2022/10/07
クレジットカード付帯保険の主な種類と利用の際に注意すべきポイント
保有するクレジットカードの付帯保険を詳しくチェックしたことはありますか?万一のトラブルにも対応できる付帯保険は旅行傷害保険が有名ですが、その他にもさまざまな種類があり、どの保険が付帯しているのかもクレジットカードごとに異なります。この記事では、主な付帯保険の種類や利用する際の注意点を解説します。
クレジットカードの付帯保険とは
クレジットカードにはカードごとのさまざまな特典とともに保険が付帯しています。この付帯保険は、保険の加入手続きなどは不要で、一般的な任意加入の保険のように保険料を別途支払う必要などもありません。(オプション保険は除く)
付帯保険では、万が一の事故や、ショッピングでトラブルにあった際などに補償が受けられます。カードごとに付帯する保険の種類や内容は異なるので、どのような補償が受けられるかもカードによって異なります。年会費無料のカードでも保険が付帯しているものもあり、付帯保険をうまく活用することでよりお得に、より安心して旅行や買い物をすることができます。
保険の「自動付帯」と「利用付帯」
クレジットカードの保険には「自動付帯」と「利用付帯」の2種類があります。どちらであるかによって保険適用の条件が異なるので、保有するカードの保険がどちらなのかは確認しておくようにしましょう。
自動付帯 : クレジットカードの利用などに関係なく、保有しているだけで保険の適用になる。
利用付帯 : 旅行代金等をクレジットカードで支払った場合に保険の適用になる。
海外・国内旅行関連保険
1. 海外旅行傷害保険
海外旅行中に事故や病気、また携行品の破損や盗難に遭うなど思わぬトラブルが発生した場合の補償や、誤って誰かに怪我をさせてしまった時などの賠償額のカバーなどが受けられます。具体的な補償内容には以下のようなものがあります。
傷害死亡・後遺障害 : 旅行中の事故により怪我をし、それが原因で死亡または障害が残った場合
傷害・疾病治療費 : 旅行中での怪我や、疾病を発病して医師の治療を受けた場合
賠償責任 : 旅行中に起こった偶然の事故により他人に怪我を負わせたり、他人のものを破損して賠償責任が発生した場合
携行品損害 : 旅行中に盗難の被害に遭ったり、偶然の事故によって持ち物が損害を受けた場合
救護者費用 : 被保険者が旅行中の怪我や病気などが原因で一定期間入院が必要になった場合、その救護をするため現地に向かう家族等の渡航費用等
※エポスカード(自動付帯)の場合〈クレジットカード年会費 / 無料〉
補償内容 | 保険金額 |
傷害死亡・後遺障害 | 最高500万円 |
傷害治療費用 | 200万円(1事故の限度額) |
疾病治療費用 | 270万円(1疾病の限度額) |
賠償責任(免責なし) | 2,000万円(1事故の限度額) |
救援者費用 | 100万円(1旅行・保険期間中の限度額) |
携行品損害(免責3,000円) | 100万円(1旅行・保険期間中の限度額) |
2. 国内旅行傷害保険
国内旅行中の病気や怪我で入院や通院、手術が必要になった際に補償が受けられます。海外旅行傷害保険とはその内容や補償額なども異なるので必要な場合にはよくチェックするようにしましょう。また、国内の場合は健康保険でカバーできるものも多く、国内旅行傷害保険は一般カードで付帯しているものは多くありません。付帯している場合もほとんどが利用付帯になります。主な補償内容は以下です。
死亡・後遺障害 : 旅行中の事故により怪我をし、それが原因で死亡または障害が残った場合
入院保険金 : 旅行中の怪我や病気が原因で一定期間の入院が必要になった場合
通院保険金 : 旅行中の怪我や病気が原因で一定期間内に通院が必要になった場合
手術保険金 : 旅行中の怪我や病気が原因で一定期間内に手術が必要になった場合
※JCBゴールド(自動付帯)の場合 〈クレジットカード年会費 / 11,000円〉
補償内容 | 保険金額 |
傷害死亡・後遺障害 | 最高5,000万円 |
入院保険金日額 | 5,000円 |
通院保険金日額 | 入院日額×倍率(10倍、20倍または40倍) |
手術保険金 | 2,000円(事故日から180日以内、90日限度) |
※入院、通院、手術はそれぞれ8日以上の治療から対象。
