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2022/05/27

社会保険(公的保険)の種類徹底解説

社会保険(公的保険)の種類について解説します。病気や失業、介護など様々なリスクに対して保障してくれる社会保険ですが、その内容については詳しく理解していない人も多いのではないでしょうか。この記事では社会保険の種類からその対象者、利用できる制度までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

社会保険(公的保険)とは

社会保険とは社会保障制度の一つで、国民に「最低限度の生活を保障」するためにリスクに備えることを目的として運営されています。リスクとは具体的に病気や怪我・老後の資金不足、失業などのことを指しており、それぞれのリスクに対して複数の保険制度が備えられています。

社会保険の種類は大きくわけて医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5種類あり、それぞれ利用できる内容が異なります。このうち医療保険・年金保険・介護保険は加入年齢に達したときに必ず加入する義務があり、雇用保険と労災保険に関しては条件に該当する会社員が加入するものになります。

社会保険の内容を理解しておくことで、自分に万が一のことがあったときに保障を利用して不安を軽減させることができます。社会保険の種類と内容をよく理解し、万が一の時に慌てないようにしておきましょう。

社会保険(公的保険)の種類

1. 医療保険

医療保険とは、病気や怪我によって医療機関を受診したときにかかる医療費の一部を、国や地方自治体が負担してくれるという制度のことです。日本国民は、「国民皆保険制度」と言って全員が公的医療保険への加入義務があります。医療保険にも以下の図のようにいくつかの種類があり、職業や年齢によって加入する保険が分かれています。どの保険に加入したとしても、内容は同じであるため同じ治療を受けた場合には同じ自己負担金がかかります。また、どの保険に加入していたとしても75歳になると後期高齢者医療制度の被保険者へと自動的に以降します。

【医療保険の種類】

加入対象者 制度名
会社員 健康保険
自営業者など 国民健康保険
国家・地方公務員、教職員など 共済組合
船員 船員保険
75歳以上の人 後期高齢者医療制度


【医療費の自己負担割合】

年齢 自己負担割合
0〜5歳(就学前まで) 2割
6〜69歳 3割
70〜74歳 2割(年収が約370万円以上なら「現役並み所得」とみなされ3割)
75歳〜

1割(年収が約370万円以上なら「現役並み所得」とみなされ3割)

参考:我が国の医療保険について(厚生労働省)

2. 年金保険

年金保険とは、老後を迎えたときにこれまでと同水準の暮らしができるような年金を支給することを目的とした保険です。現役時に保険料を支払うことで、一般的に65歳から年金を受け取ることができます(受け取り開始年齢は選ぶことができます)。

年金保険には国民年金・厚生年金保険の2種類があります。国民年金は自営業・会社員・専業主婦など職業に問わず日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての国民が加入することになるもので、会社員や公務員は国民年金にプラスして厚生年金保険にも加入することになります。会社員や公務員は将来国民年金+厚生年金保険分の年金を受け取ることができるので、「2階建ての年金保険」と呼ばれています。

年金保険は老後を迎えたときだけでなく、所定の障害を負ったときや亡くなったときにも本人や遺族に年金が支給されます。

【年金制度の種類】

加入対象者 制度名

自営業者・学生・無職

(第一号被保険者)

国民年金保険

会社員・公務員

(第二号被保険者)

国民年金保険

厚生年金保険

会社員や公務員に扶養されている配偶者

(第三号被保険者)

国民年金保険

参考:

国民年金の加入と保険料のご案内(日本年金機構)

厚生年金保険に加入の方(日本年金機構)

※国民年金保険と厚生年金保険の違い

日本国民全員が加入義務のある国民年金と、会社員・公務員が加入する厚生年金保険には以下のような違いがあります。老後の資産形成を行う上で、年金がどれだけもらえるのかというのは大きな要素の一つとなりますので、自身の状況は常に把握しておくようにしましょう。


国民年金 厚生年金保険
加入対象者 全国民

会社員・公務員

(パートやアルバイトの場合も一定額以上の収入があれば加入する)

保険料の支払い 加入者が全額負担 加入者と雇用主で折半
保険料 月額一律16,610円(令和3年度) 所得により異なる
支給開始年齢 65歳 65歳
支給年金金額 年額780,900円(令和3年度) 所得により異なる

