2021/01/13

M&A仲介会社への転職を考えるなら知っておくべきこと

平均年収ランキングでも上位に並ぶM&A仲介会社は転職先としても人気の業界です。近年M&A仲介大手各社はコンサルタント数を増やしており、採用にも積極的です。今回は、大手M&A仲介会社の現役コンサルタントの方に、M&A仲介会社への転職を考えるのであれば知っておくべきことについて寄稿いただきました。

M&A業界とM&A仲介会社の位置づけ

1. M&Aアドバイザーとは 〜FAとM&A仲介の違い〜

一口にM&A業界といっても、その業務内容や位置づけは多岐に渡ります。

実際にM&Aによる買収・売却を行っている投資ファンドやM&A助言(FA、ファイナンシャル・アドバイザー)を行っている投資銀行業務、仲介を行うM&A仲介、ネットマッチング等、幅広いサービスがあります。

その中でも、M&Aアドバイザリー業務は大きく「FA(ファイナンシャル・アドバイザー」と「仲介」の2つに区分されます。

2. FA(ファイナンシャル・アドバイザー)の特徴

「FA」とはファイナンシャル・アドバイザーの略でM&Aにおける助言業務(アドバイザリー業務)のことを指します。

一般的に、M&Aの交渉にあたり売り手と買い手がそれぞれ別のFA(売り手側FAと買い手側FA)をつけて交渉を進めていくことになります。

仲介と違う点は、FAは売り手あるいは買い手のどちらか一方につくため、「顧客の利益を最大化」するように行動するという点にメリットがありますが、お互いの利益を主張し合うことで、交渉がまとまりにくくなるというデメリットもあると言われています。

3. M&A仲介の特徴

「仲介」とは、同一のM&Aアドバイザーが売り手と買い手の間で交渉を行い、中立的な立場でM&Aの成立に向けて助言業務を行います。

特徴としては、売り手と買い手どちらか一方の利益の最大化を目指すのではなく、両者の間に立って客観的に中立的な立場で交渉を行います。

したがって、どちらかの利益最大化のためというよりは、あくまでもM&A成立を前提に動く点に違いがあります。

4. FAとM&A仲介の顧客層による棲み分け

次に、M&A業界を俯瞰的に見ていきます。一般的に言われている住み分けは下の図のようになっています。

一般的に、FAを基本とする外資系投資銀行等はメガ・ラージキャップと呼ばれる大企業をターゲットにしており、ディールサイズは数百億円以上を対象としています。

例えば、武田薬品のシャイヤー買収は武田薬品側に野村證券やJPモルガンなどが、シャイヤー側にゴールドマンサックスなどがそれぞれ片側FAとして入っており、よく日経新聞の一面を飾るような案件はほぼFAが手がけているものです。

投資銀行ではより高度な買収スキームやバリュエーション、DD等の幅広い業務を行い、専門的な立場からM&Aの成立を目指します。


一方で、M&A仲介は主にスモールキャップと呼ばれる中堅・中小企業をメインターゲットにしており、ディールサイズとしては数億円〜数十億円を対象としています。

特に近年では事業承継問題を背景に「第三者承継」としての友好的なM&Aが急増しており、このマーケット拡大に応じてM&A仲介会社も軒並み大きく成長しています。

しかし、マーケットの拡大を背景に地方銀行やリクルート等の事業会社が仲介業務への新規参入等により競争も激しくなっているのが現状です。


M&A業界は上記のFAと仲介がメインでしたが、近年新たな仲介の業態としてトランビ等が展開する「ネットマッチング」が登場しています。

これは従来、仲介が担っていたマッチング機能の部分についてインターネットを活用してM&A成立を目指すものです。

売上高としては零細企業がメインですが、直近ではスタートアップのイグジットも行っているようです。

M&A仲介会社の仕事内容

1. M&A仲介業務とは

M&A仲介会社では主に中堅・中小企業のM&A成立に向けた仲介業務を行っており、業務の全体的な流れは下の図のとおりです。

仲介業務に特徴的なのは、大きくオリジネーション(ソーシング)とエグゼキューションに分かれることです。

2. M&A仲介におけるオリジネーション(ソーシング)とは

オリジネーションとは、M&A案件を発掘することであり、売手と買手のマッチングやクライアントへの提案等を行う業務になります。

具体的には、会社を譲渡したいオーナーを新規開拓またはルート営業により発掘し案件化して譲渡案件を獲得することと、買収したい会社を探してマッチングすることを指します。

