定金利期間が終了し変動金利へ移行するタイミングでの金利見直しには前述の125%ルールは適用されないため、そのタイミングで金利が大幅に上昇している場合、変動金利への移行に伴い大きく金利が上昇する可能性があります。

【参考】住宅ローン利用者の金利タイプ

住宅金融支援機構が2021年に行った調査によると、2020年10月から2021年3月までに住宅ローンの借り入れを行った1,500人のうち、金利タイプは以下のような割合となっていました。

金利タイプ 割合
変動金利型 68.1%
固定金利型 11.2%
固定金利期間選択型 20.7%

変動金利型の割合が2017年の56.5%から10%以上増えているのに対し、固定金利型は13.3%から約2%減、固定金利期間選択型が30.1%から約10%減という結果となりました。引き続き低金利が続く現状では、変動金利を選択する人が今後も増えていきそうです。

参考:住宅ローン利用者の実態調査(住宅金融支援機構)

返済方式

金利タイプ以外にも、住宅ローンには返済方式にも種類があります。

1. 元利均等返済

元利均等返済とは元金と利息を合わせて均等に返済する住宅ローンの返済方法のことで、毎月の返済額が常に同じ金額になります。返済金額は一定で変わらない一方、返済開始したばかりのころは借入の残高が大きいため、利息として支払う金額の割合が大きく元金の返済分の割合が小さくなります。

毎月の返済額が変わらないことで返済計画が立てやすいというメリットがありますが、元利均等返済だと元金部分の減りが遅いため、総返済金額は元金均等返済よりも大きくなってしまうというデメリットがあります。

2. 元金均等返済

元金均等返済とは、ローンの元金にあたる金額を返済期間で均等に割り、さらに残高に応じた利息を上乗せした金額を支払うという住宅ローンの返済方法です。元金の返済額は毎月一定ですが、利息分の返済金額は借入残高によって毎月異なるため、月々支払うローンの返済金額が変動します。つまり最初に支払う金額の負担が大きく、だんだんと金額が小さくなり負担が減っていくという返済方法です。

支払い金額が変動し返済計画が立てづらいというデメリットがある一方、元金部分の減りが早いため、元利均等返済と比べると総支払金額が少なくなるというメリットがあります。

※元金均等返済は金融機関によっては扱っていない場合もあります。

団信の保障内容

住宅ローンを組む際にほとんどの人が入ることとなる団信の保障内容についても、以下のようなタイプの中から選択する必要があります。すでに入っている生命保険がある場合は、その内容と比較して保障内容がかぶらないようにしましょう。

団信とは

団信とは、住宅ローンの返済中に借主に万が一のことがあった場合に保険金によってローンの残債が弁済されるという保険です。支払いはローンの金利に含まれており、金利を少し上げることで特約をつけることも可能です。

住宅ローンにおいては契約にあたって団信への加入が義務付けられている金融機関がほとんどですが、フラット35に関しては加入は任意となっています。

団信のタイプ

通常金利に上乗せなしで通常の団信に加入することで、死亡時または高度障害状態になった際にローンの残債がなくなります。特約としては通常金利に0.2%~0.3%ほど追加することで三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)特約付き団体信用生命保険や八大疾病(三大疾病+高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎)特約付き団体信用生命保険に加入することができます。

特約付きの団信に加入することで、特定の病気と診断された時点でローンが弁済となりますが、あくまで住宅ローンの残債がなくなるだけで治療費や通院費に対して保険金がおりるわけではありませんので注意してください。病気に対する不安がある方は団信の特約加入も有効ですが、並行して通常の医療保険も検討する必要があるでしょう。

※一般の生命保険と団信の違い


一般的な生命保険 団体信用生命保険
保険期間 契約期間中は保障が続く ローンを完済した時点で保険期間が終了する
保険料

・保険料は契約時から変わらないことが多い

・加入時の年齢に応じて保険料が変わることが多い

・支払方法は選択できる

・残債額が減るにつれて保険料が下がる

・年齢に関係なく保険料は一律

・ローンの金利に保険料が含まれている

生命保険料控除 対象 対象外

複数のポイントを比較検討しよう

住宅ローンの選び方について解説しました。住宅ローンは人生で一番高い買い物と言われるマイホームを購入するための、長い付き合いとなるローンです。金利など1つのポイントだけを見て判断するのではなく、自身のライフプランと照らし合わせて複数のポイントを比較検討し、後悔のない住宅ローン選びを行いましょう。

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