3. 介護保険

介護保険とは、主に要介護認定を受けた65歳以上の人や、40歳以上64歳以下で特定の病気により介護や支援が必要と認められた人が受けることができる福祉サービスに関連する給付金制度です。働き方や職業に関係なく40歳以上の全国民が加入対象となり、40歳になると加入している健康保険から保険料が徴収される仕組みになっています。

介護保険を利用すると、自己負担額1割~3割で介護サービスを利用することができます。ただし、介護保険を利用できるのは要介護認定を受けた人のみです。要介護認定は以下の区分で分けられており、専門家が判断を行います。

分類 状態
自立 介護が必要ない状態(介護保険は利用できない)
要支援1~要支援2 一部の介護・介護予防サービスが必要な状態(介護保険を利用できる)
要介護1~要介護6 日常的に介護サービスが必要な状態(介護保険を利用できる)
参考:介護保険制度について(厚生労働省)

4. 雇用保険

雇用保険とは、働いている人や働く意欲のある人に対して支援するための保険です。会社員であれば、以下の条件を満たす人は加入が義務付けられており、加入者と事業主がそれぞれ保険料率に基づき保険料を支払います。雇用されていない自営業者などは加入することができません。

【雇用保険加入のための条件】

・所定労働時間が1週間で20時間以上ある

・31日以上継続して雇用されている

・学生ではない

雇用保険で受けられる保障には主に以下のようなものがあり、代表的な失業保険の他にも様々な保障があることがわかります。

【雇用保険で受けられる保障】

・求職者給付(いわゆる失業手当)

・就職促進給付(再就職手当・就業促進定着手当など新しい職場へ就職したときに支給される)

・教育訓練給付(国が指定する教育訓練講座を受けたときに、その受講料の一部が支給される)

・育児休業給付(原則1歳未満の子どもを養育するために休業したときに支給される)

・介護休業給付(家族の介護が理由で休業したときに支給される)

・高年齢雇用継続給付(60歳以降に賃金の減少した人に支給される)

参考:雇用保険制度(厚生労働省)

5. 労災保険

労災保険とは、企業で勤務中に発生した病気や怪我で医療費がかかったり休業したときに保障してくれる保険です。事業主から給与をもらって働いている人はパート・アルバイトを含み全員が加入対象で、保険料は事業主が全額負担します(役員などは労働者とみなされないため労災保険の対象にはなりません)。業務中に病気や怪我が発生した場合(業務災害)はもちろん、通勤中の病気や怪我(通勤災害)も労災保険の対象となります。

前述した労災保険と雇用保険をまとめて労働保険と言われており、どちらも労働者を守る大切な保険制度です。

参考:労災保険とは(東京労働局)

会社員と自営業(フリーランス)で受けられる社会保険の違い

会社員と自営業(フリーランス)の場合、受けられる社会保険の保障に大きな違いが出てきます。例えば40歳の人の場合、会社員であれば医療保険・年金保険(国民年金+厚生年金保険)・介護保険・雇用保険・労災保険の5つの社会保険すべて加入ということになりますが、自営業の場合は医療保険・年金保険(国民年金)・介護保険の3つの社会保険のみの加入になります。雇用保険や労災保険に加入していないことで業務中の怪我や病気に対する保障がなかったり、家族の介護で休業しなくてはいけないときにも給付を受けることができません。その分、社会保険に支払う保険料は自営業の人の方が少ないですが、足りない保障に対しては自身で準備する必要があります。

職業 加入する保険制度
会社員

医療保険(健康保険)

年金保険(国民年金+厚生年金保険)

介護保険

雇用保険

労災保険

自営業

医療保険(国民健康保険)

年金保険(国民年金)

介護保険

ただし、労災保険に関しては特定の事業に従事し労働者を使用しない自営業者でも特別加入できる可能性があります。特別加入できるのは特定の職種に従事する人に限られますが、対象となるかどうかは確認しておくとよいでしょう。

参考:労災保険への特別加入(厚生労働省)

社会保険(公的保険)の種類を理解しよう

社会保険(公的保険)の種類について解説しました。普段給与から何気なく天引きされている保険料ですが、何か起きたときには様々な保障を受けることができます。企業に勤めていれば総務課などから保障について案内されることもありますが、基本的には何かあったら自分から申請しなければ給付を受けることはできないため、しっかりと種類と内容を理解しておくことが大切です。