2022/07/20
自動車保険の種類とは。補償対象から注意点まで
自動車保険の種類について解説します。ドライバーの任意保険である自動車保険ですが、その種類はどのようなものがあるのでしょうか。強制保険である自賠責保険との補償の違い、補償対象ごとに分けた種類、現在の自動車保険の加入率についてまでわかりやすく解説しますので、参考にしてください。
自動車保険とは
自動車保険とはドライバーが加入する保険で、必ず加入しなければならない強制保険(自賠責保険)と任意で加入する自動車保険に分かれています。自賠責保険は被害者救済のための最低限の補償で、自賠責保険でカバーしきれない損害を補償してくれるのが任意保険(自動車保険)です。この記事では、任意で加入する自動車保険の種類について解説します。
自賠責保険(強制保険)の補償範囲
自賠責保険とは、「自動車損害賠償責任保険」の略で交通事故の被害者保護を目的としている保険であり、原動機付自転車を含むすべての自動車に加入が義務付けられています。自賠責保険の補償範囲は自動車事故により歩行者・同乗者・他の自動車の搭乗者など他人を死傷させ損害賠償責任を負担する場合の損害を補償する保険(対人補償のみ)であり、事故を起こした車の保有者自身の怪我や車の損害などには対応していません。また、自賠責保険の支払い最高額は、被害者1名につき死亡で3,000万円(常時介護の時は4,000万円)、傷害120万円と決められています。損害賠償請求はこれ以上の高額請求になることも多くあり、自賠責保険だけでは補償が充分とは言えないのが現状です。
自動車保険の種類
ここからは自動車保険の種類について解説します。自動車保険は補償内容により「相手方への補償(賠償責任保険)」「自身や同乗者への補償(傷害保険)」「自身の車などの補償(車両保険)」という3種類に分かれており、その中でさらに分けると以下の7つの基本補償があります。この7つの補償は必要に応じて組み合わせて加入するようになっているため、加入の際はそれぞれの補償の違いを理解しておく必要があります。
補償対象で分けた種類
対人賠償保険
対人賠償補償とは、相手の人に対する補償です。自動車の事故により乗車中の人や歩行中の人に怪我をさせてしまったり、死亡させてしまったといった際の損害賠償に対し、自賠責保険を超える部分に保険金が支払われます。相手方に対する補償なので補償の対象は歩行者や相手の車の搭乗者に限っており、自身や自分の家族が死傷したという場合には適用されません。
対人賠償保険については相手の人命が対象となっているため、保険金額は上限なしの無制限となっていることが多くなっています。
対物賠償保険
対物賠償保険は、相手方の物に対する補償です。自動車の事故によって相手方の車や電柱・ガードレールなどに損害を与え、賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。また、近年増えてきているアクセルとブレーキの踏み間違いなどから店舗への突入事故を起こしてしまい、店舗が営業できないなどの損害を与えてしまった場合にも補償対象となります。しかし対物賠償保険も対人賠償保険と同じく相手方のための補償であるため、例えば自分の家の車庫などに突っ込んで壊してしまったという場合などには適用されません。
人身傷害保険
人身傷害保険は、自身や家族が自動車事故で死傷した場合の補償です。事故の過失割合に関わらず、設定した保険金額の範囲内であれば実際に生じた損害額をすべて補償してくれます。怪我の治療にかかった治療費だけでなく、治療期間の休業損害なども実損害額として補償対象になります。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険は、自身や家族が自動車事故で死傷した場合の補償です。補償内容としては上述の人身傷害保険と同じですが、搭乗者傷害保険の場合は実損害額が補償されるのではなく、定額制で決まった金額の保険金が支払われます。人身傷害保険の場合は実損害額が確定するまで保険金は支払われませんが、搭乗者傷害保険は事故後定額が迅速に支払われるため、費用が必要な時にすぐ使えるというメリットがあります。
自損事故保険
