2022/06/09

生命保険の解約返戻金と満期保険金とは

生命保険の解約返戻金と満期保険金の違いについて解説します。保険における「満期」についての基礎知識から、解約返戻金や満期保険金が関係する保険の種類、かかる税金、解約返戻金や満期保険金を受け取る際の注意点まで初心者にもわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

生命保険における「満期」とは

生命保険の解約返戻金と満期保険金について解説します。そもそも生命保険における「満期」とは、入る保険の種類によって意味合いが変わってきます。保障が生涯続く終身保険においては「満期」という考え方はありませんが、5年・10年などの決まった期間のみ保障を受けるタイプの「定期保険」においては、保険期間が終わり更新時期になることを「満期」と呼びます。定期保険は基本的には掛け捨て型なので、満期になれば再度更新するか契約終了するかを選択し、契約を終了させた場合も保険料が戻ってくることはありません。

その他、養老保険や学資保険など貯蓄性のある保険においての「満期」とは保険料の払い込みが全て終了したときのことを呼びます。定期保険と同じく保険期間が終わることを意味しますが、貯蓄性のある保険において「満期」は満期保険金の受給資格を得たということも指します。

解約返戻金とは

解約返戻金とは、契約者が自分の意思で途中解約した際に保険会社から払い戻される保険金のことです。ただし、解約しても今まで払った保険料すべてが戻ってくるわけではありません。保険商品や解約の時期によって解約返戻金の金額は異なりますが、加入している期間が長ければ、保険会社は保険料を使って運用を行っているので利益が出ている可能性が高く、それだけ解約返戻金で戻ってくるお金も多くなる傾向があります。解約の時期が早いほど戻ってくるお金の割合は低くなり、あまりに早い時期に解約すると解約返戻金が全くない場合もあります。

受け取った解約返戻金が払い込んだ保険料総額の何%になるのかを「返還率(返戻率)」という言葉で表され、保険期間が長期経過した後に解約すると返還率が100%を超える場合もあります。早期解約した場合の返還率は100%以下であることがほとんどです。

解約返戻金の種類

一般的な解約返戻金

払い込む保険料が増えるとともに解約返還金も増えていくのが一般的な解約返戻金型です。保険料の払込期間終了後も、解約返戻金は緩やかに増えていきます。

低解約返戻金型

保険料の払込期間終了までは解約返戻金の額が低く抑えられているものの、保険料の払込期間満了後に解約返戻金の額が増えていくタイプの保険を「低解約返戻金型」と呼びます。保険料の払込期間中は解約返戻金の額が少ないため、もし解約した場合に少ない解約返戻金しか受け取れませんが、その分一般的な解約返戻金の商品よりも保険料を安く抑えることができます。

解約返戻金がある保険

解約返戻金がある保険の代表としては、終身保険、養老保険、学資保険など保険期間が長い商品や貯蓄性のある商品などがあります。一方、解約返戻金がない、定期保険や収入保障保険・一般的な医療保険やがん保険のことを「無解約返戻金型」と呼ぶこともあります。

解約返戻金のある保険の種類 特徴
終身保険 亡くなった場合に死亡保険金が支払われる生命保険。保障が一生続く
養老保険 保険期間中に亡くなった場合は死亡保険金が支払われ、満期まで生存していた場合は満期保険金が支払われる生命保険
学資保険 子どもの学資金を準備するための保険。子どもの成長に合わせて進学準備金や満期学資金を受け取ることができる

解約返戻金を受け取る際の注意点

1. 解約返戻金で利益が出ると課税される

解約返戻金を受け取り、その金額が今まで支払った保険料の総額より多かった場合、その差額に対して所得税がかかります。差額のうち50万円は控除され、残りの金額の半分に対して所得税率をかけた金額が支払う税金の金額となります。解約返戻金と支払った保険料の差が50万円を超えない場合には所得税は発生しません。また、税金が発生した場合は基本的に確定申告を行うこととなりますが、一時所得が年間20万円以下の場合は非課税となるため、その金額を超えた場合に確定申告が必要となります。