3. 海外・国内航空便遅延保険
搭乗予定の飛行機が一定時間以上遅延、もしくは欠航した場合になどに補償を受けられます。カードごとに補償内容やその範囲は異なりますが、大きく以下のように分けられます。
乗継遅延 : 到着便の遅延により出発便に搭乗することができず、また一定時間以上代替便に乗ることができなかった場合
出航遅延・欠航・搭乗不能費用 : 搭乗予定の出航便が一定時間以上遅延した場合、または欠航・運休した場合
手荷物遅延費用 : 目的地に到着後一定時間以上荷物が運搬されなかった場合
手荷物紛失費用 : 目的地に到着後一定期間内に荷物が運搬されず、紛失が考えられる場合
この保険が付帯しているのは、一般的にランクの高いカードか企業などで使用するコーポレートカードになります。また、国際線を対象にした保険が多く、国内線も対象となっているものは希少です。
※JCBゴールド(自動付帯)の場合〈クレジットカード年会費 / 11,000円)
補償内容 | 保険金額 |
乗継遅延費用 | 20,000円限度 |
出航遅延費用等 | 20,000円限度 |
寄託手荷物遅延費用 | 20,000円限度 |
寄託手荷物紛失費用 | 40,000円限度 |
海外・国内旅行付帯保険を利用する際に気をつけたいポイント
1. 家族特約
クレジットカードに付帯する保険の対象者は基本的にカード会員本人のみですが、家族特約が付いている場合は家族まで対象が広がります。家族旅行などの場合、通常であれば家族分は別途保険への加入が必要になるため、追加料金がかからず、加入忘れなどの心配もない家族特約はお得で便利ですが、カードによって会員本人への補償額と比べ家族に対する補償額が少なかったり、補償内容が限定的であったりするなどのデメリットもあります。
家族が18歳以上の場合、本会員と同じ補償を受けられる家族カードを発行することも選択肢の1つです。
1. 同じ保険が付帯しているクレジットカードを複数枚保有している場合
基本的にクレジットカード付帯の保険では、傷害死亡・後遺障害保険金以外は合算が可能です。海外で医療行為を受けた場合、日本と違い治療費が高額となるケースがあります。そんな場合でも複数枚のカードを保有していれば補償額を上乗せすることも可能です。
一方、傷害死亡・後遺障害保険金は合算することができず、保有するカードの中で補償額が最大のものが適用されます。
3. キャッシュレス診療対象カードがおすすめ(海外旅行の場合)
海外では医療費が高額になることが多くあります。そこで持っておきたいのがキャッシュレス診療対応の保険。海外旅行中に病気や怪我で医師の治療を受けた場合、通常であればかかった医療費は一度自分で立て替え、後日その費用を保険会社に請求する形になります。ですが、キャッシュレス診療対象のカードであれば保険会社より病院へ直接支払いがされるため立て替えが必要なくなります。
保険会社と提携している病院で治療を受ける必要があるので、病院へかかる必要が出てきた場合にはまず保険会社のサポートセンターに連絡を入れ指示を仰いでください。
また、サポートセンターでは24時間いつでも日本語でサービスが受けられるので言葉が通じにくい海外でも安心して治療を受けることができます。
ショッピング保険
ショッピング保険とは、クレジットカードで購入した商品が破損したり、盗難に遭った場合に補償を受けられるというものです。補償額や補償期間はカードごとに異なりますが、こちらも一般的にカードのランクが上がるほど補償内容は手厚くなります。
ショッピング保険の他に、ショッピングガードやショッピングリカバリーなどと呼ばれている場合もあります。注意が必要な点として、たとえクレジットカードで購入した商品であっても、自転車や自動車、動物、植物など補償の対象外となる商品があるというということ、また、破損や盗難の原因が故意の場合や紛失、置き忘れによるものなどの場合にも補償の対象外になることがあることなどが挙げられます。申請をする前に、その商品が対象になっているか確認しましょう。
ショッピング保険の例
カード名 | 対象利用 | 保険金額 | 対象期間 |
三井住友カード(一般) | 海外・国内 | 1事故につき3,000円 | 購入日および購入日の翌日から200日間 |
JCB CARD W | 海外 | 1事故につき10,000円 | 購入日より90日間 |
