2020/12/07

日本株への投資はダメなのか?

日本株はダメなのか?国内株式には投資するべきではないのか?という質問にお答えします。国内株式への投資はダメではありませんが、国内株式だけに投資するのはおすすめではないです。国内株式に偏重して投資することのデメリットについても説明します。

日本株への投資はダメなのか?

OpenMoney編集長のSHOです。OpenMoneyは「お金の情報をオープンにすることで、よりよいお金の選択ができるようにサポートする」ことを目指しています。ここでは、OpenMoneyに登録されているデータをさまざまな角度から分析するコンテンツの他、各専門家やユーザー(個人投資家)へのインタビュー、資産運用・資産形成・保険・不動産投資などをはじめとするお金に関するさまざまなコンテンツを公開していきます。

編集長である私に寄せられるさまざまな質問などについてもこちらでできる限り回答していければと思っています。今回は、日本株への投資はダメなのか?ということについて考えてみます。いただいた質問は以下です。


Q:はじめまして、これから投資を始めようと考えている投資初心者です。いろいろな書籍やインターネット上の情報を収集しているのですが、「これからは米国株投資の時代だ」「日本株は終わっている。日本株はダメだ。日本株には未来がない。」といったような内容を多く目にする一方で、「為替リスクもないから日本株のウエイトは大きく引き上げるべきだ」「株式は国内株式のみでOK」という内容も目にしました。『これから投資を始める人への17のアドバイス』でも「全世界の株式を買う」ことをおすすめされていますが、国内株式ではなく全世界の株式を買うことをおすすめする理由(あるいは国内株式はおすすめではない理由)があれば教えていただけますでしょうか?

日本株への投資はダメではない

ご質問ありがとうございます。

結論から言うと、「国内株式への投資はけっしてダメではないけれども、国内株式のみに投資するのはおすすめしない」ということになります。

まずは、国内株式のみに偏重して投資することのデメリットを説明します。

国内株式のみに投資するデメリット

国内株式のみという偏った投資をすることへのネガティブな理由は、主に以下4点です。

1. 日本以外の世界全体から得られるリターンを逃してしまう

2. 今後の成長も米国や新興国など他の国と比べても懐疑的

3. 過去のパフォーマンスも相対的に悪い

4. 日本で暮らしている限り、日本が成長した場合の恩恵も受けられる

1. 日本以外の国から得られるリターンを逃してしまう

国内株式のみに投資していると、日本以外の国から得られるリターンを逃してしまいます。これが国内株式のみに投資する唯一かつ最大のデメリットと言えます。投資をする人には知っておいてほしい「現代ポートフォリオ理論」という理論があります。この現代ポートフォリオ理論が導き出した最も効率的な投資手法(投資の最適解)が、「市場全体に投資すること」です。これを踏まえると、「全世界の株式時価総額と同じ比率で資産配分をする」というのが一つの正解になります。全世界の株式時価総額のうち、現在(2020年11月末)の日本株の比率は7%程度です(2020年10月末の世界の株式時価総額は87.4兆ドルで、日本は6.0兆ドルで6.9%の比率)。国内株式のみに投資するというのは、世界全体のうちの7%程度のものの中だけで投資を行うということになってしまいます。

2. 今後の成長も米国や新興国など他の国と比べても懐疑的

市場を予測することはできませんし、未来がどうなるかは基本的にはわかりません。ただし、予測できない未来の中で、かなりの確度で将来までわかっているものがあります。それが人口動態です。そして、人口動態はそのまま「国力」を反映することが多いです。それを考えた時、人口が増加している米国や、人口も大きく増加し高い成長率も維持している新興国と比べると、国内に対する見通しは消極的になってしまいます。

ただし、注意するべき点も一つあります。それは、高い成長率を誇る国が、株式においてリターンをあげるとは限らないことです。だからといって、低い成長率の国に投資した方がリターンが良いとも言えません。結局のところ、特定の国に偏って投資するというのは、市場を予測するのと同様、わからない未来に賭けることになります。だからこそ、1でも書いた通り、市場全体(世界全体)に投資するのが一つの正解となります。

