2022/02/14

一時払終身保険のメリット・デメリットとは

一時払終身保険のメリット・デメリットについて解説します。保険の支払い方法は月払いが最も一般的ですが、半年払い、年払い、一時払い、全期前納払いといった方法も存在します。似たような支払い方法である一時払と全期前納払の違いやそれぞれのメリット・デメリットまでわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

一時払終身保険とは

一時払終身保険とは、契約時に保険料を一括で支払うタイプの終身保険のことを言います。他の終身保険と同じく万が一の際に死亡保険金を受け取ることができ、解約しない限り保障は一生涯続きます。また、もし解約した場合には解約返戻金を受け取ることができます。

保険料の支払い方法

生命保険の支払い方法には、主に以下の種類があります。

・月払い…毎月保険料を払い込む

・半年払い…半年ごとに保険料を払い込む

・年払い…一年ごとに保険料を払い込む

・一時払い…保障期間全ての保険料を契約時に1回で払い込む

・全期前納払い…保障期間全ての保険料を保険会社に預ける形でまとめて払い込む

基本的に、支払いの回数が少ないほど保険料総額は安くなります。

※ライフネット生命など、月払いしか選択できない保険会社もあります。

全期前納払いとの違い

一時払いと似た支払い方法の一つに、全期前納払いがあります。全期前納払いと一時払いの主な違いは以下の通りです。


一時払い 全期前納払い
保険料総額 最も安い 一時払いの次に安い
中途解約時の解約返戻金 最も多い 一時払いの次に多い
中途解約時の保険料 保険料返還なし 以降の保険料が変換される
生命保険料控除 払い込んだ年1回のみ控除対象となる 毎年控除対象となる
保険期間中に契約者が死亡した場合 死亡保険金 死亡保険金+保険料に充当されていない預り金が契約者に返還される

全期前納払いは、すべての保険期間で払い込むべき保険料を保険会社に預ける形で全部まとめて支払う方法です。まとめて預けた保険料相当額は積み立てられ、保険会社はそれを一時的に預かり、保険料の払込時期に合わせて毎月もしくは毎年保険料が支払われます。まとめて支払うという点では一時払いと同じですが、「保険料としてまとめて支払う」一時払いに対して全期前納払いは「保険会社にまとめて預けて保険料として少しずつ支払われる」という形になります。

一時払いはすべての支払方法の中で一番保険料総額が安く、解約返戻金も多いという特徴があります。全期前納払いは一時払いほど保険料は安くありませんが、保険期間中に契約者が死亡したり保険を解約した場合は以降の保険料分の預り金が戻ってくるという特徴があります。

一時払終身保険のメリット

1. 支払う保険料の総額が安くなる

一時払いはすべての保険期間の保険料を一度に支払うため、保険会社はすぐに大きなお金を運用に回すことができます。そのため一番運用益を見込むことができることから、すべての支払い方法の中で最も支払う保険料の総額が安くなります。手元の資金に余裕があり、保険料の総額を抑えたい場合は一時払いは有力な選択肢となります。

2. 相続税対策になる

一時払終身保険は、相続税対策としても有効です。生命保険で受け取る死亡保険金には、500万円×法定相続人(民法で定められた被相続人の財産を相続できる人のこと)の数という非課税枠が設定されています。例えば法定相続人が2人いる場合、500万円×2=1,000万円までの死亡保険金は非課税となります。これをそのまま現金で相続すれば1,000万円満額に相続税がかかりますが、1,000万円の死亡保険金が出る一時払生命保険に加入しておけば、もし万が一のことがあっても1,000万円には相続税がかかりません。死亡保険金に非課税枠があるのは一時払いではない生命保険でも同じですが、使うあてがないまとまったお金がある場合は一時払生命保険を利用することも検討してみましょう。

また現金で相続する場合、死亡した本人の口座は一旦凍結されるため遺産分割などの手続きがすべて完了するまで口座から現金を受け取ることはできませんが、死亡保険金の場合は保険会社に死亡保険金の請求をすれば遅くとも1週間以内に保険金が支払われます。そのため葬儀費用などにも迅速に使うことができ、そのような点からも保険を使っての相続はメリットがあると言われています。

3. 返戻率が高い

一時払終身保険は、月払いなど他の支払い方法と比べると返戻率が高いというメリットもあります。月払いの場合、解約返戻金が支払った保険料の総額を上回るには十年単位での年月が必要なことがほとんどで、何十年経過しても保険料の総額を上回ることがないこともあります。しかし一時払終身保険の場合、商品にもよりますが数年程度で返戻率が100%を超えることが多く、その後も経過年数とともに増えていきます。返戻率が高く貯蓄性に優れているというのも一時払終身保険の大きなメリットの一つです。

一時払終身保険のデメリット

1. 生命保険料控除は一度しか使えない

一時払終身保険の場合、支払いするのが一度のみなので、支払った年しか生命保険料控除を利用することができません。月払いなど他の支払い方法の場合、保険料を支払っている間は毎年生命保険料控除を利用して毎年最大4万円の所得税・住民税を控除することができるため、この点はデメリットと言えます。一時払いと似た支払い方法である全期前納払いは、保険料を保険会社が預かっているという形になるため生命保険料控除は一時払いと異なり毎年利用することができます。そのため保険料を一括で支払いたいけど保険料控除を毎年受けたいという場合は一時払いよりも全期前納払いの方がよいでしょう。

参考:『生命保険料控除とは?対象となる保険から申請方法、注意点まで

2. 支払いにまとまった金額が必要

一時払終身保険は一括で保険料を支払うため、当たり前ですが支払いにまとまった金額が必要となります。一時払終身保険の規定は保険会社によって異なりますが、一時払いの保険料は最低でも100万円~となっている保険会社が多いようです。もし相続税対策でまとまった金額を用意したい場合には、数百~数千万円という大きな金額となる場合もあります。一時払終身保険は中途解約もできますがその場合元本割れする可能性もありますので、自分にとって必要な保険であるかをよく確認してから加入するようにしましょう。

一時払終身保険のメリット・デメリットを理解しよう

一時払終身保険のメリット・デメリットについて解説しました。一時払終身保険は手元にまとまった資金がない場合はあまり選択肢に入りませんが、相続税対策として最も有効な保険と言われています。すぐに使わないまとまった資金があり、相続対策も検討したいという場合は一時払終身保険を検討してみるとよいでしょう。また、相続対策は必要なくても手元資金に余裕があり、保険料の支払い総額をとにかく抑えたいという場合にも一時払終身保険はおすすめです。自身の状況に合わせて、適切な保険を検討しましょう。

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