2022/03/22

インデックスファンドとETFの違いとは

ETFとインデックスファンドの違いについて解説します。資産運用を行う上でよく聞く「ETF」と「インデックスファンド」ですが、両者の違いがわかりにくいという人も多いのではないでしょうか。この記事ではインデックスファンドとETFの違いを、投資金額や手数料などの項目ごとに初心者にもわかりやすく解説します。

インデックスファンドとは

インデックスファンドとは、投資信託の中の種類のひとつです。投資信託とは運用のプロであるファンドマネージャーがが投資家から集めたお金を株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果として生まれた利益を投資家に還元する金融商品のことです。一般に「投資信託」として認識されているのは「公募追加型株式投資信託」のことであることが多く、取引所に上場していない商品のことを指します。

投資信託の中には「アクティブファンド」と「インデックスファンド」の2種類があり、株価指数などの基準を上回るパフォーマンスを目指すように設計された商品が「アクティブファンド」、基準と連動する値動きを目指す商品のことを「インデックスファンド」と言います。

つまり、インデックスファンドとは投資信託の中で日経平均株価、ダウ平均株価などの株価指数と連動した運用を目指す商品のことを指します。

ETFとは

ETF(上場投資信託)とは「Exchange-Traded Fund」の略称で、インデックスファンドと同じように日経平均株価やTOPIX、S&P500などの指数の値動きに連動するよう運用されている指数連動型の投資信託のことを指します。ETFも投資信託のひとつなのですが、上述した「公募追加型株式投資信託」とは異なり証券取引所に上場している投資信託のことを指します。またETFにも「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があるのですが、現状ETFのほとんどの商品がインデックスファンドとなっています(近年、アクティブ型のETFも話題になってきています)。そのため通常「インデックスファンド」と言ったら非上場の投資信託の中のインデックスファンドのことを指し、ETFのことを「インデックスファンド」と言うことはあまりありません。

ETFとインデックスファンドの違い

ETFとインデックスファンドは上場か非上場かという違いがありますが、それ以外にも以下のような違いがあります。

1. 最低投資金額

インデックスファンドは証券会社によっては最低100円から購入できる場合もあります。しかしETFは株式投資と同様に取引できる単位が決められているのが特徴です。売買単位×取引所価格で購入できる価格が決められており、取引所価格は日々変動しているので、最低売買金額は毎日変わっていきます。最低売買金額はインデックスファンドより高い傾向があり、通常は1万円~10万円程度で、それ以下の金額では購入することはできません。ほんの少額から投資を始めたい人にはインデックスファンドの方が始めやすいと言えます。

2. 取引の方法

■購入できる場所

インデックスファンドは証券会社だけでなく、銀行、信用金庫、郵便局など様々な金融機関で購入することができます。現在、数多くのインデックスファンドがありますが、その全てを扱っている金融機関はありません。金融機関によって取り扱っている商品が異なるので、購入したい商品がある場合は金融機関選びに気をつけてください。また、銀行など証券会社以外でも購入することはできますが、売買手数料などのコストが高くなる傾向があるので、証券会社の口座を開設して購入する方が良いでしょう。

一方ETFは、個別の株式と同様、証券口座があればどの証券会社でも同様に購入することができます。

■注文方法

注文の方法にも違いがあります。インデックスファンドは一日に一回までしか売買ができませんが、ETFは上場しているため(上場=証券取引所でリアルタイムで売買ができるようになること)、相場の変化に合わせてリアルタイムで注文が可能です。また、株式投資と同じく指値注文・成行注文・信用取引も可能です。海外のETFを購入する場合は課税方法が異なるため、一部の商品では二重課税を避けるため外国税額控除の申請を自分で行う必要がある商品もあります。

また、インデックスファンドは一日一回までしか売買できませんが、「毎月1日に1万円購入」といった定時定額投資や、分配金を自動で再投資できるといった仕組みがあります。一方ETFには基本的にこのような仕組みはありません(SBI証券など、一部証券会社ではETFでも定時定額投資ができることもあります)。