2. 保険に入りなおすと保険料が上がる可能性がある

解約しても解約返戻金がもらえるというのはお得な制度のように思えるかもしれませんが、解約するかどうかは慎重に検討する必要があります。もしその保険が不要だと判断して解約し、その後再度また保険に入りたいと思った場合、年齢が上がっていることにより大幅に保険料が上がったり、最悪の場合加入できない可能性があるからです。生命保険は一般的に年齢が若いうちに加入し、低い保険料のまま払い続けるというのが一番総支払額が少なくなる方法だと言われています。本当に不要と思われる保険であれば解約し解約返戻金を受け取るべきですが、その判断は慎重に行うべきでしょう。

満期保険金とは

満期保険金とは、保険を契約してから満期まで被保険者が生存して保険を継続していた時に支払われる保険金のことです。保険会社は今まで支払った保険料で運用を行っているため、満期まで継続していれば利益が出ていることが予測されます。そのため今まで支払った保険料相当分の満期保険金をもらえることが多くなっています。満期保険金のある保険の代表とされる養老保険では、死亡保険金と満期保険金が同額になっており、保険契約期間中に死亡した場合には受取人が死亡保険金を受け取ることができ、契約期間満了まで生存していた場合は契約者が満期保険金を受け取ることができます。満期保険金があることで保障とともに貯蓄性の高い保険になっているということです。

満期保険金がある保険

満期保険金がある保険としては、代表的なものに養老保険や学資保険が挙げられます。また個人年金保険も、一定の年齢まで生存していたあとは年金形式で保険金を受け取るため満期保険金がある保険と考えられています。

※終身保険には、満期という考え方がないため満期保険金は設定されていません。

満期保険金を受け取る際の注意点

1. 何もしなくても満期保険金が受け取れるわけではない

満期保険金を受け取るには、保険会社から送られてくる「満期保険金請求書」や本人確認書類、保険証券などを揃えて送付しなければいけません。(保険会社によって必要書類は異なります。)何もしなくても満期になれば振り込まれるわけではありませんので、満期が近付いたら保険会社から送られてくる書類に注意し、届いたらなるべく早く対応するようにしましょう。

2. 満期保険金で利益が出ると課税される

解約返戻金と同じく、満期保険金も場合によっては課税されます。今までに支払った保険料の総額よりも満期保険金が大きかった場合、その差額が50万円までは非課税となり、それ以降の金額に対して所得税がかかります。また、満期保険金が出る一部の商品では払込保険料を差し引いた金額から20.315%が源泉分離課税されるため、満期保険金を受け取るときにすでに税金が差し引かれた残りの金額を受け取る形になります。(対象商品の例:一時払養老保険等で保険期間が5年以下のもの、または契約日から5年以内に解約したもの)

満期保険金の受取人が保険の契約者と異なる場合、受け取った満期保険金が贈与とみなされ贈与税がかかります。この場合は今までに支払った保険料は関係なく、もらった満期保険金の金額が贈与税の非課税金額(1年間に110万円まで)を超えた場合は贈与税の対象となりますので注意してください。贈与税は税金の中でも税率が高いので、満期保険金の受取人を契約者と別にする場合は贈与税の税率も考え慎重に検討しましょう。

参考:生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき(国税庁)

3. 満期保険金のために不要な保険に入り続けないよう注意

満期保険金は満期まで保険に加入し続けていないともらえないため、何が何でも解約しないでおこうと考えている人もいるかもしれませんが、不要な保険に入り続けることのないよう定期的な見直しは必ず行う必要があります。加入したときからライフスタイルに変化があるなどして補償内容が合わなくなっているようであれば、途中解約が必要なケースもあります。満期保険金のために不要な保険料を支払い続けることのないよう、ライフステージに応じた見直しはどんな保険でも行うようにしましょう。

解約返戻金と満期保険金の違いを理解しよう

生命保険の解約返戻金と満期保険金について解説しました。どちらも貯蓄性のある保険に備わっている保険金ですが、加入を検討している場合にはその商品の解約返戻金と満期保険金の扱いがどうなっているか、必ず確認してから加入するようにしましょう。

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