いわゆる案件を組成し相乗効果がある先に対してマッチングを行う、「営業」がメインになります。


オリジネーション手法は仲介各社で異なります。

日本M&Aセンターやストライクでは、金融機関や税理士事務所等のネットワークを中心に案件の紹介を受ける「インバウンド営業」がメインになります。

一方で、M&Aキャピタルパートナーズは、売り手をテレアポ等の新規開拓から取得し、直接提案を行う「アウトバウンド営業」がメインになります。

各社により営業方法は大きく異なるため、自身の営業スタイルにより得意・不得意を考えた上で転職を考えると良いかもしれません。


オリジネーションで上手く譲渡案件を組成し、マッチングまで完了した後はエグゼキューションというフェーズになります。

3. M&A仲介におけるエグゼキューションとは

エグゼキューションとはM&Aの一連の事務手続きやプロセス管理を行う業務になります。

具体的には買収意向表明の提出やデューデリジェンス(DD、買収監査)、バリュエーション、最終契約の締結からクロージングまでを行うことです。


このフェーズではM&Aに関する専門知識が必要となるため、弁護士や公認会計士等の専門家とチームを組んで案件を進めるケースがほとんどです。したがって、仲介会社の担当者は売り手・買い手、専門家集団をまとめることが求められます。

DDの結果を受け、税務リスクや法務リスクを想定した上での最終的な条件交渉を行ない、最終契約書に落とし込んでいくことになります。

この場面では財務・税務・法務等の専門知識はもちろん必要ですが、それ以上に精神的なタフさと高度な交渉力が必要です。


当然ですが、売り手は高く売りたい、買い手は安く買いたいと思惑が相反するため、その間を客観的に、かつ両者の納得感を得る交渉・調整が必要になります。

4. M&A仲介会社における部署や職位、役割について

M&A仲介会社の部署や役職、職位等は各社で異なります。

一般的に、M&A仲介会社における部門はM&A業務を行う営業部門と経理・総務を担う管理部門、会社によってはエグゼキューション支援部門(主に公認会計士等の専門家から構成されている部門)に分かれます。

また、その他にも、セミナーや広告戦略を立案・実行する営業企画部門や、M&Aに関するメディアやネットマッチングを行うシステム部門などに分かれている企業もあります。

このように、企業によって異なる部署はありますが、一般的には従業員の大多数は営業部門になります。

営業部門の役職は成約件数やこれまでのキャリアにより決まります。

役職は基本的には通常の会社と変わりません。企業にもよりますが、例えば、主任→課長→次長→部長→執行役員→役員といった具合に役職が上がっていきます。会社によっては戦略コンサルのようにアソシエイト、ヴァイスプレジデント、ディレクター等の会社もあるようです。

また、特徴としては実力主義があげられます。年功序列のような風土はなく、年齢が若くても実力があれば昇進していきますので、非常に分かりやすい体系となっています。

M&A仲介会社の年収設計は固定給よりもインセンティブ割合が非常に高いため、成約件数が多く、個人売上が高ければ役職が高い人よりも高年収になる傾向にあるため、役職にこだわる人は正直少ないかもしれません。

ちなみに、役職による業務内容の違いは特にはありません。

M&A仲介会社の年収イメージ

M&A仲介会社の年収モデルは、営業部門に関しては基本的には「固定給+上限のないインセンティブ」という設計になっています。


固定給は各社で異なりますが、基本的には400万円〜1,000万円程度になります。

固定給部分は役職や前職考慮、前年の成約実績を考慮の上で決定されることが多いです。ただし、各社とも役職での固定給の差はそこまでありません。

また、一部の会社では営業成績が不振の場合には減額されることもあります。


インセンティブは成約件数や個人の売上高により確定します。

インセンティブの還元率が高いM&Aキャピタルパートナーズの場合、インセンティブは個人売上高の約15〜25%以上にもなります。その他の仲介会社の場合は、の約10%〜15%程度です。

M&Aキャピタルパートナーズのインセンティブの還元率が高いのは、アウトバウンド営業のため紹介料を支払う必要がないことも大きいと推察されます。


例えば、M&AキャピタルパートナーズにM&Aアドバイザーとして役職なしで入社し、年間成約1件(売上高1億円)だった場合は、固定給450万円〜500万円+インセンティブ約2,000万円の合計約2,500万円となります。

日本全体の平均年収が約432万円であることを考えると、相当な高収入が期待できる業界であることは間違いありません。一方で、1年間で1件も成約を決められなかったり、ごくわずかなインセンティブにしかならないM&Aアドバイザーも一定数存在することも事実です。


