2022/05/30

住宅ローンの仮審査と本審査の違いとは?

住宅ローンの仮審査と本審査の違いについて解説します。住宅ローン審査全体の大まかな流れから、仮審査と本審査での審査項目や提出書類の違い、それぞれの審査に落ちてしまう要因、住宅ローンを申し込むにあたっての注意点まで初心者にもわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

住宅ローン審査の大まかな流れ

人生で一番高価な買い物と言われるマイホームを買うための住宅ローンは、申込から数週間~一ヶ月ほどの時間をかけてじっくりと審査され、審査に通らないと希望の融資を受けることはできません。住宅ローンの審査は申し込む金融機関によって若干の違いはありますが、大まかな流れは以下の通りです。

1. 物件選定~金融機関選定

まずは購入希望の物件と、住宅ローンを申し込む金融機関を決めます。新築の物件であればどこの金融機関も基準はあまり変わりませんが、中古の物件を希望する場合は住宅ローンの借り入れ金額に制限があったり、融資が受けられない場合もありますので慎重に検討しましょう。

参考記事:『住宅ローンの選び方。金利、団信など比較ポイントを徹底解説

2. 仮審査

物件と金融機関が決まったら、仮審査に申し込みます。事前審査は家の売買契約を行う前に実施され、一般的に2~3日で結果が出ます。購入したい物件が見つかり、資金計画が決まればいつでも申込が可能です。(一部の金融機関では物件が未定でも仮審査に申し込むことができます。)

3. 住宅の売買契約締結

事前審査を通過した場合、購入希望の住宅の売買契約を締結します。売買契約を交わした後本審査で審査落ちしてしまう可能性も考えられますので、契約書の融資利用の特約(一般的に「ローン特約」と言われます)という項目をよく確認し、本審査に通らなかった場合は自動的に契約が解除されるようになっているかを見ておきましょう。

4. 本審査

仮審査が通り、物件の売買契約を結んだあとに本審査が行われます。仮審査とは異なり、より多くの情報をもとにさらに1~3週間ほどの時間をかけて審査が行われます。

5. 金銭消費貸借契約締結

無事本審査に通過すると、金銭消費貸借契約締結となり、これで住宅ローンが契約されたことになります。金銭消費貸借契約締結は金融機関に赴き、住宅ローンの契約内容の確認・契約書類への署名捺印を行います。(ネット銀行の場合は、すべて郵送でのやり取りとなります。)また、金銭消費貸借契約締結と同時に「抵当権設定契約」も締結します。「抵当権」を設定することで、住宅ローンの返済が万が一滞ってしまった場合に、建物と土地を競売にかけることができるようになります。

6. 融資実行

諸費用の清算が済むと融資実行となり、いよいよ物件の引き渡しとなります。仮審査の申込から融資実行まで、一ヶ月程度かかることが通常ですが、一部金融機関では審査のスピードを売りにしており、申込から融資実行まで一週間程度で可能な場合もあります。

住宅ローンの仮審査とは

仮審査で審査されるポイント

住宅ローンの仮審査(金融機関によっては事前審査や簡易検査と呼ばれることも)で審査されるポイントは、主に「申込者に返済能力があるかどうか」という点です。具体的には、申込者の属性(年収・勤続年数・会社の規模など)、申込者の信用情報に問題がないか、他のローンの借り入れがあるかどうかなどです。支払い遅延などでブラックリストに入っている、年収が低い、他のローンの金額が大きい(返済負担率が大きい)場合、仮審査を通過するのが難しいと言われています。

仮審査に必要な書類

仮審査を行うために提出する書類は、主に以下の書類です。

・本人確認書類(運転免許証、住民票など)

・源泉徴収票

・他に借り入れがある場合は、契約内容やローン残高がわかる書類

仮審査の段階では物件の情報が必要ない場合が多く、準備する書類はそれほど多くありません。

住宅ローンの本審査とは

本審査で審査されるポイント

住宅ローンの仮審査に通過し本審査に進んだ場合、仮審査よりも厳密に経済状況や資金力をチェックし、物件の詳細や申込者の健康状態まで確認することで「本当に住宅ローンの返済を続けられるかどうか」というポイントを見られることになります。提出書類も多くなり、審査期間も長くなりますので書類の不備がないように注意しましょう。より厳密に審査した結果、「仮審査は通ったけれど本審査に落ちた」ということも起こり得ます。審査で重視する項目は金融機関によって異なりますので、審査に落ちたときのためにも希望する金融機関は複数選定しておくようにしましょう。

