2022/05/30
がん保険のメリット・デメリットとは。必要性から注意点まで
がん保険のメリット・デメリットについて解説します。がんという病気に限定して保障するがん保険には、がん診断一時金などがん保険ならではのメリットや、免責期間があるなどがん保険ならではのデメリットがあります。がん保険の特徴やがん保険の歴史、がん保険の加入率などと併せてわかりやすく解説しますので、参考にしてください。
がん保険とは
がん保険とは、その名の通りがんという病気に対する保障に特化した保険です。がんと診断された場合に、状況に応じて主に以下の4つの給付金を受け取ることができます。
1. 診断一時金
2. 入院給付金
3. 通院給付金
4. 手術給付金
がん保険ではなく医療保険でもがんに対する治療費は保障されますが、医療保険は主にもらえる給付金が入院給付金と手術給付金のみなので、がんと診断された際にまとまった給付金がもらえる診断一時金や、治療に伴う通院時にもらえる通院給付金などはもらうことができません(医療保険でも特約を付加することで診断一時金や通院給付金を受け取ることは可能です)。がん保険はがんという病気に特化した保険であるため、がんに罹患した場合に充実した給付金が受け取れるようになっています。
がん保険の歴史
日本にがん保険が登場したのは1974年11月、アメリカンファミリー生命保険会社(アフラック)が発売したのが初めてとされています。当時はがん保険など第三分野の保険商品を日本国内の生命保険会社や損害保険会社が取り扱うことが米国との合意に基づいて事実上禁止されており、がん保険はその後長い間外資系保険会社のみが独占してきました。2001年に独占政策が終了し、その後は日本国内の生命保険会社や損害保険会社など多くの企業ががん保険を販売しています。がんは治療方法が年々進化し常に変化しているので、がん保険の種類も年々増えてきおり、様々なニーズに応えられる保険が増えてきています。
がんにかかる人の割合
がん情報サービスの統計によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.0%、女性50.2%と男女ともに半数を超えています。また、日本人ががんで死亡する確率は男性26.7%でおよそ4人に1人、女性17.8%でおよそ6人に1人となっています。(2019年度のデータ)
がんは、2人に1人が一生のうちに診断される可能性があるという非常に身近な病気であることがわかります。
参考:がん情報サービス
がん保険の加入率
実際にがん保険に加入している人の割合は以下のようになっています。年々加入者の割合は増えてきており、最新の令和元年の数字で見ると42.6%と半数近い人が加入していることがわかります。
年度 |
がん保険加入率 |
平成13年 | 21.2% |
平成16年 | 25.3% |
平成19年 | 31.2% |
平成22年 | 33.1% |
平成25年 | 37.3% |
平成28年 | 37.8% |
令和元年 | 42.6% |
罹患するがんの割合
日本対がん協会のデータによると、がんと診断された人の中で罹患率が多いがんは以下のようになっています。男性は前立腺がん、女性は乳がんとそれぞれ男女特有のがんの罹患率が高いことがわかります。
【男性】
部位別がん名 | 罹患率 |
前立腺がん | 16.5% |
胃がん | 15.6% |
大腸がん | 15.5% |
肺がん | 14.7% |
肝臓がん | 4.7% |
【女性】
部位別がん名 | 罹患率 |
乳房がん | 22.2% |
大腸がん | 15.6% |
肺がん | 9.7% |
胃がん | 9.3% |
子宮がん | 6.8% |
がん保険のメリット
1. がん診断一時金など、給付金の種類が多い
前述したように、がん保険には主契約の内容として4種類の給付金が基本的に備わっています。特にがんと診断された時点で100万円、200万円などのまとまった金額を受け取ることができるがん診断一時金は、これからかかる治療費や家族の生活費など様々な用途があり、助かったという声が多い給付金です。商品によってはこの診断一時金は一度だけでなく、再発や別のがんなどの診断を受けた際にも受け取れることがあります。がんという病気に特化した保険だからこそ、充実した給付金を受け取れるのはがん保険の大きなメリットです。
