2022/02/14

保険の転換とは。メリット・デメリットから注意点まで

保険の転換制度について解説します。保険を見直す際の一つの方法として「転換」という制度がありますが、この制度を利用する際は注意が必要です。この記事では転換の種類や変換との違い、転換のメリット・デメリット、転換に関する注意点までわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

保険の転換とは

保険の転換とは、現在加入している保険で今まで積み立てた部分を新しく入る保険の保険料の一部に充てて、新しい保険に加入し直すことを言います。つまり現在の保険を下取りして新しい保険に入るようなイメージです。現在積み立てている積立金を新しい保険の保険料に充当することで、新しく入る保険料の負担を少しでも軽くすることができます。

転換はあまり聞き馴染みのない制度かもしれませんが、例えば「現在の保険を解約したい」と担当者に申し出た場合に、「解約ではなく転換するのはどうですか?」と提案されるケースが多いようです。「保険料が安くなる」と聞けばよい制度のように思えますが、デメリットや注意点も多くあります。メリット・デメリットをよく理解した上で検討するようにしましょう。

保険の変換との違い

転換と似た制度に「変換」というものもあります。変換も転換と同じく現在入っている保険から新しい保険へ変更する際に使われる制度ですが、変換は今までの積立部分の下取りという概念がなく、新しく入る保険は今まで加入している生命保険の保障条件を上回らない場合のみ変換することができます。また、転換の場合は新たに健康状態の告知が必要となりますが、変換の場合は告知が必要ありません。告知が必要ないので健康状態に不安がある人などが利用しやすい制度となっています。転換と同じく変換についても各保険会社で規定が異なりますので、検討する場合はその保険会社に詳細を問い合わせてみてください。

転換の種類

保険の転換にはいくつかの種類があります。担当者からすすめられたままに転換してしまうと、この種類についてもよくわからないまま契約してしまいあとからトラブルになるケースもあります。保険会社によってどの種類の転換制度が利用できるかは異なりますので、しっかり理解しておきましょう。

基本転換

転換の一番基本的なパターンは、今までの契約の下取り部分を新しい契約の主契約部分のみに充当する基本転換です。一般的にどのような保険でも主契約と特約がセットになっていますが、その主契約部分のみに充当することで新しく入る保険の保険料負担を軽減することができます。

定特転換

定特転換とは、基本転換と逆で特約のみに下取り部分を充当する転換方法です。特約は掛け捨てであることが多いため掛け捨ての保障を今までの保険の積立部分で買うというイメージとなります。定特転換にすると主契約部分には下取り分が充当されないため、最初から保険料満額を支払う必要があります。

比例転換

比例転換とは、下取り部分を主契約と特約の両方に充当する方法です。それぞれの保険料が軽減されますが、特約が更新時期となれば、保険料が軽減されるのは主契約部分のみになります。

転換のメリット

1. 解約して新規加入するよりも保険料が安くなる

転換はこれまで契約していた保険の積立部分を下取りして新しい契約の保険料に充当するため、普通に保険を解約して新規契約するよりも保険料が安くなります。ただし、下取り価格にもよりますがこれは更新するまでの一定期間のみの話で、更新時には更新したときの年齢で保険料が再計算されるため保険料が上がります。

2. ライフステージに合った最新の商品に乗り換えることができる

保険商品は年々新商品が開発されており、特約など付加できる内容も年々豊富になってきています。保険の転換を行うことで、現在のライフステージに合った最新の商品にお得に乗り換えられるというのは大きなメリットです。新しく出た保険商品が気になるという人の場合には、今加入している保険を転換することで少しでもお得に加入できないか相談してみるのもよいでしょう。

3. 特別配当が出る商品は、配当の権利を引き継ぐことができる

長期継続した保険を対象とした配当金である「特別配当」が出る商品については、転換を行ってもその権利を引き継ぐことができるというメリットもあります。長期で継続してきた保険を見直す際、普通に解約→新規契約を行うと特別配当をもらう権利はリセットされてしまいます。しかし転換であれば商品は変わりますが契約は継続していると見なしてくれるため、10年や20年など長期で継続してきた保険を見直す際には転換も選択肢として入れてみるとよいかもしれません。

