2021/01/08

日本M&Aセンターへの転職者インタビュー【採用や年収、働き方の実態まで】

平均年収ランキングで常に上位にランクインする日本M&Aセンター。M&A仲介業界の中でも最大手に君臨する日本M&Aセンターへの転職者の方に、採用や年収、働き方の実態まで詳しくインタビューしました。

新卒で地元の地方銀行に就職

−−−これまでの経歴を教えてください。

都内の大学を卒業し、新卒で地元の地方銀行に約5年間従事した後、現職の日本M&Aセンター(以下M&Aセンター)に転職しました。銀行員時代は個人向けのリテール営業を2年、法人・個人向けの融資管理業務を1年半、法人営業を1年半行いました。リテール営業では主に投資信託や生命保険の販売及び住宅ローンの営業、融資管理業務では返済が苦しくなった法人や個人のお客様の経営改善計画や収支計画を作成し通常返済開始に向けた支援を行っていました。法人営業は新規融資先の開拓~既存先への各種提案まで幅広く行っていました。銀行業務は多岐に渡りますが、早くから実績を残していたことで割と若い年次から色々な経験をさせてもらったと思います。


−−−なぜ新卒で地方銀行を選んだのですか?

素直に「地元を元気にしたい」という気持ちからでした。地方の就活ではよく聞くフレーズですが、当時は本気でその思いが強かったです。

都内の大学に通っていたこともあり、就活当初はいわゆる大手ばかりを受けていて地元は数社しか受けていませんでした。いくつか内定ももらって都内に残ることをほぼ決めていましたが、地元に帰った際にふと「東京と比べて寂しすぎる!俺が変えなければ!」と変な使命感を感じて急遽地元に帰ることにしました。

その中で、地元の中小企業の支援がメインである地方銀行に入行することにしました。


−−−なぜ銀行を辞めようと思ったのでしょうか?

銀行を辞めて転職しようと考えた理由は主に3つあります。

1つ目は、業界全体の将来性がないと感じたことです。銀行は主に金利と手数料が収益源となっています。本業の融資はマイナス金利の影響で逆ザヤ(貸しただけマイナスになる状態)の銀行も出てきており、手数料収入も証券会社、保険会社などの本業がいる分野の二番煎じです。フィンテックもこれからどんどん発展することを考えると銀行業界の将来性に危機感を感じました。

2つ目は、本当にお客さんのためになる仕事ばかりではなかったことです。「晴れの日に傘を貸し雨の日に傘を取り上げる」と言われるように、資金余裕がある人に対してお願いセールスで必要のない資金を借りてもらっている一方、返済が苦しい企業にはなかなか貸すことができません。いくら将来的な展望や社長の経営努力を上司に伝えても、過去の実績から判断する文化が根強く、よく上司とぶつかることもありました。お客様のためではなく、自行の利益やリスクヘッジを優先する文化に疑問を感じていました。

3つ目は、自分の市場価値を高められる環境ではないと感じたことです。銀行は縦割りの文化がいまだに根強く、特に若手のうちは何事も自分だけの判断では進めることができません。出世するにももちろん実力は必要ですが、実力不足でも上司に気に入られている人が引き上げられて出世していくパターンもかなり多いです。上司の顔をうかがいながら、これから何十年もお客様のためにならないと感じている仕事を続ける環境では、自分の市場価値を高めることはできないと感じました。

日本M&Aセンターへ転職

−−−転職活動はどのような形でスタートしたのですか?

転職活動は、M&Aセンターに入社する半年前に開始しました。銀行員時代の先輩がM&A業界に転職していたこともあり、その方が活用した転職エージェント(株式会社リアルリンク)を紹介してもらいました。実際に転職活動を開始するまでは直接の面談は行われず、すべて電話とメールでのやり取りを行いました。

転職先としてはM&A業界のみに絞り、M&A仲介会社を5社ほど受けました。転職活動として具体的にやったことは、最初の1ヶ月半は履歴書と職務経歴書の作成、次の1ヶ月半で面接練習を行い、転職活動スタートから3ヶ月後に各社へのエントリーを行いました。面接練習はすべて電話のみでしたが、内定可能なレベルになるまで徹底的に行なってもらいました。そこから2ヶ月程度で各社2〜3回の面接があり、内定という流れで進みました。地方に住んでいたので、面接は土曜日や長期休暇をまとめて組んでもらいました。実際東京には3回程度出てきて面接を受けました。


−−−なぜM&A仲介業界を選んだのですか?