※診断一時金の内容は商品によって異なりますので、よく確認するようにしましょう。
2. 入院給付金の限度日数がない商品が多い
医療保険では、入院した際に受け取れる入院給付金の日数に上限があることが多く、通算の入院日数が60日や90日などの上限を超えた入院期間は保障されません。しかしがん保険では、基本的に入院給付金の限度日数がない商品が多いため、長期入院となってしまったり、入退院を繰り返すような場合でも安心して治療を受けることができます。
厚生労働省が行った調査では、がんを罹患した人の平均入院日数は17.1日となっており、平均でも1回あたり二週間以上の入院が必要な人が多いことがわかります。がんは数ある病気の中でも再発リスクが高く治療期間が長期にわたりやすいため、入院給付金の限度日数が設定されていないというのはがん保険ならではのメリットです。
3. 高額治療に対応する特約の種類が多い
がん治療の特徴として、先進医療や化学療法、放射線治療など治療に公的保険が適用されないものが多く、治療費が高額になりやすいという点が挙げられます。がん保険ではそんながん治療ならではの治療に関する特約が数多く準備されており、高額になりやすい治療費も安心して受けることができるというメリットがあります。特約を付加するともちろん保険料は多少上がりますが、特約をつけていなかったら最適な治療が行えなかったという声も多いため、特約を付加するかどうかはよく検討するようにしましょう。
【がん保険の特約の例】
・先進医療特約
・放射線治療特約
・抗がん剤治療特約
・ホルモン剤治療特約
・緩和ケア特約 など
がん保険のデメリット・注意点
1. 一部対象とならないがんもある
がん保険はすべてのがんが対象ではありますが、皮膚がんの一部や上皮内新生物(腫瘍細胞が粘膜の上部層である上皮内にとどまっており、その内側まで浸潤していない状態のこと)の場合は保障されない商品が多くなっています。現在では健康診断で非常に初期のがんが見つかるケースが多く、その場合は上皮内新生物と診断されることが多いためがん保険に入っていたとしても保障対象とはならないので注意してください。一部のがん保険では上皮内新生物の場合でも保障対象となるものもありますが、その場合は保障金額が通常のがんより下がるなど条件がついていることが多いので、保障対象となるがんについてはよく確認してからがん保険に加入するようにしましょう。
2. 免責期間がある
一般的ながん保険には、90日間の免責期間というものが設けられています。免責期間中にがんと診断された場合は、保障の対象にはなりません。これはがんという病気の特性上すでにがんである人ががん保険に入ることを防ぐことを目的としていますが、免責期間中も保険料は支払う必要がありますので注意してください。また、もしがん保険の見直し(解約・新規加入など)を考えている場合は、この免責期間も考慮して保障がない期間が発生しないように気をつける必要があります。
参考記事:『がん保険の免責期間・責任開始日とは』
がん保険の必要性が高い人
がん保険のメリット・デメリットを述べた上で、がん保険の必要性が高い人は主に以下のような人です。
・貯蓄が少ない人
・家族ががんに罹患したことがある人
・がんに罹患した場合、最新の治療を受けたい人
がんは遺伝性も関係する病気ですので、家族の中にがん罹患者がいる場合はがん保険を検討する必要があると言えます。また、貯蓄が少ない人はもちろんですが、先進治療を受ける場合は数百万円単位で自己負担が必要となる場合もあります。先進治療を含む最新の治療法で治療してもらいたいと考える場合は、がん保険+先進治療等の特約を付加して治療費に備えておくとよいでしょう。
がん保険のメリット・デメリットを理解しよう
がん保険のメリット・デメリットについて解説しました。がんという病気の特性上、がん保険には他の保険にはない特徴がいくつかあります。がん保険を検討する場合には保障内容や特約など、本当に必要な内容かどうかをよく検討して加入するようにしましょう。
参考記事:『がん保険の種類徹底解説』