2022/04/06

高配当株の定義とは。メリット・デメリットまで解説

高配当株の定義について初心者にもわかりやすく解説します。「配当」とはどういうものかというところから、「高配当」と呼ばれる定義、配当利回りの簡単な計算方法、高配当株投資を行う上で意識しておきたいメリット・デメリットや注意点まで解説しますので、参考にしてください。

配当とは

配当とは、「会社が得た利益の一部を株主に支払うもの」のことです。一般的にはお金で利益を還元することを配当(配当金)、サービスや物として還元することを優待(株主優待)と呼びます。配当は主に年に1回もしくは2回実施される企業が多く、定期的に配当を出す企業は投資家にとって魅力の一つとなっています。

高配当株とは

高配当株とは、企業の株式の中で配当利回りが高い株式のことを指します。日本の上場企業の平均的な配当利回りは2022年3月時点で1.91%(東証第一部の単純平均利回り)となっています。一般的に配当利回り2%を超えれば平均以上と言えますが、約4%を超える配当利回りの企業の株式を「高配当株」と呼ぶことが多いです。

高配当株の企業は安定した収益基盤、株主への利益還元姿勢などの特徴があると見られるため、投資家に好まれる傾向があります。また、株価が下落する=配当が減るというわけではないため、配当金を好む投資家は株価下落局面でも株式を売らず保有し続ける傾向があり、高配当株は相場の下落時に強いと言われています。

とはいえ2020年のコロナショックでは、高配当株として有名だったキヤノンや三菱ケミカルホールディングスなどが大きく減配、上場企業全体としては18%の企業が減配や無配となった実績があります。配当性向(当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標)が高く無理して高配当を続けている企業は暴落時にも弱くなってしまうので、高配当銘柄だから下落に強いと一概に言えるわけではありません。

参考:日本取引所グループ その他統計資料(株式平均利回り)

配当利回りの計算方法

配当利回りとは、株価に対する年間の配当金の割合を示す指標のことです。1株当たりの配当金のことをDPS(Dividend Per Share)とも言います。配当利回りは1株当たり配当(DPS)÷株価×100で算出することができ、その値によって株価に対して1株当たりの配当が多いのか少ないのかを判断することができます。


例:

A社

株価 1,000円

配当金 20円


B社 

株価 2,000円

配当金 30円


上記のような企業があった場合、

A社の配当利回りは20÷1,000×100=2 →配当利回り2%

B社の配当利回りは30÷2,000×100=1.5 →配当利回り1.5%

A社の方が株価に対しての年間の配当割合が多いので配当利回りだけで考えるとお得な株ということになります。単純に配当利回りだけで投資対象を判断することは危険ですが、一つの判断材料として重要な指標なので覚えておきましょう。

※最新の配当利回りは以下サイトなどで確認することができます。

参考:Yahoo!ファイナンスHP

権利付最終日と権利落ち日とは

高配当株投資を行う上で知っておかなければいけないのが、「権利付最終日」と「権利落ち日」です。権利付最終日とは配当金をもらう資格を得るために株を持っていなければいけない日のことで、権利落ち日は権利付き最終日の翌営業日のことを指します。権利付き最終日と権利落ち日は銘柄ごとに異なるので、配当金や株主優待を目的としている場合は、必ずその企業の権利付最終日を確認しておき、その日までに購入・保有しているようにしましょう。ただし、理論上は、権利落ち日に配当金・株主優等分の価値が下がることになります。権利付最終日に購入したからといって「得」ということにはならないので注意してください。

高配当株のメリット

1. 安定的なインカムゲインが得られる

株式投資で得られる利益には、値上がり益である「キャピタルゲイン」と配当金や株主優待などの「インカムゲイン」の2種類があります。インカムゲインが得られる高配当株は、保有期間中に配当金というインカムゲインを得つつ、株価が上がれば売却してキャピタルゲインを得られるという二重のメリットがあります。株を保有しているだけで安定的な収入を得ることができるため、老後の年金代わりの存在として考えている個人投資家もいます。