銀行にいたときに、自分のお客様が「会社を売りたい」ということで、M&Aの勉強をし始めたことがきっかけです。色々と調べているうちに、専門的知識だけでなく人間力や本当にお客様のことを考えて行動することが求められる仕事だと知りました。お願いセールスが全く通用しない世界であり、お客様に対して自分が提供する価値が大きい仕事であったことで、この仕事をしたいと感じM&A業界への転職を決めました。あとは先に同業に転職していた先輩から実際の現場の話を聞けたことも大きかったですね。


−−−M&A仲介会社の中でも、なぜ日本M&Aセンターを選んだのでしょうか?

M&Aセンターを選んだ理由は、業界のリーディングカンパニーとして組織がしっかりしており、チャンスが多いと感じたからです。M&Aセンターは日本におけるM&A仲介会社の草分け的存在であり、実績も圧倒的だったので、それだけ優秀な人も多いと思いました。加えてM&A仲介のみならず、PMI(買収後の統合)やファンドの分野もグループでカバーする動きを取っており、色々な専門分野を学べるチャンスが多いと感じました。


−−−日本M&Aセンターの採用・選考フローについて教えてください。

書類選考のあと面接は3回あります。書類選考は、基本的に前職で上位5%以内の実績を残してきたレベルでないと通らないみたいです。

面接では、一次面接で人事担当、二次面接は小論文提出と所属予定部署部長との面接、最終面接は役員2名に対しプレゼンを行います。

質問内容はオーソドックスなものがほとんどで、前職での実績とその要因や考え方について深堀りされます。あとは上昇志向があるかのチェックも入ります。多少スキルや実績が劣っていても、「絶対結果を出してのし上がってやる!」というマインドの人が好まれる傾向にあると思います。

金融機関出身者が7割程度と多いですが、商社や人材会社、IT企業など異業種からの転職者も多いです。女性社員もバックヤード中心ですが増えてきており、これから活躍の場は増えていくと思います。

日本M&Aセンターの業務内容や年収、働き方の実態

−−−日本M&Aセンターの具体的な業務内容について教えてください。

後継者不在や先行き不安で困っている企業と、より会社を発展していきたい企業のマッチングから成約までのお手伝いを専門に行っています。人間でいう結婚の仲人と同じイメージです。

部署としては大きく、①譲渡企業発掘(セルサイド)がメインの部署と、②譲受企業発掘(バイサイド)がメインの部署の2つに分かれます。①は提携を結んでいる全国の銀行、証券会社、会計事務所をそれぞれ別の部署が担当しており、各チャネルから情報提供をいただいております。②は事業会社とファンドをそれぞれ担当する部署があり、直接接触して案件提案を行います。基本的には、①が紹介してもらった譲渡企業の相手先を②が見つけてくるという形になっています。

営業の職種としてはコンサルタントとコンシェルジュに分かれます。コンサルタントは各チャネルの担当と、実際の案件成約までの両方を行います。コンシェルジュについては女性職であり、上記①の会計事務所の新規開拓、既存会員の情報開発に特化しています。実際の案件を担当することはありません。

会社としてはM&A仲介ですが、このように社内では基本的に譲渡側(セルサイド)と譲受側(バイサイド)それぞれに担当がついて案件を進めていきます。


−−−M&A仲介会社というと基本的には労働時間も長く、激務な印象があります。

人にもよると思いますが、案件が多い人ほど労働時間は長くて激務だと思います。出張も全国関係なくありますし、案件が重なる時期は終電以降や土日も仕事をしている人もいます。

ただ、やらされ仕事で務まる仕事ではないので、嫌々仕事している人はまったくと言っていいほどいません。


−−−典型的な1日のスケジュールはどのような感じですか?

基本的には日中2〜3件の商談を行い、夕方以降で契約書や提案書作成などの事務作業を行うことが多いです。全国的な出張も多いので、移動時間も長くなります。


1日のスケジュール

7:30〜9:00   移動

9:00〜10:30   商談

10:30〜12:00 移動

12:00〜13:00 昼食

13:30〜15:30 社内チームで案件打ち合わせ

15:30〜16:30 商談

17:30〜     社内での事務作業(契約書、提案書作成など)


−−−やはり数字へのプレッシャーも強いですか?

期初に年間予算が設定されますが、四半期ごとに「いくらやる」と目標数値をさらに細かく設定しそのラップ達成の進捗度合いを部内会議で確認されます。

自分で設定したコミットについては必ずやるという文化のため、進捗が芳しくないと上司からの厳しい詰めが入るときもあります。ただ、基本的に自分で考えて上司と施策を決め、行動している人に対しては「どうすれば数字を上げられるか」という前向きな議論をしてくれるケースがほとんどです。

数字が上がらないからクビになるということもないです。


−−−数字を上げている人=結果を出している人に共通点はありますか?