4. 複数の保険をまとめることができる場合もある

「2. ライフステージに合った最新の商品に乗り換えることができる」ともつながりますが、転換制度を利用することで複数の保険をまとめることができる場合もあります。必要な保障を考え追加していった結果、複数の保険に入りっぱなしになっているという人は多いのではないでしょうか。そのような人の中には、転換を行って近年種類が豊富になっている特約を利用することで一つの契約にまとめられるというケースもあります。必要な保障が確保できているのならば契約はシンプルな方が管理が楽になりますので、複数の保険を契約しているという人にも転換は一つの有力な選択肢であると言えるでしょう。


転換のデメリット

1. 保険料は上がることもある

転換は今までの契約の下取り部分が新しい契約に適用されることで保険料の負担は軽減されますが、新しく入る保険の保険料は告知を行い新しい契約時の年齢で計算されますので、今までよりも上がるケースがほとんどです。下取り部分と相殺されることでお得になっているように見えますが、基本的には今まで入っていた保険よりは保険料が上がるということを認識しておきましょう。

2. 対象となるのは同じ保険会社の商品のみ

転換の対象となるのは、今までの契約と同じ保険会社の商品のみです。新しい契約として希望する内容の保険が同じ保険会社になかった場合、転換を行うことができません。また、転換を行えない商品も中にはあるので希望通りの転換が行えるかはよく担当者に相談する必要があります。もし希望する商品が別の保険会社にしかなかった場合は、現在の保険を解約して新たに契約を行いましょう。

転換に関する注意点

現在の契約(保障内容)は消滅する

転換すると、今まで加入していた保険契約は消滅してしまいます。保障内容が変わる場合は把握していないとトラブルになってしまう可能性があるため、保険金額や保険期間など、新しい契約の保障内容は事前によく確認するようにしましょう。

保障がどう変わるのかよく確認する

上記で述べたように、転換を行うと以前の契約は消滅してしまうため、転換を行う場合はよく保障内容を確認する必要があります。特に、以下の内容は保険会社から説明を行うことが義務付けられています。担当者からの信頼できる説明があったかどうかもチェックしておくことが大切です。

1. 転換前と転換後の保険契約に関して、次の重要事項について対比したもの

・基本となる保険金の名称と金額

・個別の特約名と特約保険金額

・保険期間および保険料払込期間

・保険料(主契約、特約)およびその払込方法

・配当方式

2. 転換時の予定利率が元の契約の予定利率よりも下がる場合、保険料が引き上げとなる可能性があること

3. 転換以外に、現在の契約を継続したまま保障内容を見直す方法がある事実およびその方法(追加契約、特約の中途付加など)

保険料を下げるには転換以外にも方法はある

お得に新しい保険に入れるということで転換を検討する人もいるかもしれませんが、保険料を下げるには転換以外にも方法はあります。例えば現状の保険の更新時に保険金額を下げる、特約を解約するなどです。また、人によっては転換ではなく現状の保険を解約して解約返戻金を受け取り、新しい保険に入りなおした方が保険料が下げられる場合もあります。担当者から転換を提案されたとしても安易に進めてしまうのではなく、他の方法も含めて様々なパターンを検討した上で、転換が最適だと考えられる場合にのみ転換制度を利用するようにしましょう。

告知の内容次第では新しい保険に加入できない場合もある

保険の転換を行う場合、告知が必要となります。現状の保険に入るときには健康に不安はなかったものの、転換を行う時点では不安要素が増えてしまったという人もいるかと思います。その告知内容によっては希望する転換後の保険商品に加入できないというケースもありますので、必ず希望する商品に転換できるとは限らないことを理解しておく必要があります。

保険の転換は慎重に

保険の転換制度について解説しました。転換はメリットもある一方で、注意点も多く慎重に検討する必要があります。また、転換制度は苦情やトラブルの報告件数が多い部分でもありますので、まずは担当者からよく説明を受け納得できるかどうかという点が大切です。

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