2022/03/24
ETFの正しい選び方とおすすめのETF
ETFの正しい選び方とおすすめのETFについて解説します。ETFを選ぶ際は、投資信託同様「投資対象」「コスト(経費率)」「純資産総額」の3つを見るほか、「指数との乖離率」や「流動性」もチェックするのがポイントです。これから投資を始める初心者からすでに投資を始めている人にまで、わかりやすく解説します。
ETF(上場投資信託)とは
ETF(上場投資信託)とは「Exchange-Traded Fund」の略称で、日経平均株価やTOPIX、S&P500などの株価指数の値動きに連動するよう運用されている指数連動型の投資信託のことです。インデックスファンドと意味は似ていますが、通常「インデックスファンド」と呼ばれているものは非上場の投資信託のことを指し、ETFは上場している投資信託のことを指します。
ETFのメリット(非上場の投資信託と比べて)
1. リアルタイムに売買ができる
ETFは上場投資信託のため、取引所が開いている時間帯は個別の株式と同じようにリアルタイムに売買が可能です。その他、通常の投資信託とは異なり指値・成行注文や信用取引を行うことも可能です。
2. コストが安い傾向がある
ETFは、商品を保有している間にかかる信託報酬というコストが投資信託と比べて安い傾向にあります。なぜなら投資信託は信託銀行・運用会社・証券会社に対して信託報酬を支払っているのに対し、ETFは信託銀行・運用会社のみに対して支払っており、証券会社に対する支払いがないからです。しかし最近は投資信託の中にもETF並みに信託報酬の安い商品が出てきており、その差は小さくなってきています。
ETFのデメリット(非上場の投資信託と比べて)
1. 積立設定ができないことがある
投資信託は基本的に積立設定と言って自動で定期的に買付けを行うことができますが、ETFの場合は積立設定を行うことができません。(一部の証券会社では設定することができます。)手動で買付けを毎回行わなければいけないのはETFのデメリットです。
2. 分配金が自動的に再投資されない
一般的な投資信託と異なり、ETFの分配金は運用経費を差し引いて、決算時にすべて分配されます。支払われた分配金を自動で再投資するという仕組みがないため、再投資する場合は手動で買い付けを行わなくてはいけないという手間がかかります。
ETFの正しい選び方
ETFを選ぶ時にチェックするポイントは、基本的には投資信託と同じく、以下の3点です。
1. 投資対象
2. コスト(経費率)
3. 純資産総額
上記に加え、ETFでは
4. 流動性
5. 乖離率
も大切です。
1. 投資対象
まずは、どの対象に投資するETFなのかというインデックス(指標)を確認します。代表的なのは日本、米国など国ごとの株価指数に連動するもの、株式、債券、REIT(不動産投資信託)など資産で対象を絞ったものなどがあります。さらに、「小売」、「人材」、「ハイテク」、などもっと細かくテーマを絞ったETFもありますので、自分が投資したいと思うテーマをまずは考えましょう。
2. コスト(経費率)
投資において、コストは投資家がコントロール可能な数少ない項目の一つです。ETFの場合は、「経費率」という形でコストが発生します。ETFのコストは、投資信託の信託報酬などと比べても総じて低いですが、それぞれのETFごとに経費率は異なります。同じ投資対象でも運用会社によって経費率が異なるケースも多いので、チェックするようにしましょう。経費率は低ければ低いほど良いと言えます。
3. 純資産総額
純資産総額はETFの規模の大きさを表します。純資産総額が少ないと、ETFが上場廃止となることもあります。その場合、途中で運用ができなくなることになるため、基本的には純資産総額の大きいETFを選ぶようにしましょう。
4. 流動性
流動性とは売買高(出来高)や売買代金の多さのことを指し、そのETFの取引のしやすさを表しています。例えば同じS&P500連動型のETFでどの商品にするか迷ったりした場合は、売買高の多さを確認して選ぶとよいでしょう。売買高が多い銘柄は、ETFを売買する際にすぐに約定することができます。反対に流動性の低い銘柄は、ETFを売買する投資家が少ないということなので、取引したい時に取引できない、もしくは正常な価格で取引できない可能性があります。
例えば国内ETFの流動性については、東京証券取引所のHPにて確認することができます。
参考:東京証券取引所HP
5. 乖離率
ETFの場合、そのETFの価格(基準価額)連動を目指す指数との間の「乖離率」もチェックしておきたいポイントです。ETFはその銘柄ごとに組入銘柄の売買タイミングや運用管理など様々な要因で指数より下振れしてしまう傾向がありますが、一般的にはこの乖離率が小さいETFほど運用がうまいと言えます。できるかぎり乖離率の小さいETFを選びましょう。