M&A仲介で結果を出すためには、プレゼンスキルや営業テクニックが必要な部分も当然ありますが、一番はお客様の立場になって誠実にとことん向き合うことが重要だと思います。譲渡オーナーは自分の子供同然の会社を売るということ、買い手企業は新たな会社を傘下にすることに大きな不安を抱えます。それぞれの気持ちに寄り添いながらも時には厳しいことも伝え、信頼してもらうことが必須です。

あとはシナリオ構築力、想像力が高い人が活躍している印象です。財務や税務等の定量的なリスクだけでなく、利害関係者の立場や心情も想像してトータル的に考え、そのうえでベストなシナリオを構築して進めていく人は成約率も高いと思います。


−−−M&A仲介会社といえば高い年収というイメージが一般的にはあると思います。給料や昇進の実態について教えていただけますか?

給料は高い方だと思います。固定給も一般の上場企業並にもらえますし、加えて残した実績に応じてインセンティブも青天井でもらえます。あまり詳細は言えませんが、トップ営業マンでは億近い金額をもらっている人もいると思います。

転職者の固定給は前職の給与がベースになります。詳細は分かりませんが、年齢に応じた一般的な上場会社の平均額を基にしているようです。ボーナスは年2回で1ヶ月ずつです。今お話ししたように、インセンティブは自分の実績に応じて青天井でもらえますので、固定給を気にしている人はあまりいないとように思います。

昇進については年1回で、ディールマネージャー、課長、部長などの役職があります。職位ごとの給料についてはある程度の基準はあると思いますが、把握していません。


−−−実際に日本M&Aセンターの中の人から見て、競合との違いを感じる点などはありますか?

MACP(編集部注:M&Aキャピタルパートナーズ)との一番の違いはそもそものビジネスモデルの違いです。MACPはネットワークなどは使わずに、譲渡企業に対しても直接接触していくモデルですので、譲渡企業を発掘する難易度は高いと思います。一部のスーパー営業マンが大活躍しているイメージです。

ストライクとはあまり大きな違いは感じないです。ネットワークを活用しつつ、直接接触していくことも行っているイメージです。


−−−入社後にギャップを感じたことはありますか?

入社前は「ゴリゴリに詰められる、し烈な競争環境の営業会社」というイメージがありましたが、良い意味のギャップが多かったです。

働いている人は、優しくて面倒見が良い人ばかりです。相談すれば親身になって指導してくれ、若手からも学ぶべき点があれば学ぼうという謙虚な姿勢な方が多い印象です。M&Aは色々な利害関係者を巻き込んでチームで進める仕事なので、自分の利益優先や気分で仕事をする人は向いていないと思います。

あとは研修体制が思った以上にしっかりしていました。入社後の一か月間はみっちり研修プログラムが組まれており、M&Aの基礎を徹底的に叩き込まれます。

ただ数字へのプレッシャーは結構強く、営業会社であることは間違いないです(笑)。


−−−今後のご自身のキャリアについて考えていることがあれば教えてください。

今は企業と企業を繋げるという、他者が創り出した価値を大きくする仕事をしていますが、将来的には自分の手で会社を幸せにできる価値やサービスを生み出す仕事をしたいと思っています。起業も選択肢に入っています。

何をするにも自分の引き出しを作ることが大切だと思いますので、今は多くの企業やビジネスモデルを見て、多くの経営者に会い、色んな場に出て、自分の幅を広げることを意識しています。


−−−本日はありがとうございました。最後に、日本M&Aセンターへの転職を考えている方に、何か伝えておきたいことなどあれば一言お願いします。

成長したい、稼ぎたい、思いっきり働きたいとのマインドの方であれば最高の環境だと思います。今の職場で物足りなさを感じている人がいれば、ぜひ一歩踏み出してみてください!一緒に働けることを楽しみにしています!



OpenMoneyでは、日本M&Aセンターをはじめ、M&A仲介業界の社員の資産データも多数掲載しています。是非ご覧ください。(資産データの閲覧には会員登録が必要です。)


参考:

日本M&Aセンター社員の年収・貯金などの資産データ一覧|OpenMoney


参考記事:

M&Aキャピタルパートナーズへの転職を考えるなら知っておきたいこと【年収・採用面接・働き方・残業の実態まで】

年収4000万円の生活と投資への考え方【個人投資家九転十起#04】

HOME記事一覧Page Top