2022/08/19
自動車保険の等級制度とは。割引制度から注意点まで
自動車保険の等級制度について解説します。自動車保険は他の生命保険などとは異なり、今までの運転歴から等級が付けられ、保険料にも影響します。等級はどのように決まるのかという点から実際の等級ダウンの事例、保険料の割引について、等級制度に関する注意点までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。
自動車保険とは
自動車保険とはドライバーが加入する保険で、必ず加入しなければならない強制保険(自賠責保険)と任意で加入する自動車保険に分かれています。自賠責保険は被害者救済のための最低限の補償で、自賠責保険でカバーしきれない損害を補償してくれるのが任意保険(自動車保険)です。この記事では、任意で加入する自動車保険の等級制度について解説します。
参考記事:『 自動車保険の種類とは。補償対象から注意点まで 』
自動車保険の等級制度とは
自動車保険の等級制度とは、一般的にノンフリート等級別両立制度における区分のことを指します。「ノンフリート等級別両立制度」とは、ノンフリート契約における保険料の公平性を確保するための制度のことです。「ノンフリート契約」とは、契約者が所有する自動車の総数が9台以下の契約のことを指し、10台以上の契約の場合は「フリート契約」と言います。通常個人の契約の場合、ノンフリート契約の自動車保険に加入することとなります。
等級はどのように決まる?
自動車保険の等級は、1~20等級まであります(一部共済で取り扱っている自動車保険は22等級まで)。契約者の自動車保険の利用履歴・事故実態に応じてリスクを区分しており、初めて契約する際は6等級からスタートします(2台目以降の自動車を新規で契約する場合は7等級からスタート)。その後、一年間自動車保険を使うような事故がなかった場合に翌年度の等級が1つ上がります。逆に、以下で述べるような等級ダウン事例を起こしてしまった場合、等級が1等級もしくは3等級下がります。
※自身の現在の等級については「自動車保険証券」もしくは各保険会社のマイページにて確認が可能です。
等級ダウンの事例
自動車保険の等級は、以下のような事例で自動車保険を利用した際に翌年の等級が下がります。
【3等級ダウンの事例】
・他人を怪我・死亡させてしまった
・車同士の接触・衝突・追突事故を起こしてしまった
・自分の車を壊してしまった(電柱・ガードレールに衝突など)
・当て逃げしてしまった
【1等級ダウンの事例】
・火災・台風・盗難・落書きなどにより車を破損させてしまった
→主に損害が自分の車だけで被害者のいない交通事故
事故有係数とは
事故有係数とは、等級に応じた保険料の割引を適用する際に使用するものです。新規に契約する場合は事故有係数適用期間は0年で、その後3等級ダウン事故を起こした場合は3年、1等級ダウン事故を起こした場合は1年の事故有係数適用期間となります。1年経過するごとに前年の事故有係数適用期間から1年が引かれ、事故有係数適用期間の上限は6年です。
事故有係数がある契約者の場合、無事故の契約者と比べて同じ等級であったとしても保険料が高くなります。例えば、無事故で9等級から10等級に上がった人と、13等級から3等級ダウン事故を起こして10等級になった人とでは前者の方が保険料が安くなるということです。自動車保険においては等級だけでなく、事故有係数も保険料を決める判断基準となっていることは認識しておきましょう。
等級に応じた割引制度とは
自動車保険では、等級に応じて割引制度が設けられています。割引率については各保険会社によって異なりますが、例えばチューリッヒ生命における各等級の割引率は以下の通りとなっています。
等級 | 事故有係数あり | 無事故 |
20等級 | -44% |
-63% |
19等級 | -42% |
-55% |
18等級 | -40% |
-54% |
17等級 | -38% |
-53% |
16等級 | -36% |
-52% |
15等級 | -33% |
-51% |
14等級 | -31% |
-50% |
13等級 | -29% |
-49% |
12等級 | -27% |
-48% |
11等級 | -25% |
-47% |
10等級 | -23% |
-45% |
9等級 | -22% |
-43% |
8等級 | -21% |
-40% |
7等級 | -20% |
-30% |
6等級 | -19% |
-19% |
5等級 | -13% |
-13% |
4等級 | -2% |
-2% |
3等級 | 12% |
12% |
2等級 | 28% |
28% |
1等級 | 64% |
64% |
無事故のまま最高等級である20等級までいくと、保険料の割引率は63%にまでのぼります。基本の等級である6等級以下は事故有係数ありでもなしでも割引率は変わりませんが、3等級以下になると事故の可能性が高いと判断され、保険料は逆に割増されるようになっています。
自動車保険の等級に関する注意点
1. 等級情報は保険会社間で連携されている
自動車保険の等級情報は各保険会社ごとではなく、日本損害保険協会を通じて保険会社間でやり取りされています。つまり、保険会社を変えても等級情報(事故情報)は連携されているということです。これによって契約者がスムーズに保険会社を乗り換えることができたり、等級が下がったことを隠して保険会社を乗り換えるなどの不正行為を未然に防げるようになっています。
2. 自動車保険を解約しても等級情報は保存される
自動車保険に加入後、自動車を手放すなどで自動車保険も解約したとしても13ヶ月間は等級情報が保存されるようになっています。13ヶ月以内に再度自動車保険に加入することとなった場合には、以前の等級を引き継げるということです。この13ヶ月間の基準は自動車保険を解約した日から13ヶ月ではなく、以前の保険契約の満期日から起算して13ヶ月となりますので注意してください。
3. 等級をリセットさせないためには中断証明書が有効
「2. 自動車保険を解約しても等級情報は保存される」で述べたように等級情報は13ヶ月間保存されますが、6等級以上の等級を所持していながら13ヶ月以上にわたって自動車保険を解約する予定がある場合は中断証明書を発行してもらうことをおすすめします。中断証明書を発行してもらうと、13ヶ月という期間を超えても10年以内に再び自動車保険を契約する場合、中断証明書を発行した時点での等級で加入することができます。無事故を継続していた契約者の場合は、今後のためにも中断証明書の発行を検討しましょう。
自動車保険の等級制度について理解しよう
自動車保険の等級制度について解説しました。等級制度は保険料を正しく設定するための重要な制度です。割引との関係や注意点を理解して、より安全運転に努めましょう。