2020/12/13

M&Aキャピタルパートナーズへの転職を考えるなら知っておきたいこと【年収・採用面接・働き方・残業の実態まで】

プレジデント社による平均年収ランキング(2018年版)で2994万円という高さで1位に輝いたM&Aキャピタルパートナーズ。今回はM&Aキャピタルパートナーズへの転職を考えるのであれば知っておきたいことをまとめました。業務内容や転職ルート、選考フロー、採用面接の内容、年収・働き方・残業の実態まで幅広く調査しました。

M&Aキャピタルパートナーズとは

M&Aキャピタルパートナーズ(MACP)は、M&A仲介業界では2番手の独立系M&Aアドバイザリー・M&A仲介会社です。2005年に設立、2013年に上場し、成長中の企業です。特に、2018年のプレジデント社による平均年収ランキングでは、2,994万円という高さで1位を獲得し、さらに知名度を上げました。最近でも、2020年11月に発表された東洋経済オンラインによる生涯給料「全国トップ500社」ランキング13億4,379万円と1位を獲得しています。

M&Aキャピタルパートナーズは、日本の中堅・中小企業を企業を対象にM&Aアドバイザリーや仲介をしており、特に事業承継型のM&Aを得意としています。2016年10月には業界再編型M&Aを得意とする株式会社レコフ・レコフデータを買収し、業務の幅も広げています。


OpenMoney編集部では、多くのM&Aキャピタルパートナーズの社員や元社員、さらには他のM&A仲介業界の方々へのインタビューを実施し、M&A仲介業界の実態をうかがいました。本記事では、主にM&Aキャピタルパートナーズへの転職を考えている方に向けて、M&Aキャピタルパートナーズについて知っておいた方が良い情報をまとめました。また、ランキングで常に上位を獲得している年収の実態について興味があるという方にもおすすめです。

M&Aキャピタルパートナーズの業務内容

M&Aキャピタルパートナーズは事業承継型M&Aを得意としているため、事業の引き継ぎに悩みを抱えてる中堅・中小企業のオーナーに対してM&Aに関わる業務が中心となることが多いです。

具体的な業務内容としては、M&Aのアドバイザーとして案件のソーシング(案件を作ってくること)からエグゼキューション(M&Aの成立に向けた一連の業務)までを行います。M&Aキャピタルパートナーズでは、セルサイドとバイサイドどちらも一人で行うのが特徴的です。

ソーシングは売り案件を発掘するため、ひたすら営業活動をします。手法は様々ですが、セミナー等での問い合わせの対応や、自分から電話やDMでアポイントを入れ、プレゼンをしていくことになります。ここで案件が作れないと次の段階に進めないため、ひたすら電話をかけて営業することもあります。電話営業に慣れていないとかなり辛いという人もいるようです。

うまくソーシングが成功し案件化(=専任契約書の締結)した場合に、次の工程であるエグゼキューションを行うことになります。ここでは案件成約に向けたスキーム検討や買い手とのマッチング、条件交渉等を外部の専門家も巻き込んでM&A成立に向けて動きます。

この2段階で求められる能力は異なり、ソーシングは営業力や開拓力、エグゼキューションは交渉力、ビジネスマッチング力、緻密さ等多岐の能力が必要になります。

こうした営業部門の他には、経理・総務を担当している管理部門、セミナーや広告等の企画を行なっている営業企画部門もありますが、80%は営業部門になります。また、競合他社とは異なり弁護士や公認会計士が内部にいないため、外部専門家を巻き込むことになります。外部の方も巻き込む力も必要になってきます。

M&Aキャピタルパートナーズへ転職するには

現在、事業承継問題などを理由に、日本のM&A件数は大幅に増加しており、2018年には公表ベースで日本全体で3,850件と過去最高件数を記録しています。今後も、M&A件数は増加していくことが予想されます。こうした状況を背景に、M&Aキャピタルパートナーズの業績も大きく拡大しており、採用にも積極的です。IR資料(2019年9月期 第2四半期決算説明資料)のグループ3か年計画によれば、M&Aキャピタルパートナーズ単体のコンサルタント数平均年25%増を堅持することを掲げており、採用のチャンスは大きいです。未経験者も積極的に採用しています。

M&Aキャピタルパートナーズへ転職するには、主に以下の3つの方法があります。

・会社宛に直接メールして応募する(参考:M&Aキャピタルパートナーズの採用情報ページ

・転職サイトや転職エージェントを通して応募する

・社員の紹介を通して応募する

どの方法を取るにしても、知り合いにM&Aキャピタルパートナーズの社員がいるのであれば、必ず会社の話を詳しく聞くのが良いでしょう。その上で、可能であれば、社員の紹介を通して応募しましょう。

