2022/06/07

ジュニアNISAのメリット・デメリットとは

ジュニアNISAのメリット・デメリットについて解説します。2023年末で新規口座開設が終了となるジュニアNISA制度ですが、子どもがいる家庭にとっては是非注目したい制度です。一般NISAやつみたてNISAとの違いやジュニアNISAのメリット・デメリット、注意点までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

ジュニアNISAとは

ジュニアNISAとは、2016年にスタートした未成年者少額投資非課税制度のことです。通常株式や投資信託・ETFなどの金融商品に投資した場合、売却時の利益や受け取った配当に対して約20%の税金が掛かりますが、ジュニアNISAは一般NISAやつみたてNISAと同じく、得られる利益が非課税となります。

ジュニアNISAの口座を開設できるのは日本に居住する0歳~19歳の人が対象で、口座開設者本人の両親・祖父母など二親等以内の親族が管理することができます。非課税で投資できる金額は毎年上限80万円で、その年の非課税投資枠を全額使い切らなかった場合に翌年に繰り越すことはできません。

非課税期間は最長5年間ですが、ジュニアNISAは2023年末で制度が終了することが決まっているため新規に投資できるのは2023年末までとなります。2024年以降は新規に投資することはできませんが、今までに投資した分の資産を非課税で保有し続けることもできます。ジュニアNISAは子どもが18歳になるまでは払い出し制限があり資産を引き出すことができなかったのですが、2024年(制度廃止後)は払い出し制限がなくなりいつでも資産を引き出せるようになります。

ジュニアNISAは2016年以降の利用者数の伸び悩みから制度の廃止が決定しましたが、ジュニアNISAの口座数は2021年6月末時点で約57万となっており、制度廃止後使い勝手が良くなるということで廃止決定後も口座数は伸び続けています。

参考:

ジュニアNISAの概要(金融庁)

NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について(金融庁)

一般NISA・つみたてNISAとの違い

同じく非課税で投資できる一般NISA、つみたてNISAとジュニアNISAの違いは主に以下の点が挙げられます。


NISA つみたてNISA ジュニアNISA
利用できる人 日本在住で20歳以上の人 日本在住で20歳以上の人 日本在住の0歳~19歳の人
非課税投資可能期間 最長5年間 最長20年間 最長5年間
非課税投資可能金額 上限年120万円 上限年40万円 上限年80万円
資産の引き出し いつでも可能

いつでも可能

18歳まで払い出し制限あり
管理する人 口座開設者本人 口座開設者本人 口座開設者本人の両親・祖父母など二親等以内の親族

ジュニアNISAのメリット

ここからはジュニアNISAのメリット・デメリットを解説します。ジュニアNISAには一般NISAやつみたてNISAと同じく「値上がりによる利益が非課税になる」「少額から運用できる」などのメリットや「元本割れのリスクがある」「損益通算ができない」などのデメリットがありますが、この記事では主にジュニアNISAならではのメリット・デメリットについて記載します。

参考記事:『つみたてNISAのメリットとデメリット・注意点

1. 相続税・贈与税の節税対策になる

ジュニアNISAは毎年上限額まで投資を行い、親が代わりに運用することで生前贈与の一環として相続税・贈与税の節税対策になるというメリットがあります。ジュニアNISAは年間80万円×5年間で最大400万円まで非課税で運用することができるので、その運用結果で得た利益も非課税、相続税も0円で子どもに渡すことができます。

2. 子どもへの金融教育の機会となる

ジュニアNISAを利用することで、子どもへの金融教育の機会ができるという大きなメリットもあります。今後生きていく若い世代は自身で資産運用を行うことが必須となることが予想されますが、その内容は学校で詳しく教えてくれるわけではありません。金融教育を教える方法として、ジュニアNISAは絶好の制度であると言えるでしょう。

ジュニアNISAを開設すると、同時に課税未成年口座(利益が非課税にならない口座)も自動的に開設されます。5年間のジュニアNISA運用期間が終了後、課税未成年口座に移してそのまま運用を続けるか、ロールオーバーして非課税で保有し続けるかを選ぶことができます。子どもがある程度の年齢になったら自分で運用させるのもよいですし、親が主体となるとしても子ども名義での運用結果を伝えていくことで投資の大枠を理解させることができます。日本は世界の国の中で現金・預金比率が非常に高い国として知られていますが、このままでは大きく経済が成長していくのは難しいと言わざるを得ません。子どもが小さいうちから株式などを通じて資産運用に触れていることで、投資に対する正しい認識を持っておくことは重要だと言えるでしょう。