2. 株価暴落時に配当金が精神的な支えとなることがある

配当金は、業績悪化などから減配(配当金が減ること)されることもあります。しかし例えば市場全体が下落している時には、株価の変動と比べると配当は変動が少ない傾向があるため、配当金の存在が投資家の支えとなることが多いです。これは特に投資している金額が大きい人ほど顕著ですが、市場が下降傾向の際にも安定的な収入(配当金)があることは健全な投資を行う上で大きな利点です。ただし、市場の下落時には、減配や無配になる可能性もあることを十分に認識する必要があります。

高配当株のデメリット

1. 減配リスクがある

いまは高配当の企業でも、業績が悪化し赤字になったり業績低迷が長期間続いたりすると減配(配当金が減ること)や無配(配当金を無しにすること)となる場合があります。高配当株は配当利回りの高さに支えられて株価が割高になっていることもあるので、この場合減配が起こると投資家からの人気が一気になくなり配当金だけでなく株価も急落することがあります。この減配リスクが高配当株の大きなデメリットです。

このリスクを避けるには、配当利回りだけを見て投資判断を行うのではなく業績や財務状況もきちんと把握し、業績が低迷している高配当株に投資しないようにすることが大切です。

2. 配当金を受け取るたびに税金がかかる

配当金を受け取ると、現在日本では20.315%の源泉徴収税がかかります。配当を受けた分を再投資するにも税金が差し引かれてしまうため、複利効果が感じにくく投資効率が落ちる点はデメリットと言えます。このデメリットを避けるには、NISA口座を活用することが有効です。NISAは値上がり益や配当金に関する税金が非課税となるお得な制度です。NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3種類がありますが、個別の株式の売買は一般NISAのみ可能となっています。年間の非課税枠は120万円と上限がありますが、5年間で最大600万円分となり、一般投資家にとっては大きな金額です。

参考記事:『NISA(一般NISA)とつみたてNISAの違いとは?それぞれの特徴から、切り替え方法まで解説

3. キャピタルゲインが得にくい

高配当株銘柄はキャピタルゲインが得にくいというデメリットもあります。特に高配当株は市場株価が上昇傾向にあるときには株価の伸びが緩やかなことがあり、売上成長率が高い銘柄を中心に投資するグロース株投資と比べると大きくキャピタルゲインを取ることは難しいという特徴があります。この点は長期投資か短期投資か、高配当株かグロース株かなど個々の投資戦略によって捉え方が変わってきますので、高配当株の一つの特徴として把握しておきましょう。

高配当株投資の注意点

1. 配当利回りが高い=良い企業とは限らない

配当利回りが高いということは、必ずしも良い企業とは限りません。将来の見通しが悪いために株価が下がり、結果的に高配当に見えている状態の企業もあるからです。また、高配当すぎる(一般的に5%以上の配当利回り)企業は、財務的に無理が生じている可能性もあるため注意が必要です。配当利回りが高いという点だけで判断するのではなく、過去何年間かの業績やキャッシュフローを必ず確認しましょう。

2. 記念配当などで一時的に高配当なこともある

高配当株の中には、会社の創立や創業を記念したり、上場から〇周年といった記念に増配する銘柄もあります。一時的なものではありますが、記念配当が実施されると配当利回りが上昇することになるため、記念配当を行う発表をした直後に株価が急騰することもあります。この場合は記念配当の年が過ぎれば元の配当額に戻るため、配当利回りが前回より上がっている企業に関しては記念配当の影響がないか確認するようにしましょう。

高配当株のメリット・デメリットを理解した上で投資をしよう

高配当株の定義、メリット・デメリットを解説しました。高配当株投資では定期的に入るインカムゲインが魅力ではありますが、インカムゲインとキャピタルゲインを総合的に考えて投資先を判断することが重要です。また、減配リスク等を考慮すると高配当株投資のみで資産運用を行うのはおすすめできません。高配当株投資を行う場合はポートフォリオの一部にとどめ分散させること、様々な理論を知った上で自分の目的に合わせて高配当株投資を選択することが重要です。

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