2022/06/08

ジュニアNISA廃止に伴う注意点徹底解説

ジュニアNISAの制度廃止に伴う注意点について解説します。子ども一人につき年間80万円の非課税枠を使って投資ができるジュニアNISAですが、2023年末の制度廃止に伴い払い出し制限の撤廃など変更点があります。すでに口座を持っているひとはもちろん、これから口座を開設しようと思っている人も参考にしてください。

ジュニアNISAとは

ジュニアNISAとは、2016年にスタートした未成年者少額投資非課税制度のことです。通常、株式や投資信託・ETFなどの金融商品に投資すると売却時の利益や受け取った配当に対して約20%の税金が掛かりますが、ジュニアNISAは一般NISAやつみたてNISAと同じく、得られる利益が非課税になります。

ジュニアNISAの口座を開設できるのは日本に居住する0歳~19歳の人が対象で、口座開設者本人の両親・祖父母など二親等以内の親族が管理することができます。非課税で投資できる金額は毎年上限80万円で、その年の非課税投資枠を全額使い切らなかった場合に翌年に繰り越すことはできません。非課税期間は最長5年間ですが、ジュニアNISAは2023年末で制度が終了することが決まっているため新規に投資できるのは2023年末までとなります。2024年以降は新規に投資することはできませんが、今までに投資した分は非課税で保有し続けることもできます。

参考記事:『ジュニアNISAのメリット・デメリットとは

NISA口座数の推移

2021年6月末時点での各NISAの口座数は以下の通りです。

口座の種類 口座数
一般NISA 1237万2998口座
つみたてNISA 417万5430口座
ジュニアNISA 56万9639口座

参考:NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について(金融庁)

NISA制度の中でもジュニアNISAは、後述する払い出し制限などから使い勝手が悪いと言われており、口座数が伸び悩んだことから制度の廃止が決定しました。2023年末で制度は終了することとなりましたが、まだ2023年までは口座を新規開設することができます。ただ終了にともないいくつか注意点があるため、以下の点を認識した上でジュニアNISAを利用するようにしましょう。

ジュニアNISA廃止に伴う注意点

1. 払い出し制限の解除

一般NISAやつみたてNISAの場合、運用している間いつでも資産の払い出しができますが、ジュニアNISAは口座名義人である子どもが18歳になるまで一切資産を払い出すことができません。これは子どものための資産を中長期的に形成してほしいという狙いからなのですが、この点がネックとなって口座開設数が伸び悩んでいるのではないかと言われてきました。

しかし、制度廃止以降の2024年は「課税未成年者口座及び未成年者口座内の上場株式等及び金銭の全額について源泉徴収を行わずに払い出すことができる」と税制大綱に記載されており、子どもが何歳でも資産の払い出しができるようになります。これにより、制度廃止後はそれまで運用した資産を例えば中学進学時や高校進学時に引き出すなど18歳になる前の必要資金として充てることも可能になります。ジュニアNISAのデメリットと言われていた点が解消されるので、廃止に伴い使い勝手がよくなると言われているのはこのためです。

※資産の全額のみ引き出せるのか、一部だけ引き出すことも可能なのかという点については現時点ではまだ未定となっています(2022年6月現在)。

ジュニアNISAの基礎知識(金融庁)

2. 新規に投資できるのは2023年末まで

ジュニアNISAは2023年末で制度廃止のため、新規に資金を投入して投資できるのは2023年末までとなります。「3. 成人になるまでは引き続き非課税で運用可能」で記載するように制度廃止後も引き続き運用を行うことは可能なのですが、新規に資金を投入することはできなくなるため注意してください。つまり、もし2022年から新規でジュニアNISA口座を開設した場合、運用できる資金は限度額80万円×2年間で160万円となり、2024年以降はこの160万円の運用結果を見守っていくことになります。また、2024年以降はすでに運用している商品を変更するなども不可となっています。そのため2024年以降にできることは今までに購入した商品の運用結果を見守る(必要なタイミングで引き出す)ということだけであることを理解しておきましょう。

3. 成人になるまでは引き続き非課税で運用可能

ジュニアNISAは2023年末で制度廃止となりますが、廃止時点で運用している商品を継続管理勘定といわれる場所に移管することで、成人するまで非課税のまま保有することができます。継続管理勘定とはジュニアNISAの制度廃止以降に非課税期間(5年間)の終了を迎える場合に、保有していた商品を非課税のまま運用することができる専用の口座です。継続管理勘定に移行できる金額に上限はないため、移換時点で含み益が大きくなっていても全額を継続管理勘定に移すことができます。2024年以降新規で資金を投入して投資することはできませんが、今までに投入した資産は非課税のまま運用を続けることができるので、2023年末時点で非課税期間の5年が経過していない人は継続管理勘定へのロールオーバーを行うようにしましょう。

継続管理勘定へのロールオーバーは勝手に行われるわけではなく、書類の提出など手続きが必要となります。この手続きを行わないと、2024年以降はジュニアNISA開設時に同時に作成される課税口座へと資産が移ってしまいますので注意してください。

ジュニアNISAのポイント(金融庁)

4. 2023年中に成人になる場合はNISA口座へ移管

制度が廃止となる2023年末までに子どもが成人する場合は、成人する年の1月1日にNISA口座が自動的に開設されます。このとき一般NISAにするかつみたてNISAにするか選択することができ、それまでジュニアNISAで保有していた商品をそのまま新しく開設された口座に移すことが可能です。子どもが成人後は今までのジュニアNISAのように親や祖父母が代行して資産運用を行うことはできなくなりますので、ジュニアNISAで運用してきた資産を今後どうするのか、成人するまでに子どもとよく話し合っておく必要があります。

ジュニアNISAのポイント(金融庁)

ジュニアNISA廃止に伴う注意点について理解しよう

ジュニアNISA廃止に伴う注意点について解説しました。2024年以降は払い出し制限がなくなることでジュニアNISAのメリットは増えますが、ロールオーバーの手続きが必要だったりと制度の複雑さは否めませんので、よく理解した上で活用する必要があります。

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