3. 制度終了後も非課税で資産を保有し続けることができる

ジュニアNISA口座の新規開設・新規投資の可能期間は2023年末までです。つまり、もし2022年からジュニアNISAを利用した場合は2023年までの2年間分の非課税投資可能金額160万円が新規投資できる限度額となります。2024年以降は新規に投資することはできませんが、ジュニアNISA制度終了後も継続管理勘定に移管(ロールオーバー)することで非課税のまま資産を保有し続けることができることになっています。継続管理勘定では20歳になるまで(1月1日時点で20歳である年の前年12月31日まで)、それまでに購入した金融商品を非課税で保有し続けることができます。2024年以降は好きなタイミングで引き出しができるようになるので、運用の状況を見ながら判断ができるのはメリットです。

ジュニアNISAのデメリット

1. 金融機関の変更ができない

ジュニアNISAでは、途中で金融機関を変更するということができません。かつては一般NISAやつみたてNISAも口座開設以後金融機関を変更することができませんでしたが、制度が変更され今は年に1度であれば金融機関を変更することができます。しかしジュニアNISAでは変更が一切認められていないため、はじめに口座開設する段階でどの金融機関にするかをよく検討してから口座開設する必要があります。

もし、ジュニアNISAでもどうしても金融機関の変更を行いたい場合、現状のジュニアNISA口座を廃止する手続きを取ってから変更先の金融機関にて新規でジュニアNISAの口座を開設するという方法があります、しかしこのやり方だと、既存のジュニアNISA口座を廃止する段階でこれまでのすべての利益に課税されてしまいます。NISA制度最大のメリットである非課税メリットがなくなってしまうため、ジュニアNISAの金融機関変更はなるべく行わないようにしましょう。

2. 払い出し制限がある

ジュニアNISAは子どもの教育資金など将来のための資産形成を目的としていることから、口座名義人が18才になるまでは災害など特別な事情がない限り払い出しができません。この点は自由に資産が引き出せないということでデメリットではありますが、18歳という大学入学のタイミングまで強制的にまとまった金額を残しておけるという点ではメリットとも言えます。

これまでジュニアNISAの利用者数があまり伸びず制度廃止にまでなったのは、この払い出し制限があり使い勝手がよくないことが原因の一つと言われていました。しかし、2024年制度廃止以降はこの払い出し制限がなくなり、いつでも資産を引き出せるようになります。2024年以降新規投資はできないものの非課税で運用を続けながらいつでも資産を引き出せるため、このデメリットはなくなり使い勝手がよくなると言えるでしょう。

3. 利益が非課税になるのは決められた商品のみ

ジュニアNISAで取引できる金融商品は、投資信託・国内・海外上場株式、国内・海外ETF、国内・海外REITなどがあります。一方、非上場株式、債券、FX(外国為替証拠金取引)、金などはジュニアNISAの対象にはなりません。対象商品はつみたてNISAよりは多く、一般NISAと同じです。選択できる商品はだんだん増えてきてはいますが、どんな投資商品でも非課税で運用できるわけではありませんので注意してください。

ジュニアNISAのメリット・デメリットを理解しよう

ジュニアNISAのメリット・デメリットについて解説しました。ジュニアNISAは学資保険よりリスクをとってリターンを大きくしたい人や、子どもに金融教育をさせたいと思っている人には最適な選択肢の一つです。ただし、制度の廃止に伴うロールオーバーの手続きなど手間が発生しますので、もし家庭の中でまだNISA制度を何もやっていないという場合は、ジュニアNISAよりも一般NISAかつみたてNISAを優先して口座開設することをおすすめします。一般NISAかつみたてNISAをすでに利用していて、さらに非課税投資枠を増やしたい場合はジュニアNISAを活用するとよいでしょう。2024年から始まる新制度のNISAでは子ども名義でのNISA口座開設ができなくなるため、より多くの非課税投資枠を使って投資をしたい人は早めにジュニアNISAの開設手続きを行いましょう。

参考記事:『新NISAとは?一般NISAやつみたてNISAとの違いや注意点まで徹底解説

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