乖離率は前日市場価格÷前日基準価額を1口あたりに換算した値の割合で算出されていて、0%に近い水準で推移しているかどうかがポイントになります。ETFの運用会社は毎日この乖離率を公表することを義務付けられているため、購入を検討する際は以下のページ等を参考に確認してみてください。
参考:モーニングスターHP
おすすめの国内ETF
ETFには、国内で上場している国内ETFと、海外の取引所に上場している海外ETFがあります。国内で上場しているETFの中にも、投資対象が日経平均のような国内のものだけでなく、海外の市場に連動するようなETFも存在します。
全般的に国内ETFは海外のメジャーなETFに比べると、上記のチェックポイントで比較した際、特に純資産総額や流動性の面で見劣りしていると言わざるを得ません。その中でもおすすめできる国内ETFは以下の通りです。
おすすめ国内ETF
銘柄コード | 銘柄名 | 対象指標 | コスト(信託報酬) | 純資産総額(億円) |
1306 | NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 | TOPIX | 0.0968%以内 | 158,153 |
1308 | 上場インデックスファンドTOPIX | TOPIX | 0.242%以内 | 74,163 |
1305 | ダイワ上場投信−トピックス | TOPIX | 0.121%以内 | 72,475 |
1321 | NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 | 日経平均株価(日経225) | 0.1980% | 79,978 |
1343 | NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 | 東証REIT指数 | 0.1705% | 4,256 |
1476 | iシェアーズ・コア Jリート ETF | 東証REIT指数 | 0.1760% | 3,367 |
※2021年7月現在
おすすめ海外ETF
国内ETFに比べ、海外の取引所に上場している海外ETFは銘柄数も多く、純資産総額や流動性も桁違いなものが多いです。主要な海外ETFは、国内の証券会社で「外国株式口座」を開設すれば取引が可能です。以下におすすめの海外ETFをいくつか紹介します。
おすすめ海外ETF
ティッカー | 銘柄名 | 投資対象 | 経費率 | 純資産総額(百万ドル) |
VT | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF | 全世界株式 | 0.08% | 21,845 |
VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | 全米株式 | 0.03% | 252,829 |
VOO | バンガード・S&P500 ETF | S&P500 | 0.03% | 232,771 |
IVV | iシェアーズ・コア S&P 500 ETF | S&P500 | 0.03% | 286,994 |
SPY | SPDR S&P500 ETF トラスト | S&P500 | 0.0945% | 374,031 |
VXUS | バンガード・トータル・インターナショナル・ストック(除く米国)ETF | 全世界株式(除く米国) | 0.08% | 48,257 |
VEU | バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF | 全世界株式(除く米国) | 0.08% | 34,952 |
VEA | バンガード・FTSE先進国市場(除く米国)ETF | 先進国株式(除く米国) | 0.05% | 101,047 |
VWO | バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF | 新興国株式 | 0.10% | 84,082 |
IEMG | iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF | 新興国株式 | 0.11% | 83,678 |
AGG | iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF | 米国債券 | 0.05% | 88,802 |
BND | バンガード・トータル債券市場ETF | 米国債券 | 0.035% | 78,833 |
GLD | SPDRゴールド・シェア | 金 | 0.40% | 59,261 |
※2021年6月現在
チェックポイントを理解してETFを選ぼう
ETFの正しい選び方とおすすめのETFについて解説しました。ETFの特徴やチェックポイントを理解した上で自身の運用方針に合った銘柄選びを行いましょう。