自損事故保険とは、電柱との衝突や壁に突っ込んでしまった・ハンドル操作ミスによる転落などの単独事故や、相手の過失がゼロである自動車事故において、自身や同乗者が死傷した場合に補償される保険です。単独事故の場合人身傷害保険などではカバーできないため、自損事故保険のみが補償してくれます。
無保険車傷害保険
無保険車傷害保険とは、自動車事故で自身や同乗者が死傷したけれど、相手の車が自動車保険に加入しておらず相手方から充分な補償を受けられないという場合に補償される保険です。相手方の自賠責保険で賄えない部分の損害賠償金額について補償されます。また、無保険の車だけでなくひき逃げなど加害者が不明な自動車事故についても補償されます。
車両保険
車両保険とは、自身の車に対する保険です。自損事故や交通事故、台風など地震以外の自然災害、当て逃げ、いたずらなど幅広い被害に対して補償してくれます。保険料のうち車両保険に占める割合が大きいため、車両の価格が安い場合などは車両保険のみ外すといったケースもあります。しかし価値の高い車両であれば、基本的に車両保険も加入した方が良いでしょう。
自動車保険の加入率
現在、自動車保険(任意保険)の2021年3月末時点の加入率は以下のようになっています。
対人賠償保険 | 対物賠償保険 | 人身傷害保険 | 搭乗者傷害保険 | 車両保険 | |
加入率 | 75.1% | 75.3% | 70.6% | 25.4% | 46.2% |
最も高い加入率で対物賠償保険の75.3%、最も低い加入率で搭乗者傷害保険の25.4%となっています。自動車保険の加入率は年々少しずつ上昇してきてはいますが、まだまだすべての車が保険加入しているとはいえない状況です。
自動車保険の注意点
1. 保険金額無制限を選択できる場合は、なるべく無制限にする
自動車保険の保険金額は無制限の場合もありますが、金額を自身で設定できることもあります。しかし、もし無制限が選べる場合は無制限を選択することをおすすめします。なぜなら自動車事故を起こしてしまった際の損害賠償請求額は場合によっては数億単位になることもあり、上限金額を数千万円などに設定していてもとても賄えるものではないからです。そのような高額賠償の事故を絶対に起こさないとは誰も言い切れませんので、選択できるのであれば保険金額は無制限を選択するようにしましょう。
2. 特約を上手に活用する
自動車保険は、基本的な補償だけでなく特約を上手に活用することも大切です。自動車保険につけられる特約は例えばロードアシスタンス特約(事故で走行不能となった場合に応急処置費用、運搬費用、宿泊費用、移動費用などが支払われる特約)、弁護士費用特約(相手方に損害賠償請求を行う際に生じる弁護士費用や、法律相談の費用を補償する特約)、ファミリーバイク特約(原動機付自転車の補償を追加できる特約)などがあります。保険会社によって選べる特約は異なりますので、よく内容を比較して自身に必要なものがあれば追加して契約するようにしましょう。
3. 保険料を抑えたい場合はダイレクト型を選択
自動車保険は通常代理店型とダイレクト型(通販型)と呼ばれる販売スタイルがあります。代理店型はその名の通り対面の代理店を通して直接契約することで、ダイレクト型は契約者が自分でインターネットを利用して加入することを言います。ダイレクト型は中間コストを削減するため代理店型と比べて保険料が安いことが多いため、もし加入したい内容などが決まっているのであればダイレクト型を選択しましょう。
4. 会社ごとの等級割引率もチェックする
自動車保険は加入者によって等級が定められており、その等級によって保険料が割引になります。等級は契約者の過去の事故実態によって1~20等級(共済は22等級まで)に分かれており、初めて自動車保険を契約するときは6等級が適用されます。その後、自動車保険を利用するような事故がなかった場合に一年ごとに等級が1つずつ上がる仕組みになっています。この割引率は保険会社や車両の種類によって異なるため、自動車保険を検討する際はこの等級別の割引率についてもチェックするようにしましょう。
自動車保険の種類について理解しよう
自動車保険について解説しました。自賠責保険とは違い任意の保険となる自動車保険ですが、万が一の時の負担を考えると絶対に加入しておくべき保険です。種類や注意点を理解して、自分に合った補償を準備しましょう。