本審査に必要な書類

本審査を行うために提出する書類は、主に種類別に以下の書類です。仮審査よりも必要書類が多くなり、不備も起きやすくなりますので注意が必要です。

種類 書類
申込関連書類

・住宅ローン申込書

・団体信用生命保険申込書

本人確認書類

・印鑑証明書

・住民票の写し

・運転免許証

・健康保険証

所得証明書類

・源泉徴収票

・住民税決定通知書

・確定申告書の写し

・(自営業の場合)決算書

購入物件に関する書類

・売買契約書の写し

・重要事項説明書の写し

・物件の登記事項証明書

仮審査で落ちてしまう要因

仮審査は基本的な情報をもとにざっくりとした審査を行うため、落ちてしまうのは必ず明確な基準による理由があります。年収などは各金融機関によって審査基準が異なりますが、信用情報でブラックリストに載ってしまっている人はほぼ確実に通過することができません。金融事故情報は5年〜10年間信用情報から消えることはないので、この間は基本的に住宅ローンを利用することは難しいと思っておきましょう。

また、他のローンが複数ある場合も仮審査の段階で審査落ちしやすいと言われています。返済負担率に直結する債務状況は、仮審査でも厳しく見られていると言っていいでしょう。また、実際にローンを組んでいなくてもカードローンのキャッシング枠に契約していていつでも使える状態になっているだけでも、住宅ローンの審査には不利になると言われています。使っていないカードローンの契約がある場合は、審査に申し込む前に解約しておくのが無難です。

仮審査は通過したけど本審査に落ちてしまう要因

仮審査に通っていても、本審査で落ちてしまう人というのも全体の5%程度いると言われています。そして5%のうち多くが申告内容の不備・虚偽の内容を申告していたケースと言われています。本審査においては、基本的な属性は問題がないはずなので申告内容に不備がないようにすること、仮審査と本審査で異なる申告をしないことが大切です。

また、健康上の理由により団体信用生命保険に加入できず、それが原因で本審査に落ちてしまうというケースもあります。その場合はワイド団信など健康に不安がある人でも入りやすい団信を選ぶか、団信の加入が義務づけられていないフラット35への申込を検討するとよいでしょう。

住宅ローンの審査についての注意点

1. 複数の金融機関に申し込むのもあり

ナビナビ住宅ローンが行ったアンケートによると、住宅ローンの申込を1社の金融機関だけに申し込んだ人は65%、2社の金融機関に申し込んだ人は18%、3社以上の金融機関に申し込んだ人は6%となっています。1社だけに申し込む人が圧倒的に多いものの、2社以上に申し込む人も一定数います。属性に不安がある、金融機関の候補が2つ以上あるという人は、あらかじめ複数の金融機関に申し込み並行して審査を受けるというのも手です。あまり多くの金融機関に一度に申し込みをするのは金融機関側の心象を悪くすると言われていますが、3~4社程度であれば特に問題はありません。

参考:住宅ローン審査(ナビナビ住宅ローン)

2. 自身の信用情報に不安があれば、事前に情報を取り寄せることも可能

住宅ローンに申し込みたいけど、自分の信用情報に自信がないので確認してみたいという人は、事前に情報を取り寄せることも可能です。自分の信用情報が、現在どのように金融機関に登録されているかを確認したい人は以下のような機関に問い合わせてみましょう。(別途手数料がかかる場合があります。)

全国銀行個人信用情報センター(KSC)

株式会社日本信用情報機構(JICC)

株式会社シーアイシー(CIC)

3. 仮審査~本審査の間に新たな借り入れや転職は行わない

仮審査申込時と本審査申込時で属性やその他借入の状況が異なる場合、審査に時間がかかってしまったり最悪の場合は審査落ちとなってしまいます。住宅ローンの審査は全体で1ヶ月程度と長い時間がかかってしまいますが、その間で転職や新たなローンの借り入れは行わないようにしましょう。どうしてもなにか情報に変更がある場合は、なるべく早く担当者に伝え、必要な書類を早めに提出することが大切です。

仮審査と本審査の違いを理解しよう

住宅ローンの仮審査と本審査の違いについて解説しました。簡単な書類で支払い能力を確認する仮審査と、より細かな資料を基に購入物件や申込者の健康状態まで確認する本審査は必要書類や審査期間などに違いがあります。2つの審査の違いを理解して、事前にできる対策は行っておくようにしましょう。

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