そうでない場合は、転職エージェントを通して応募するのがおすすめです。

M&Aキャピタルパートナーズへの転職者の出身業界や学歴

M&Aキャピタルパートナーズへの転職者は主に金融機関出身者が多いです。特に証券会社が多く、これは案件のソーシング能力が評価されているからだと考えられます。銀行も多く、これは法人営業を行い、決算書が読める部分が評価されているからでしょう。

一方、M&Aキャピタルパートナーズの代表は積水ハウス出身であるため、金融機関に限らず幅広い業界からも採用されています。

いずれにしても、業務の性質上、「営業ができる人」が多いです。前職での営業成績がトップ5%〜10%以内でないと、書類で落とされます。また、30歳以上でM&A業務の経験がないのも厳しいため、未経験者であれば早めに挑戦するのが良いかもしれません。この「営業ができること」が重要なため、学歴はほとんど関係ないでしょう。

また、現時点では女性社員は管理部門のみで、M&Aアドバイザーで女性の方は1人もいないようです。今後は増えてくるのではないかと推察されます。

新卒採用も計画はあるようですが、現時点では行っていないようです。

M&Aキャピタルパートナーズ志望者の主な志望動機

M&Aキャピタルパートナーズへの転職者の主な志望動機は、出身業界などによっても当然異なりますが、以下のような方が多いです。

・もともとM&A業務に何かしら関わっていて、転職先の業界の候補のひとつとしてM&A仲介業界がある。

・前職の業界の先行きに不安を持っている。(特に銀行や証券会社のリテール営業など)

・年収が高いこと。(特にインセンティブ割合の高さ)

出身者も多い証券会社や銀行が前職の場合は、業界自体の先行きが不安なことに加え、短期的な収益目標の達成のため顧客よりも自社の利益を優先したり、たとえ大きな成果を出しても給料に反映されない、といったことに大きな不満を持って転職する方も多いです。

合わせて見ておきたい業界

業界としてM&A仲介業界はもちろんですが、証券会社や監査法人などのFA(ファイナンシャルアドバイザリー)部門や独立系のFAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)なども見ておくべきです。また、かなりハードルが上がりますが、投資銀行やPE(プライベートエクイティ)ファンドなども視野に入れても良いでしょう。

個人の成果が評価され、それが給料に反映されるという点では、プルデンシャル生命保険などのフルコミッション系の職種も合わせて考えてみても良いでしょう。証券会社のリテール営業出身であれば、独立系IFA(ファイナンシャルアドバイザー)なども選択肢の一つでしょう。

M&Aキャピタルパートナーズの選考フロー・採用面接の内容

面接の回数は人によって異なるようですが、1〜2回面接が会った後は、最終面接と会食です。

決まった質問はなく、基本的には前職での営業実績とその要因が深掘りされます。「営業ができる人」であることが前提ですが、その中でも「新規開拓」を得意としている人が採用される傾向にあるため、新規開拓能力があるかどうかは選考の際にも非常に重要なポイントになってくるでしょう。また、M&Aについて関心が強いことは当然必要なため、日頃から勉強しておくべきです。

選考の際は、案内係の社員に対しての気を抜かずに接するようにしましょう。エレベーターでの会話や身だしなみなども見られていて、共有されています。

最終面接の後の会食が終わった後に、通常の転職面接と同じく、オファーレターをもらいます。

M&Aキャピタルパートナーズの年収イメージ

M&A業務未経験者の場合は、基本給420万円+年2回の賞与+インセンティブです。成果を出す(案件が成約する)と、インセンティブとして数百万円〜数千万円が入ります。インセンティブは募集要項にも記載している通り、上限のない支給となるため、年収1億円を超えるような人もいるようです。逆に言うと、成果を出せないとインセンティブは支給されず、給与水準としては年収1000万円にも届かない人も多いと推察されます。

IR資料(2019年9月期 第2四半期決算説明資料)によると、M&Aキャピタルパートナーズ単体で、2019年9月期 第2四半期(半年間)の累計で、コンサルタント69名に対し成約件数が65件あります。年間にして、ざっくりコンサルタント1人あたり2件成約している計算になります。年収が1億円を超えるような「エース社員」もいることから、年間でまったく案件を決められないという人はいるにはいるのでしょうが、そこまで多くはないのかもしれません。後述しますが、M&Aキャピタルパートナーズの社風として、皆で人を育てる風土と教育体制が整っているため、入社1年〜2年以内で成約する人も多いようです。案件の金額感にもよりますが、1件成約すれば年収で1000万円に届くことも多いでしょう。ただ、平均年収ランキングに記載されているような年収3000万円近くを稼ぐには、かなりの成果を出す必要があると推察されます。


