2022/07/12

iDeCo加入者が転職・退職した際に必要な手続きや注意点を解説

iDeCoに加入している人が転職や退職した際に必要な手続きや注意点について解説します。節税効果があり老後資金を作ることができるiDeCoの加入者は年々増えてきています。iDeCoに加入している人が転職・退職した際はどのような手続きが必要になるのかわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

iDeCoとは

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、2001年にスタートした、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度です。毎月拠出した掛金を自分で選んだ商品で運用し、老後に向けた資産を形成することができます。掛金を60歳になるまで拠出することで、60歳以降に老齢給付金という形で受け取ることができます。

iDeCoという愛称がつけられたのは2016年からで、それまでは「個人型確定拠出年金」や「日本版401k」と呼ばれていました。iDeCoはつみたてNISAと同じく運用して出た利益が非課税なのに加え、掛金の全額が所得控除の対象になるため、所得税・住民税が安くなるという節税メリットの大きい制度です。

参考記事:

iDeCoの始め方は?口座開設の方法やおすすめ金融機関まで解説

iDeCoのメリットとデメリット・注意点

iDeCoと企業型確定拠出年金の違い

iDeCoは個人型確定拠出年金のことですが、確定拠出年金には企業型(DC)もあります。企業型確定拠出年金はiDeCoとは違い企業が退職金制度の代わりとして設けているもので、すべての企業が行っている制度ではありません。掛金は企業が拠出し、手数料なども企業が負担します。個人型も企業型も原則60歳まで資金を引き出すことができない点は同じです。

参考記事:『確定拠出年金(401k)とは? 個人型(iDeCo)と企業型(DC)の違いを解説

転職・退職した場合に必要となるiDeCoの手続き

1. 転職先の会社に年金制度がある場合

iDeCoを利用している人が転職する際、転職先の企業に企業年金制度がある場合、①転職先の企業が実施している企業型確定拠出年金へ移換する②iDeCoの掛金積み立てを継続する③運用指図者になる、の3パターンの方法があります。


①転職先の企業が実施している企業型確定拠出年金へ移換する場合

転職先の企業へ企業型確定拠出年金へ加入する旨と今までのiDeCoを移換する旨を伝え、iDeCoの加入資格喪失届を提出します。加入喪失届に記入する喪失理由は「04:運用指図者になるため」を選択してください。その後、企業型確定拠出年金に資産を移換するために個人別管理資産移換依頼書書類を会社に提出します。提出後、資産が移換されたら自宅に通知が届く仕組みになっています。

※転職先の企業型確定拠出年金への加入手続きはそれぞれの企業によって異なるため、問い合わせてください。


②iDeCoの掛金積み立てを継続する場合

iDeCoは2022年に制度が変更になり、今までは企業型確定拠出年金とiDeCoを併用するためにはそれを認める労使合意に基づく規約の定めが必要でしたが、2022年10月からは本人の意志のみで企業型確定拠出年金とiDeCoを併用することができます。企業型確定拠出年金とiDeCoを併用する場合は、月額55,000円から企業型確定拠出年金の掛金額を引いた残りの範囲でiDeCoの掛金を決めることができます(併用する場合のiDeCoの掛金上限額は20,000円)。その場合はiDeCoの資産を移換せずにそのまま継続することができるので、勤務先の変更作業のみ必要となります。変更作業はiDeCoに加入している金融機関に「加入者登録事業所変更届」と、転職先企業が記入した「事業主証明書」を提出することで完了します。もし企業型確定拠出年金と併用することで月々の掛金を変更する必要がある場合は、「加入者登録事業所変更届」にその旨も記載することを忘れないようにしましょう。

※確定給付企業年金の場合もiDeCoとの併用が可能です。

参考記事:『iDeCoは2022年の改正でどう変わる?