3. 過去のパフォーマンスも相対的に悪い

国内株式のこの30年(あるいは10年でも20年でも大丈夫です)のパフォーマンスを米国株式と比べると、大きく劣後しています。例えば、1990年〜2019年の30年間のTOPIX(日本)とS&P500(米国)の年間リターン(配当金の再投資を含むトータルリターン)を比べると、TOPIXの平均リターンが+2.4%であるのに対し、S&P500の平均リターンは+11.4%になります。過去のリターンか投資先を選ぶというのはあまり良くないのですが、国内株式に消極的になる理由の一つです。

また、ここでも注意しておきたいのは、過去のリターンが良いからといって、この先もリターンが良いとは当然限らないですし、過去のリターンが悪いからといって、この先のリターンも悪いとは限りません。ご質問内容にもあったような、「これからは米国株投資の時代だ」という発言をする方の中には、たまたま抜群にリターンがよかったこの10年ほどしか見ていないケースもあるので注意してください。それがこの先10年も同じように続くかもしれませんし、そうではない可能性もあります。その前の10年を見ると、新興国株式のリターンの方が高かったりもします。

4. 日本で暮らしている限り、国内が成長した場合の恩恵を受けられる

日本で暮らし、日本で働いているのであれば、日本国内の成長の恩恵は十分受けられます。暮らしは豊かになり、給料も上がるかもしれません(そして、この給料は基本的に日本円でもらうはずです。後述の為替コストの部分でも説明します)。日本で暮らし、日本で働き、日本円で給料をもらっている以上、簡単に世界中の株式に投資ができるようになった今、あえて国内株式のみに投資する必要はないのではないでしょうか。

為替リスクについて

海外の株式を保有する際、為替リスクは考えておかなければなりません。為替についても、多くの専門家が多くの予想をしていますが、市場と同様に、どうなるかはわからないものです。(10年前くらいにも、著名エコノミストが円高で60円になるというのが話題になっていましたが、結果として実際は・・・。)

海外株式を保有している場合、為替ヘッジをかけない限りは、「円高」になると円ベースでの資産は目減りしますし、「円安」になると円ベースでの資産は増加します。「円高」になると困るということだと思いますが、仮に円高になった場合でも、上記でも少し触れたように、日本で暮らし、日本で働き、日本円で給料をもらっているのであれば、その恩恵は十分受けられるのではないか、それ自体(日本で暮らし、日本で働き、日本円で給料をもらうこと)がヘッジになるのではないかという考え方もあります。また、逆に円安になった場合には、自身の資産を守ることにもなりますので、為替リスクを考える際には、両方の可能性を考えて判断することが必要です。

為替リスクが怖いから国内株式のウエイトを上げるという方法ではなく、単純に日本円での現金比率を高める(あるいはそもそもの自分のリスク許容度にあった運用資産額を考え直す)という考え方をした方が良いでしょう。

全世界の株式をまとめて保有すれば約7%は日本株になる

以上、いただいた質問から、日本株への投資はダメなのか?について解説しました。

結論としては、「日本株への投資は決してダメではないが、日本株だけに投資するのはおすすめしない」ということになります。

全世界の株式にまとめて投資する商品を購入した場合、日本株も約7%ほど保有することになります。国内株式は海外株式に比べて圧倒的に馴染みもあり、とっつきやすく、個別銘柄としても保有しやすいものです。もし日本株の個別銘柄を保有する際にも、自分の資産全体の中で、国内株式の比率はどれくらいなのか、その中で特定の個別銘柄が占めている割合はどれくらいなのか、ということを把握しておくことが非常に重要になってきます。また、『これから投資を始める人への17のアドバイス』でも触れている通り、基本的には、長期の資産形成・資産運用において個別株投資はおすすめできませんし、長期投資のメインとするべきではありません。こうしたことも踏まえて、国内株式への投資を考えていただけましたら幸いです。


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