昇進については、案件の成約数や部下の指導実績などによって昇進していきます。したがって、短期間で成約すればすぐ昇進したりします。もちろん、成約0件ならずっと一般アドバイザーのままです。役職としては、一般アドバイザー⇒主任⇒課長⇒次長⇒部長と上がっていきます。

基本的には未経験者は一般アドバイザーからスタートします。他のM&A仲介会社やファンド出身になると課長以上でのオファーもあります。

M&Aキャピタルパートナーズの働き方・残業の実態

人にもよりますが、案件が多い人は激務と言えるでしょう。M&Aの一連のフローは非常に多くの工数がかかるため、案件成立間際の際は夜遅くまでの作業もあるでしょう。日本全国の案件を抱えているため、全国各地への出張も多く、1週間東京にいないことも多いです。

人や案件の状況にもよりますが、東京で内勤している場合は8時に出社し、退社時間は20時〜22時ごろが一般的な勤務時間なようです。

一方で、案件がない場合は新規の営業活動がメインになり、そこまで忙しくはありません。もちろん、それはそれで精神的な辛さはあるでしょう。また、案件を多数抱えている社員を手伝うこともあります。場合によっては手伝うことによってインセンティブが少し発生することもあるようです。

M&Aキャピタルパートナーズの社風

OpenMoney編集部の調査によると、M&Aキャピタルパートナーズで成績を出している人は共通して「誠実にお客様のことを考えている人」が多く、ゴリゴリの営業マンはほとんどいない印象です。事業承継M&Aは相互に利益があって始めて成立するものであり、「お願いセールス」や「勢いだけの営業」がまったく通用しない世界であるため、そういった営業マンは少ないのでしょう。実際、プレゼンが上手いとか話が上手いとか、小手先のテクニックで成績上位になれることはなく、いつまでもM&Aの「営業」を行っている人は成果がなかなか出ないようです。

また、M&Aキャピタルパートナーズは長期的に人を育てようという文化があり、成約0件が続いたとしてもクビになることはありません。実際に、数年間成約0件だった人が、ものすごい成果をあげるようになるというケースも多いようです。

M&A仲介業界内での比較も踏まえたM&Aキャピタルパートナーズの特徴は以下の3点です。

・「誠実にお客様のことを考えられること」が何よりも重要だと会社全体で認識していて、無理に数字を求めらることがない。

・コンサルタントの平均退職率1.5%(会社公表の2017年9月末時点の数値)と非常に低い点。人を皆で育てていくという企業風土が根付いていると考えられる。

・インセンティブの割合の高さ。同業他社と比べても成果に対する報酬(還元率)が大きい。

M&Aキャピタルパートナーズから先のキャリア

IR資料(2017年9月期 決算説明資料)によると、2017年9月期のM&Aキャピタルパートナーズのコンサルタント数は51名で、これに対する会社公表の5年間の平均退職率1.5%であり、ほとんど退職者はいないと考えられます。会社全体としても、M&A業界のトップになろうという雰囲気も強く、転職を考えている人は少ないと推察されます。

M&Aキャピタルパートナーズから先のキャリアとしては、同業への転職、証券会社や監査法人などのM&Aアドバイザリー部門、独立系FAS、案件獲得に強いニーズのあるPEファンドなどが考えられるでしょう。また、M&Aアドバイザーとして独立するという選択肢もあるかもしれません。

一方で、業務内容からしても、M&A業務に関して高い専門性が身につくというよりは、「お客様のことを考えられる」高い営業力が身につく環境であると言えます。そのため、上記のようなより専門性の高い領域への転職を考えるのであれば、営業力にプラスして自主的に高い専門性を身につける必要があるでしょう。また、その場合、あまり長くいるような環境ではないかもしれません。

M&Aは会社同士の結婚

M&Aは「会社同士の結婚」と言われます。商品を販売する営業とは違い、売り手と買い手双方がお互いに納得感があって初めて成立するものです。

会社を売却するオーナーにとっては、会社の売却は手塩にかけて育ててきた娘を送り出すのと同じことだと言われます。そのため、オーナーの想いを汲む・理解する必要があります。そうしたことからも、「誠実にお客様のことを考えられる人」でないと成果は出せない業界です。

また、M&Aは専門知識が必要な高度な取引となるため、法務・税務・財務はもちろん、国内業界動向や買収側の経営戦略等、非常に幅広い知識が必要となります。そうした知識もあって初めて本当にお客様のことを考えられる状態になると言えます。

M&Aキャピタルパートナーズは、個人の成果が給与に反映されないなどといった理由で今の年収に不満がある方や、今の営業活動が本当にお客様の役に立っているのか強い不満を持っている方であれば、転職先として、かなり魅力的な選択肢となるでしょう。


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参考:「金融」の掲載企業一覧|OpenMoney

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