参考記事:『年収4000万円の生活と投資への考え方【個人投資家九転十起#04】


次は、M&A仲介会社への転職を考えている方のために、M&A仲介会社の比較と転職事情について解説します。

M&A業界への転職に少しでも興味を持ったらするべきこと

M&A仲介会社をはじめとするM&A業界への転職を少しでも考えているのであれば、まずは『ビズリーチ』へ登録するのが個人的にはおすすめです。年収が550万円〜600万円を超えているくらいであれば、登録するだけで複数のヘッドハンターからスカウトが届きます。まずは、『ビズリーチ』に登録し自分の市場価値を把握したり、M&A仲介に限らず幅広い選択肢を検討するのが良いでしょう。

ある程度転職志望度も高いのであれば、最大手転職エージェントの『リクルートエージェント』に登録しておけば間違いないでしょう。


また、M&A仲介会社に勤務する知人がいるのであれば、必ず一度直接話を聞いてみることをおすすめします。会社のよっては、社員の推薦から採用されるルートもあります。

主なM&A仲介会社を比較

ここからは、M&A仲介会社への転職を考えている方に向けて、M&A仲介会社各社の比較と転職において評価されるポイント、採用フロー等を徹底解説します。

日本M&Aセンター

・設立年:1991年

・売上高:284億円(2019年3月期)

・資本金:13億円(東証1部上場)

・従業員数:485名(2019年6月末時点)

・拠点:東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、広島、シンガポール


日本M&AセンターはM&A仲介会社では業界最大手企業です。

特徴としては、日本全国の地方銀行や会計事務所、また地方公共団体等とM&Aに関する業務提携を行っており、その提携網を活用したマッチングやソーシングを非常に強みとしています。

営業手法としては主に「インバウンド営業(紹介営業)」であり、提携先への案件紹介依頼やセミナー等を通じて案件の獲得を行います。

給与体系としては固定給(500万円〜1,200万円)+上限のないインセンティブとなっています。固定給が他社と比較すると若干高いため、インセンティブ割合が少ない設計になっているように感じられます。ソーシングの際に必ず提携先へ紹介料が発生することも理由の一つでしょう。

また、社内風土としては売上高や成約件数、行動KPI等の数字管理が厳しく、結果を非常に重視するようです。

新規開拓力というよりは提携先との取引深耕できる人が向いており、金融業界のみならず幅広い業界から採用されています。


参考記事:『日本M&Aセンターへの転職者インタビュー【採用や年収、働き方の実態まで】

参考:日本M&Aセンター社員の年収・貯金などの資産データ一覧|OpenMoney

M&Aキャピタルパートナーズ

・設立年:2005年

・売上高:80億円(2018年9月期)

・資本金:25億円(東証1部上場)

・従業員数:151名(連結:2019年3月末時点)

・拠点:東京本社のみ

・関係会社:レコフ・レコフデータ


M&AキャピタルパートナーズはM&A仲介会社では業界2番手の企業です。

特徴としては、上場M&A仲介会社では唯一着手金が無料であり、M&A検討のハードルが低い点に強みを持っています。また、M&A仲介会社では老舗のレコフ・レコフデータを買収しており、中堅・中小企業のみならず、上場企業同士の業界再編型のM&Aも行っています。

営業手法としては、日本M&Aセンターとは真逆の「アウトバウンド営業」であり、紹介等に頼らず、コールドコールから案件の新規開拓を行います。したがって、案件のソーシング力では非常に難易度は高く、営業力・新規開拓力が必須と推察されます。

給与体系としては固定給(420万円)+各種賞与+上限のないインセンティブで、特にインセンティブ割合が非常に高い設計になっているのが特徴的です。これは紹介に頼らない営業手法のため、紹介料が発生しないことが大きいと考えられます。

また、社内風土としては会社全体で協力し合う文化のようです。人を育てる風土というのが、離職率が過去5年間で1.8%という数字に現れていると言えるでしょう。

証券会社等で新規開拓を得意とする人はより向いているでしょう。


参考記事:『M&Aキャピタルパートナーズへの転職を考えるなら知っておきたいこと【年収・採用面接・働き方・残業の実態まで】

参考:M&Aキャピタルパートナーズ社員の年収・貯金などの資産データ一覧|OpenMoney

ストライク

・設立年:1997年

・売上高:37億円(2018年8月期)

・資本金:8億円(東証1部上場)