まとめると、手間なく購入しやすいのはインデックスファンド、分析をしながら細かい注文設定ができるのはETFと言えるでしょう。

3. コスト

■購入時手数料

購入時の手数料について、ETFと投資信託で呼び名が異なります。ETFの場合は取引手数料と呼ばれ、日本株や外国株などの株式を購入するときと同じように購入時に費用ががかかることが多いです。(証券会社によっては、期間によって売買手数料無料のキャンペーンを行っていたり、売買金額に応じて手数料が設定されている場合もあります。)一方インデックスファンドの場合は販売手数料と呼ばれ、一般的には購入金額の一定割合が手数料として販売会社に徴収されますが、近年ノーロード(手数料無料)と呼ばれる売買手数料がかからない商品が増えているため、購入時の手数料で見るとインデックスファンドの方がコストはかからない傾向にあります。

■信託報酬

次に、信託報酬の違いです。信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間ずっと投資家が支払い続ける費用のことです。支払いの方法としては別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して何%」といった形で毎日差し引かれます。一般的に、ETFの信託報酬はインデックスファンドより若干安い傾向があります(ETFがだいたい0.1%~0.5%なのに比べ、インデックスファンドは0.1%~1.0%程度)。しかし、最近はインデックスファンドの中でeMAXIS Slimシリーズなど運用コストをETF並みに抑えた商品も出てきたため、信託報酬についてはあまり差がなくなってきています。

その他、海外の商品を購入する場合は為替手数料など細かな手数料がかかる場合があります。これらの細かな費用のことを「隠れコスト」と呼び、目論見書には詳細が記載されていないことが多いです。ETFもインデックスファンドもそれぞれの商品や金融機関によって隠れコストは異なりますので、細かく把握したい人は銘柄の運用報告書に記載されている保有コストの合計を見ることで隠れコストを把握しましょう。

総じてコストに関しては、今まではETFの方が安い傾向にありましたが、近年はインデックスファンドの信託報酬の低下などによりあまり差がない状態となっています。

4. 制度の対象であるか

現在急速に口座数を伸ばしている「つみたてNISA」と「iDeCo」。どちらも運用で得た利益に対する税金が非課税になることに加えて、iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となるため節税効果も高い制度です。インデックスファンドかETFを購入するのであれば、この2つの制度を利用して効率よく運用をしたいと思っている方も多いでしょう。しかしiDeCoの場合、対象の商品はインデックスファンドを含む投資信託や定期預金に限られており、ETFの利用はできません。つみたてNISAの場合は、193本の対象商品のうちインデックスファンドとアクティブファンドで合わせて186本、ETFはわずか7本となっています(2021年6月現在)。インデックスファンドを購入したい場合はつみたてNISAやiDeCoを活用して運用することが可能ですが、ETFを購入したい場合はつみたてNISAを利用するか、ETFも制限なく購入することができる一般NISAの利用がおすすめです。

参考記事:

NISA(一般NISA)とつみたてNISAの違いは?特徴・比較から切り替え方法まで解説

つみたてNISAの始め方は?口座開設の方法や証券会社の選び方まで解説

iDeCoの始め方は?口座開設の方法やおすすめ金融機関まで解説

【インデックスファンドとETFの違い】


インデックスファンド ETF
上場/非上場 非上場 上場
購入できる場所 証券会社、銀行、信用金庫、郵便局等 証券会社
取引価格 基準価額(1日1回算出) 市場価格(リアルタイムで変動)
指値注文 ×
成行注文 ×
信用取引 ×
つみたてNISA △(7本のみ)
iDeCo ×

基本的にはインデックスファンドでOK

インデックスファンドとETFの違いについて解説しました。コストの違いについては、インデックスファンドで信託報酬の安い商品が増えてきてはいますが、まだ若干ETFの方が安く運用できる場合が多いようです。総合的に考えると、両者の違いはそこまで大きくはなく、何か理由がない限りはインデックスファンドでの運用を中心として問題ないでしょう。購入のタイミングなども選べるETFか、ETFと比較すると手間がかからないインデックスファンドを選ぶか、自身の投資スタイルに合わせて選んでみてください。

参考記事:『インデックス投資とは?メリット・デメリットからおすすめの投資信託・ETFまで解説

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