③運用指図者になる場合

企業型確定拠出年金に移管するのでもなく、iDeCoの積み立てを継続するのでもなく、掛金の積み立てを停止し今まで積み立てた資産のみの運用を続ける「運用指図者」になるという選択肢もあります。資格喪失届を提出することでiDeCoの新規掛金引き落としが停止され、今までの掛金のみで運用を続けることができます。しかしこの場合、口座管理にかかる手数料などは毎月引き落とされ続けますので注意してください。

2. 転職先の会社に年金制度がない場合

iDeCoを利用している人が転職する際、転職先の企業に企業年金制度がない場合、①iDeCoの掛金積み立てを継続する②運用指図者になる、の2パターンの方法があります。いずれも手続きの方法については上記と同じで、必要な書類を提出することで手続きが完了します。そのままiDeCoの積み立てを継続する場合でも、勤務先の情報を変更するために「加入者登録事業所変更届」と、転職先企業が記入した「事業主証明書」の提出は必ず必要となりますので、手続きを忘れないようにしましょう。

3. 退職し、専業主婦(夫)または無職になる場合

退職して次の企業に転職せず、専業主婦(夫)や無職になる場合は①iDeCoの掛金積み立てを継続する②運用指図者になる、の2パターンの方法があります。①iDeCoの掛金積み立てを継続する場合は、被保険者の種別が変更になるため、被保険者種別の変更届を提出する必要があります。

※必要書類の入手方法

転職や退職に際してiDeCoで必要になる書類は、契約している運営管理機関のコールセンターに連絡すれば必要書類を揃えて送ってくれます。自分で必要な書類がすべてわかっている場合は、iDeCo公式HPからもダウンロードできますのでそちらも活用してください。

参考:転職・退職された方へ(iDeCo公式HP)

転職・退職に関してのiDeCoの注意点

1. 掛金の上限金額に注意

iDeCoは自身の職業や、勤務先の年金制度の有無によって毎月の掛金上限が異なります。転職することで掛金の上限が変わる可能性がありますので、以下表を参考に掛金変更の必要があるかどうかを確認しておきましょう。転職することで被保険者の種類が変わる場合は「被保険者種別変更届」を、掛金変更の必要がある場合は「加入者掛金額変更届」を記入して提出しましょう。

■iDeCoの掛金上限

職業 掛金の上限金額
自営業(第一号被保険者) 月額68,000円

会社員・公務員(第二号被保険者)

1. 会社に企業年金がない会社員

月額23,000円

会社員・公務員(第二号被保険者)

2. 企業型DCに加入している会社員

月額20,000円

会社員・公務員(第二号被保険者)

3. 企業型DCとDBに加入している会社員

月額12,000円

会社員・公務員(第二号被保険者)

4. DBのみに加入している会社員

月額12,000円

会社員・公務員(第二号被保険者)

5. 公務員

月額12,000円
専業主婦(夫)
月額23,000円

※DC…確定拠出年金のこと。老後資金を貯めるための制度で、企業で加入するが自身で運用を行う。

※DB…確定給付企業年金のこと。同じく老後資金を貯めるための制度だが、企業で加入し運用は企業が行う。

2. 変更手続きのし忘れに注意

iDeCoに加入している間に転職・退職した場合、被保険者の種類や掛金の金額などが変わらなくても必ず変更手続きが必要となります。第二号被保険者(会社員・公務員)の場合、年に一回国民年金基金連合会から企業先へ加入資格の確認連絡が入ります。転職・退職したのに手続きが行われていない場合はこの段階で発覚し加入者に連絡がいくようになっていますので、転職し事業主が変わった場合は必ず早めに「加入者事業書変更届」を提出するようにしましょう。

3. 資産の移換には金融機関によって手数料がかかる

iDeCoから転職先の企業型確定拠出年金に移換する場合、金融機関によっては手数料がかかることにも注意してください。移換時の手数料は現在どの金融機関も4,400円(税込)で、移換元の運営管理機関に支払われます。

参考記事:『iDeCoに発生する手数料とは?最安の金融機関・証券会社も紹介

変更手続きは忘れずに行おう

iDeCo加入者が転職・退職した際の手続きについて解説しました。転職や退職の際は対応することが多くiDeCoの変更手続きを忘れてしまいがちですが、書類の提出は必ず必要となりますので忘れずに行うようにしましょう。

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