・従業員数:99名(連結:2019年2月末時点)

・拠点:東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、高松、福岡


ストライクはM&A仲介会社としては業界3番手の企業です。

特徴としては公認会計士が主体となっているM&A仲介会社であり、複雑なM&Aスキームへの対応や高度な専門知識、ノウハウを有しています。また、インターネットを活用したM&Aマッチング「smart」を日本で先駆けて運営をしています。

営業手法は上記2社とのハイブリッドであり、インバウンド営業をメインとしつつも、アウトバウンド営業も同時で行っている会社です。特に、地方銀行や会計事務所だけではなく、他のM&A仲介会社とも提携を行っており、幅広いネットワークを構築しています。ただし、他上場M&A仲介会社と成約件数や売上高等を比較すると、どちらとも中途半端なイメージがあります。

給与体系としては固定給(400万円前後)+インセンティブですが、日本M&Aセンターと比較すると、若干インセンティブ割合が高い設計になっています。

また、社内風土としては結果を重視しつつも、詰めるような文化はなく、M&Aキャピタルパートナーズと同様、人を育てる文化があるようです。また、平均退社時間が19時〜20時と、ワークライフバランスも考慮されているように感じられます。


参考記事:『ストライク(M&A仲介)への転職者インタビュー【採用や年収、働き方の実態まで】

参考:ストライク社員の年収・貯金などの資産データ一覧|OpenMoney

FUNDBOOK(旧バイセルテクノロジー)

・設立年:2017年

・売上高:非開示

・資本金:20億円(未上場)

・従業員数:152名(2019年9月末時点)

・拠点:東京本社のみ


FUNDBOOKは2017年に設立されたM&A仲介会社です。

元々はネット型リユース事業を行っていたバイセルテクノロジーが新規事業として参入したものです。

特徴としては、M&Aマッチングオンラインプラットフォームを運営し、ビッグデータやAIを活用した最適なマッチングを提案しています。しかし、実情はアウトバウンド営業が主であり、M&Aキャピタルパートナーズに近い営業を行っていると言えます。

特に、直近時点で積極的に採用を行っており従業員数は150人を超えており、新卒採用も行っています。

給与体系は同様で固定給+インセンティブであり、インセンティブ設計に関しては上記同業他社よりも割合がさらに高い設計になっています。

社内風土としては、結果を非常に重要視しており、最悪退職するケースもあるようです。

M&A仲介会社へ転職するには

1. M&A仲介への主な転職ルート

M&A仲介会社への転職するルートとしては、

・転職エージェント経由での応募

・転職サイトの求人からの応募

・企業の採用ページからの応募

・リファラル

が挙げられます。しかし、圧倒的に多いのが転職エージェント経由かリファラルによる採用です。


転職エージェントを利用する場合は、各社の営業手法や志向を把握しており、面接対策等も手厚いため、転職成功率が上がります。

例えば、M&A仲介会社の採用面接時の質問や選考フローには各社独自のものが多い傾向にあります。

日本M&Aセンターの場合、最終面接時にパワーポイントを使用し15分程度のプレゼンがあります。その際に、転職エージェントによっては、パワーポイントの資料作成からプレゼン内容まで幅広くサポートしてくれるため、通過率が上がります。

ただし、転職エージェントによりサポートに格差があるため、しっかりとした転職エージェントを活用することが重要です。


また、リファラルからの採用も非常に多いです。

これは現従業員からの紹介であればある程度の営業力があることが担保されるため、人事としても採用しやすいためだと考えられます。

ただし、リファラルをお願いできる知人や友人がいない場合は、転職エージェントを活用することが一番の近道だと考えられます。

その場合、まずは、上記で紹介した『ビズリーチ』と『リクルートエージェント』に登録しておけば問題ないでしょう。

2. M&A仲介への転職の際に評価される経験やスキル、ポイント

M&A仲介各社とも、M&A経験者はもちろんですが、未経験者でも営業成績が顕著な人であれば積極的に採用されています。


どのM&A仲介会社でも共通して評価される資質は「営業力」「学習する習慣(専門知識の習得)」「交渉力」の3つです。

その中でも何より「営業力」が非常に重要視されています。企業によっては前職でトップ5%以内の営業実績であることが必須であったりもします。ただし、営業力はM&A仲介各社で志向性は異なります。

例えば、インバウンド営業がメインである日本M&Aセンターやストライクは提携先との取引深耕できる(グリップできる)人を志向し、一方でアウトバウンド営業をメインとするM&AキャピタルパートナーズやFUNDBOOKはとにかく新規開拓力があるかどうかがを重要視しています。