イオンカードセレクト | 1品5,000円以上の商品 | 年間50万円まで | 購入日より180日以内 |
その他の付帯保険
1. 不正利用補償サービス
基本的にどのカードでも付帯している保険です。クレジットカードの紛失や盗難、またオンライン上での利用が原因で不正利用をされた場合にも、届出をした日から一定期間さかのぼって補償が受けられます。カード発行会社、またカードごとでも条件は異なりますが、カード裏面にサインをしていなかったり、不正利用の届出が発生日から一定期間経過している場合など補償の対象外になるケースもあります。
クレジットカードは正しく管理し、不正利用の疑いがある場合には、すぐに専用デスクに届け出るようにしましょう。
2. ゴルフ保険
ゴルフのプレー中に他人を怪我させてしまったり、他人のものを壊してしまった場合、また、自分自身が怪我をした場合や使用しているゴルフ用品が破損したり盗難にあった場合などに補償を受けられます。また、ホールインワンやアルバトロスを達成した際のご祝儀などでかかる費用が補償対象になっているものも多くあります。
ゴルフ保険は、ランクの高いカードに自動付帯するタイプと、オプションで月々保険料を支払うタイプがあります。
※ダイナースクラブ ビシネスカード 〈ゴルファー保険(自動付帯)〉の場合
クレジットカード年会費 | 27,500円 |
死亡・後遺障害 | 最高300万円 |
賠償責任(一事故の限度額) | 1億円 |
ゴルフ用品の損害(年間の限度額) | 50,000円 |
ホールインワン・アルバトロス費用(一回の限度額) | 100,000円 |
3. スマホ保険
スマホの落下や水没などによる画面の破損や故障の際、補償期間内であれば修理代の全額または一部補償を受けられます。カードごとに年間や一回ごとの支払額、回数に上限が設定されているのでその点は注意が必要ですが、毎日持ち歩き、画面の破損など比較的高い頻度で起こり得る修理に対して補償が受けられるというのは安心です。
※アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード〈スマートフォン・プロテクション(自動付帯)〉の場合
クレジットカード年会費 | 31,900円 |
補償限度額 | 50,000円 |
免責金額 | 1事故につき10,000円 |
補償対象 | スマートフォン1台 |
補償範囲 | 破損(スクリーンガラス割れ損害を含む) |
補償期間 | 1年間 |
補償条件 | 購入日より2年以内の端末で、通信料を事故発生までに少なくとも3ヶ月以上連続してこのカードで決済している場合 |
4. 自転車保険(個人賠償責任保険)
自転車に乗車中に発生した事故により自分が怪我をした場合、または他人を怪我させてしまったり、他人のものを壊してしまった場合などに補償が受けられます。自転車保険単独のものよりも個人賠償責任保険の中に含まれているタイプが多いです。ランクの高いカードで自動付帯のものもありますが、多くは追加オプションの保険となっていて月数百円以下ではありますが保険料が発生します。また、学生限定で自動付帯するカード等もあります。
近年、自転車保険への加入を義務付ける自治体は増えており、東京都でも2020年4月に条例が施行されています。
火災保険や自動車保険にすでに加入している場合、特約として付帯している場合があるので、重複しないためにも一度確認されることをおすすめします。
※JCBカード〈トッピング保険自転車プラン(基本)の場合〉
クレジットカード年会費 | 1,375円(初年度無料) |
保険料(月額) | 330円 |
個人賠償責任 | 1億円 |
死亡・後遺障害 | 100万円 |
入院保険金日額 | 1,000円 |
手術保険金 | 入院中/ 10,000円、外来/5,000円 |
参考記事:『 自転車保険とは?補償の内容、義務化の最新情報まで 』
クレジットカードの付帯保険を上手く活用しよう
クレジットカードに付帯する保険について解説しました。任意加入の保険に加入しなくても、追加料金の必要ないクレジットカードの付帯保険で十分カバーできるものは多くあります。補償内容やその対象はカードごとに異なるので、一度よく確認をし、上手く活用しましょう。