その次に「学習する習慣(専門知識の習得)」があるかどうかです。

M&A仲介業務は財務、税務、法務等幅広く、かつより専門的な知識が必要です。専門家に頼ることもありますが、案件を進める上では必要最低限な知識は必須です。また、税制や法律等は常に改正されるため、都度学習する必要があります。

最後に「交渉力」です。

エグゼキューションの場面では売り手・買い手間で必ず折り合いをつける必要があるため、その際に交渉力や高度なコミュニケーション能力がないと案件がブレイクする可能性があります。面接では常に高いコミュニケーションスキルや交渉力があるかどうか確認されます。


職歴としては近隣業界である金融業界(特に銀行、証券会社)出身が多いです。

これはM&A仲介業務は財務分析や税務、法務等の専門知識が必要であり、前職でも経験があることが多いためと推察されます。

その他にも、住宅メーカーの営業やリクルート等の人材会社出身等、営業力が必要な業界からの転職が多いです。

一方で、投資銀行やコンサル出身者はそこまで多くはありません。やはり、M&A仲介とFAでは業務内容や交渉方法、考え方が異なるためと推察されます。また、M&A仲介はこれまで解説してきた通り、泥臭い「営業」の要素が大きいため、投資銀行やコンサル出身者とはそもそも相性が良くないとも考えられます。

3. M&A仲介を志望するなら必ず見ておくべき業界

M&A仲介会社を志望する方が併せて見ておくべき業界としては、

・M&Aアドバイザリー会社(特に投資銀行やM&Aブティック)

・事業再生コンサル

・プライベートエクイティファンド(PEファンド)

などです。

M&A業務を志向されるのであれば、M&A仲介業務と似たFA(投資銀行業務)を行っているM&Aアドバイザリー会社やFASは必ず見た方が良いでしょう。

経営に関して興味あり、実際にM&Aで買収して経営を建て直す等に関心があれば事業再生コンサルやプライベートエクイティファンド(PEファンド)も見ておくべきだと考えます。ただし、求められる能力や業務内容自体は大きく異なるため、注意が必要です。

4. M&A仲介会社の主な選考フロー

M&A仲介会社の選考フローは以下の通りです。


書類審査(履歴書、職務経歴書)

適性検査(Webテストというよりはその人の適正をより見るものになります)

人事部面接

部門長面接

社長・役員面接(その後の会食)

内定


選考の特徴は一般的な事業会社と変わりません。

質疑内容として、営業力があるかどうか、高度なコミュニケーション能力があるかどうか等が中心です。

新卒時のように自己PRや志望動機を一通り聞いてくるというよりは「なぜM&Aをやりたいのか」等を中心に原体験を元に深掘りしてきます。

会社によっては、面接後に会食を行い、そこでも立ち振る舞いを見て判断する企業もあります。

5. M&A仲介会社は新卒採用をしているのか?

現在M&A仲介会社で新卒採用を行っている会社は日本M&AセンターとFUNDBOOKのみです。

M&Aキャピタルパートナーズやストライク、その他M&A仲介会社では新卒採用は行っていません。

新卒採用を行っていない理由の一つは、M&A仲介各社とも新卒を採用し教育する制度自体が整っていないからだと考えられます。その他にも、M&A仲介業務は営業力が必要な上、専門知識や交渉力等、幅広くかつ高度な能力が必要であるあため、新卒で入社し結果を出せる人は限られると考えているからだと言えるでしょう。

まずは、近隣業種へ新卒採用で入社し、トップの営業成績を出す方が近道と言えるでしょう。

6. その後のキャリアの可能性

最後に、M&A仲介業界からの転職先についても紹介します。

同業他社への転職か独立する人が圧倒的に多い状況です。

それ以外にも、事業会社のM&A部門へのヘッドハント等も若干ありますが、投資銀行やFAS、コンサル等への転職は非常に難しいようです。

やりがいと高額な年収が期待できるM&A仲介

ここまでM&A仲介会社を中心に見てきました。

M&A仲介各社とも事業承継問題を背景に業績が急拡大しており、それに伴い採用も積極的に行っています。転職するのには絶好の機会であるとも言えるでしょう。

M&A仲介業務は営業力を中心とした能力が必要であり、ハードな業務であることは間違いありませんが、やりがいと高額な年収が期待できます。

少しでも興味を持った方は、是非M&A仲介会社の採用面接にチャレンジいただければと願っています。

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